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生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02




   地理空間情報のオープン化と
   それに伴う技術・制度的な課題
              (独)農業環境技術研究所
                生態系計測研究領域
                  岩崎 亘典
はじめに              2

今日の発表について




       GISで研究する
はじめに                     3

今日の発表について




            ×
       GISで研究する

       GISを研究する
       とくに、取り巻く状況の変化など
はじめに                            4

今日の発表内容
 1. GISの一般化とその背景
 2. VGI ~ボトムアップの地理空間情報
 3. オープン・ガバメント
    ~トップダウンの地理空間情報
 4. データのライセンス
    Creative Commons and more
 5. Spatial Big Data
     ~Problem and challenges
生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02




    GISの一般化とその背景

          ~Web技術の役割~
GISの一般化とその背景         6

GISは専門家のツールではない




    • 朝日新聞   6月18日
GISの一般化とその背景                          7

GISは専門家のツールではない




               • 週間プレーボーイ2012年8月6日号
GISの一般化とその背景                                                  8

FOSS4Gとは

  • Free and Open Source Software for
    Geospatial
    – 誰もが、自由に、入手・修正でき、どの様な
      目的でも使える地理空間ソフトウェア
      • GISの普及に貢献




                         http://www.opensource.org/docs/osd
GISの一般化とその背景                                                                                    9

Open Source GISの歴史




                     http://www.slideshare.net/fullscreen/gatewaygeomatics.com/foss4g-community/4
GISの一般化とその背景                      10

FOSS4G普及の背景

 • Web技術の進展
   – 開発
     • バザールモデルによる開発
       – "The Cathedral and the
         Bazaar"
   – 配布
     • ダウンロード
   – 技術習得
     • ダウンロード、SlideShare、
       e-Learning、etc…
生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02




                   VGI
 (Volunteered Geographic Information)
      ボトムアップの地理空間情報

    ~Web技術がデータに与えた影響~
VGI ~ボトムアップの地理空間情報                                         12

Web技術がデータにもたらした影響

  • ボランタリーな地理空間情報
    – Goodchild (2007)により提唱
        – "Citizens as sensors: the world of volunteered
          geography". GeoJournal 69 (4)
    – Web技術を利用した、データの作成、共有
VGI ~ボトムアップの地理空間情報                                                            13

従来の地理空間情報との違い

  • ユーザーが主体
    – UGC(CGM)といえる




       http://www.slideshare.net/seagor/aag-geowebsdi-the-gis-caste-system/
VGI ~ボトムアップの地理空間情報   14

代表的なVGI

  • OpenStreetMap
  • eBird
VGI ~ボトムアップの地理空間情報                               15

公的機関のVGIへの対応

  • UNRCC-AP クアラランプール宣言
    – ‘fundamental data’ that is essential and
      therefore must have authority, currency,
      resilience and sustainability, be
      comprehensive, freely available,
      accessible and usable
    – the importance of authoritative and
      assured data and information, encourage
      the incorporation of volunteered
      information

           国連アジア太平洋地域地図会議(UNRCC-AP)主催「地理空間情
           報活用政府及び社会に関する国際シンポジウム」のクアララン
           プール宣言 2012年2月
生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02




      オープン・ガバメント
        トップダウンの地理空間情報

   ~公的機関によるデータ提供の変化~
オープン・ガバメント ~トップダウンの地理空間情報   17

様々な機関による地理空間情報の公開

 • 基盤地図情報、国土数値情報、植生図、
   統計GIS、etc…
オープン・ガバメント ~トップダウンの地理空間情報                               18

公開データの問題

 • 多くの場合、利用にあたって制限がある
   – 成果物の利用や再配布




                    http://www.gsi.go.jp/kiban/faq.html#52
オープン・ガバメント ~トップダウンの地理空間情報                           19

オープン・ガバメントの取り組み

 • インターネット等を活用し、政府情報の
   公開や、行政への市民参加を促進
   – アメリカ等で先行
     • Transparency, Corroboration, Participation
オープン・ガバメント ~トップダウンの地理空間情報   20

日本での取り組み

 • 電子行政オープンデータ戦略の決定
   – H24年7月4日
     • 二次利用の推進
生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02




       データのライセンス
           Creative Commonsなど

     ~提供されたデータの活用に向けて~
データのライセンス ~Creative Commonsなど            22

二次利用にあたっての問題点

  • 著作権の問題
    – DATA.GOVの場合、Public Informationで二
      次利用制限無し
データのライセンス ~Creative Commonsなど   23

他の国の場合

  • イギリス
    – Open Government License
  • フランス
    – License Ouverte
データのライセンス ~Creative Commonsなど                                   24

Creative Commons

  • 一定の条件を守れば利用を許可
     – 対象は著作物のみ




                   ではなく




                                http://creativecommons.jp/licenses/
データのライセンス ~Creative Commonsなど                                           25

公共機関での利用例

  • Dataシティさばえ




                http://www.city.sabae.fukui.jp/pageview.html?id=11552
データのライセンス ~Creative Commonsなど   26

Open Data Commons

  • DBにおけるオープンなライセンス
    – OpenStreetMapで採用
生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02




          Spatial Big Data
           Problem and challenges
Spatial Big Data                          28

ここまでのまとめ

   • FOSS4G
       – オープンなGISソフト
   • VGIやオープン・ガバメント
     – ボトムアップとトップダウンのデータ
   • Creative CommonsやOpen Data Commons
     – データ利用の推進
                   #Web技術の進歩が背景

   • Spatial Big Dataの可能性
Spatial Big Data               29

Big Dataとは?

   • nature(2008)で特集
       – 大容量のデータやWikiPediaなど
Spatial Big Data                                                     30

もう少し詳しい説明

   • 四つの”V”により特徴づけられる
       – volume=量、variety=多様性、
         velocity=速さ、veracity=真実性




                   http://www-06.ibm.com/software/jp/data/bigdata/
Spatial Big Data                                                                                                                                   31

地理空間情報におけるBig Data

      • GeoGRIDやOpenStreetMap




http://www.slideshare.net/naotakayamamoto/foss4g-2011-tokyo




                                       http://wiki.openstreetmap.org/wiki/Stats#OpenStreetMap_Statistics_Available




                                                                                                                     http://planet.openstreetmap.org/
Spatial Big Data                   32

Spatial Big Dataの扱い

   • 空間的Big Dataをどう扱うか
     → 技術的解決法について
       – volume, velocity
           • Grid技術、GPUコンピューティング
       – variety
           • Linked Open Data
              – Linked Dataの一種
Spatial Big Data                                                                          33

GPUコンピューティング

   • CPUではなく、GPUで計算




                   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:CU
                   DA%E3%81%AE%E5%87%A6%E7%90%86%E3%81%AE%E6%B5%81%E3%82%8C.PNG
Spatial Big Data    34

GPUコンピューティング

   • GRASSによる実装例
       – 5~50倍高速化
Spatial Big Data                                                  35

Rの場合

   • 5~20倍高速化




                   http://www.slideshare.net/wdkz/rgpu-10228793
Spatial Big Data                                                            36

Varietyへの対応    ~Linked (Open) Dataについて

   • データ版のWWW
       – RDF(Resource Description Framework)で記
         述される
   • Linked Dataの4原則
       – ものの名前として URI を使うこと
       – ものの名前を調べられるように HTTP URI を使
         うこと
       – URI を見に行ったとき、RDF や SPARQL のよう
         に標準技術によってそれに対する有用な情報を提
         供できるようにすること
       – より多くのものが発見できるように、データの中
         に他の URI へのリンクをいれること
                           http://www.w3.org/DesignIssues/LinkedData.html
37




http://richard.cyganiak.de/2007/10/lod/
Spatial Big Data                    38

地理空間情報におけるLinked Data

   • 地名や位置情報が主
       – GIS分析とどう組みあわせるか要検討
 LinkedGeoData

                              GeoNames
Spatial Big Data         39

活用の可能性

   • 生物情報と位置情報の横断的検索?
       – メタデータの代わりになる?
Spatial Big Data                        40

残された課題

   • ”Veracity”の問題
       – 多種多様、精度の異なるデータをどう扱う?
           • Accuracy and Reliability
       – 新たな手法の確立が必要
   • 「空間的」Big Dataの意義
       – Big Dataだから出来る、見える、こと
           • 新たな分析、評価手法も必要?
おわりに                                  41

まとめ
 • Web技術の発達
   – FOSS4G(今後はUXにも感心が?)
   – VGI
   – オープン・ガバメント
 • データを有効に使うためのライセンス
   – コモンズの悲劇をどう回避する?
 • 空間的Big Data
   –   GPUを使った処理の高速化
   –   Linked Open Dataによる多様なデータベース
   –   データの“veracity”の扱い
   –   「空間的」Big Dataはどうあるべき?

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生態系計測研究領域セミナー 20120802

  • 1. 生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02 地理空間情報のオープン化と それに伴う技術・制度的な課題 (独)農業環境技術研究所 生態系計測研究領域 岩崎 亘典
  • 2. はじめに 2 今日の発表について GISで研究する
  • 3. はじめに 3 今日の発表について × GISで研究する GISを研究する とくに、取り巻く状況の変化など
  • 4. はじめに 4 今日の発表内容 1. GISの一般化とその背景 2. VGI ~ボトムアップの地理空間情報 3. オープン・ガバメント ~トップダウンの地理空間情報 4. データのライセンス Creative Commons and more 5. Spatial Big Data ~Problem and challenges
  • 5. 生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02 GISの一般化とその背景 ~Web技術の役割~
  • 6. GISの一般化とその背景 6 GISは専門家のツールではない • 朝日新聞 6月18日
  • 7. GISの一般化とその背景 7 GISは専門家のツールではない • 週間プレーボーイ2012年8月6日号
  • 8. GISの一般化とその背景 8 FOSS4Gとは • Free and Open Source Software for Geospatial – 誰もが、自由に、入手・修正でき、どの様な 目的でも使える地理空間ソフトウェア • GISの普及に貢献 http://www.opensource.org/docs/osd
  • 9. GISの一般化とその背景 9 Open Source GISの歴史 http://www.slideshare.net/fullscreen/gatewaygeomatics.com/foss4g-community/4
  • 10. GISの一般化とその背景 10 FOSS4G普及の背景 • Web技術の進展 – 開発 • バザールモデルによる開発 – "The Cathedral and the Bazaar" – 配布 • ダウンロード – 技術習得 • ダウンロード、SlideShare、 e-Learning、etc…
  • 11. 生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02 VGI (Volunteered Geographic Information) ボトムアップの地理空間情報 ~Web技術がデータに与えた影響~
  • 12. VGI ~ボトムアップの地理空間情報 12 Web技術がデータにもたらした影響 • ボランタリーな地理空間情報 – Goodchild (2007)により提唱 – "Citizens as sensors: the world of volunteered geography". GeoJournal 69 (4) – Web技術を利用した、データの作成、共有
  • 13. VGI ~ボトムアップの地理空間情報 13 従来の地理空間情報との違い • ユーザーが主体 – UGC(CGM)といえる http://www.slideshare.net/seagor/aag-geowebsdi-the-gis-caste-system/
  • 14. VGI ~ボトムアップの地理空間情報 14 代表的なVGI • OpenStreetMap • eBird
  • 15. VGI ~ボトムアップの地理空間情報 15 公的機関のVGIへの対応 • UNRCC-AP クアラランプール宣言 – ‘fundamental data’ that is essential and therefore must have authority, currency, resilience and sustainability, be comprehensive, freely available, accessible and usable – the importance of authoritative and assured data and information, encourage the incorporation of volunteered information 国連アジア太平洋地域地図会議(UNRCC-AP)主催「地理空間情 報活用政府及び社会に関する国際シンポジウム」のクアララン プール宣言 2012年2月
  • 16. 生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02 オープン・ガバメント トップダウンの地理空間情報 ~公的機関によるデータ提供の変化~
  • 17. オープン・ガバメント ~トップダウンの地理空間情報 17 様々な機関による地理空間情報の公開 • 基盤地図情報、国土数値情報、植生図、 統計GIS、etc…
  • 18. オープン・ガバメント ~トップダウンの地理空間情報 18 公開データの問題 • 多くの場合、利用にあたって制限がある – 成果物の利用や再配布 http://www.gsi.go.jp/kiban/faq.html#52
  • 19. オープン・ガバメント ~トップダウンの地理空間情報 19 オープン・ガバメントの取り組み • インターネット等を活用し、政府情報の 公開や、行政への市民参加を促進 – アメリカ等で先行 • Transparency, Corroboration, Participation
  • 20. オープン・ガバメント ~トップダウンの地理空間情報 20 日本での取り組み • 電子行政オープンデータ戦略の決定 – H24年7月4日 • 二次利用の推進
  • 21. 生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02 データのライセンス Creative Commonsなど ~提供されたデータの活用に向けて~
  • 22. データのライセンス ~Creative Commonsなど 22 二次利用にあたっての問題点 • 著作権の問題 – DATA.GOVの場合、Public Informationで二 次利用制限無し
  • 23. データのライセンス ~Creative Commonsなど 23 他の国の場合 • イギリス – Open Government License • フランス – License Ouverte
  • 24. データのライセンス ~Creative Commonsなど 24 Creative Commons • 一定の条件を守れば利用を許可 – 対象は著作物のみ ではなく http://creativecommons.jp/licenses/
  • 25. データのライセンス ~Creative Commonsなど 25 公共機関での利用例 • Dataシティさばえ http://www.city.sabae.fukui.jp/pageview.html?id=11552
  • 26. データのライセンス ~Creative Commonsなど 26 Open Data Commons • DBにおけるオープンなライセンス – OpenStreetMapで採用
  • 27. 生態系計測研究領域セミナー 2012/08/02 Spatial Big Data Problem and challenges
  • 28. Spatial Big Data 28 ここまでのまとめ • FOSS4G – オープンなGISソフト • VGIやオープン・ガバメント – ボトムアップとトップダウンのデータ • Creative CommonsやOpen Data Commons – データ利用の推進 #Web技術の進歩が背景 • Spatial Big Dataの可能性
  • 29. Spatial Big Data 29 Big Dataとは? • nature(2008)で特集 – 大容量のデータやWikiPediaなど
  • 30. Spatial Big Data 30 もう少し詳しい説明 • 四つの”V”により特徴づけられる – volume=量、variety=多様性、 velocity=速さ、veracity=真実性 http://www-06.ibm.com/software/jp/data/bigdata/
  • 31. Spatial Big Data 31 地理空間情報におけるBig Data • GeoGRIDやOpenStreetMap http://www.slideshare.net/naotakayamamoto/foss4g-2011-tokyo http://wiki.openstreetmap.org/wiki/Stats#OpenStreetMap_Statistics_Available http://planet.openstreetmap.org/
  • 32. Spatial Big Data 32 Spatial Big Dataの扱い • 空間的Big Dataをどう扱うか → 技術的解決法について – volume, velocity • Grid技術、GPUコンピューティング – variety • Linked Open Data – Linked Dataの一種
  • 33. Spatial Big Data 33 GPUコンピューティング • CPUではなく、GPUで計算 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:CU DA%E3%81%AE%E5%87%A6%E7%90%86%E3%81%AE%E6%B5%81%E3%82%8C.PNG
  • 34. Spatial Big Data 34 GPUコンピューティング • GRASSによる実装例 – 5~50倍高速化
  • 35. Spatial Big Data 35 Rの場合 • 5~20倍高速化 http://www.slideshare.net/wdkz/rgpu-10228793
  • 36. Spatial Big Data 36 Varietyへの対応 ~Linked (Open) Dataについて • データ版のWWW – RDF(Resource Description Framework)で記 述される • Linked Dataの4原則 – ものの名前として URI を使うこと – ものの名前を調べられるように HTTP URI を使 うこと – URI を見に行ったとき、RDF や SPARQL のよう に標準技術によってそれに対する有用な情報を提 供できるようにすること – より多くのものが発見できるように、データの中 に他の URI へのリンクをいれること http://www.w3.org/DesignIssues/LinkedData.html
  • 38. Spatial Big Data 38 地理空間情報におけるLinked Data • 地名や位置情報が主 – GIS分析とどう組みあわせるか要検討 LinkedGeoData GeoNames
  • 39. Spatial Big Data 39 活用の可能性 • 生物情報と位置情報の横断的検索? – メタデータの代わりになる?
  • 40. Spatial Big Data 40 残された課題 • ”Veracity”の問題 – 多種多様、精度の異なるデータをどう扱う? • Accuracy and Reliability – 新たな手法の確立が必要 • 「空間的」Big Dataの意義 – Big Dataだから出来る、見える、こと • 新たな分析、評価手法も必要?
  • 41. おわりに 41 まとめ • Web技術の発達 – FOSS4G(今後はUXにも感心が?) – VGI – オープン・ガバメント • データを有効に使うためのライセンス – コモンズの悲劇をどう回避する? • 空間的Big Data – GPUを使った処理の高速化 – Linked Open Dataによる多様なデータベース – データの“veracity”の扱い – 「空間的」Big Dataはどうあるべき?