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プールで感染するおそれのある 感染症について
- 3. 3
標準予防策と感染経路別予防策
方法 背景にある考え方 対象 内容
標準予防策 汗を除くすべての体
液、血液、分泌物、
排泄物は感染の危険
性がある
すべての患者 手洗い、生体物質
に対する手袋、マ
スク、エプロンな
どの着用、針刺し
防止
感染経路別
予防策
感染対策の基本は感
染経路の遮断である
各種病原体の感
染者及び保菌者
空気感染予防策、
飛沫感染予防策、
接触感染予防策の
いずれかを上記に
加える
「東京都感染症マニュアル2009」
手指衛生
感染性があるもの(血液・体液、分泌物、排泄物)
粘膜や傷がある皮膚などに接触したら、
必ず以下の①②いずれかの手指衛生を行う。
①目に見える汚れがある場合は、石鹸あるいは手指
洗浄消毒薬と流水でていねいに手洗いを行う。
②目に見える汚れがない場合は、速乾性アルコール
手指消毒薬を十分に手に擦り込む。
「東京都感染症マニュアル2009」
標準予防策
- 6. 6
プールで感染するおそれのある
「伝染性疾患」
感染症法の類型
一類感染症
出血熱類, ペスト, マールブルグ病, ラッサ熱他
二類感染症
結核,ポリオ, ジフテリア, SARS, 鳥インフルエンザ(H5N1)
三類感染症
コレラ, 細菌性赤痢, 腸管出血性大腸菌感染症 , 腸チフス他
四類感染症(人から人への伝染はない)
黄熱, 狂犬病, つつが虫病, 日本脳炎 ボツリヌス症, マラリア,
レジオネラ症 他
五類感染症(国が感染症発生動向調査)
麻疹, 風疹, ウイルス性肝炎, クリプトスポリジウム症,
HIV/AIDS, 梅毒, 破傷風, MRSA他
「東京都感染症マニュアル2009」
- 8. 8
病原体 アデノウィルス(8型、19型、37型etc.)
感染経路 飛沫感染、接触感染
潜伏期 2~14日
主症状 角膜と結膜の炎症。まぶたの腫れ、目やに、流涙
完治まで2-3週間
学校保健安全法 第3種
「出席停止」医師において感染のおそれがないと認められるまで
15
流行性角結膜炎(はやり目)
病原体 エンテロウィルス、 コクサッキーウイルス
感染経路 飛沫感染、接触感染
潜伏期 1~3日
主症状 急性の結膜炎、出血。まぶたの腫脹、流涙、目やに
学校保健安全法 第3種
「出席停止」医師において感染のおそれがないと認められるまで
16
急性出血性結膜炎
- 10. 10
出席停止について
(学校保健安全法)
第一種 治癒するまで
第二種 咽頭結膜熱:症状の消退後2日を経過
第三種 病状により, 学校医その他の医師に
おいて伝染のおそれがないと認めるまで
「東京都感染症マニュアル2009」
出席停止の期間の考え方
○感染様式と疾患の特性を考慮し、感染が成立し
やすい程度に病原体が排泄されている期間を基
準としている。
○微量の病原体が存在していても、他人に感染す
るおそれがない程度であれば、出席停止の措置
を講じる必要はない。
○便中に病原体が排泄される疾患では、手洗いの
励行やプール前後のシャワーの使用などにより、
他人への感染のおそれは低くなるので、出席は
可能。
「東京都感染症マニュアル2009」
- 11. 11
保育園における感染症の届出
医師の意見書が望ましい
感染症
麻疹,インフルエンザ,風疹,
水痘,流行性耳下腺炎,結核,
百日咳,髄膜炎菌性髄膜炎
咽頭結膜熱,流行性角結膜
炎,急性出血性結膜炎,
腸管出血性大腸菌感染症
保護者の届出が望ましい
感染症
溶連菌感染症,マイコプラ
ズマ肺炎, 伝染性紅斑,ウ
イルス性胃腸炎,手足口病,
ヘルパンギーナ,RSウイル
ス感染症,帯状疱疹,突発性
発疹
厚生労働省「2012年改訂版保育所における感染症対策ガイドライン」
特に届出を必要としない
伝染性軟属腫,伝染性膿痂疹,アタマジラミ
病原体 コクサッキーウィルス、エンテロウイルス
感染経路 飛沫感染、接触感染、経口(糞口)感染
潜伏期 3~6日
主症状 手、足、臀部に痛みを伴う水泡。高熱はまれ
学校保健安全法 第3種
「出席停止」医師において感染のおそれがないと認められるまで
22
手足口病
- 12. 12
病原体 コクサッキーウィルス
感染経路 飛沫感染、接触感染、経口(糞口)感染
潜伏期 3~6日
主症状 突然の高熱(39℃以上)、咽頭痛、
口腔の奥に小水疱疹→破れて潰瘍に。不機嫌。
学校保健安全法 第3種
「出席停止」医師において感染のおそれがないと認められるまで
23
ヘルパンギーナ
24
腸管出血性大腸菌感染症(O157,O26,O111等)
病原体 腸管出血性大腸菌(ベロ毒素を産生)
感染経路 経口感染
潜伏期 10時間~6日
主症状 初期は、かぜ様症状
激しい腹痛と下痢(水様性→血便)
予防 症状を有する人をプールに入れない
- 13. 13
平成25年度 小規模プール講習会 アンケート結果より
プール遊びを制限する疾病などはありますか
(複数回答 n=81)
100
88.9 86.4
29.6 34.6
0
20
40
60
80
100
発熱 下痢 とびひ 水いぼ アタマ
ジラミ
(%)
病原体 黄色ブドウ球菌
感染経路 接触感染
潜伏期間 1-数日
主症状 1-2mmの水疱が1-2
日後に指頭大に増大
26
伝染性膿痂疹(とびひ)
日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の見解
滲出液、水疱内容などで次々にうつる。プールの水
ではうつらないが、触れることで症状を悪化させた
り、ほかの人にうつす恐れがある。
→プールや水泳は治るまで禁止。
日本小児皮膚科学会ホームページ「皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解」平成25年5月
- 14. 14
病原体 ポックスウィルス
感染経路 接触感染
潜伏期 2週間以上?
主症状 光沢のある1-10mmの丘疹
皮膚に中央部にくぼみ
27
伝染性軟属腫(みずいぼ)
日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の見解
プールの水ではうつらないので、プールに入っても
構わない。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを
介してうつることがあるので、これらの共用は避け
る。プール後はシャワーで肌を洗う。
日本小児皮膚科学会ホームページ「皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解」平成25年5月
アタマジラミ
日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会の見解
アタマジラミが感染しても、治療を始めればプール
に入って構わない。タオル、ヘアブラシ、水泳帽な
どの貸し借りはやめる。
日本小児皮膚科学会ホームページ「皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解」平成25年5月
病原体 アタマジラミ
感染経路 接触感染
主症状 頭皮のかゆみ
- 15. 15
アタマジラミはプールの中で広がる?
Do head lice spread in swimming pools?
(D Canyon. International Journal of Dermatology 2007, 46, 1211-1213)
オーストラリアの研究。
1. 各25℃のイオン交換水、海水、食塩水、塩素水(0.2,2,5mg/L)中
で、頭髪にしがみついた状態のアタマジラミを20分間×10回観察。
→どの水中でも、アタマジラミは頭髪に強くしがみついたまま、全く動
かない状態だった。
2. 元々アタマジラミのいる子ども4名(年齢5-19歳)を選び、一旦全
ての成虫を除去して、改めて成虫10匹を頭皮に戻し、30分間プール
で泳いでもらう。お互いは触れ合わないように、また通常やるように
髪の毛を触ってもらう。3セット実施。
→実験後も全てのアタマジラミが頭皮に残っていた。
とはいえ,状況に応じた判断を・・・
• 疾患に関わらず、
– 症状がある(体調が悪い, おなかの調子が
悪い, 鼻水や咳, 熱っぽい, など)
– 皮膚病変の範囲が広い, 出血・化膿してい
る
などはプールを避ける。
• 子ども個々人の経過に応じた, 主治医の判断
は重要。