Cytoscape and NDEx ecosystem for DBCLS researchers

1. Cytoscape Ecosystem Roadmap
アプリケーションからデータも含めた環境へ
Keiichiro Ono
University of California, San Diego
Dept. of Medicine (Trey Ideker Lab)

2. 自己紹介
• Keiichiro ONO （大野圭一朗）
• ライフサイエンス分野に特化したソフトウェア開発者
• カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部 Trey Ideker研究室
• 以下の非営利団体で技術者をやっています
• National Resource for Network Biology
• The Cytoscape Consortium
• Cancer Cell Map Initiative
• San Diego Center for Systems Biology
• 主なプロジェクト
• Cytoscape / DCell / NDEx

3. 最近のプロジェクト
遺伝子の機能的階層構造・機械学習の結果の可視化

4. Using deep learning to model the hierarchical structure and function of a cell.
Ma J, Yu MK, Fong S, Ono K, Sage E, Demchak B, Sharan R, Ideker T. Nat Methods. 2018 Mar 5. doi:
10.1038/nmeth.4627. PMID: 29505029

5. A gene ontology inferred from molecular networks. Dutkowski J,
Kramer M, Surma MA, Balakrishnan R, Cherry JM, Krogan NJ,
Ideker T., Nature Biotechnology 2013 Jan;31(1):38-45.
NeXO Web: the NeXO ontology database and visualization
platform. Dutkowski J, Ono K, Kramer M, Yu M, Pratt D,
Demchak B, Ideker T., Nucleic Acids Res. 2014 Jan;42(Database
issue).

7. HiView:
Universal Browser for hierarchical
data

8. 本日の概要
• ネットワーク/パスウェイ関係のツールの現状
• 現状の問題点
• 新しいユーザーの入り口の問題
• 複雑なデータの閲覧性の問題
• 今後のロードマップ
• オープンなプロジェクトの持続性を求めて
〜何か協力できることは無いだろうか？

9. ここまでの歴史と現状
ネットワーク可視化・分析周辺ツールのエコシステム

10. Cytoscape
Desktop
Open source platform for network analysis
and visualization
2003 - ongoing

11. 2003V1.0

12. 2020v 3.8

15. 大規模なインタラクションか
ら複雑な手書きのパスウェイ
まで描画可能

16. Cytoscape Desktopの現状
• 最新バージョン: 3.8.0 （まもなくリリース）
• 現在も継続的に開発中
• 基本的には2000年代初頭から続く同じコードベース (Java)
• v3シリーズへの意向で後方互換性を無くしたが、サードパーティーのア
プリケーション(App)も含めて移行は成功
• 予算的・人員的にも安定している
• 描画ニーズの部分に関しては、かなりの範囲をカバーできるようになった
• サーバーとしても作動 （CyREST API）

17. Cytoscape Desktopでの描画
• 大規模な相互作用から詳細なパスウェイまで可視化可能
• 一般的なノードリンク図
• Annotation - バックグラウンドキャンバスへの描画
• 一般的な生物学分野での描画ニーズに関しては、かなりの部分をカバーできるようになった

18. パワーユーザー向けのツール

19. ウェブ関連テクノロジーへの対
応
• 科学者も含めたエンドユーザーが実際に扱うユーザーインターフェースがウェブ
ブラウザ上で動くようなものになる流れは決定的
➡ UIのウェブ関連技術での再構築
• 解析関連のいわゆる「重い」計算をクライアント側で全て実行するのは現実的で
はない
• Javaでアプリケーションのアドオン/プラグイン/Appをサードパーティーの開発
者に書いてもらうことはもはや現実的とはいえない
➡ サービス化

20. ノートブック型アプリケーションへの対応

21. Cytoscape.js:
Library for building
network visualization
web applications

22. Cytoscape.jsの利用例
Cytoscape.js = カスタムのウェブアプリケーションを作るための部品

23. Dash Cytoscape
by Plotly
• Plotly社がReactコンポーネント化し
たCytoscape.jsを用いて作った
Pythonによるラッパー
• JSを書きたくない、Pythonなら使
えるというデータ分析者向けの可視
化コンポーネントとして開発されて
いる

24. 現在の問題点
生物学者のニーズに継続的に答えていくためには

25. 広いユースケースに対応する
• 一定以上の計算機関連リテラシーを持つ研究
者（ある程度のプログラミングスキルを持つ
人々）向けのツールはかなり充実している
• R/Pythonで実装された一連のツール群
• ノートブック型アプリケーション
• コンテナ化された環境
• それ以外の人々向けは？

26. 広いユースケースに対応する
• 初学者向けワークショップでいまだに多
い質問：
「ネットワーク・パスウェイ系の解析、
可視化を行いたいが、データはどこから
持ってくるのか？」
• ネットワーク系のアプリケーションは、
遺伝子のリストを得た後に、そこから先
の解析や解釈で用いられる
➡ 遺伝子のリストから始めて、簡単に使
い始められるツールの必要性
TP53
PIK3CA
PTEN
APC
VHL
KRAS
MLL3
MLL2
ARID1A
PBRM1
NAV3
EGFR
NF1
...

27. データも含めてエコシステムを作
る
• 新しいユーザー層にリーチしようとする場合、ツールのみでは難しい
• なんらかのデータを紐付けて、すぐに使えるようにする
• 公共データベースや公開されたデータをもとにキュレーションを行う
• ユーザーデータも含めて登録可能にする
• それらのデータを利用して解析を行なったり、外部ツールを作成したりで
きるようにする

28. NDEx
the Network Data Exchange:
A Resource for Network Analysis, Collaboration and Publication
(「インデックス」と発音します)

29. NDExとは？
• 生物学方面のネットワーク/パス
ウェイデータのためのワークス
ペース兼公開のためのプラット
フォーム
• 「生物学的ネットワークのため
のGitHub」
• 公共データベースに登録された
もののミラーと、ユーザーデー
タの併用

31. • ユーザーアカウントを作成すると
、10GBまでのネットワークデー
タを自由に登録できる
• 登録されたネットワークは、
Cytoscape.jsによってインタラク
ティブなネットワーク図として共
有可能
• 公開範囲の設定も可能
• DOIを取得し、論文に紐づいたデ
ータとしても公開可能

32. https://home.ndexbio.org/publishing-in-ndex/

33. IQuery
NDExをバックエンドにした新しいユーザー向けの入り口

34. NDEx IQuery

35. IQuery Overview
• 遺伝子の単純なリスト（重みなし）の概要を簡単
に得ることを目的にしたウェブ・アプリケーショ
ン
• エンリッチメント解析と既知の相互作用の検索を
行い、結果をインタラクティブなネットワーク図
として表示する
• Pathway Enrichment Analysis
• Protein-Protein interaction / Gene association
neighborhood search
• 外部アプリケーションとの連携
• Cytoscapeで直接開くことによる図の編集
• NDExへの登録

36. Yet another enrichment analysis tool…?
• ネットワーク関連ツールを利用するユーザーの「入口」を想定
• 「ネットワークやパスウェイ解析をしたいがデータの入手がわからない」という質問に対
する一つの答え
• 遺伝子リストを得た後、極力ストレスなく、概要をつかめるようなツールを目指す
• ヒトを研究対象にしている人にまずフォーカス
• ただGene Symbolのリストをコピー＆ペーストするだけ
• 現在最初のリリース版。今後も機能追加や修正を継続的に行う

37. NDEx IQuery

38. Query Genes
ユーザーが入力した遺伝子のリス
トとそのマッチした結果

39. Hit List
関連パスウェイのリスト

40. Network View
現在選択されているパスウェイ/ ネットワ
ークに関する詳細

41. IQuery Demo
http://search.ndexbio.org/

42. 生物学分野におけるネットワーク関連のツール
• データ統合
• ネットワーク分析
• ネットワーク可視化
• データ公開

43. 生物学分野におけるネットワーク関連のツール
• データ統合
• ネットワーク分析
• ネットワーク可視化
• データ公開

44. 大規模データの閲覧性の問題
巨大な「毛玉」からの脱却

45. Protein-Protein Interaction
Genetic Interaction
Co-Expression
Drug-Gene Interaction

46. Great for journal cover image,
but not human-
understandable…

47. 大規模なネットワークを閲覧する
• 私たちのグループが取り組んでいるテーマの一つ
• 人の手が入っていない、生の大規模な相互作用データと、人によってキュ
レートされたデータの統合やside-by-sideでの閲覧性の問題
• GOなどの専門家の知見やクラスタリング、コミュニティ検出などの統計
的手法を使って、この問題を解決できないだろうか

48. Question:
How modules are connected?

49. Question:
How modules are
connected?
Group of genes

50. By expert knowledge:
Gene Ontology
Human-curated

51. Gene Ontology
(DAG, Human-curated)

52. By bottom-up approach:
Data-Driven Ontology
Machine-generated

53. Data Driven Ontology
• セマンティック・ウェブ関連技術の専門家の皆さんの前で言うと誤解を招
きそうですが…
• 要するに、専門家が手作業で構築した知識ベースと比較・検討できるよう
な、データからボトムアップに構築する遺伝子情報の階層構造化
• これを基にしたデータ閲覧ができないか？

54. Data-Driven Ontology Toolkit
(DDOT)
https://ddot.readthedocs.io/en/latest/

57. Repository of
interactions
Input networks
Data-Driven Ontology
Data Browser
(HiView)

58. Techniques and Technologies:
- Graph layout / drawing
- Clustering
- Data Integration

59. Louvain
Clixo
Infomap
https://en.wikipedia.org/wiki/Louvain_Modularity
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24932003
http://www.mapequation.org/code.html
DDOT
/
HiView

61. HiView: Universal Browser for Hierarchy

62. このプロジェクトのゴール
• Cytoscapeなどのツールに、こういった階層化に基づくデータの閲覧技法
を組み込む
• クラスタリングやコミュニティ検出をもっと生物学者にとって身近な手法
にする

63. 今後のロードマップ

64. Cytoscape Home
cytoscape.orgのポータルサイト化

65. (Biological) Data is King
データも含めたエコシステムへ

66. www.cytoscape.org

70. ポータル化に必要なもの
• ブランディング - Cytoscapeという広く知られた名称を使う
• ミニマルな「入り口」- 初めてのユーザーでも抵抗なく入って行けるように
• ウェブかデスクトップかといったことを意識せずに使えるツールの連携
• 必要なレガシーツールのウェブ化・サービス化
• データの互換性
• 外部のデータ提供者との連携
• NDExはあくまでユーザーのデータが主役
• 定番の公開データをミラー

72. CZIのグラント
• 割と広い範囲からプロジェクトを募
集
• 同時期に採択されたソフトウェアに
はSciPyなど、幅広く定番が含まれる
• 我々は基本的には先に述べた
Cytosacpe Home実現のためのコン
ポーネント、具体的にはネトワーク
のブラウザ上でのエディタなどを開
発する

73. リブランディング
デスクトップ・アプリケーション名からデータも含めた解析環境全体

74. まとめ
• 可視化やツールはかなり充実した
• 今後の問題は、それをいかにデータと一緒に「使い方」として提供するか
• より知見を得やすい可視化技法の開発
• 持続性
• いかにソフトウェアの寿命を伸ばすか？
• モダン化
• 解析・可視化のツールチェインのみではなく、それらが使うデータを含めたエコシステムへ

75. ディスカッション:
データベースを作られる方々へ
オープンなデータやツールのみで完結する場合に欠けているものは何か
？

76. ここまでの流れ
• 2001年頃 - Cytoscapeの開発が始まる
• 2005年頃 - v2の機能が充実し始める
• 2008年頃 - v3への（辛い）移行時期
• 2020年現在 - 基本機能は一通り揃う

77. 我々のコンソーシアムが行ってきたこ
と
• インフラ、汎用的機能の充実
• 教育活動
• 世界各国でのワークショップ
• チュートリアル資料の充実
• 「モダン化」
• ウェブへの投資
• データの共有や公開に関するサービス

78. https://github.com/cytoscape/cytoscape-tutorials/wiki

79. 安定化とユーザビリティ
• 最もコストがかかるエリア
• 研究者の書くコード
• パッケージ化
• ドキュメント
• テスト
• 定期アップデート
• 教育

80. 重複した労力を避ける
• 我々の提供できるもの
• 可視化のツール、ライブラリ
• オンラインでのワークスペース
• フォーマットの互換性

81. CXフォーマット
• ネットワーク関連の著名なフォー
マットとしては
• GML
• GraphML
• DOT
• GEXF
• しかし、JSON全盛の今では若干古
いフォーマットが多いため、我々
の関連プロジェクトではCXと呼ば
れるJSON形式のものを使っている