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武蔵野総合診療プログラム
- 0の軸から5の軸まで
医療法人社団実幸会
武蔵国分寺公園クリニック
院長 名郷直樹
戦略を推奨する
今日および明日のためのアイディア
やりたいこと
 やれ!
◦ 以上
やりたくないこと
 苦手な患者、指導医、職員
 興味が薄い病気
 夜中の電話、休日の当番
 これを乗り越えるために
 やる気のあるものは去れ!
◦ 仕事は、やりたいやりたくないに関係ない
2人の師匠とわたし
 五十嵐正紘
◦ 次代の王道は今の邪道から始まる
 Sackett
◦ いやいやながらの公衆衛生がその後のキャ
リアを決めた
 名郷直樹
◦ 義務としてのへき地医療がすべて
◦ やる気のでないところに宝あり
カント
 やりたい仕事ををするのと
 やりたくない仕事をするのと
 どちらが倫理的か
 どちらが価値があるか
◦ 後者が倫理的で価値のある仕事である
ここで行う研修
 やる気が起こらないからこそ
 価値がある仕事を
 一緒にやりませんか
最初に質問
 医療の目的1
◦ 診断
◦ 治療
◦ 予防
◦ 健康
 これでいいでしょうか?
続いて質問
 医療の目的2
◦ 診断しない
◦ 治療しない
◦ 予防しない
◦ 不健康
 反論のある人は?
ゼロの軸(すべての基盤)
 万物は流転する
 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
◦ こんなことが起こってしまった 受け入れられない
 進歩の源
◦ 何でも起こる 受け入れる
 進歩しない部分の源
◦ どちらも乗っかる基盤
◦ 簡単に言うと「人は死ぬ」ということ
1の軸
 あえて一言で言う
 あらゆる問題に対応する
◦ 解決はできないけれど…
◦ 少なくとも問題に向き合う
◦ 1人で無理するな
5の軸
 患者によって自分を変える
 患者や問題の種類により差別をしない
 生物学的問題だけでなく、心理社会的問題
も重視する
 臓器、ヒトにとどまらず、家庭地域を視点と
する
 診察室に来ない人のことも考慮する
患者によって自分を変える
 臓器別専門医
◦ 患者が医師の守備範囲に合わせて受診する
 地域医療専門医
◦ 守備範囲を規定しない
◦ 患者によって自分の守備範囲を変える
 境界なし
 自分ができることであっても、それにこだわらず紹介する
 自分に困難なことでも、希望に応じ対応する
差別しない
 どんな荒唐無稽な考え方も差別せず受け入れる
◦ 患者:手術はどうしてもいやなんですけど…
◦ 医師:薬の治療はありません
なんていわずに
◦ 医師:手術はどうしてもいやなんですね
そこからはじめる
 軽く扱っていい問題はない
◦ 自分の考えを基準にせず、相手の基準で考える
◦ 鼻たれも、瀕死の患者も、同じように接する
生物心理社会モデル
 高血圧の患者さんの真のアウトカム
◦ 将来の合併症の予防
 脳卒中、心筋梗塞、心不全、死亡
 多くの患者の現実の問題
◦ 脳卒中になるのではという「心配」
 血圧が高いといわれてから眠れないという心理的問題
◦ 高血圧といわれたことによる社会的影響
 昇進に響くかもしれないという社会的問題
家庭・地域を視点とする
 病気を診ずにというけれど
◦ 生物学的な「ヒト」にとどまり、「人」を診るまで
いかない
 家庭・地域の視点を明確にする
◦ どんな家庭生活の中で病んでいるか
◦ どんな地域の中で病んでいるのか
 一人暮らしで、100段の階段を登った上に住んでいる
診察室に来ない人
 診察室に来なくなってしまった患者さん
 診察室に来ていない家族
 診察室に一度も来ない患者さん
◦ 血圧を測ったことのない高血圧の患者さん
 診察室に来る必要のない患者さん
◦ 予防・ヘルスプロモーション
 本当の患者は目の前には来ていない
地域医療とは何か
 世界全体、人生全体の中での医療の役割
を踏まえつつ
 個別の患者、個別の家族、個別の地域、
個別の国、個別の社会において、提供さ
れる医療、あるいは提供されない医療
◦ へき地で学んだことを
◦ 都市部の地域医療に生かす
最後に質問
 医療の目的はなんですか?
◦ 診断するかどうか相談に乗る
◦ 治療するかどうか相談に乗る
◦ 予防するかどうか相談に乗る
◦ 健康だけでなく、不健康にも向き合う
 最初の気持ちと今の気持ちの違いにつ
いて、周りの人と話し合ってみてください
医者の役割
 人が死ぬから医者がいる
 人を死なないようにすることは出来ない
◦ この先どうかわかりませんが
◦ しかし、誰も死なない世の中というのはいっ
たいどういう世の中なのか
クリニックの体制
 常勤医 4名
 総合診療専攻医 1名
 非常勤医師 11名
 事務 1名
 医療事務 8名
 看護師 10名
 ドライバー 3名
クリニックの様子
図書館にあるかもしれません
 責任編集
◦ 名郷直樹
何かの参考になれば
EBMについて勉強したい
 EBMを武器に都市部の地域医療に賭ける

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Editor's Notes

  1. 必要に応じて 複数のポイントを使用する
  2. 短い箇条書きを使用し、 口頭で詳細を説明する