More Related Content Similar to ささやかだけれど大切なこと Ver1.1 Similar to ささやかだけれど大切なこと Ver1.1 (20) ささやかだけれど大切なこと Ver1.12. 自己紹介
名前: 野崎吉弘 (宮崎県日南市出身、名古屋在住、45
歳)
所属: 株式会社アイ・ティ・イノベーション コンサルティ
ング3部
略歴: システム開発 ( 計測制御 ⇒ エンタープライズ )
システム開発方法論策定とその標準化
プロジェクト・マネジメントの支援
IT 構想・企画の支援 など
趣味: 音楽鑑賞、読書、地域 B 級グルメ食べ歩き、散歩
P.2
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3. 今日のお話は・・・
この講演では、私がこれまで情報システムの開発プロジ
ェクトにたずさわる中で気付いてきた、普段言及される
ことは少ないけれど、実は大切なこと(と私が思ってい
ること)の中から、特にプロジェクト・マネジメントや
マネジャーに関わる事柄をオムニバス的にお話しし、私
の気づきを皆さんと分かち合いたいと望んでいます。
P.3
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4. 昔と今
右肩上がり(昔の日本) 低成長(今の日本)
成 成
長 長
時間 時間
“ 成長と成功はミスを覆い隠す。”
(スターバックス会長 ハワード・シュル
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ツ)
P.4
5. 誰も正解は言い当てられない
世の中にあたかも「正解を言い当てられる」かのよ
うに見える人物が存在するのは、私たちが「責任があ
るんだから正解を言い当てるべきだ」とか「きっと誰
かが正解を言い当てられるに違いない」(そうじゃな
いと困ると)と思い込んでいることと、その本人が「
正解を言い当てなければならない」し「自分には正解
を言い当てることができるはずだ」と思い込んでいる
から。
しかし、現実は「誰も正解を言い当てられない」の
で、私達は思い込みを捨てて、「誰も正解を言い当て
られない」ということを共通の前提に物事を考えるべ
きである。 P.5
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6. 邪悪なものとの遭遇
“ 「邪悪なもの」との遭遇は、「どうしていいかわか
らないけれど、何かしないとたいへんなことになるよ
うな状況」というかたちで構造化されている。”
(『邪悪なものの鎮め方』 内田樹)
システム開発のプロジェクトで我々は、日々「邪悪
なもの」と遭遇している。
複雑系世界
確率世界
因果
世界
『(日本人)』 橘玲
P.6
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7. こだわりセブン
「こだわりの逸品」などという枕詞がやたらと使われる昨今、実はもの
ごとに拘ってもあまりいいことは無い。
高田純次
無関心
無責任、軽薄
無頓着・サバサバ
オープンマインド
(こだわりの無い状態)
こだわり
頑固、強情
執着、固執
地縛霊
関心度低 関心度高
P.7
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8. 答えの出ないことに耐える
“ 真の知性とは、答えのない問を問い続ける力であ
る。”
(『ガイアの思想』 田坂広志)
P.8
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9. 先が見えない時代のリーダー像
将来なりたい組織像を語り、ざっくりとした方向性は示すが、安
易に決断しない。
情報収集と情報共有に心がけメンバーに刺激を与えるとともに組
織として問題意識を共有し、現場からの意見を大切にする。
常に複数の戦略を用意し、変化の兆候を捕えていち早く適格に行
動できるよう、
自己とメンバーをトレーニングする
変化に強いシンプルでスリムなシステムを構築し維持する
組織として最大のパフォーマスを発揮できるようメンバーを配
置する。
多様な価値観を認め合い、組織内外の敵と共存する。
P.9
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10. 提案-調整-お願い(交渉)
デ ス マ
お願い
(謝罪)
調整
提案
時間
P.10
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11. 優先順位
重
要
3 1
度
緊急度
4 2
緊急≠重要
P.11
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12. 階層構造とネットワーク構造
世界は分けてもわからない
P.12
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13. 『失敗の本質』
日本のお家芸
戦力の逐次投入
兵站の軽視
情報の五月雨式開示
現場の声を生かせない
P.13
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14. マネジメントとコントロール
そもそも管理って・・・
マネジメント(お願い、支援)
≠ コントロール
(支配、統制)
“ しかし、あなたがたの間では、そうではない。あなたがた
の中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上
になりたい者は、すべての人の僕になりなさい。”
(『マルコによる福音書』 10 章 43 ~ 44 節)
他人はコントロールできない
“ 人間は好き嫌いで働くものだ。論法で働くものじゃない。”
(『坊ちゃん』 夏目漱石)
P.14
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15. 人が育たない
我々が心の底から育てたいと願っているのは、プロジェ
クトマネジメントのスキルがあり、上流工程の設計もこ
なせる、というような固定化された能力を持つ人材では
なく、自分が成長するために何が必要か自分で考え、そ
して自ら学んでいく、そういう自ら成長していく人間で
ある。
マネジメントの最大のピットフォールは、自己に対して
矢印を向けなければならないことに気付かずに、他者に
対して矢印を向け続けてしまうことである。
標準化は人の能力を貶める、壮大な穴埋め問題。
退蔵されているメンバーのポテンシャルを最大限に発揮す
る。
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P.15
16. コンセンサスとスピード
常務
執行役員
部長
課長
課長
PM
プロジェクトチーム
P.16
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17. ソシュールの羊
「羊」はフランス語では「ムートン」と言います。英語にはフランス語
の「ムートン」に対応する名詞が二つあります。一つは「シープ」です
。これは白くてもこもこした生き物で、もう一つの「マトン」は食卓に
供される羊肉のことです。英語では生きた羊と食べる羊は別の「もの」
ですが、フランス語では同一の語がこの二つの「もの」を含んでいます
。ですから厳密に言えば、フランス語の「ムートン」に相当する包括的
な名称は、英語には存在せず、逆に、「動物としての羊」や「食肉とし
ての羊」だけを意味する語はフランス語には存在しない、ということに
なります。(『寝ながら学べる構造主義』 内田樹)
P.17
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18. 中身が無い会話
上司:「よし、後はお前に任せた!あとは、上手くや
ってくれ」
部下:「あの~、上手くやれってどういうことですか
?」
上司:「上手くやれというのは、上手くやるというこ
とだ」
部下:「だから~、私は何をすれば良いのですか?」
上司:「だから、上手くやれって言ってるだろ!」
P.18
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19. 定量的に考える
12 万体の造仏を請願し、諸国の遊行で多くの仏像を彫った江戸時代初期の修験僧・円空(
1632-1695 )。現在発見されている 仏像は、神像も含め全国で 5300 を超える。
なた彫りと呼ばれる荒い削り口。像がかもす素朴な微笑。それまでの仏像様式に全くとら
われない自由奔放なスタイルは、 300 年以上たった今も多くの人を魅了している。
円空の仏像には 40 代半ばから「護法神(ご
ほうじん)」という不思議な異形の仏が登
場する。表面はなた彫りでザックリ。形は
、髪の毛が逆立っているものから、木の切
り株のようなもの、狐(きつね)か鳥のよ
うな顔まで、さまざま。いったいこれは …
?
この自由で、あまりにも枠にとらわれない
仏像を誕生させた円空の狙いとは何だった
のか。“革命 ” ともいえる新たな仏像誕生には
、円空が厳しい修行から得た独自の境地と
日本古来の世界観がかかわっていた。浮か
び上がってくるアニミズムの精神 … 。原初
の神の姿を仏に刻んだ円空。異形の仏、 12
万体を彫り続けた、その祈りに迫る。
( NHK 日曜美術館 ホームページ P.19
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「仏像革命 ~円空の祈り~」)
20. 大きいことは、いいことか?
この世に生まれ落ちたからには大きな仕事がしたい。でっかいプロジェク
トの PM として活躍し、年をとって引退したら自分の孫たちに「おじいち
ゃんは、こんなに大きな仕事をしたんだぞ」と自慢したい。たとえ孫に「
おじいちゃん、また同じ話をしている。」と言われようとも・・・。
しかし、プロジェクトは規模が大きくなればなるほど、期間が長くなれば
なるほど、そのリスクも大きくなる。マネジメントもやり難くなり、それ
をマネジメント出来る人材も限られてくる。
規 規
模 模 Small Small Small
Big Small Small Small
Small Small Small
時間 時間
P.20
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21. システムの動的平衡
“ 秩序は守られるために絶え間なく壊さなければならない。
エントロピー増大の法則は容赦なく生体を構成する成分にも降
りかかる。高分子は参加され分断される。集合体は離散し、反
応は乱れる。タンパク質は損傷を受けて変性する。しかし、も
し、やがては崩壊する構成成分をあえて先回りして分解し、こ
のような乱雑さが蓄積する速度よりも早く、常に再構成を行う
ことができれば、結果的にその仕組は、増大するエントロピー
を系の外部に捨てていることになる。
つまり、エントロピー増大の法則に抗う唯一の方法は、システ
ムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み
を流れの中に置くことなのである。つまり流れこそが、生物の
内部に必然的に発生するエントロピーを排出機能を担っている
ことになるのだ。
生命とは動的平衡にある流れである”
(『生物と無生物の間』 福岡伸一)
P.21
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22. 改善の成長曲線
成
長
時
“「粘り強さ」などというと、古臭くて精神論のように思う人もいるかも
間
しれない。スマートで合理的なものだけを金科玉条のように指向する人た
ちにとっては、「粘り強さ」など「かっこよくない」最たるものだろう。
しかし現実の世界では、個人であれ組織であれ、成否を分ける最後の分岐
点は、「どこまで粘れたか」によるのが大半だ。「粘り強さ」という本質
的な力を磨かない限り、真に強い企業になることは不可能である。”(『
ねばちっこい経営』 遠藤巧) P.22
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