1.
ハードウェアハッカー 解説：力の２号編
#NT加賀
#ハードウェアハッカー
高須正和@tks スイッチサイエンス

2.
自己紹介
深圳ほか世界各地のパートナーを開拓し、先進的な開発ツールを輸出入・共同開発、投資などを行う。
（株）スイッチサイエンス グローバルビジネスデベロップメント
アメリカ初のDIYの祭典メイカーフェアは現在世界400か所ほどで行われ、高須は深圳・シンガポール・上海などで運
営をサポートしている。（現時点でアジアのメイカーフェアについては世界で最も多く参加している。）
2013～シンガポール在住、2017年12月～深圳をベース。（年の6-7割は各国のメイカーフェアに出張している）
マレーシア：
Cytron社のモータードライバ
深圳：
M5Stack社の開発キット
世界的なDIYの祭典：メイカーフェア深圳(中国)/シンガポール、ほか上海、台北などの運営協力

3.
著書など
メイカーズのエコシステム (2016年,インプレスR&D)
井内育生・江渡浩一郎・小笠原治・きゅんくん・藤岡純一・山形浩生な
どと共著
世界で最初の深圳のイノベーション環境解説
世界ハッカースペースガイド (2017年,翔泳社)
アメリカ、ヨーロッパ、アジア各国のハッカースペースをめぐり、ビジ
ネスモデルやプロジェクト、それぞれの国のハッカー文化を伝える
CodezineでのWeb連載を書籍化したもの
ハードウェアハッカー (2018年,技術評論社)
MIT,HAXなどでハードウェア製造のメンターを務める、ハードウェア製
造の第一人者”バニー”ファンの著書を翻訳
「ハードウェアのシリコンバレー深圳に学ぶ」(藤岡純一)と並んで、
深圳理解の最適の書

4.
Andrew ‘bunnie’Huang ハードウェアハッカー
最初期のハードウェアスタートアップ
IoT端末chumby 2005-2012年
マイクロソフトから出版差し止めを
求められた
Hacking the Xbox 2003年
福島の放射線取得IoT Safecast
2011年
ハードウェアスタートアップアクセラ
レータ HAXのメンター 2015年～2013年1月19日、東京でのMITイベントにて

5.
1.ハードウェアのオープンソース？
オープンソース = ソースコードが開示されていること
-ソースコードがダウンロードできて、手元のコンピュータで
実行できる
-ソースコードは、ソフトウェアの「ほぼ100%」（ゲームとかは違うが）
-ソースが手に入る=すぐ試せる、安心して使える、問題点がすぐ改良さ
れる=広まる なので今「開発ツールは多くがオープンソース」
では、ハードウェアは？
いちおう、外装(CADデータ）,BOMリスト（部品表),基板デザインと言われ
ているが、
「部品表にあるいちばん大事な部品は僕らの工場でしか作ってません」
「作るのに大規模な機械が必要です、一回100万個からです」
みたいなことはいくらでもある….それ、オープンにする意味あるの？

6.
「設計」は、「製造」に依存する
お手元のジッパーのタグをご覧ください。出っ張りがありませんか？

7.
「設計」は、「製造」に依存する
出っ張りがある理由

8.
「設計」は、「製造」に依存する
USBメモリスティック、自分で作れる？
構造はカンタン、フラッシュダイとコントローラチップ、コネクタだけ

9.
「設計」は、「製造」に依存する
USBメモリスティック、自分で作れる？
構造はカンタン、フラッシュダイとコントローラチップ、コネクタだけ

10.
「設計」は、「製造」に依存する
USBメモリスティック、自分で作れる？
構造はカンタン、フラッシュダイとコントローラチップ、コネクタだけ

11.
実際に「オープン」にしたら広がるの？
中国の「公開」オープンソースモデル

12.
深圳のエコシステムを使って開発した場合と日本国内開発の差
JENESIS提供 同社は深圳で日本向けのEMSサービスを行い、
日本交通タクシーのドライブレコーダなどを受諾している
同じ日本向け製品を日本で製造すると1万個・価格1万円・7ヶ月 (初期投資1億円)
深圳のIPシステム+サプライチェーンを使うと1000個・5000円・3ヶ月（初期投資500万円）
世界のハードウェアスタートアップが深圳に集まる理由がここにある

13.
コモディティ化された部品が起こすイノベーション
タブレット+ホバーボード（セグウェイもどき)+スマートスピー
カー=ロボット
この受付ロボットMandyは
銀行などに数千台販売され、
今は第６世代目になってい
る。

14.
そして、その完成品も他人のビジネスの商材として売られる

15.
高速で技術が進化する世界ほど、
大企業(フルタイムのエンジニア100人とか)が
強くなる。
オープンソースハードの役割は？
個人や少人数ベンチャーの発明家はそこで何ができ
る？

16.
Chumby 最初期のIoT端末 ネットが見れる目覚まし時計
2008 chumby Classic
2009 chumby One

17.
ムーアの法則とハードウェアスタートアップ
chumbyは1年半で価格を半分にした改良版を出したが、
ムーアの法則に飲み込まれた

18.
Novena 完全にオープンソースなラップトップ
・CPU含め、すべてデータシートにアクセス可能な部品で作られている
・すべての電子部品がdigikeyで買える

19.
ハードウェアベンチャーと資金繰り
ソフトウェア=開発はオープンソース、運用はクラウド
ユーザー100万人になって初めて請求書が来る
ユーザー100人のソフトウェアはほとんど利益を生まない
モデル＝売り上げは無視して、とにかく投資を受けて開発し、
大ヒットしたらお金にする
ハードウェア=開発はオープンソース、製造は工場、販売は量販店
工場には前払い、量販店からお金がもらえるのは売り上げの数か月後
ユーザー100人に3万円で売れば3億円はいってくる
モデル＝身の丈にあう資金調達をし、作った分は売り切り、ゆっくり確実
に成長していく
「小ロットで間違いなく製造できるような製品企画、
設計」がすごく大事になる。
（たとえば、基板だけとか）

20.
会社やVCの支援を受けていた頃より
はずっと慎ましい暮らしだけれど、僕
はずっと独立している。黄金の手錠と
アーロンチェアか、リュックサックとは
るか彼方の面白そうな場所のどっちを
選ぶかという話だったんだ。
僕は、今も自分にとって大切なものを
集めなおしているところだし、魅惑と不
思議の価値について、まだゆっくりと
学びなおしているところだ。

21.
Chibitronics フレキシブル基板を使ったハンダ付け不要の回路キット

22.
今日の話は、「世界のどこかのすごい人」の話ではない。
今、すぐ、誰でも共に歩みだせる、
ここと地続きの世界の話。

23.
ハードウェアハッカー その後
・本書によく登場するbunnie, Jie, AQSとメディアラボのプロジェクト
・MITメディアラボファンドの予算で、大量の工業リソース（ロボット
アーム1000個使うとか）が必要な研究を加速させる
・比較的余裕がある（学生のアイデアを受け入れられる）工場向
けにMITが「工場でないとできない」研究をしていく
MITメディアラボ+深圳AQSの
Hacking Manufacturing
・bunnieの相棒xobsのプロジェクト、bunniestudio(Stajio Kousagi)製
・USBポートに内蔵できる完全オープンソースのコンピュータ
・Digikeyで買える12個の部品だけで構成
・LEDとボタンを備え、動作はプログラミングできる。カスタムボタン
（音量ボリュームとか）やカスタムLED(自分のサイトの売り上げに
応じて色が変わるとか）など、なんでもござれ。
・USBポートのあるものなら何にでも使える。ノートPCでも、
Raspberry Piでも。
USBポートに内蔵できるコンピュータTOMU

24.
日本のDIYマーケット、同人ハードウェアは大きく拡大中
スイッチサイエンス 委託販売実績 この4年で5倍近くに
日本の同人誌の売り上げ総計に比べるとまだ0.1%未満
Maker Faire Tokyoの入場者数はコミケの5%ぐらい
つまり、日本の同人ハードウェア市場は、まだまだ伸びる。
もしコミケの2%だとすると、今の20倍伸びる
日本の製造業はまずいかもしれない。日本のハードウェア
スタートアップは海外で存在感ないかもしれないが、
日本の同人メイカーは世界で大人気で、市場はこれからだ。

25.
「ITビジネス本大賞」2019ノミネート中
今すぐ投票して日本のイノベーションを促進しよう