2019年度日本地理学会春季学術大会（専修大学）

静岡県立裾野高校伊藤智章
アナログGISによる
必修「地理総合」向けGIS教材
の作成について
2019.3．20 日本地理学会（専修大学）

１．問題の所在・目的
２．授業実践事例紹介
３．考察と展望

１．問題の所在・報告の目的

（１）本報告の目的 ①
アナログGISを再定義する
誤解されがちな

高校での地理必修化に向けて
アナログGIS教材の充実
の必要性を強調する

（２）問題の所在①
高校の必修地理における
GISの段階的普及論
太田（2017）

ステージ１
Web地図の閲覧
（デジタル地図帳）
ステージ２
Web地図上での計測
ダウンロードデータの
重ね合わせ
ステージ３
GISソフトの操作による
主題図作成
地理総合（2単位：必修）

簡易GISソフトの操作
地図レイヤを駆使して
地域課題を抽出
本格的GISソフトで
統計解析・課題解決
学習
ステージ４
ステージ５
地理探究（３単位：選択）

ステージ１
第一段階ですら
実現は難しいのではないか？
（大西・山本・高木：2017）
？

地図の色塗りをやらせれば
GIS（みたいなもの）なんだ！
パソコンを使わなくても（使えなくても）
GIS（的な考え方）は教えられるんだ！
GISに対する誤った考え方が
蔓延する懸念（名倉：2018）

アナログGIS
GISの基本的な考え方をアナログ的
手法（自ら手を動かして）理解する教材
（伊藤：2007）

▼GIS（ソフト、データ）で編集・教材化
していない
▼作業の成果物や、実習のノウハウが
「デジタルのGIS」と連動しない、相互
の互換性がない教材
アナログGISではない

連続性なき
場当たり的な
代替・代用
悪い意味での
「アナログGIS」

グループワーク教材
地理院地図
（Web GISサーバー）
アナログ出力
(大判印刷）
加工・オフライン教材化
（タブレット端末）
GISソフト(カシミール３Dなど）
連動可能

グループワーク教材
オーストラリアの
統計資料（政府統計など）
アナログで作図
(大判白地図）
オフライン教材化
（タブレット端末）
GISソフト(MANDARAなど）
続きは
GISで！

地理A（高校3年）
「世界の人口問題」導入（1時間）
人口に関する統計資料を地図化し、
地域性の違いと、統計間の関連性
を理解する。
＜目標＞

地理A（高校3年）
「世界の人口問題」導入（1時間）
統計資料の地図化と関連性の把握
をスムーズにするために、アナログ
GIS教材を作り、グループワーク。
＜方法＞

＜用意した教材＞
①データシート
（EXCELで作成。順位毎に色分け）

②白黒図表（4種類）
（MANDARAで作成・印刷）

③白地図
（MANDARAで作成・印刷）

④透明シート（OHPフィルム）
⑤色ペン

＜作業＞
主題図の上に透明フィルム
を載せ、統計を参考にしなが
ら色塗りを行う。

＜作業＞
白地図上で透明フィルム
同士を重ね合わせて、統計の地域的な偏りや
統計間の関連性について班ごとに説明する。
出生率合計特殊
出生率
乳幼児死亡率
識字率人口増加率

＜生徒の感想＞
組み合わせをいろいろ変えてみて
関連性を考えるのは面白かった。
久々に地図塗りをやったが、
思った以上に知らない国が多くて
まいった。
白黒のお手本がなければ、かなり
ヤバかった思う。

次の時間の冒頭に原図でフォロー
そのままGIS実習につなげられれば
ベストだったができず。導入効果は大きかった。

人口統計の色塗り実習
（アナログGIS的作業）
人口統計の色塗り実習
（アナログ作業）

ステージ１
ステージ２
ステージ３
ステージ０
デジタルGISとの相互の互換性が
なければ「アナログGIS」ではない
アナログGIS

ステージ１
ステージ２
ステージ３
ステージ０
各ステージのGISを使った実習の導入教材
（概念の把握、利用するデータの試用）
アナログGIS

人口問題ステージ０
各単元において「GIS的な考え方」
「GISによる表現」をシンプルに伝える教材
アナログGIS
環境問題
民族問題
地域課題

新学習指導要領（２０２２年高校入学生～）
３つの柱（各教科共通）
３つの大単元
（地理総合）

陥りがちな「地理総合」の展開
GIS
国際理解
防災
地域課題

地理総合と「アナログGIS」
・すべての単元にGISを取り入れるために
共有やアレンジが可能な「システム」
の構築、カリキュラムマネジメント
授業での活用ノウハウの蓄積・共有
大きな課題

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