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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
占領期前後における
城戸幡太郎の
学校図書館に関する関与
今井 福司
白百合女子大学文学部共通科目
2014 年 5 月 24 日
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
本スライドについて
本スライドは 2014 年日本図書館情報学会春
季研究集会で学会発表をした際に用いたスラ
イドです。
ただし,Web 上での公開にあたり,著作権上
の問題をクリアするために一部画像をぼかし
てありますので,予めご容赦下さい。
2 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
1 はじめに
本研究の問題意識・背景
研究目的と問題設定
城戸の略歴
2 『生活技術と教育文化』での記述
『生活技術と教育文化』とは
学校図書館に関わる記述
城戸の「教具史観」
3 『図書教育』での発言,関与
4 北海道大学赴任後の発言
5 考察・今後の課題
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
1 はじめに
本研究の問題意識・背景
研究目的と問題設定
城戸の略歴
2 『生活技術と教育文化』での記述
『生活技術と教育文化』とは
学校図書館に関わる記述
城戸の「教具史観」
3 『図書教育』での発言,関与
4 北海道大学赴任後の発言
5 考察・今後の課題
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
問題意識
学校図書館史研究では図書館関係者の研究は
あるが,学校教育関係者の研究は十分では
ない。
学校教育における学校図書館の位置づけを探
るためには,図書館関係者に限らない,双方
からの検討が不可欠である。
5 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
本発表の位置づけ(1)
学校図書館の導入
学校図書館
関係者
教育学者 教師
学校教育関係者
Figure 1: 学校図書館の導入に関わる構造(全体)
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
本発表の位置づけ(2)
学校図書館の導入
学校図書館
関係者
教育学者 教師
学校教育関係者
Figure 2: 学校図書館の導入に関わる構造(本発表)
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
本発表の位置づけ(3)
学校図書館の導入
教育学者 教師
学校教育関係者
教育学者の関与を探るために,
教育心理学者の城戸幡太郎を扱う。
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
城戸幡太郎を取り上げる理由
1 戦前から戦後を通じて教育関連の著作を多く
発表しているため。
2 特に戦後は国立教育政策研究所研究員,北海
道大学教育学部長として,影響力が大きい人
物であったため。
3 学校図書館や図書教育に関する著作を複数残
しているため。
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
先行研究について
例えば,以下のような先行研究が存在する。
城戸そのものを研究対象とした学位論文 1
分野ごとの城戸の貢献を指摘した論文 2
学校図書館の関与についての研究は見られない。
1
高橋智. 城戸幡太郎の教育科学と障害児教育理論の研究 — 障害児教
育における「近代化」と「現代化」の歴史的位相. PhD thesis,
東京都立大学, 1998.
2
高桑康雄ら. 第 2 次世界大戦前における城戸幡太郎の映画教育・放
送教育論–視聴覚教育史上の城戸幡太郎-1-. 上智大学教育学論集,
pp. 40–74, 1992.
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
研究目的と問題設定
目的: 城戸の占領期前後における学校図書館
の関与を明らかにする。
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
研究目的と問題設定
目的: 城戸の占領期前後における学校図書館
の関与を明らかにする。
問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
研究目的と問題設定
目的: 城戸の占領期前後における学校図書館
の関与を明らかにする。
問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。
1 城戸幡太郎は学校図書館について,
どのような発言をしていたか。
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
研究目的と問題設定
目的: 城戸の占領期前後における学校図書館
の関与を明らかにする。
問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。
1 城戸幡太郎は学校図書館について,
どのような発言をしていたか。
2 城戸幡太郎は学校図書館運動や改
革に,どの程度関わっていたか。
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
城戸の略歴(戦前)
東京帝国大学文学部心理学科の卒業論文で小
学生を被験者にした際,能力発達の差に気づ
き,教育問題に関心を持った。
その後,法政大学教授を勤めながら,岩波書
店の『教育科学講座』編集に参加。
1939 年には雑誌『教育』を中心とした研究
グループにより,教育科学研究会を結成。
1944 年 6 月,戦時体制の中で,治安維持法違
反容疑で検挙・拘留された。
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
城戸の略歴(戦後)
終戦直後に釈放,1945 年 11 月からは国立教
育研究所の所員となる。
1948 年から北海道大学教育学部創設準備委
員会委員となる。
同時に,米国教育使節団事業局事業委員,教
育刷新委員会委員など要職を務め,占領期の
教育改革に関わった。
1951 年から北海道大学教育学部教授として
赴任,以降 1982 年まで教育現場に携わって
いた。
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
1 はじめに
本研究の問題意識・背景
研究目的と問題設定
城戸の略歴
2 『生活技術と教育文化』での記述
『生活技術と教育文化』とは
学校図書館に関わる記述
城戸の「教具史観」
3 『図書教育』での発言,関与
4 北海道大学赴任後の発言
5 考察・今後の課題
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
『生活技術と教育文化』とは
1939 年,教育科学研究会を結成したのと同
時に発行された。
城戸の学校教育に関する論考をまとめた
書籍。
例えば,学校の教科について,6 歳から 8 歳
までには教科を統合した合科で授業を行い,
それ以降を教科を分けた分科にすべきといっ
た,学校制度そのものの変革を訴えている。
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
読書指導の場としての児童図書室
読書指導読書能力を教育的に考えるには読書
指導が必要である。
一般家庭に最初から児童の読書指導を要求す
るのが困難である。
学校に完備した児童図書室を設け教師の指導
が必要である。
この指摘に続いて,L. C. Fargo による学校図書館
の機能の提唱が紹介されている。
19 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
城戸の「教具史観」
教具を “教育の方法または手段として使用さ
れる道具” と定義した。
その上で,教材を教えるための補助的な道具
としてではなく,それ自体も教材(教える内
容)たり得る事を提示した。
教育の発達は教育の道具の発達の歴史である
としたことから,“教具史観” と呼ばれている。
様々な教具を用いて教育を行う点は,学校図書館
の多様な資料の提供による教育支援と通じるとこ
ろがある。
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
1 はじめに
本研究の問題意識・背景
研究目的と問題設定
城戸の略歴
2 『生活技術と教育文化』での記述
『生活技術と教育文化』とは
学校図書館に関わる記述
城戸の「教具史観」
3 『図書教育』での発言,関与
4 北海道大学赴任後の発言
5 考察・今後の課題
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
『図書教育』の創刊
終戦後,城戸は国立教育研究所 3
の所員とし
て招かれる。
図書教育の方法に関する研究部門を確立する
ため,図書教育研究協議会が設立され,事業
の 1 つとして雑誌『図書教育』の編集指導が
含まれていた。
城戸は編集を担当する図書教育研究会の委員
長であり,事実上の編集長だった。
3
現在の国立教育政策研究所
22 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
城戸の担当した記事(1)
「図書館で見る社会科学習の生態」
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
城戸の担当した記事(2)
「学習指導と図書館—公共図書館の批判に応えて—」
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
城戸の担当した記事(3)
「いかに読むべきか」
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
図書教育における城戸の貢献
座談会(進行役として)
図書館長らを対象とした「図書館で見る社会科
学習の生態」
中学校,高等学校の教員を対象とした「学習指
導と図書館」
寄稿
図書教育の問題点を論じた「いかに読むべきか」
ただし,問題点が指摘されるだけで実際の解決法
が提示されるまでには至らなかった。
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
1 はじめに
本研究の問題意識・背景
研究目的と問題設定
城戸の略歴
2 『生活技術と教育文化』での記述
『生活技術と教育文化』とは
学校図書館に関わる記述
城戸の「教具史観」
3 『図書教育』での発言,関与
4 北海道大学赴任後の発言
5 考察・今後の課題
27 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
北海道図書放送視聴覚研究協議会
1954 年に別個の運動団体として存在した視
聴覚,放送,図書館について,三団体が提携
する協議会を設立。
城戸は機関誌『新しい教材』に理事長発行責
任者として関わった。
28 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
『新しい教材』への寄稿
『新しい教材』創刊号では,様々な教材を下
記の 3 つに分類した。
第一次教材: 生徒の生活経験と結びつくもの
第二次教材: 経験する事柄のうちに一定の法
 則性を持つもの
第三次教材: 解決の方法を考えさせる実践的
 知識を含んだもの
この上で,有効な教具を総合的に使用するこ
と,視聴覚教材,学校図書館がバランス良く
整備されていくことが重要だと述べている。
29 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
訂正:要綱4ページ目 参考文献18)
誤: Vol. 3, No. 1
正: Vol. 3, No. 3
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
僻地における図書室の必要性
自学自習を訓練するには読書指導が必要であ
り,それを効果的にするためには図書室の整
備が必要である。
小さな学校を設計する上では図書室を別に設
けるべきだ。
図書室以外に学習効果を上げるためには,視
聴覚教具や放送の利用も必要である。
自学自習のための読書指導や,それを支える私
設施設としての学校図書館という点は重要であ
る。(p. 81 下から 17 行目訂正)
31 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
『新しい教材』の休刊
「もう啓蒙やサービスの時期ではない」と述べている。こ
の後,1 年で『新しい教材』は休刊となった。
32 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
1 はじめに
本研究の問題意識・背景
研究目的と問題設定
城戸の略歴
2 『生活技術と教育文化』での記述
『生活技術と教育文化』とは
学校図書館に関わる記述
城戸の「教具史観」
3 『図書教育』での発言,関与
4 北海道大学赴任後の発言
5 考察・今後の課題
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はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
考察(1)
問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。
1 城戸幡太郎は学校図書館について,
どのような発言をしていたか。
2 城戸幡太郎は学校図書館運動や改
革に,どの程度関わっていたか。
34 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
考察(1)
問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。
1 城戸幡太郎は学校図書館について,
どのような発言をしていたか。
教科書以外の様々な教具を,総合的
に活用することを主張していた。
学校図書館は自学自習を訓練するた
めの読書指導を支える場として考え
ていた。
2 城戸幡太郎は学校図書館運動や改
革に,どの程度関わっていたか。
35 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
考察(1)
問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。
1 城戸幡太郎は学校図書館について,
どのような発言をしていたか。
教科書以外の様々な教具を,総合的
に活用することを主張していた。
学校図書館は自学自習を訓練するた
めの読書指導を支える場として考え
ていた。
2 城戸幡太郎は学校図書館運動や改
革に,どの程度関わっていたか。
各種研究団体の設立に関わり,学校
図書館研究を促す土台作りに関わっ
ていた。
36 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
考察(2)
城戸の指摘は,学校図書館の重要性だけでは
なく,学校図書館をどのように学校教育に位
置づけるかまでを指摘していた。
ただし,ほぼ構想にとどまっており,実際の
影響力はそれほどなかったと思われる。
今後も教育学者がどのように学校図書館を考えて
いたかを引き続き調査していきたい。
37 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
課題
1 検討対象の網羅性について
城戸が執筆した短報の中には,図書教育につい
て触れている文献がまだ見受けられる。類似の
記述も多いが,可能な限り網羅的な検討が必要
である。
2 他の教育学者の関与,教員の関与について
城戸以外の教育学者,あるいは現場の教員がど
のように関与していたのかについても追加の検
討が必要である。
38 / 39
はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題
発表は以上です。
コメントなど頂ければ幸いです。
E-Mail: fukuji@rc5.so-net.ne.jp
39 / 39

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占領期前後における城戸幡太郎の学校図書館に関する関与

  • 1. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 占領期前後における 城戸幡太郎の 学校図書館に関する関与 今井 福司 白百合女子大学文学部共通科目 2014 年 5 月 24 日 1 / 39
  • 2. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 本スライドについて 本スライドは 2014 年日本図書館情報学会春 季研究集会で学会発表をした際に用いたスラ イドです。 ただし,Web 上での公開にあたり,著作権上 の問題をクリアするために一部画像をぼかし てありますので,予めご容赦下さい。 2 / 39
  • 3. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 1 はじめに 本研究の問題意識・背景 研究目的と問題設定 城戸の略歴 2 『生活技術と教育文化』での記述 『生活技術と教育文化』とは 学校図書館に関わる記述 城戸の「教具史観」 3 『図書教育』での発言,関与 4 北海道大学赴任後の発言 5 考察・今後の課題 3 / 39
  • 4. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 1 はじめに 本研究の問題意識・背景 研究目的と問題設定 城戸の略歴 2 『生活技術と教育文化』での記述 『生活技術と教育文化』とは 学校図書館に関わる記述 城戸の「教具史観」 3 『図書教育』での発言,関与 4 北海道大学赴任後の発言 5 考察・今後の課題 4 / 39
  • 5. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 問題意識 学校図書館史研究では図書館関係者の研究は あるが,学校教育関係者の研究は十分では ない。 学校教育における学校図書館の位置づけを探 るためには,図書館関係者に限らない,双方 からの検討が不可欠である。 5 / 39
  • 6. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 本発表の位置づけ(1) 学校図書館の導入 学校図書館 関係者 教育学者 教師 学校教育関係者 Figure 1: 学校図書館の導入に関わる構造(全体) 6 / 39
  • 7. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 本発表の位置づけ(2) 学校図書館の導入 学校図書館 関係者 教育学者 教師 学校教育関係者 Figure 2: 学校図書館の導入に関わる構造(本発表) 7 / 39
  • 8. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 本発表の位置づけ(3) 学校図書館の導入 教育学者 教師 学校教育関係者 教育学者の関与を探るために, 教育心理学者の城戸幡太郎を扱う。 8 / 39
  • 9. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 城戸幡太郎を取り上げる理由 1 戦前から戦後を通じて教育関連の著作を多く 発表しているため。 2 特に戦後は国立教育政策研究所研究員,北海 道大学教育学部長として,影響力が大きい人 物であったため。 3 学校図書館や図書教育に関する著作を複数残 しているため。 9 / 39
  • 10. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 先行研究について 例えば,以下のような先行研究が存在する。 城戸そのものを研究対象とした学位論文 1 分野ごとの城戸の貢献を指摘した論文 2 学校図書館の関与についての研究は見られない。 1 高橋智. 城戸幡太郎の教育科学と障害児教育理論の研究 — 障害児教 育における「近代化」と「現代化」の歴史的位相. PhD thesis, 東京都立大学, 1998. 2 高桑康雄ら. 第 2 次世界大戦前における城戸幡太郎の映画教育・放 送教育論–視聴覚教育史上の城戸幡太郎-1-. 上智大学教育学論集, pp. 40–74, 1992. 10 / 39
  • 11. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 研究目的と問題設定 目的: 城戸の占領期前後における学校図書館 の関与を明らかにする。 11 / 39
  • 12. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 研究目的と問題設定 目的: 城戸の占領期前後における学校図書館 の関与を明らかにする。 問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。 12 / 39
  • 13. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 研究目的と問題設定 目的: 城戸の占領期前後における学校図書館 の関与を明らかにする。 問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。 1 城戸幡太郎は学校図書館について, どのような発言をしていたか。 13 / 39
  • 14. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 研究目的と問題設定 目的: 城戸の占領期前後における学校図書館 の関与を明らかにする。 問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。 1 城戸幡太郎は学校図書館について, どのような発言をしていたか。 2 城戸幡太郎は学校図書館運動や改 革に,どの程度関わっていたか。 14 / 39
  • 15. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 城戸の略歴(戦前) 東京帝国大学文学部心理学科の卒業論文で小 学生を被験者にした際,能力発達の差に気づ き,教育問題に関心を持った。 その後,法政大学教授を勤めながら,岩波書 店の『教育科学講座』編集に参加。 1939 年には雑誌『教育』を中心とした研究 グループにより,教育科学研究会を結成。 1944 年 6 月,戦時体制の中で,治安維持法違 反容疑で検挙・拘留された。 15 / 39
  • 16. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 城戸の略歴(戦後) 終戦直後に釈放,1945 年 11 月からは国立教 育研究所の所員となる。 1948 年から北海道大学教育学部創設準備委 員会委員となる。 同時に,米国教育使節団事業局事業委員,教 育刷新委員会委員など要職を務め,占領期の 教育改革に関わった。 1951 年から北海道大学教育学部教授として 赴任,以降 1982 年まで教育現場に携わって いた。 16 / 39
  • 17. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 1 はじめに 本研究の問題意識・背景 研究目的と問題設定 城戸の略歴 2 『生活技術と教育文化』での記述 『生活技術と教育文化』とは 学校図書館に関わる記述 城戸の「教具史観」 3 『図書教育』での発言,関与 4 北海道大学赴任後の発言 5 考察・今後の課題 17 / 39
  • 18. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 『生活技術と教育文化』とは 1939 年,教育科学研究会を結成したのと同 時に発行された。 城戸の学校教育に関する論考をまとめた 書籍。 例えば,学校の教科について,6 歳から 8 歳 までには教科を統合した合科で授業を行い, それ以降を教科を分けた分科にすべきといっ た,学校制度そのものの変革を訴えている。 18 / 39
  • 19. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 読書指導の場としての児童図書室 読書指導読書能力を教育的に考えるには読書 指導が必要である。 一般家庭に最初から児童の読書指導を要求す るのが困難である。 学校に完備した児童図書室を設け教師の指導 が必要である。 この指摘に続いて,L. C. Fargo による学校図書館 の機能の提唱が紹介されている。 19 / 39
  • 20. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 城戸の「教具史観」 教具を “教育の方法または手段として使用さ れる道具” と定義した。 その上で,教材を教えるための補助的な道具 としてではなく,それ自体も教材(教える内 容)たり得る事を提示した。 教育の発達は教育の道具の発達の歴史である としたことから,“教具史観” と呼ばれている。 様々な教具を用いて教育を行う点は,学校図書館 の多様な資料の提供による教育支援と通じるとこ ろがある。 20 / 39
  • 21. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 1 はじめに 本研究の問題意識・背景 研究目的と問題設定 城戸の略歴 2 『生活技術と教育文化』での記述 『生活技術と教育文化』とは 学校図書館に関わる記述 城戸の「教具史観」 3 『図書教育』での発言,関与 4 北海道大学赴任後の発言 5 考察・今後の課題 21 / 39
  • 22. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 『図書教育』の創刊 終戦後,城戸は国立教育研究所 3 の所員とし て招かれる。 図書教育の方法に関する研究部門を確立する ため,図書教育研究協議会が設立され,事業 の 1 つとして雑誌『図書教育』の編集指導が 含まれていた。 城戸は編集を担当する図書教育研究会の委員 長であり,事実上の編集長だった。 3 現在の国立教育政策研究所 22 / 39
  • 23. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 城戸の担当した記事(1) 「図書館で見る社会科学習の生態」 23 / 39
  • 24. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 城戸の担当した記事(2) 「学習指導と図書館—公共図書館の批判に応えて—」 24 / 39
  • 25. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 城戸の担当した記事(3) 「いかに読むべきか」 25 / 39
  • 26. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 図書教育における城戸の貢献 座談会(進行役として) 図書館長らを対象とした「図書館で見る社会科 学習の生態」 中学校,高等学校の教員を対象とした「学習指 導と図書館」 寄稿 図書教育の問題点を論じた「いかに読むべきか」 ただし,問題点が指摘されるだけで実際の解決法 が提示されるまでには至らなかった。 26 / 39
  • 27. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 1 はじめに 本研究の問題意識・背景 研究目的と問題設定 城戸の略歴 2 『生活技術と教育文化』での記述 『生活技術と教育文化』とは 学校図書館に関わる記述 城戸の「教具史観」 3 『図書教育』での発言,関与 4 北海道大学赴任後の発言 5 考察・今後の課題 27 / 39
  • 28. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 北海道図書放送視聴覚研究協議会 1954 年に別個の運動団体として存在した視 聴覚,放送,図書館について,三団体が提携 する協議会を設立。 城戸は機関誌『新しい教材』に理事長発行責 任者として関わった。 28 / 39
  • 29. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 『新しい教材』への寄稿 『新しい教材』創刊号では,様々な教材を下 記の 3 つに分類した。 第一次教材: 生徒の生活経験と結びつくもの 第二次教材: 経験する事柄のうちに一定の法  則性を持つもの 第三次教材: 解決の方法を考えさせる実践的  知識を含んだもの この上で,有効な教具を総合的に使用するこ と,視聴覚教材,学校図書館がバランス良く 整備されていくことが重要だと述べている。 29 / 39
  • 30. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 訂正:要綱4ページ目 参考文献18) 誤: Vol. 3, No. 1 正: Vol. 3, No. 3 30 / 39
  • 31. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 僻地における図書室の必要性 自学自習を訓練するには読書指導が必要であ り,それを効果的にするためには図書室の整 備が必要である。 小さな学校を設計する上では図書室を別に設 けるべきだ。 図書室以外に学習効果を上げるためには,視 聴覚教具や放送の利用も必要である。 自学自習のための読書指導や,それを支える私 設施設としての学校図書館という点は重要であ る。(p. 81 下から 17 行目訂正) 31 / 39
  • 32. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 『新しい教材』の休刊 「もう啓蒙やサービスの時期ではない」と述べている。こ の後,1 年で『新しい教材』は休刊となった。 32 / 39
  • 33. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 1 はじめに 本研究の問題意識・背景 研究目的と問題設定 城戸の略歴 2 『生活技術と教育文化』での記述 『生活技術と教育文化』とは 学校図書館に関わる記述 城戸の「教具史観」 3 『図書教育』での発言,関与 4 北海道大学赴任後の発言 5 考察・今後の課題 33 / 39
  • 34. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 考察(1) 問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。 1 城戸幡太郎は学校図書館について, どのような発言をしていたか。 2 城戸幡太郎は学校図書館運動や改 革に,どの程度関わっていたか。 34 / 39
  • 35. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 考察(1) 問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。 1 城戸幡太郎は学校図書館について, どのような発言をしていたか。 教科書以外の様々な教具を,総合的 に活用することを主張していた。 学校図書館は自学自習を訓練するた めの読書指導を支える場として考え ていた。 2 城戸幡太郎は学校図書館運動や改 革に,どの程度関わっていたか。 35 / 39
  • 36. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 考察(1) 問題設定: 下記の 2 点について調査を行う。 1 城戸幡太郎は学校図書館について, どのような発言をしていたか。 教科書以外の様々な教具を,総合的 に活用することを主張していた。 学校図書館は自学自習を訓練するた めの読書指導を支える場として考え ていた。 2 城戸幡太郎は学校図書館運動や改 革に,どの程度関わっていたか。 各種研究団体の設立に関わり,学校 図書館研究を促す土台作りに関わっ ていた。 36 / 39
  • 37. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 考察(2) 城戸の指摘は,学校図書館の重要性だけでは なく,学校図書館をどのように学校教育に位 置づけるかまでを指摘していた。 ただし,ほぼ構想にとどまっており,実際の 影響力はそれほどなかったと思われる。 今後も教育学者がどのように学校図書館を考えて いたかを引き続き調査していきたい。 37 / 39
  • 38. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 課題 1 検討対象の網羅性について 城戸が執筆した短報の中には,図書教育につい て触れている文献がまだ見受けられる。類似の 記述も多いが,可能な限り網羅的な検討が必要 である。 2 他の教育学者の関与,教員の関与について 城戸以外の教育学者,あるいは現場の教員がど のように関与していたのかについても追加の検 討が必要である。 38 / 39
  • 39. はじめに 『生活技術と教育文化』での記述 『図書教育』での発言,関与 北海道大学赴任後の発言 考察・今後の課題 発表は以上です。 コメントなど頂ければ幸いです。 E-Mail: fukuji@rc5.so-net.ne.jp 39 / 39