第4回 決定論と非決定論 決定論とは,宇宙のすべての状態は,それ以前の状態から物理法則に従って必然的に変化し,決定されるという考え. これを,因果的決定論とも言う. 古典力学は,この決定論的な理論であるために,初期状態が決まれば,その後の物質の運動は物理法則に従って計算できる. 古典力学が正しければ,未来ははるか昔からただ1通りしかないことになる. 一方,量子力学において,コペンハーゲン解釈では,観測により複数の状態のどれかが確率的に選ばれ,その他の可能性は実現しない. そのため量子力学は因果決定論ではなく確率的な「非決定論」である. しかし,多世界解釈をとることで量子力学は,決定論となる. 多世界解釈ではシュレティンガー方程式の時間発展で予測される世界の状態はすべて実現し,実在すると考える. 多世界解釈は,どれが1つの状態だけが実現するのではなく,すべての状態が平行して存続する. シュレティンガー方程式で分岐する各世界のすべてが決定されるので,多世界解釈は決定論となる. 決定論と非決定論は,計算ができるかできないかの違いであり,条件を付加することにより,計算できない現象を計算できる現象にする. 計算できることにより,計算できない世界を知ることが可能になる. 音声付き動画は,下記URLから👇 https://youtu.be/Hz6-ioOC-uw 物理学者 sasa3