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長崎市民生活プラザ会議室(メルカつきまち),2012年3月17日
パラダイム破壊型ブレークスルーを目指す
グループ討議方法
~収束発散思考による「交流制約法」の提案~
Ver. 2.2 2012年3月17日
阪井和男,内藤隆,尾上,栗山健
明治大学サービス創新研究所
資料URL:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~sakai/presen/ne67-transactional-constraint-method-20120317.pdf
2. <役職等>
明治大学法学部教務主任
略歴 明治大学東北再生支援プラットフォーム副代表
明治大学文明とマネジメント研究所所長
明治大学サービス創新研究所所長
明治大学法学部教授 明治大学死生学研究所副代表
(理学博士) 明治大学社会イノベーション・デザイン研究所事務局長
阪井和男 <公職等>
Kazuo Sakai 早稲田大学メディアネットワークセンター非常勤講師
sakai@meiji.ac.jp
早稲田大学情報教育研究所客員研究員
早稲田大学ビジネススクール・ドラッカー経営思想研
プロフィール: 究部会WG座長
http://rwdb2.mind.meiji.ac.jp/Profiles/7/00006 ドラッカー学会執行役員
57/profile.html 情報コミュニケーション学会会長
<略歴> 一般社団法人CSスペシャリスト検定協会理事
1952年 和歌山県和歌山市生まれ NPO実務能力認定機構理事
1971年 和歌山県立桐蔭高校卒業 NPO法人 人材育成マネジメント研究会理事
1977年 東京理科大学理学部物理学科卒業 NPO法人 日本地域活性力創出機構評議員
1979年 同大学院理学研究科修士課程物理 DPCマネジメント研究会理事
学専攻修了
サービスデザイニング研究所所長
1985年 同大学院理学研究科博士課程物理
学専攻退学(6年間在籍) サイエンティフィック・システム研究会知的能力の可視
化WG座長
1987年 理学博士(論文,東京理科大学)取得
次世代大学教育研究会事務局長
1990年 明治大学法学部専任講師
オープンソース&リソース戦略研究会共同代表
1993年 明治大学法学部助教授
日本語プログラミング研究会会長
1998年 明治大法学部教授
Japrico Club ユーザ会会長
2012年3月17日
Ja Sakai Community運営委員(設立発起人) 2
大学情報サミット初代代表幹事
4. なぜサービス創造が必要か?
サービス創造とは
組織による社会環境への適応過程
企業組織
社会環境の中で社会エコシステムを構成
環境=動的に変化する
組織の適応問題
秩序化しようとする組織が変化する環境にいかに適応?
既存組織にない新しい秩序(⇐仮説)を作り続けるしかない!
∴適応手段のひとつ=サービス創造
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 4
5. サービス創造の2つの問題
1. 場所の問題
組織のどこから生み出されるか
組織トップかミドルかボトム
ライン組織のどこが担うか
2. 方法論の問題
仮説生成をどう行うか
どの創造技法を使うか
ブレインストーミング・KJ 法等
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 5
6. 新サービスの創造手法
1. 場所の問題
組織のどこから生み出されるか
組織トップかミドルかボトム
サービスフロント(ボトムの現場担当者)
2. 方法論の問題
仮説生成をどう行うか
どの創造技法を使うか
交流制約法(アクションラーニング&ワールドカフェ)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 6
8. 新秩序はどこから生まれるか?
不動点
(クラス1)
カオスの縁
生命は,秩序と無秩序(カオス)
周期的 のはざまで揺れている
(クラス2) カオスの縁
適応的な複雑系がここに属
するというのが、複雑力学系
複雑
(クラス4)
における最近の大発見
複雑力学系の4つのクラス
クラス1:不動点
カオス クラス2:周期系
(クラス3)
クラス3:カオス系
あらゆる秩 クラス4:カオスの縁
序が存在!
リューイン,ロジャー,『コンプレクイシティへの招待(複雑性の科学 生命の進化から国家の興亡まですべてを貫く法則)』,
糸川英夫監訳,福田素子訳,徳間書店,1993年10月.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 8
9. 企業組織の秩序
社長
社長室
企業
組織
財 人 営 企 製
務 事 業 画 造
部 部 部 部 部
現場
担当者
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 9
10. 企業組織のさまざまな境界
社長・役員の外部ネットワーク 社長
社長室
企業
組織
財 人 営 企 製
担当部署の外部ネットワーク 務 事 業 画 造
部 部 部 部 部
現場
担当者
サービスフロントの顧客接点
顧客
潜在
顧客
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 10
11. サービスフロント=カオスの縁
社長
不動点
秩 (クラス1) 社長室
序 企業
組織
財 人 営 企 製
周期的 務 事 業 画 造
(クラス2) 部 部 部 部 部
サ
カ ー 現場
オ ビ 担当者
複雑 ス ス
(クラス4) の フ
ロ 顧客
縁 ン
ト
潜在
カオス 顧客
乱 (クラス3)
雑
あらゆる秩
序が存在!
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 11
12. 現場担当者の暗黙知
社長
社長室
企業
組織
財 人 営 企 製
務 事 業 画 造
部 部 部 部 部
顧客の欲求を無意識的に 現場
担当者
暗黙知として獲得ずみ
顧客
暗黙知を短時間のグループ討議によって
表出させるための会議手法とは・・・? 潜在
顧客
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 12
14. 思考の発散収束モデル
Aスキーマ
思考の収束
思考の発散
Bスキーマ
思考の発散収束モデルでは,
発散思考収束思考
の順で手法を意識的に切り替える
「成就される活動」のままに「制御すべき行為」を制御させている!
上の図は、印南一路(1997年)から修正して作成。(印南一路、『すぐれた意思決定(判断と選択の心理学)』、中央公論新
社、中公文庫い-99-1、2002年1月. 原著:中央公論新社から刊行、1997 年.)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 14
15. 思考の発散収束モデル
Aスキーマ
思考の収束
思考の発散
Bスキーマ
発散 収束
知 知
の の 演繹推論
具 具
現 現 アブダクション
化 化
帰納推論
知の創造 知の創造
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 15
16. 思考の発散収束モデル
Aスキーマ
思考の収束
思考の発散
Bスキーマ
発散 収束
知 知 演繹推論
の の
具 具
現 現 アブダクション
化 化
帰納推論
知の創造 知の創造
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 16
17. アブダクションにおける抽象化の機能
アイデアを「遠くへ」飛ばす
図表1-10(細谷功,2011年,p. 44)をもとに修正して作成
かばん
例:財布,
直接似ている 弁当箱,収 創造的
納箱,・・・
例:本棚,
「収納」する(有形物) 物置,冷
抽 蔵庫,・・・
例:PCのフォルダ,
象 「収納」する(無形物) 部屋の間取り,
化 土地の分譲,・・・
例:予算の分け方,
「資源を分けて配分する」 組織の分け方,電
車のダイヤ,・・・
アブダクション
さらに「遠く」へ? (アナロジーが見えないものの新結合)
細谷功,『アナロジー思考』,東洋経済新報社,pp. 30-45,2011年8月11日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 17
18. 峻別すべき現象と行為
成就される活動
A Schema
思考の収束
思考の発散 Convergence
Divergence
B Schema
制御すべき行為
収束 発散
why how
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 18
19. 発散収束モデルの問題点
現象と行為の見え方が違う!
成就される活動
表出した「行動」
○観測可能, ×制御可能
発散的に広がって創発を起こす
制御すべき行為
意図した「行動」
×観測可能,○制御可能
whyを問う行為は「集中」!
両者を混同してはならない!
阪井和男,「組織における戦略行動ゆらぎのカオスモデルによる解釈 -ブレークスルーのスキーマ理論-」,『ゆ
らぎの科学と技術 -フラクチュオマティクス入門-』,第11章,pp. 147-168,東北大学出版会,2004年9月15日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 19
21. トヨタ生産方式における5つのなぜ
トヨティズム(トヨタ生産方式)の基本の一つ
One of the basic method of Toyotism
「源流方式」(problem solving at the source)
「なぜを5回問い」,Ask ‘why’ five times
ものの流れの「源流」にさかのぼって問題を発見,解決し,
課題を創出して実現する
そのアプローチ自体を,サプライチェーンの全員に繰り返して教え,
改善していくこと
創案した人
トヨティズムの父・大野耐一(Taiichi Ohno)
工場現場での度重なる試行錯誤を通して見出した経験的な知恵
西口敏宏,『遠距離交際と近所づきあい(成功する組織ネットワーク戦略)』,NTT出版,pp. 89-95,2007年1月30日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 21
22. トヨタ生産方式での事例
事件(1980年代中盤) Case (Mid-1980s)
顧客の苦情 Customer complaint
「カーステレオが不良品だから,車ごと交換しろ!」
“It was a defective car stereo. Should be replaced with a new car!”
純正カーステレオのFM自動受信チューニングが壊れた
Despite the genuine car stereo, the automatic FM tuner is broken
トヨタの最高車種に搭載されていた
It had been installed in Toyota's best car
日本の大手音響機器サプライヤーが開発・製造
The car stereo was manufactured by a major Japanese supplier
トヨタに納入していた同社製品のなかでも最高機種
It was the best models in the product delivered to Toyota
西口敏宏,『遠距離交際と近所づきあい(成功する組織ネットワーク戦略)』,NTT出版,pp. 89-95,2007年1月30日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 22
23. トヨタの純正カーステレオ
純正カーステレオの
知の具現化(Realization of Knowledge)
FM自動受信チュー
ニングが壊れた
大手音響機器
サプライヤー (How)
の最高機種
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 23
24. トヨタ生産方式での事例
1回目のなぜ
トヨタがサプライヤーとの合同対策会議を開く
根本原因の究明「なぜ不良が発生したのか」
トヨタ:品質管理,購買要員
サプライヤー:設計,製造,品質管理,セールス担当者
サプライヤーの回答
不良原因
たまたまそのカーステレオのプリント基板の一部に異常な高圧
電流が流れて,半導体が飛んでしまったらしい
西口敏宏,『遠距離交際と近所づきあい(成功する組織ネットワーク戦略)』,NTT出版,pp. 89-95,2007年1月30日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 24
25. 1回目のなぜ
純正カーステレオの
知の具現化(Realization of Knowledge)
FM自動受信チュー
ニングが壊れた
1回目のなぜ(Why1)
プリント基板の一
部に異常な高圧
電流が流れて,
半導体が飛んだ
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 25
27. 1回目のなぜ
対処療法だ!
知の具現化(Realization of Knowledge)
(How) コンデンサーを
大容量で耐性の 1回目のなぜ(Why1)
あるものに交換
プリント基板の一
部に異常な高圧 対象への棲み込み
電流が流れて,
問題を再発させては
半導体が飛んだ
ならない!
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 27
32. 5回目のなぜ
知の具現化(Realization of Knowledge)
1回目のなぜ(Why1)
2回目のなぜ(Why2)
3回目のなぜ(Why3)
4回目のなぜ(Why4)
下請けが組み立てた
プリント基板を本工場
へ輸送する際に発生!
5回目のなぜ(Why5)
プリント基板を輸送する「通い箱」にハンダや電線
の細かい切れ端が付着.輸送中の振動で導電物
の切れ端がプリント基板に付着し回路をショート
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 32
33. 5回目のなぜ
知の具現化(Realization of Knowledge)
(Why1)
(Why2)
(Why3)
プリント基板を輸送する
「通い箱」にハンダや電線 (Why4)
の細かい切れ端が付着.
輸送中の振動で導電物 (Why5) アブダクション 拍子抜けす
の切れ端がプリント基板
パラダイム破壊型ブレークスルー るほど単純
に付着し回路をショート
知の創造(Creation of Knowledge)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 33
34. 5回目のなぜ 無駄な部品交換に一円も
費やすことなく問題を根治
将来発生したであろう信用
の失墜も未然に回避
知の具現化(Realization of Knowledge)
(Why1)
(How) 毎日「通い箱」をきれ
いに掃除するだけ
(Why2)
(Why3)
プリント基板を輸送する
「通い箱」にハンダや電線 (Why4)
の細かい切れ端が付着.
輸送中の振動で導電物 (Why5) アブダクション 拍子抜けす
の切れ端がプリント基板
パラダイム破壊型ブレークスルー るほど単純
に付着し回路をショート
知の創造(Creation of Knowledge)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 34
35. トヨタ生産方式における5つのなぜ
対処療法 根治療法
コンデンサーを大容量で 毎日「通い箱」をきれいに掃除
知 耐性のあるものに交換 するだけ
の (How)
具 純正カーステレオのFM自動
無駄な部品交換に一円も
受信チューニングが壊れた
現 費やすことなく問題を根治
化 将来発生したであろう信
用の失墜も未然に回避
(Why1)
プリント基板の一部に異常な高圧 (How)
電流が流れて,半導体が飛んだ
(Why2)
設計ミスでも部品の不良でもなく,
(Why3) 製造工程か物流かのいずれか
製造工程のデザインにも,工員の
作業にも問題ない
(Why4)
工場内ではなく,
(Why5) 「輸送中」にありそうだ
下請けが組み立てたプリント基板 (アブダクション) 拍子抜けする
を本工場へ輸送する際に発生! ほど単純
プリント基板を輸送する「通い箱」
にハンダや電線の細かい切れ端 知の創造
が付着.輸送中の振動で導電物
2012年3月17日 の切れ端がプリント基板に付着し 35
回路がショート
36. トヨタ生産方式での事例
5つのなぜの効果
同じ問題は二度と発生しなくなった!
根本原因が分かり,問題の根を源流で摘み取ったため
最初の解決策では,いずれ同じ問題が再発していたはず
別の機種に別の現れ方をして,当事者を右往左往させたであろう
当事者双方にウィン・ウィン状況
1. サプライヤーは無駄な部品交換に一円も費やさずに問題を根治
2. 将来発生したであろう信用の失墜も未然に回避
3. 重要な教訓を学んだ
深い信頼関係
「トヨタさんのようなお客様には,私どもは自然についていきます。そのほうが
得だからです」(西口,2007年,p. 95)
西口敏宏,『遠距離交際と近所づきあい(成功する組織ネットワーク戦略)』,NTT出版,pp. 89-95,2007年1月30日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 36
37. 対処療法から根治療法へ
対処療法 根治療法
知の具現化(Realization of Knowledge)
コンデンサーを
大容量で耐性の
あるものに交換
毎日「通い箱」をきれ
異常な高圧電 いに掃除するだけ
流が流れ,半導
体が飛んだ
「通い箱」の細かい アブダクション 拍子抜けす
切れ端が輸送中に るほど単純
プリント基板に付着
知の創造(Creation of Knowledge)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 37
38. トヨタ生産方式における5つのなぜ
対処療法 根治療法
知
の
具 コンデンサーを
現 大容量で耐性の
化 あるものに交換
毎日「通い箱」をきれ
異常な高圧電 いに掃除するだけ
流が流れ,半導
「5つのなぜ」
体が飛んだ
=ブルートファク
対象への棲み込み ツに至るための
重大な事実の発見 問題を再発させては 苦悩のプロセス
ブルートファクツ ならない!
「通い箱」の細かい アブダクション 拍子抜けす
切れ端が輸送中に るほど単純
プリント基板に付着
アブダクションが
アフォードされる 知の創造
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 38
39. 5回目のなぜ
知の具現化(Realization of Knowledge)
(Why1)
(How)
収 発
(Why2)
束 散
思 思
(Why3)
考 考
(Why4)
発散思考
(Why5) アブダクション 拍子抜けす
パラダイム破壊型ブレークスルー るほど単純
知の創造(Creation of Knowledge)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 39
41. 交流制約法
マーケットと組織の界面を構成するうち,組織側のサービス従事
者側からサービス創新する方法
1. 高い志をもって究極の理想を目指す
2. もっとも困難な問題をえぐりだす
問題の再定義
3. みんなで知恵を振り絞って解決
ピザ屋の質問
発想の原点・・・
イノベーション・ダイアグラム+トヨタ生産方式の5つのなぜ
発散収束思考 収束発散思考
明治大学サービス創新研究所,サービス創新研究会10/28研究会報告
http://www.service-innovating.jp/archives/624 (2011年11月22日アクセス)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 41
42. イノベーション・ダイアグラム
対処療法
根治療法
知
の P
具 D
C
現 A
化 サ
収 イ 演
束 ク 発 繹
思 ル 帰 推
納 散
考 思 論
推
論 考
発散思考
イノベーション・ダイアグラム
共 アブダクション 共 (山口栄一,2006年)
鳴 鳴 山口栄一,『イノベーション
破壊と共鳴』,NTT出版,p. 70,
場 場 2006年3月3日.
知の創造
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 42
43. 知的能力のプロセスモデル
外にオープン1
改善 革新
知 近所づきあい**
抽象化 スモールワー
の ルド**の実現
why?
具 (帰納)
具体化
現 内にオープン
創発的分業* how 矛盾
具体化
化 (演繹)
1. 技術的矛盾 how
2. 物理的矛盾 (演繹)
3. 社会的矛盾
(TRIZ,5つの壁®)
知の土壌 まぐれ
IT知識 共 創発 what! 共
ビジネス知識
外にオープン2
鳴 鳴
(アブダクション)
人間系知識 場 場
遠距離交際**
美学,哲学,芸術
知の創造
*加藤浩,「協調学習環境における創発的分業の分析とデザイン」,ヒューマンインタフェース学会論文誌、Vol.6, No.2, pp. 161-168, 2004.
**西口敏宏,『遠距離交際と近所づきあい(成功する組織ネットワーク戦略)』,NTT出版,2007年1月25日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 43
44. TRIZの収束発散思考
A) 最小問題を定義する
B) 問題の空間と時間を定義する
定義する
C) 技術的矛盾を定義する
D) 物理的矛盾を定義する 収束
E) 究極の理想解の結果を定義する
F) X構成要素を定義する
G) リソースを分析する 究極の理想解
H) リソースを修正する
I) 物理的矛盾を解消するために
発明原理を使う 発散
J) 技術的矛盾を解消するために
発明原理を使う 解決する
K) 知識ベース/物理的効果を扱う
L) 解決策がない?
中川徹監訳,『TRIZ 実践と効用(1)体系的技術革新』,創造開発イニシアチブ,p. 350,2004年6月30日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 44
45. 交流制約法の収束発散思考
創造的対立の解消プロセス
問題の提起問題の再設定究極の理想解問題の解決
1. 収束思考
アクションラーニング(AL)による問題発見
ALの前半セッションのみを使う
2. 発散思考
ワールドカフェ(WC)による問題解決
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 45
46. 交流制約法の収束発散思考
定義する
アクションラーニング 収束
Action-Learning why
(前半のみ利用)
究極の理想解
how
ワールドカフェ 発散
World-Cafe
解決する
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 46
47. 交流をどう制約するか
制約1:質問しか許さない 定義する
アクションラーニング 収束
Action-Learning why
(前半のみ利用)
問題の再定義
制約2:批判をさせない
制約3:強制的に席替え how
ワールドカフェ 発散
World-Cafe
解決する
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 47
48. ALのルール(伊藤洋志,2008年7月17日)
ALセッション 2つの基本ルール
その1:質問中心
質問に答えるだけで、自分からは語らない(発言しない)
その2:振り返りの時間をとる
ALコーチはいつでも介入する権限がある
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 48
49. ALセッションの前半(伊藤洋志,2008年7月17日)
グランドルールの確認とコミットメント
チームとしての信頼関係の構築と安全な場であることの共通
認識を構築する
問題の提示(2~3分)
問題の明確化(10~15分単位で1時間程度)
メンバーの課題をグループとして明確化し共有することで、先
入観、固定概念、曖昧な認識などを打破する
(「全員、問題を紙に書き、発表」は今回省略)
問題の再定義(10分程度の休憩中に)
問題を多面的に検証し、チームとして共通の問題を定義する
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 49
50. ワールドカフェ
カフェのような自由な雰囲気で、
メンバーを変えながらセッションを3回程度行うことで、
そこで出たアイデアが他花受粉するようなイメージで、
テーマに対するコンテクストが短時間で深まり、
大変盛り上がる効果がある
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 50
51. ワールドカフェのルール
コーディネーターが課題を設定する
話題提供者が再定義した問題を提示
はじめに3~6人のグループをつくる
テーブルには模造紙とペンを置いておく
カフェのようなくつろいだ雰囲気を出す小道具を置いておく
発言者の権利を示す小道具を準備しておくのもよい
発言者用カラーボール等
「ワールド・カフェ」,http://www.humanvalue.co.jp/service/wcafe/ (2011年8月6日アクセス)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 51
52. (写真)http://de.wikipedia.org/wiki/World-Cafe より引用 2011年7月12日アクセス
ワールドカフェのルール
第1セッション
1. A3用紙(模造紙)に自由にメモを書きながら、20分話し合う
自分のことを語るよりも人の話を聞き出すように
セッションの終了時にコーディネーターが手を挙げる
それを見たら話すのをやめて自分も手を挙げる
2. 説明役(ホスト)を決める
ジャンケン以外の方法で決めること
ジャンケンは意思決定ではない(Decision making without Janken, さかはらあつし)
3. 他のメンバーはそれぞれ別のグループへ移動する
4. 小休憩をとる
「ワールド・カフェ」,http://www.humanvalue.co.jp/service/wcafe/ (2011年8月6日アクセス)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 52
53. ワールドカフェのルール
第2セッション
1. 各グループでホストがメモを見ながらそこで出た話を説明
2. 参加者は各々のグループで出た議論を紹介する
3. 後は自由に話し合う
使用済みの模造紙にどんどん上書きしながら書き加える
4. コーディネーターが終了を指示する
多人数の場合は、手を上げさせるのが有効
5. 説明役(ホスト)を決める
6. 元のグループへ戻る
7. 小休憩をとる
「ワールド・カフェ」,http://www.humanvalue.co.jp/service/wcafe/ (2011年8月6日アクセス)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 53
54. ワールドカフェのルール
第3セッション
1. 第2セッションと同様に進める
2. コーディネーターが終了を指示する
3. 説明役(ホスト)を決める
発表
1. 各グループのホストが総括する
マインドマップ等を利用するのが有効
はじめにキーワードを5つ程度列挙する
Freemind
2. 終了
「ワールド・カフェ」,http://www.humanvalue.co.jp/service/wcafe/ (2011年8月6日アクセス)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 54
55. 安心の確立から問題の発見
(目的と場の共有が十分な場合は省略可)
知
の
具 【1】問題の発見
現 強制ブレーン
化 ストーミング
【0】安心の確立
ワールドカフェ
知の創造
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 55
56. 問題の発見から問題の再定義
知 【2】動機の確立
の 問題解決への
具 【1】問題の発見
強い動機
現
化
【3】問題の再定義
アクション
ラーニング
知の創造
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 56
57. 問題の再定義から解決策の発見
知 【2】動機の確立
の 問題解決への
具 【1】問題の発見
強い動機
現
化
【3】問題の再定義
アクション
ラーニング
【4】解決策の発見
ワールドカフェ
知の創造
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 57
58. 問題の発見から解決策の発見
対処療法 根治療法
知 【2】動機の確立
の 問題解決への
具 【1】問題の発見
強い動機
現
化
【3】問題の再定義
アクション
ラーニング
【4】解決策の発見
ワールドカフェ 拍子抜けす
アブダクション るほど単純
知の創造
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 58
59. 創発へのプロセス
対処療法 根治療法
知 【2】動機の確立
の 問題解決への
具 【1】問題の発見
強い動機
現 強制ブレーン
化 ストーミング
【3】問題の再定義
【0】安心の確立 アクション
ラーニング
ワールドカフェ
【4】解決策の発見
ワールドカフェ 拍子抜けす
アブダクション るほど単純
知の創造
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 59
60. 運営上の工夫
●ボールを持った人が発言 ●思考ツールの活用
Freemind
●ワールドカフェ・メモ ●5つのキーワード
(写真)http://de.wikipedia.org/wiki/World-Cafe より引用 2011年7月12日アクセス
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 60
62. 「交流制約法」によるグループ討議 究極の
質問
日時 課題(討議テーマ) NPS
第1回 2011/08/01 今後、自分が就職支援新事業にどのように取り組めばよい
-
か?
第2回 2011/08/23 自分の海外留学に企業は何を期待しているのか? -
第3回 2011/08/29 社内でサービス人材をどのように育成すればよいか? -
第4回 2011/08/29 今後、自分が取り組みたいマッチングビジネスの可能性に
-
ついて
第5回 2011/09/15 今後の自社のプロモーションへのSNS活用について -
第6回 2011/11/11 出版物の編集業務において致命的なミスをなくすにはどう
40%
すればよいか?
第7回 2011/12/12 パフォーマンスが低い部下のモチベーションを高めるには
77%
どうすればよいか?
第8回 2012/01/25 地域に必要とされるケーブルテレビとは何か? 20%
第9回 2012/02/13 入札制度下のビジネスに成功モデルはあるのか? 70%
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 62
63. なぜ「究極の質問」か?
従来のアンケート方式
【目的】 客観的な分析のため
アンケート実施者が知りたいことを聞いている
知りたいことを聞いてもダメ!
顧客の答えたいことではない!
「究極の質問」によるアンケート
× 客観分析
みんなはきっとこう考えるだろう
○ 主観推測
私はこう感じてしまったのだ
主観から顧客の行動を予測すること
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 63
64. サービスの評価
ロイヤルティが高く、友人に
も顧客になるよう薦める
推奨者
中立者
顧客 サービス 満足はしているが、
競合他社からの働き
かけになびきやすい
劣悪な関係を強いられた
不満客
批判者
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 64
65. 推奨者<批判者
ロイヤルティが高く、友人に
も顧客になるよう薦める
推奨者
中立者
顧客 サービス 満足はしているが、
競合他社からの働き
かけになびきやすい
劣悪な関係を強いられた
不満客
批判者
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 65
66. 推奨者>批判者
ロイヤルティが高く、友人に
も顧客になるよう薦める
推奨者
中立者
顧客 サービス 満足はしているが、
競合他社からの働き
かけになびきやすい
劣悪な関係を強いられた
不満客
批判者
成長エンジン=推奨者-批判者
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 66
67. 成長エンジンは噴射しているか?
顧客ロイヤルティを知る
究極の質問
この会社を友人や同僚に薦める可能性があるとすると,
10点満点でどのくらいでしょうか?
その理由
その理由でもっとも大きいものを一つだけ教えてください
フレッド・ライクヘルド、『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』、
堀新太郎訳、ランダムハウス講談社、2006年9月27日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 67
68. 究極の質問
既存の顧客満足度調査=「役に立たない」
誤った顧客を調査対象
真意を汲み取れない質問
究極の質問
顧客ロイヤルティの有効な測定方法
特徴
たった一文の質問とその理由を聞くだけ
正味の推奨者率(NPS: Net Promoter Score)を計算する
正なら成長エンジン噴射中(口コミで爆発的に広がる)
フレッド・ライクヘルド、『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』、
堀新太郎訳、ランダムハウス講談社、2006年9月27日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 68
69. 究極の質問
企業の真の成長
顧客がその企業との取引をとても気に入り、
友人や同僚に称賛の声を伝えることから生まれる
利益の意味
「悪しき利益」=顧客を食い物にする
「良き利益」=顧客の熱心な協力による
究極の質問
「この会社を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいあるか」
「良き利益」と「悪しき利益」を識別する
10点法で聞く(0点から10点まで)
フレッド・ライクヘルド、『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』、
堀新太郎訳、ランダムハウス講談社、2006年9月27日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 69
70. 究極の質問
10, 9
「良き利益」
=顧客の熱心な ロイヤルティが高く、友人に
も顧客になるよう薦める
推奨者
協力による
8, 7
究極の 中立者
顧客
質問 満足はしているが、
競合他社からの働き
かけになびきやすい
「悪しき利益」
=顧客を食い物
にする
劣悪な関係を強いられた
不満客
批判者
6~0
成長エンジン=推奨者-批判者
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 70
71. 究極の質問
顧客の分類 3分法
推奨者(10~9点)
ロイヤルティが高く、友人にも顧客になるよう薦める
中立者(8~7点)
満足はしているが、競合他社からの働きかけになびきやすい
批判者(6~0点)
劣悪な関係を強いられた不満客
指標=推奨者の正味比率(NPS: Net Promoter Score)
「推奨者-批判者」の割合
企業の収益、市場シェアと相関性あり
フレッド・ライクヘルド、『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』、
堀新太郎訳、ランダムハウス講談社、2006年9月27日.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 71
72. 紙面による方法(水本式*)
*水本 好彦(国立天文台,2008年)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 72
74. 設問3 4) この分野への学習意欲が湧いた
(平均値4.3, NPS=29%)
80
分布とNPS +29%
60
頻度
40
20
設問3 9) 学生の積極性が促されていた 0
(平均値3.6, NPS=△23%) 1 2 3 4 5
60
△23%
設問3 2) 自分にとって重要な授業だった
40 (平均値4.2, NPS=31%)
頻度
80
2 20 60
+31%
頻度
40
0 20
0 1 2 3 4 5 0
設問3 5) 自分はこの授業に熱心に取り組んだ 1 2 3 4 5
0 (平均値3.8, NPS=△14%)
設問3 7) 内容がシラバスに沿っていた
80
△14%
(平均値4.3, NPS=34%)
8 60 80
+34%
頻度
40
年 60
頻度
20 40
度 0
1 2 3 4 5
20
0
ソ 設問3 6) この分野の知識が身についた
(平均値3.8, NPS=△16%)
1 2 3 4 5
フ 80 設問3 1) 総合的によい授業だった
ト
60 △16% 80
(平均値4.4, NPS=47%)
+47%
頻度
40 60
頻度
40
パ 20
0
20
0
ワ 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5
ー 設問3 8) 教材・資料などの利用が効果的だった
(平均値3.9, NPS=△2%)
設問3 3) 講師が熱心だった
(平均値4.8, NPS=83%)
80
論 60 △2%
150
100 +83%
頻度
頻度
40
50
20
0 0
1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 74
75. 解釈と利用
分布とNPSの関係
NPSが正
スケールフリー分布
NPSが負
中央集中分布
改善方法
「得点」の昇順で「理由」をソート
「批判者」「中立者」「推奨者」の順に並ぶ
「批判者」の「理由」を検討し改善すればよい
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 75
77. 調査方法
対象
第1~9回までのグループ討議
課題提起者の全9名(性別: すべて男性)
方法
質問紙による調査
電子メール
調査依頼と質問紙の配布・回収
回収
9名中9名から回答(回答率:100%)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 77
78. アンケート項目
質問内容 データ
(1) 現在振り返ってみて課題提起者を務めたことに価値を感じるか
定量
(10点法による総合満足度評価)
(2) 総合満足度評価数値の選択理由 定性
(3) 課題提起者からみた交流制約法の意味や価値 定性
(4) 課題提起者経験後から現在までに起きた心理的・行動的変化 定性
(5) 課題提起者として感じた交流制約法のデメリット 定性
(6) 収束思考中(アクションラーニング)、課題再定義中、発散思考中
定性
(ワールドカフェ)、グループ討議終了後の心理状況
(7) 交流制約法の課題解決への貢献度 定量
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 78
79. <結果> 総合満足度
推奨度 人数 選択理由 *回答文章から内容を一部抜粋
解決策が具体的になった。それによって、問題に対し
て前向きに考え、行動できるようになった
自分にとって本当の問題が何であるか整理できる
高満足度群 利害関係のない外部の方々と話せた
5
(10~9点) 自分と異なる環境の人々からアイデアが提示され、新
鮮な気持ちで受け止められた
業種・経験など様々な方々が議論することによって、
固定概念の無いアイデアがでてきた
自分の中にあった葛藤に気づくことができた
中間群 自分の中にある問いに対する答えに対して確信を得
3
(8~7点) ることができた
思考の枠が取り払われる感じがあるため
低満足度群
1 ディスカッションできたのは良かった
(6~0点)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 79
80. <結果> 交流制約法のデメリット
推奨度 人数 選択理由 *回答文章から内容を一部抜粋
ある程度知識が共有できる解説者のような立場が必
高満足度群 要かと感じた
5
(10~9点) 会を進行する上でふさわしい課題は何か、どんな課
題を期待されているかを同時に考えてしまう
自分の心理の触れられたくないところを答えなければ
いけなかった
中間群 単に課題提起者を否定する物言いをしているように感
3
(8~7点) じてしまう発言があったこと
専門的なことや仕組みの理解がいることについては、
もう少し説明ができるような時間・工夫があるとよい
専門的な課題の場合、課題提起者とその他の人たち
低満足度群 の知識や情報量に差がありすぎると、議論をしている
1
(6~0点) 風にして、実はまるで参考になっていないというような
こともあるのでは
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 80
81. <結果> 心理的・行動的変化
9名中8名が、心理的・行動的変化が起きたと回答
推奨度 人数 選択理由 *回答文章から内容を一部抜粋
様々なことに前向きに対処する自信がついた。他人の
問題にも積極的に取り組めるようになった
高満足度群 より実践的な思考を求め、働きかけをするようになった
5
(10~9点) 多様な意見に触れることに価値を感じるようになってい
る。問題解決を楽しむようになっている。
部下とのコミュニケーションを増やすようになった
参加者からのフィードバックが、行動の裏付け・自信に
つながっているのではないかと思う
中間群
3 個人や専門的な課題について、自分以外や専門外の
(8~7点)
方でもアイデアが出せることがわかり、気持ちが楽に
なった
低満足度群
1 無回答
(6~0点)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 81
82. <結果> 討議中の心理状況変化
推奨度 人 収束思考時 発散思考時 反転度
正しく伝えたいが、どこまで通わる 人の意見を聞けることがとても興味
2
だろうという不安 深い
とにかく回答することに必死 議論がとても楽しかった 2
高満足度群 5
(10~9点)
自分の思考が深まっていった 気が大きくなっていく感じがあり、楽
2
しかった
緊張していた(特に前半) 緊張がほどけて楽しい状態 2
しまった。こんなはずじゃなかった 気持ちが楽になった 2
質問に答えるのに必死 自分の中を他の人が整理してくれて
1
いる感じ
中間群 どのような質問にも素直に対応し 考え方を多く聞こうという前向きな状
(8~7点)
3 1
たい 態
楽しく振り返りができる チームの誰か1人には質問力が必
-1
要と感じた
低満足度群 どのような答え方をしたらわかり 専門的なことでやってしまうと、あま
1 0
(6~0点) やすく理解していただけるか り議論になっていないな
青色(不安・緊張)=-1, 下線(客観的)=0, 赤色(楽しい・前向き)=1
反転度 = 快(収束思考時) - 快(発散思考時)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 82
83. <結果> 討議中の心理状況変化
高満足群の特徴(5名中4名)
〈収束思考時〉 「不安」 「緊張」 「必死」など不快な感情
や緊張度の高さを示す表現
反転
〈発散思考時〉 一転して、「楽しい」 「興味深い」 「楽に
なった」など心地よい感情を示す表現
低満足群・中間群の特徴
上記パターンは見られない
収束思考時の心理状況については1名のみ不快を示す表現
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 83
84. リバーサル理論
リバーサル理論(反転理論)
25年ほどから研究されている動機づけスタイルの理論
特徴:動機づけを,状況で変わるダイナミックなものとして扱う
概要
1. 人間経験の4つの側面(手段-目的,ルール,処理,関係)に,
2. 4対の動機づけ状態(テリック-パラテリック,順法-反抗,支配-共
感,オーティック-アロイック)を設定
3. 状況によって動機づけ状態の反転が生ずるとする
応用:スポーツや芸術,教育,産業活動,娯楽,笑いなど幅広い人間
活動を動機づけ状態とその反転の観点から研究されている
雨宮俊彦・生田好重,「動機づけのダイナミズム : リバーサル理論の概要」,関西大学社会学部紀要, 39(3), 123-165, 2008-03.
阪井和男・栗山健,「談話分析による創発プロセスの可視化に向けて ~マイクロ・アブダクションの連鎖としての創発プロセス~」,
電子情報通信学会 思考と言語研究会「言語と学習,場の共創」発表資料,pp69-76,2011年11月26日 より転載
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 84
85. 収束思考時の心理状態
イノベーションダイアグラム リバーサル理論
心地よさ リラックスした気分
知
の
具 抽象化
現
化
why? 自己的領域
具体化
how 抽象化
覚醒が高い
苦
覚醒が高い 不快感 不安
覚醒
共鳴場 低 穏 高
い や い
か
プ
ロ
安全ゾーン 危険ゾーン テ
ク
外傷ゾーン
テ
ィ
ブ
M.J.アプター,『デンジャラス・エッジ(「危険」の心理学)』,山岸俊男監 ・
フ
訳,渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.原著:Michael J. Apter, "The レ
dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992. ー
ム
阪井和男・栗山健,「談話分析による創発プロセスの可視化に向けて ~マイクロ・アブダクションの連鎖としての創発プロセス~」, 85
電子情報通信学会 思考と言語研究会「言語と学習,場の共創」発表資料,pp69-76,2011年11月26日 より転載
86. プロテクティブ・フレームの生成
イノベーションダイアグラム リバーサル理論
心地よさ リラックスした気分
知
の
具 抽象化
現
化
why? 自己的領域
具体化
how 抽象化
覚醒が高い
苦
覚醒が高い 不快感 不安
覚醒
共鳴場 低 穏 高
い や い
か
プ
ロ
安全ゾーン 危険ゾーン テ
ク
外傷ゾーン
テ
ィ
ブ
M.J.アプター,『デンジャラス・エッジ(「危険」の心理学)』,山岸俊男監 ・
フ
訳,渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.原著:Michael J. Apter, "The レ
dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992. ー
ム
阪井和男・栗山健,「談話分析による創発プロセスの可視化に向けて ~マイクロ・アブダクションの連鎖としての創発プロセス~」, 86
電子情報通信学会 思考と言語研究会「言語と学習,場の共創」発表資料,pp69-76,2011年11月26日 より転載
87. 発散思考時の心理状態
イノベーションダイアグラム リバーサル理論
心地よさ リラックスした気分 興奮
知
の
具 抽象化
現 why? 反
化 転
具体化
how クレーム
覚醒が高い
苦
クレーム
覚醒が高い 不快感 退屈 不安
覚醒
共鳴場 低 穏 高
い や い
か
サービスの創造 プ
共鳴場がプロテクティ ロ
ブ・フレームの役割 安全ゾーン 安心ゾーン テ
ク
外傷ゾーン
興奮 テ
雨宮俊彦・生田好重、「動機づけのダイナミズム : リバーサル理論の概要」、 ↑ ィ
ブ
関西大学社会学部紀要、関西大学、第39巻第3号、pp.123-165 (2008). 不安 ・
フ
M.J.アプター,『デンジャラス・エッジ(「危険」の心理学)』,山岸俊男監訳,
危険ゾーン レ
渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.原著:Michael J. Apter, "The ー
dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992. ム
阪井和男・栗山健,「談話分析による創発プロセスの可視化に向けて ~マイクロ・アブダクションの連鎖としての創発プロセス~」, 87
電子情報通信学会 思考と言語研究会「言語と学習,場の共創」発表資料,pp69-76,2011年11月26日 より転載
88. 発散思考時の心理状態
イノベーションダイアグラム リバーサル理論
心地よさ 興奮
知
の
具 抽象化
現 why?
化
具体化
how
苦
クレーム
覚醒が高い 不快感 退屈
覚醒
クレーム対応者 低 穏 高
い や い
か
サービスの創造 プ
ロ
安全ゾーン 安心ゾーン テ
ク
外傷ゾーン
テ
雨宮俊彦・生田好重、「動機づけのダイナミズム : リバーサル理論の概要」、 ィ
ブ
関西大学社会学部紀要、関西大学、第39巻第3号、pp.123-165 (2008). ・
M.J.アプター,『デンジャラス・エッジ(「危険」の心理学)』,山岸俊男監訳, フ
安全と安心の レ
渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.原著:Michael J. Apter, "The ー
dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992. 領域が異なる ム
阪井和男・栗山健,「談話分析による創発プロセスの可視化に向けて ~マイクロ・アブダクションの連鎖としての創発プロセス~」, 88
電子情報通信学会 思考と言語研究会「言語と学習,場の共創」発表資料,pp69-76,2011年11月26日 より転載
89. 反転の様相
心地よさ リラックスした気分 興奮
横軸は覚醒,縦軸は心
地よさ(快)
反 どの覚醒度にも実線・破
転 線の2ブランチが存在
第一枝:リラックス-不安
退屈 第二枝:退屈-興奮
不快感 不安
覚醒
低 穏 高 何らかのきっかけで上
い や い
か 下のブランチで反転
M.J. Apter, “Reversal theory; Motivation,Emotion and Personality”, Routledge, 1989.
M.J. アプター,『デンジャラス・エッジ (「危険」の心理学) 』,山岸俊男監訳,渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.
原著:Michael J. Apter, "The dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992.
阪井和男・栗山健,「談話分析による創発プロセスの可視化に向けて ~マイクロ・アブダクションの連鎖としての創発プロセス~」, 89
電子情報通信学会 思考と言語研究会「言語と学習,場の共創」発表資料,pp69-76,2011年11月26日 より転載
90. 反
推奨度 人 TA 収束思考時 TA 発散思考時 転
度
交流分析
CP
AC
正しく(CP)伝えたいが、どこまで通
わるだろうという不安(AC)
NP
FC
人の意見を聞ける(NP)ことがとても興
味深い(FC)
2
A とにかく回答する(A)ことに必死 A 議論(A)がとても楽しかった(FC)
AC (AC) FC
2
高満足度群 5
A 自分の思考(A)が深まっていった FC 気が大きくなっていく感じ(FC)があり、
(10~9点) 2
FC 楽しかった(FC)
AC 緊張していた(AC)(特に前半) FC 緊張がほどけて楽しい状態(FC) 2
AC しまった(AC)。こんなはずじゃな FC 気持ちが楽になった(FC)
3
AC かった(AC)
A 質問に答える(A)のに必死(AC)
A 自分の中を他の人が整理(A)してくれ
AC AC ている感じ(AC)
0
中間群 ACどのような質問にも素直に(AC)対 NP 考え方を多く聞こう(NP)という前向き
(8~7点)
3
応したい NP な状態(NP)
1
FC 楽しく(FC)振り返りができる(A) A チームの誰か1人には質問力が必要
A と感じた(A)
-1
低満足度群 A どのような答え方をしたら(A)わか CP 専門的なことでやってしまうと、あまり
1 -1
(6~0点) NP りやすく理解していただけるか(NP) 議論になっていないな(CP)
不安・緊張(AC)= –1, 客観的(NP, CP, A)=0, 楽しい(FC)=1 FC
快
反転度 = N(FC) – N(– AC)
NP:養育的な親の心、CP:批判的な親の心 覚醒度
NP A, CP
A:大人の心、AC:従順な子どもの心、FC:自由な子どもの心
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 不快 AC 90
91. 反転の様相
心地よさ リラックスした気分 興奮
横軸は覚醒,縦軸は心
FC
地よさ(快)
反 どの覚醒度にも実線・破
転 線の2ブランチが存在
AC 第一枝:リラックス-不安
退屈 第二枝:退屈-興奮
不快感 不安
覚醒
低 穏 高 何らかのきっかけで上
い や い
か 下のブランチで反転
M.J. Apter, “Reversal theory; Motivation,Emotion and Personality”, Routledge, 1989.
M.J. アプター,『デンジャラス・エッジ (「危険」の心理学) 』,山岸俊男監訳,渋谷由紀訳,講談社,1995年6月8日.
原著:Michael J. Apter, "The dangerous edge: the psychology of experiment", The Free Press, 1992.
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 91
94. まとめ
サービス創造とは
組織による社会環境への適応過程
既存組織にない新しい秩序(⇐仮説)を作り続ける!
1. 場所の問題
組織のどこから生み出されるか
組織トップかミドルかボトム
サービスフロント(ボトムの現場担当者)
2. 方法論の問題
仮説生成をどう行うか
どの創造技法を使うか
交流制約法(アクションラーニング&ワールドカフェ)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 94
95. サービス創造の場所
社長
不動点
秩 (クラス1) 社長室
序 企業
組織
財 人 営 企 製
周期的 務 事 業 画 造
(クラス2) 部 部 部 部 部
サ
カ ー 現場
オ ビ 担当者
複雑 ス ス
(クラス4) の フ
ロ 顧客
縁 ン
ト
潜在
カオス 顧客
乱 (クラス3)
雑
あらゆる秩
序が存在!
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 95
96. サービス創造の方法論
制約1:質問しか許さない 定義する
アクションラーニング
Action-Learning why
(前半のみ利用)
問題の再定義
制約2:批判をさせない
制約3:強制的に席替え how
ワールドカフェ
World-Cafe
解決する
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 96
97. 5回のなぜ 無駄な部品交換に一円も
費やすことなく問題を根治
将来発生したであろう信用
の失墜も未然に回避
知の具現化(Realization of Knowledge)
(Why1)
(How) 毎日「通い箱」をきれ
いに掃除するだけ
(Why2)
(Why3)
プリント基板を輸送する
「通い箱」にハンダや電線 (Why4)
の細かい切れ端が付着.
輸送中の振動で導電物 (Why5) アブダクション 拍子抜けす
の切れ端がプリント基板
パラダイム破壊型ブレークスルー るほど単純
に付着し回路をショート
知の創造(Creation of Knowledge)
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 97
98. 問題の発見から解決策の発見
対処療法 根治療法
知 【2】動機の確立
の 問題解決への
具 【1】問題の発見
強い動機
現
化
【3】問題の再定義
アクション
ラーニング
【4】解決策の発見
ワールドカフェ 拍子抜けす
アブダクション るほど単純
知の創造
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 98
100. 考察
ピザ屋の質問と発想
課題分野の専門家でない参加者の意味・・・
専門外の人が参加することで着想や意見が多様化
課題提起者のブレイクスルーを促進する
不快感情からの反転
課題提起者が収束思考時に抱く不快感情は、取り除くべき
ものではない!
続く発散思考により、課題提起者の高い満足と解決に寄与!
今後リバーサル理論を用いた説明を検証する
2012年3月17日 明治大学サービス創新研究所 100