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Govakao2010 02
- 4. オルタ
ナティ マスメディ
ブ・メ
ディア
ア
ア
ク
情
セ 報
ス
権
市民
- 8. 「言論の自由」の本旨
少数意見や平凡な出来事がメ
ディアから排除されると,言論
の自由市場で,思想と思想のぶ
つかる確率が低くなる
何か言いたいことを持つ者は誰
でもメディアを使う権利があ
り,メディアはそのことを保証
する社会的責任がある
ウィルバー=シュラム(1957年)
『マス・コミュニケーションの社会的責任』
- 10. 知る権利
知る権利=(メディアを通じて)
知らされる権利(受信)+知らせ
る権利(発信)の二つの権利で構
成
メディアは,市民の「知らされ
る権利」の委任・代行には熱心
だが,発信には冷淡(知ってい
ながら知らんぷり?)。受信に
受け手の意向がどこまで反映し
- 11. 市民共有の財産
放送:市民共有の財産である電波(周
波数帯域)を一企業(法人)が専有し
て事業を展開する。放送はビジネス
であると同時に公共財でもある→市
民の要望に応じてスペースを提供す
る義務
新聞:民間企業の営利事業ではある
が,再販制が認められるなど公共性
も。購読料が事業を支える。知る権
- 13. ヨーロッパの事情
フランス。「OSF:国境のない電
波」公認の自由テレビ(1日3時間
の放送)
イギリス。BBC「コミュニティ
番組部」(75年開始の『オープン
ドア』)
ドイツ。州単位でオープン・
チャンネル制度。公共放送受信
料の2%を資金として提供
- 17. 中海テレビ放送(ケーブ
ル)
Ch.14 PAch. (パブリック・アク
セス・チャンネル)。1992年開
始
「P・A・Cはまるごと市民のみ
なさんのチャンネルです! 地元
の文化団体や青年団体など37団
体のP・A・C番組運営協議会を
中心として、公民館や学校の放
送部、個人の投稿作品を放送し
- 21. チャンネルDaichi
碧海・西尾幡豆市民放送局(刈
谷)
NPO法人。ケーブルテレビ
「キャッチネットワーク」を利
用
わが町ビデオで拝見(投稿型)
じゃんじゃんPR(参加型)
マガジンDaichi(情報番組)
※ へきかいにしおはず
- 23. ケーブルネット鈴鹿
『チョット言わせて!―テレビ掲示
板―』(15分番組,1組当たり1分)
「イベント告知や彼氏・彼女の募
集、子犬・子猫もらってくださ~い
など、あなたの言いたいことをテレ
ビで言ってみませんか?この番組
は、あなたの胸の内に秘めた(!?)
想いを、み~んなに伝えられる、市
民参加型番組です」
- 28. 今後に向けて
パブリック・アクセスは“自由市場”
では実現する可能性が低い(当事者
の“情熱”に依存する)
言論・表現の自由や公平は政策・
制度的な枠組みによってしか現実
化しない?
市民(NPO)が議会・政府に働きか
けを強め,新たな枠組みを作るべ
き
- 29. 中間総括
NHK・民放にも本来はPAch.の義務
化を求めていいはず(県域/全国)
新聞も〈読者の声〉欄や〈意見広
告〉だけでなく,紙面の編集権を
市民に委ねるPA面(orCJ)を創設
するべき
インターネットで〈知らせうる機
会〉が生まれたとはいえ,マスメ
ディアへのアクセスは次元を異に
- 34. 有線放送電話とは
有線放送施設(銅線)に,電話交換機
能を付加した「通信・放送一体施
設」
1950~60年代に電電公社電話普及
が遅れた郡部の自助メディア。同
一施設内の通話は無料。公社電話
との接続通話も
多くは90年代に使命を終えたが,
長野県などでは残存。栄村ではAD
- 36. 今後の可能性
ブロードバンド化が遅れる(商
業的に成立しにくい)地域はあ
る!
自治体などの支援を受け,WL
L,WiMAXなど無線系インフラ
を用いて,地域の情報インフラ
を担うNPOは必ず必要となる
情報格差を地域住民が埋める自
- 37. ②メディアを運営する
コミュニティFMは全国で231局。地域
資本が経営し,地域密着放送を目指
す。自治体による災害時の広報手段と
しても注目され,2/3は市町村が株主
赤字経営局がまだ過半を超えるので
(広告に値する番組が開発できていな
い),住民参加は「ボランティアによ
る仕事の分担・手伝い」=運営経費の
節減に偏する
- 40. ③メディアで発信する
武蔵野三鷹ケーブルテレビで2001年
から。『月刉わがまちジャーナル』
NPO「むさしのみたか市民テレビ
局」が局側と「パートナーシップ協
定」を締結し,編集権を委譲される
市民団体の責任で,市民から企画を
募り,番組を制作していく。オフィ
スはメディア・アクセス・センター
に
- 42. ④メディア利用を支援する
映画という文化
フィルム・コミッション事業――映
画制作支援事業(ロケーション・サー
ビス)を通じて,観光振興,映像文化
振興を図る
コミュニティ・シネマ事業――民間
の映画館事業が撤退し「観たい映画
が劇場で観られない」状況(メディ
ア・アクセス権の衰退)を,市民の共
同事業として改善していく
- 46. コミュニティシネマ
「文化芸術振興基本法」施行(0
1年12月)を受け,地域の映画・
映像文化を担う組織(非営利団
体)
公設公営の例も(山口市*)
金沢市(コミュニティシネマ推
進委員会),北見市(NPO,シア
ターボイス)など,全国で180団
体がCC支援センターに登録
* 山口情報芸術センター
- 52. 注意点
「ないものを想像せよ」とは無
理な話だが,パブリック・アク
セス=地域生活情報ではない!
YouTube,UStreamなど,動画
をネットで流すサービスが開発
されたからといって,放送局へ
のPAの意義が薄れたわけでは
ない!
- 53. 主な参考文献
津田正夫・平塚千尋(2002)『パブリック・アクセス
を学ぶ人のために』世界思想社
ミッチ ウォルツ(神保哲生:2008)『オルタナティ
ブ・メディア―変革のための市民メディア入門』大
月書房
児島和人・宮崎寿子(1998)『表現する市民たち―地
域からの映像発信―』日本放送出版協会(NHKブッ
クス)
津田正夫(2001)『メディア・アクセスとNPO』リ
ベルタ出版
松野良一(2005)『市民メディア論―デジタル時代の
パラダイムシフト』ナカニシヤ出版