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"Japan Collective Impact Session" in 渋谷
組織の壁を越えた社会課題解決のアプローチとは?
コレクティブ・インパクト概要
〜概念や定義/世界の事例について〜
特定非営利活動法人エティック(ETIC.)
ソーシャルイノベーション事業部
プログラム・マネージャー 番野 智行
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なぜコレクティブ・インパクトなのか?
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日本でも社会課題解決に仕事で挑戦する人は増えてきたが…
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地域でのチャレンジ
企業の立場でのチャレンジ行政の立場でのチャレンジ
企業からNPOに
転職してのチャレンジ
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まだまだ課題解決には遠い… しかも、超高齢化はこれから!
出典:平成30年版高齢社会白書(内閣府)
*なお、団塊の世代(70歳前後)はまだ元気な高齢者。しかし今後は…
日本の人口構成の変化
日本だけでも
未体験の超高齢化と
それがもたらす非連
続な構造変化に伴い
様々な課題が派生
地方の
衰退
税収減
教育格差の
拡大・連鎖
介護人材・
予算不足
働き方・
メンタルヘルス
少子化
高齢者
ホームレス
介護離職
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NPOが規模を拡大しても、課題解決にはつながらない…
• Year Up(米国の就労支援NPO)は、2001
年の設立当初は1都市で22人の学生にサー
ビスを提供するところから出発した。
• 2014年には12都市で2000人以上の対象者
にサービスを提供しており、大きく飛躍し
た。
ビジネスの
物差しでは
それなりの成功
出典:Emerging Pathways to Transformative Scale
(Jeffrey Bradach and Abe Grindle, Stanford Social Innovation Review, Spring 2014)
• しかし、個別の団体の成功には限界がある。
Year Upも全米で670万人にものぼる低所
得の若者無業者のほんの一部にリーチでき
ているに過ぎない。
社会変革の物差し
では砂漠に水を撒
くようなもの
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こうした悩みを多くのリーダーや
仲間と抱えていた時に出会ったのが
「コレクティブ・インパクト」という考え方
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“Collective Impact”とは?
• 米国の社会課題解決領域のコンサルティングファームFSG社のJohn Kania氏とMark
Kramer氏が、2011年にStanford Social Innovation Reviewにて発表。
特定の複雑な課題を解決するための、
異なるセクターの
重要な当事者(actors)からなるグループによる、
共通のアジェンダに対するコミットメント
出典:米国FSG社講演資料
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5つの条件(The Five Conditions of Collective Success)
出典:米国FSG社講演資料
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具体的な事例を通して
コレクティブ・インパクトと
5つの条件を理解する
5×2 Initiative
(イスラエルのSTEM*教育改革)
*STEM=Science, Technology, Engineering, Mathematics
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【課題】ハイテク国家イスラエルの危機
• 国家の基幹産業であるハイテク企業が深刻な人手不足に陥る
• 大きな原因の一つとして、高校で高度レベルの数学を学ぶ学生数が激減
出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
6年で3分の2に激減
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従来の発想だとどう考えるでしょうか…?
政府が予算を
重点配分すべき!
数学なんて
できなくても
立派な大人に
なれる!
でも高校の先生も
大変だよね…
そもそも
大学の入試制度の
影響では?
STEM教育系の
NPOに重点的に
資金提供しよう
うちのNPOでも
STEM教育に
力を入れよう
企業がちゃんと
育てれば
いいじゃない
高校の教育改革が
必要だ!
みんなそれぞれに問題意識があるのは素晴らしい。しかし想像される結果は?
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「群盲、象を評す」(インドの寓話)
これは蛇だ!
これは丸太だ!
これは壁だ!
これはロープだ!
これは扇だ!
社会課題の構造は複雑であり関係者間に異なる現実認識をもたらす。
非効率どころか時に対立も…
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この課題を抱えた社会システムの当事者・関係者は誰か?
• 内閣府
• 教育省
• 高校の校長・教員
• 経済産業省
• 科学省
• 高等教育委員会
• 地方自治体 など
• 大学
• 技術系の専門学校
• 教育系NPO
• 財団
• 就労支援NPO
• テクノロジー教育の
ネットワーク
• ハイテク企業
• 技術関連企業
• 産業界全体
• 両親・家族
• メディア
企業
セクター
非営利
セクター
高等教育
政府/
行政
一般
国民
出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
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「何が起きているのか? 何を目指すのか?」
• 教育機関、企業、行政、NPO、財団等が集まり、調査結果に基づく対話を重ね、ま
ずは課題に対する共通の理解、その前提としての信頼関係を形成。
課題についての
共通理解
共有できる
ビジョンの定義
出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
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共通のアジェンダとは?
イスラエルの高校で提供されるSTEM教育において、
高い探求・分析スキルを獲得する学生の数を
2倍にする
<ポイント>
• 「何をするか」の前にまずは課題を共有し、そしてビジョンを共有する。
協働は手段にすぎない。
• 関係者・当事者が参加し、声を出すというプロセスを経て、一見平凡な内
容でも、高いオーナーシップが育まれる(トップダウンの限界の超越)
出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
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Needs are first.
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「それぞれが出来ることは何か?」
• 関係者それぞれが、テーマ別のワーキンググループに分かれ、共通のアジェンダ(
common agenda)に対して、自分たちに出来ることを考え、既存の取り組みを見直
していく。
出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
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相互に強化しあう取り組みを計画する
<ポイント>
• セクターを越えて協働するもの+それぞれが頑張るもの(実行は別でもよい)
• 目新しい取り組みばかりである必要もない
Ministry of Education
(教育省)
• 重点施策化
• 予算・資源配分変更
• インセンティブ強化
• 公共キャンペーン
ハイテク企業群の
コーディネート
• ボランティアでの
企業見学やレクチャー
• 女の子がSTEMを
選択することを促進
• エンジニアのセカンド
キャリアとして
教員になることを奨励
非営利セクター
• 他の取り組みを強化・支援
するように活動を見直し
• メンタリングの提供
• 先生同士の学びの場づくり
• 保護者向け啓発
• オンライン教育
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共通の指標に基づく振り返りを定期的に行い、行動を進化させる
<ポイント>
• 全て最初の計画通りにいく前提には立たない(無理)
• 共通の指標に基づき、振り返りと改善・調整を行う
• 長期戦を前提とする(最低でも3年)
• そして仲間も増やしていく
出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
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結果は… V字回復!
出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
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コレクティブ・インパクトが示唆する社会システムの深い変容
解くべき課題を
社会システム自身が再定義する
社会システムが葛藤を超越する
共創が生まれる
出典:オーセンティックワークス株式会社 組織開発メソドロジー講座より引用
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取り組みを支える組織の役割
• 多様なセクターの関係者・当事者からなる社会システムのこうした変容プロセスが
起きるには、陰ながら支える存在が必要。
取り組みを支える(Backbone)組織の役割
1. Guide Vision and Strategy(ビジョンや戦略の形成をガイドする)
2. Support Aligned Activities(活動の足並みを揃えることを支援する)
3. Establish Shared Measurement Practices
(共有された評価・計測システムの構築)
4. Cultivate Community Engagement and Ownership
(コミュニティの参画を促し、オーナーシップを育む)
5. Advance Policy(政策的な変化を進める)
6. Mobilize Resources(様々な資源をコーディネートする)
出典:Collective Impact Convening – Backbone bootcamp
<ポイント>
• 専門性は重要、しかし関係者・当事者を主役に!
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改めて“Collective Impact”とは?
…皆さんの中で、何か意味や理解の変化はありましたか?
特定の複雑な課題を解決するための、
異なるセクターの
重要な当事者(actors)からなるグループによる、
共通のアジェンダに対するコミットメント
出典:米国FSG社講演資料
特定の複雑な課題を解決するための、
異なるセクターの
重要な当事者(actors)からなるグループによる、
共通のアジェンダに対するコミットメント
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5つの条件の生まれた背景
5つの条件は著者の二人が発明
したものではない。以前からあ
る数十件の優れた取り組みを調
査し、共通する要素をまとめた
ものだ。
これにより、社会変革に取り組
む人たちはそのやり方や考え方
について仲間と共有しやすくな
る。そして、実践により多くの
時間を割くことができる。
出典:米国FSG社講演資料
Philippe Sion氏
元FSG社
マネージングディレクター
現Humanity United
マネージングディレクター
*19日午後に講演あります!
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地域から生まれるCI的取り組み – 日本でも!
• 海外を見ても、国家レベルではなく地域レベルの取り組みが多い
• 日本でも、島根県雲南市の地域自主組織(全住民アンケートに基づく課題の優先順
位付け、それぞれの得意技の持ち寄りなど)をはじめ、もともとCIの条件を満たす
取り組みは見られる。
出典:平成29年6月28日 行財政改革審議会 雲南市提出資料
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最後に… 渋谷区から始まることの可能性
地域という単位を区切ることで、自分たちが暮らす/働く地域を良くしようという動
機や当事者意識を引き出しやすい。
• 自分が持っている1票が重くなる (1.2億分の1 → 22万分の1)
• 課題の状況をマクロにもミクロにも捉えやすい
ポジティブな共通のアジェンダ設定もあり
• 「貧困を無くす」→「一番子育てがしやすい街にする」(カナダ ハミルトン市)
まずは普通の協働から…というのもぜんぜんOK  関係性をつくっていく
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Perfect is
the enemy of
good.
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ご清聴ありがとうございました!
連絡先: banno@etic.or.jp
(こうした方法論や概念、事例をもっと掘り下げたい人はぜひこちらのセミナーにも
ご参加ください!)
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【参考資料】 5つの条件・詳細
Common Agenda
(共通のアジェンダ)
• Common understanding of the problem(課題に対する共通の理解)
• Shared vision for change(変化への共有ビジョン)
Shared Measurement
(共有された評価・測定システム)
• Collecting data and measuring results(データの収集と結果の測定)
• Focus on performance management(効果のマネジメントに焦点)
• Shared accountability (結果に対する責任の共有)
Mutually
Reinforcing Activities
(相互に強化しあう取り組み)
• Differentiated approaches(異なる複数のアプローチ)
• Coordination through joint plan of action(合同での計画策定による調整)
*一緒に何かをやること(collaboration)ではない
Continuous
Communication
(継続的なコミュニケーション)
• Consistent and open communication
(一貫性がありオープンなコミュニケーション)
• Focus on building trust(信頼関係の構築に焦点)
Backbone Support
(取り組みを支える組織)
• Separate organization(s) with dedicated staff
(専念できるスタッフがいる独立した組織)
• Resources and skills to convene and coordinate participating organizations
(参加する団体を集め、調整できる資源・スキル)
1
2
3
4
5
出典:米国FSG社講演資料

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JAPAN COLLECTIVE IMPACT SESSION in 渋谷 

  • 1. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 1 "Japan Collective Impact Session" in 渋谷 組織の壁を越えた社会課題解決のアプローチとは? コレクティブ・インパクト概要 〜概念や定義/世界の事例について〜 特定非営利活動法人エティック(ETIC.) ソーシャルイノベーション事業部 プログラム・マネージャー 番野 智行
  • 2. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 2 なぜコレクティブ・インパクトなのか?
  • 3. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 3 日本でも社会課題解決に仕事で挑戦する人は増えてきたが… 社会起業家としてのチャレンジ 地域でのチャレンジ 企業の立場でのチャレンジ行政の立場でのチャレンジ 企業からNPOに 転職してのチャレンジ
  • 4. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 4 まだまだ課題解決には遠い… しかも、超高齢化はこれから! 出典:平成30年版高齢社会白書(内閣府) *なお、団塊の世代(70歳前後)はまだ元気な高齢者。しかし今後は… 日本の人口構成の変化 日本だけでも 未体験の超高齢化と それがもたらす非連 続な構造変化に伴い 様々な課題が派生 地方の 衰退 税収減 教育格差の 拡大・連鎖 介護人材・ 予算不足 働き方・ メンタルヘルス 少子化 高齢者 ホームレス 介護離職
  • 5. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 5 NPOが規模を拡大しても、課題解決にはつながらない… • Year Up(米国の就労支援NPO)は、2001 年の設立当初は1都市で22人の学生にサー ビスを提供するところから出発した。 • 2014年には12都市で2000人以上の対象者 にサービスを提供しており、大きく飛躍し た。 ビジネスの 物差しでは それなりの成功 出典:Emerging Pathways to Transformative Scale (Jeffrey Bradach and Abe Grindle, Stanford Social Innovation Review, Spring 2014) • しかし、個別の団体の成功には限界がある。 Year Upも全米で670万人にものぼる低所 得の若者無業者のほんの一部にリーチでき ているに過ぎない。 社会変革の物差し では砂漠に水を撒 くようなもの
  • 6. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 6 こうした悩みを多くのリーダーや 仲間と抱えていた時に出会ったのが 「コレクティブ・インパクト」という考え方
  • 7. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 7 “Collective Impact”とは? • 米国の社会課題解決領域のコンサルティングファームFSG社のJohn Kania氏とMark Kramer氏が、2011年にStanford Social Innovation Reviewにて発表。 特定の複雑な課題を解決するための、 異なるセクターの 重要な当事者(actors)からなるグループによる、 共通のアジェンダに対するコミットメント 出典:米国FSG社講演資料
  • 8. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 8 5つの条件(The Five Conditions of Collective Success) 出典:米国FSG社講演資料
  • 9. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 9 具体的な事例を通して コレクティブ・インパクトと 5つの条件を理解する 5×2 Initiative (イスラエルのSTEM*教育改革) *STEM=Science, Technology, Engineering, Mathematics
  • 10. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 10 【課題】ハイテク国家イスラエルの危機 • 国家の基幹産業であるハイテク企業が深刻な人手不足に陥る • 大きな原因の一つとして、高校で高度レベルの数学を学ぶ学生数が激減 出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018) 6年で3分の2に激減
  • 11. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 11 従来の発想だとどう考えるでしょうか…? 政府が予算を 重点配分すべき! 数学なんて できなくても 立派な大人に なれる! でも高校の先生も 大変だよね… そもそも 大学の入試制度の 影響では? STEM教育系の NPOに重点的に 資金提供しよう うちのNPOでも STEM教育に 力を入れよう 企業がちゃんと 育てれば いいじゃない 高校の教育改革が 必要だ! みんなそれぞれに問題意識があるのは素晴らしい。しかし想像される結果は?
  • 12. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 12 「群盲、象を評す」(インドの寓話) これは蛇だ! これは丸太だ! これは壁だ! これはロープだ! これは扇だ! 社会課題の構造は複雑であり関係者間に異なる現実認識をもたらす。 非効率どころか時に対立も…
  • 13. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 13 この課題を抱えた社会システムの当事者・関係者は誰か? • 内閣府 • 教育省 • 高校の校長・教員 • 経済産業省 • 科学省 • 高等教育委員会 • 地方自治体 など • 大学 • 技術系の専門学校 • 教育系NPO • 財団 • 就労支援NPO • テクノロジー教育の ネットワーク • ハイテク企業 • 技術関連企業 • 産業界全体 • 両親・家族 • メディア 企業 セクター 非営利 セクター 高等教育 政府/ 行政 一般 国民 出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
  • 14. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 14 「何が起きているのか? 何を目指すのか?」 • 教育機関、企業、行政、NPO、財団等が集まり、調査結果に基づく対話を重ね、ま ずは課題に対する共通の理解、その前提としての信頼関係を形成。 課題についての 共通理解 共有できる ビジョンの定義 出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
  • 15. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 15 共通のアジェンダとは? イスラエルの高校で提供されるSTEM教育において、 高い探求・分析スキルを獲得する学生の数を 2倍にする <ポイント> • 「何をするか」の前にまずは課題を共有し、そしてビジョンを共有する。 協働は手段にすぎない。 • 関係者・当事者が参加し、声を出すというプロセスを経て、一見平凡な内 容でも、高いオーナーシップが育まれる(トップダウンの限界の超越) 出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
  • 16. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 16 Needs are first.
  • 17. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 17 「それぞれが出来ることは何か?」 • 関係者それぞれが、テーマ別のワーキンググループに分かれ、共通のアジェンダ( common agenda)に対して、自分たちに出来ることを考え、既存の取り組みを見直 していく。 出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
  • 18. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 18 相互に強化しあう取り組みを計画する <ポイント> • セクターを越えて協働するもの+それぞれが頑張るもの(実行は別でもよい) • 目新しい取り組みばかりである必要もない Ministry of Education (教育省) • 重点施策化 • 予算・資源配分変更 • インセンティブ強化 • 公共キャンペーン ハイテク企業群の コーディネート • ボランティアでの 企業見学やレクチャー • 女の子がSTEMを 選択することを促進 • エンジニアのセカンド キャリアとして 教員になることを奨励 非営利セクター • 他の取り組みを強化・支援 するように活動を見直し • メンタリングの提供 • 先生同士の学びの場づくり • 保護者向け啓発 • オンライン教育 出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
  • 19. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 19 共通の指標に基づく振り返りを定期的に行い、行動を進化させる <ポイント> • 全て最初の計画通りにいく前提には立たない(無理) • 共通の指標に基づき、振り返りと改善・調整を行う • 長期戦を前提とする(最低でも3年) • そして仲間も増やしていく 出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
  • 20. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 20 結果は… V字回復! 出典:5X2 STEM Collective Impact in Israel (Collective Impact Convening 2018)
  • 21. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 21 コレクティブ・インパクトが示唆する社会システムの深い変容 解くべき課題を 社会システム自身が再定義する 社会システムが葛藤を超越する 共創が生まれる 出典:オーセンティックワークス株式会社 組織開発メソドロジー講座より引用
  • 22. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 22 取り組みを支える組織の役割 • 多様なセクターの関係者・当事者からなる社会システムのこうした変容プロセスが 起きるには、陰ながら支える存在が必要。 取り組みを支える(Backbone)組織の役割 1. Guide Vision and Strategy(ビジョンや戦略の形成をガイドする) 2. Support Aligned Activities(活動の足並みを揃えることを支援する) 3. Establish Shared Measurement Practices (共有された評価・計測システムの構築) 4. Cultivate Community Engagement and Ownership (コミュニティの参画を促し、オーナーシップを育む) 5. Advance Policy(政策的な変化を進める) 6. Mobilize Resources(様々な資源をコーディネートする) 出典:Collective Impact Convening – Backbone bootcamp <ポイント> • 専門性は重要、しかし関係者・当事者を主役に!
  • 23. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 23 改めて“Collective Impact”とは? …皆さんの中で、何か意味や理解の変化はありましたか? 特定の複雑な課題を解決するための、 異なるセクターの 重要な当事者(actors)からなるグループによる、 共通のアジェンダに対するコミットメント 出典:米国FSG社講演資料 特定の複雑な課題を解決するための、 異なるセクターの 重要な当事者(actors)からなるグループによる、 共通のアジェンダに対するコミットメント
  • 24. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 24 5つの条件の生まれた背景 5つの条件は著者の二人が発明 したものではない。以前からあ る数十件の優れた取り組みを調 査し、共通する要素をまとめた ものだ。 これにより、社会変革に取り組 む人たちはそのやり方や考え方 について仲間と共有しやすくな る。そして、実践により多くの 時間を割くことができる。 出典:米国FSG社講演資料 Philippe Sion氏 元FSG社 マネージングディレクター 現Humanity United マネージングディレクター *19日午後に講演あります!
  • 25. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 25 地域から生まれるCI的取り組み – 日本でも! • 海外を見ても、国家レベルではなく地域レベルの取り組みが多い • 日本でも、島根県雲南市の地域自主組織(全住民アンケートに基づく課題の優先順 位付け、それぞれの得意技の持ち寄りなど)をはじめ、もともとCIの条件を満たす 取り組みは見られる。 出典:平成29年6月28日 行財政改革審議会 雲南市提出資料
  • 26. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 26 最後に… 渋谷区から始まることの可能性 地域という単位を区切ることで、自分たちが暮らす/働く地域を良くしようという動 機や当事者意識を引き出しやすい。 • 自分が持っている1票が重くなる (1.2億分の1 → 22万分の1) • 課題の状況をマクロにもミクロにも捉えやすい ポジティブな共通のアジェンダ設定もあり • 「貧困を無くす」→「一番子育てがしやすい街にする」(カナダ ハミルトン市) まずは普通の協働から…というのもぜんぜんOK  関係性をつくっていく
  • 27. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 27 Perfect is the enemy of good.
  • 28. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 28 ご清聴ありがとうございました! 連絡先: banno@etic.or.jp (こうした方法論や概念、事例をもっと掘り下げたい人はぜひこちらのセミナーにも ご参加ください!)
  • 29. Copyright(C) NPO ETIC. All rights reserved | 29 【参考資料】 5つの条件・詳細 Common Agenda (共通のアジェンダ) • Common understanding of the problem(課題に対する共通の理解) • Shared vision for change(変化への共有ビジョン) Shared Measurement (共有された評価・測定システム) • Collecting data and measuring results(データの収集と結果の測定) • Focus on performance management(効果のマネジメントに焦点) • Shared accountability (結果に対する責任の共有) Mutually Reinforcing Activities (相互に強化しあう取り組み) • Differentiated approaches(異なる複数のアプローチ) • Coordination through joint plan of action(合同での計画策定による調整) *一緒に何かをやること(collaboration)ではない Continuous Communication (継続的なコミュニケーション) • Consistent and open communication (一貫性がありオープンなコミュニケーション) • Focus on building trust(信頼関係の構築に焦点) Backbone Support (取り組みを支える組織) • Separate organization(s) with dedicated staff (専念できるスタッフがいる独立した組織) • Resources and skills to convene and coordinate participating organizations (参加する団体を集め、調整できる資源・スキル) 1 2 3 4 5 出典:米国FSG社講演資料