More Related Content
Similar to クリック課金型広告における、統計的入札単価決定法に関する一般論
Similar to クリック課金型広告における、統計的入札単価決定法に関する一般論 (20)
More from Masaru Kimura (14)
クリック課金型広告における、統計的入札単価決定法に関する一般論
- 2. クリック課金型広告とは 広告が表示されるだけでは課金されず、クリックされてから課金されるタイプの広告。 1 クリックに支払うコスト CPC と呼び、この大小によって表示頻度や位置が変化します。 今回は簡単のため、 CPC と CVR は独立として取り扱うことにします。 厳密には、例えば、リスティングでは CPC が上がり上部に掲載されると、興味のない人もクリックを発生させるため、 CVR が低下する傾向があります。 広告表示ページへ アクセス 広告元サイトへ アクセス 購買 / 入会 資料請求… 1 CV 1 CL 1 IMP この時に課金! 入札単価で掲載有無 や位置が変わる
- 3. 広告の利益と KPI s 一般的に、 Web プロモーションで利益を最大化する際のドライバ CV 数 /LTV/CPA の内、今回は CPA にフォーカスしてご紹介したいとおもいます。 余談ですが、リスティングの CV 数制御については掲載順位を指標としたツールがあります。 極シンプルな実装ですがコンセプトとしてはおもしろいので、真面目に考察したい ( して欲しい ) 領域ではあります。 = × - 重回帰による LTV 予測: 流入経路、入会直後動向から獲得価値を予測 ( 今回は紹介なし ) リスティングに関してのみですが、 順位対 CV 数と順位対 CPA 曲線を用いた、利益最大化理論というのがあります。 ( 着眼点としては興味深いのですが、未調査 ) 広告利益 Rev 獲得顧客数 CV 期待顧客利益 (LTV 顧客獲得コスト CPA )
- 4. 課金型広告の運用方法 『目標より高い CPA の広告は CPC を下げ、低い CPA の広告は CPC を上げる』が大原則。しかしクリックが少なかったり、 CV が 0 だった場合に信用できる CPA が求められず、各社試行錯誤をしているのが現状。 グループ化の方法やチューニング精度を競って実績紹介を証左にされる方が多いのですが… そもそも、各種パラメタをチューニングを試みても、モデル無しでチューニングするため変化の方向性も分からず、さらに収束判定も出来ない! CV 数多 許容 CPA を高めに設定。 単価調整頻度は高め CV 数少 許容 CPA を標準に設定。 単価調整も標準 CV 数無 限界予算を CPA として低めに設定 単価調整頻度も低め B 社 CV 数分類型 CPA 高 CV0 CPA 低 CV>1 停止 CPC 引上げ 頻度多 CPC 引上げ 頻度少 CPC 引下げ ( 予算消化用 ) A 社 CV 有無 /CPA 型
- 5. クリック数と信用度 最大の問題点は、 CV=0 の時 CPA を定義できない事と、どの程度のクリック数なら信用できるのかが分からない事が最大の原因。今回紹介する方法では、これを回避する方法を紹介する。 多くの運用者が避けて通ろうとして、グループ化を試行錯誤している中、敢えてこの問題に数学的に取り組んでみた。というのが今回のお話になります。 キーワードは、 CPC ・目標 CPA そして CVR です。 目標 CPA は 1000 円なんだけど、クリックがいくつになったら判断したらいいんだろう? そもそも CV が上がらないと CPA が決められないんだけどどうしたものか? あまりクリックを待ち過ぎて、赤字を増やしたくないし… 広告 A 広告 B CL 50 5,000 CV 1 101 COST 1,200 1,20000 CPA 1,200 1,188 広告 C 20 0 1000 +∞ 広告 D 200 0 500 +∞
- 6. CPA, CPC そして CVR 明らかにしたい【この広告の真の CPA は、目標 CPA より高いか低いか】は、 CPA と CPC, CVR の関係性を使うと【この広告の真の CVR は、目標 CVR より高いか低いか】に置き換える事が出来ます。 定義より CPA 、 CPC 、 CVR に対し成立する式 (1) を用いると、 まず、誰にもわからないある広告の真の CPA が、目標の CPA より高いか低いかを以下のように表すとする。 となり、真の CVR が目標の CVR と等しいかどうかに帰着する事が示された。 簡単のため、 CPC は入札により精確に決定される広告を考えると、 * 真の CVR≠0 とします 真 CPA 目標 CPA > < CPA = CPC CVR 真 CVR 目標 CVR > < ⇔ > < 目標 CVR 入札 CPC 真 CVR 入札 CPC ⇔
- 7. 実績 CVR が起きるのはどのくらいの確率? 今、【真の CVR と目標 CVR が等しい】と仮定して、 【真の CVR にも関わらず、実績の CVR が得られる確率】について議論をすることにします。 さて、統計学は ( 幾つかの比較的妥当な仮定を置くとして ) 、実際にクジを引いた際のアタリの割合 (CVR) がどの程度起き得るかについて教えてくれます。 これにより、判別したい広告の CVR が【真の CVR でも起きる事態か否か】を判別する事ができ、各広告単位でどの程度のクリックであれば単価を変更するべきかを教えてくれる 概念図 真 CVR 実績 CVR CVR 10 回試行した際に その CVR が発生する確率 真 CVR 実績 CVR CVR 100 回試行した際に その CVR が発生する確率 見切り確率以上なので この実績 CVR は起き得る。 見切り確率以下なので この実績 CVR は偶然ではない! 見切り確率 具体的な例を上げると、 真の CVR が 1% とは、 10000 本 (Click) 中 100 本のアタリ (CV) が入っているクジと考える事ができ、 この時、実績 CVR が 0.5% とは、試しに 1000 本のクジを引いた時に 5 本アタリを引いた事に相当します。
- 8. 最後にまとめ。 少し統計的に踏み込むと、今回の問題は【母比率検定】に帰着する事が出来ます。 真の CVR を母比率 (π), 実績 CVR を標本比率 (p), クリック数を標本数 (N) とすると、下記の統計量zは近似的に標準正規分布に従うため、このzの値から有意確率を算出する事が出来ます。 z = |P-π| 1/2 なお、単価調整の幅については、 【実績 CVR が偶然発生し得る真の CVR 】を上式を利用して逆算できるので CPA の定義式を利用して調整するべき CPC を算出することができます。 ) ( N π(1-π)