ソフトウェアの設計構造(アーキテクチャ)は組織に従うというコンウェイの
法則がある。これは、「システムを設計する組織は、その構造をそっくりまねた
構造の設計を生みだしてしまう。」というものである。
これは、新しいソフトウェア設計を導入するためには、組織構造も変革しな
ければならないということを示唆している。残念ながら、多くの日本企業の
経営幹部には、ICTをベースに事業やビジネス機能を展開してくるデジタル
ネイティブな海外ベンダーのサービスが破壊的との認識がない。
インターネットにある各種サービスを活用し、オープンソースと共同開発を
行うことの重要性を理解し、さらには、利用者の反応を見ながらサービス提供者が
現場でプログラミングするなどDevOps(デブオプス)が今、不可欠なソフトウェア
開発手法である。そのためには、サービスの企画から開発、運用まで一貫した
チーム編成が重要となる。ところが伝統的な企業の多くは、それを理解せず
外部の情報サービス企業に開発を委ねるだけになっている。
社内外のサービスを有機的に統合する開発手法として、マイクロサービス
(microservices)という米国発の概念が、昨年から大規模インターネットサービスの
設計指針として注目されている。ここ10年間の大規模システ開発の成功事例を
観察してみると、そこには共通の設計パターンがあったというものだ。
システムの各機能を疎結合にするために縦割り自己完結組織を作る。部門間の
コミュニケーションを意図的に減らし個別最適化を図ることが最良というものだ。
このように、IT技術の利活用は企業の組織と文化と表裏一体の関係にある。
この文脈で、NTTドコモでの外部パートナーを開発チームとして迎えた
オープンなDevOpsの実践事例を紹介し、さまざまなオープンイノベーションを
実践するリーダー企業の視点から、組織開発・経営マネジメントの論として捉え、その成功要因を模索していく。