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広瀬さんスライド

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広瀬さんスライド

  1. 1. 生きる「演技」 青山学院大学社会情報学研究科 ヒューマンイノベーションコース 広瀬安彦
  2. 2. 序論 今から述べるのは、社会という組織の一員として生きていくために、 一生涯学び続ける価値がある唯一のもの、 すなわち「演技」について、である。
  3. 3. 社会参加という名の現実  人が大人として社会参加することは、生計を立てる ために所属する集団、つまり個々人が就業する会社や 団体等を選ぶことと同義である。そして何かしらの存在 目的や行動指針を持って進む集団に属するためには、 その集団の構成員として、「組織にとって益のある現実 的な行動を発達させる」というシャインの組織社会化論、 言い換えれば「組織の価値観」を否応なく受け入れる ことになる。  ところが、そういったことを受け入れるように暗黙の 裡に強いている会社や団体等の組織は、環境の変化 や外圧によって存在目的や行動指針を変更しなければ ならなくなっても、組織の構成員に組織の価値観(「何 が組織にとって益のある現実的な行動か」というポリ シー)を即時的に構成員全員に周知することが、その 組織の規模が大きくなるに比例して難しくなる。  また、組織を運営する側と末端の構成員の間には情報 の非対称性、つまり不平等や格差が必ず存在するのだ。  しかし、そういった組織の事情で、構成員がポリシー の変更に気付かず、何らかの不利益を被ったとしても、 自己責任として不当に責任を負わされることがある。  卑近な例で言えば、かつて製造業の中心的なプレー ヤーとして名を馳せた企業の技術者が、質の高い製品 を、十分に時間をかけてゼロから自社開発することに拘 り続けたため、安価な他社の部品を組み合わせて早く 市場に投入する企業としての戦略の変更に対応するこ とができず、リストラの対象になる、といったことだ。そ れが所属している部署や上司の命じたとおりの行動を とっていた、としてもだ。 つまり組織に受け入れられ、認められるためには、組 織にとって益のある行動をとり続けなければならない が、組織が何を益としているかをどう認識し、その結果 がどうであろうと自己責任だ、という訳だ。  しかし、今の公教育で、そのようなことへの対処を学 べる機会は皆無に等しい。 組織における 情報の非対称性 情報格差 ⇒ 現実世界
  4. 4. 適応・抵抗と演技  本田は「教育の社会的意義(2009)」の中で、高 等教育に盛り込まれるべき「教育の職業的意義」とし て「抵抗」と「適応」の両面が必要であると述べている。 「抵抗」とは、契約もしくは就職した企業などから不当 な扱いを受けた場合、法律や社会的なリソースを使い、 泣き寝入りすることなく、文字通り抵抗できることである。  そして「適応」とは「柔軟な専門性」を身に付けること、 つまり、まずは自分自身のこだわりを持って何らかの職 業的な専門性を身に付け、徐々に隣接する領域へと拡 張し、より一般性・共通性・普遍性の高い知識やスキ ルを獲得していくプロセスを体現できなくてはならない、 ということである。  しかし「抵抗」と「適応」が社会参加のために必要な 能力であり、事前に学ぶべきことだということは否定で きないが、それだけでは決定的に足りない。なぜなら、 その前に今が「抵抗」もしくは「適応」すべき時なのかを 正確に把握し、判断する能力が必要になるからである。  その能力を得るために必要な唯一のこと、それが「演 技」である。  ここで言う「演技」とは、一時の個人的な感情に流 されず、組織の中で必要とされている立ち振る舞いを 正確に読み取り、コンスタントに実行しようと「演じる」 ことである。そして実行した自身の「演技」を振り返る ことでのみ「抵抗」と「適応」の判断力が培われるのだ。  具体的には、社会に出て、最初に所属することになっ た組織の中で、最も評価される人材に「一時的にでも」 なること目指して働くことである。つまり組織の明文化さ れたルールだけでなく、暗黙のものにも、これ以上ない というほど真摯に従うのだ。当然、上役にも絶対的に 服従する態度を貫き、期待される以上の結果を出し続 ける必要がある。  「演技」をすることでのみ自身の専門性は磨かれ、よ り明らかにもなる。  「演技」が周囲に認められれば、自身でも気が付か なかった適正が見出され、今後の可能性を広げること にもなる。  そして、その中でどうしても受け入れられないことが 出てきたら、それは自分自身の仕事に対する「こだわり」 が明らかになった、ということである。  だから自身の確固たる絶対的な基準が培われるま で、つまり自分自身の絶対的な基準で所属する(したい) 組織を選べる「こだわり」が出来るまで、「演技」は続 ける必要がある。  「こだわり」を持って仕事をしていれば、自分自身で どうしても組織で成し遂げたいことや、反対に受け入れ られない状況や役割などが必ず出てくる。 その時こそ、今まで培ってきた全てをかけて、やりたい 仕事をやらせろと要求したり、やらせないのであれば(組 織を)辞めると言ってみたり、といった「抵抗」をすべ き時なのだ。 それは、相手が誰であろうが、どんな組織であろうが、 関係ないのである。 「抵抗」とは、「演技」を重ね続け「こだわり」を自ら の手で掴んだものにしか許されない、いわば自らの手 でつかみとるべき特権のことをいう。
  5. 5. 適応・抵抗と演技 初等教育 中・高等教育 就職 演技 適応 柔軟な専門性を 身に付けること 抵抗 不当な扱いに 対して、 泣き寝入り しないこと
  6. 6. ドゥニ・ディドロ 出所)wikipedia 生き切るための演技論  「適応」に秀でた職業人は、言うまでもなく俳優であ る。青山によるディドロの「俳優に関する逆説」に対す る考察(2010)は、そのことを看破している。  ディドロとは、フランス革命を思想的に準備したとさ れる出版物「百科大全」を編纂した中心人物、つまり 当時の権力への「抵抗」者の代表格である。 ディドロは俳優について「卓越した役者を準備するのが、 感受性の絶対的な欠如」だと述べている。  なるほど俳優は、舞台もしくは映像作品の脚本や演出 に基づいて演じなければならない以上、その要求に応じ て自身の感受性を、ある意味封印しなくてはならい。そ して要求は、作品ごとに違うのである。つまり俳優ほど、 組織によるポリシーの変更による行動指針の変更を絶え 間なく強いられている存在はない、ということである。そ れは組織に対する「適応」の根底にある身のこなしや 態度、言い換えれば職業人としての「自立」である。  青山はディドロが主張する俳優に要求される感受性 の欠如をこう解説する。 「優れた俳優は、舞台上でほとんど不可避的に生じる 様々な突発的な事態にかき乱されることもなく、動揺さ せられることもなく、『冷静で、安心できる平静さをもっ た観察者』としての自分を持ち続ける俳優であり、その 上に立って、『あらゆる種類の性格と役柄に対して等し く適応できる能力』即ち『全てのものをミメーシス(模倣) する技』をもっている俳優である」と。  ディドロの演技論の要諦は、自分自身の感受性を完 全にコントロールし、役(割)に適応させることである。  そのことに腹を括っていないために組織で何もつかめ ず、生きているのかすら疑わしい大人が量産されてい るのである。 【参考文献】 『教育の職業的意義―若者、学校、社会をつなぐ』 本田由紀 筑摩書房 2009 年 「ディドロ演劇論研究 : 役者の演技の在り方について」  青山昌文 『放送大学研究年報』 2010 年

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