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科学と私たち、科学と文化

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2015年 7月17日(金)、東北大学理学部での集中講義(本堂毅先生担当)での、公開の特別講義を実施。
http://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20150706-3584.html

Veröffentlicht in: Bildung
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科学と私たち、科学と文化

  1. 1. 科学と私たち、科学と⽂文化 内⽥田  ⿇麻理理⾹香 marika.uchida@gmail.com 科学コミュニケーション再考 ー理理論論と実践の両輪輪からー
  2. 2. 新しい顔をした科学との再会 • 今までは、教科書や実験室でしか科学に出会 わなかった→「⾒見見える科学」 • 家事の失敗を通して、家事の中にも「⾒見見えな い科学」が潜んでいることに気づく • 科学を通して、⽇日常⽣生活を⾒見見る⽬目が変貌した
  3. 3. 新しいメガネになりうる科学 視界が変わる 芸術、哲学、⽂文学、映画…
  4. 4. 「好きな科学」と「苦⼿手な家事」を 組み合わせたウェブサイト • 構想3ヵ⽉月 • 最初から書籍化するつもりで枠組を作った • 家族を「⼩小さい研究所」の形式にする • 既存の「科学系ウェブサイト」を徹底研究 →「どこにも似ていない、ニッチなサイトを狙う」
  5. 5. カソウケン(家庭科学総合研究所) http://www.kasoken.com/ 個⼈人で⽴立立ち上げたウェブサイト 2002年年〜~
  6. 6. 2005年年 「カソウケン (家庭科学総合研究所)へ   ようこそ」 家庭の中の科学を探って解説
  7. 7. • マヨネーズが分離離しないのは? 界⾯面活性剤 • ダイヤモンドが美しいのは? 屈折率率率 • パスタを茹でるときに塩を⼊入れるのは? たんぱく質の変性(諸説あり) • 油汚れが油で落落ちやすいのは? 極性 科学を⽣生活の場⾯面から読み解く
  8. 8. サイエンス コミュニケーション? 科学をめぐる様々なコミュニケーションの ギャップを解消し、 科学と個⼈人、社会のよりよい関係を作り上げ、 持続可能な構築に貢献
  9. 9. 問題意識識 • サイエンスコミュニケーションの実践 は多いのに「科学ファン」内側で⽌止ま るのはなぜか? • 遠くなってしまった科学を私たちの⼿手 に取り戻せないか?
  10. 10. ⽂文化  ”Culture”  とは? • ラテン語の  ”cultura”  ”cultus”に由来 • 耕作、世話、⽣生活習慣、教化、教養、祭祀 • 農耕→「魂の耕作」としての教養 • ⽇日本では、中村正道(1871)、⻄西周(1870)が翻訳 • ⻄西洋⽂文化を取り⼊入れたハイカラな意味(⽂文化住 宅宅、⽂文化⼈人)と⽣生活様式(農耕⽂文化、⽯石器⽂文化)
  11. 11. 「科学を⽂文化に」というスローガン サイエンスサポート函館(2008~∼) http://www.sciencefestival.jp/support/ about_̲index.html 「科学を⽂文化に :サイエンスアゴラシンポジウムの記録」 (2011)
  12. 12. 「科学を⽂文化に」の意味 • 「『科学を科学者だけのものにせずに、⼈人間 社会全体の共有物にしよう』」(⾦金金澤  2011,   p.5) • 「⽇日常⽣生活の中で科学が語られて」(室伏   2011,  p.  203)
  13. 13. ⽂文化は「⽣生活様式」「⽣生活習慣」であったはず なぜ、科学は「⽂文化」ではなくなったのか? ⼈人々の⽣生活からなじみがなくなった科学をどうすべ きか
  14. 14. ⽇日常⽣生活から分離離する科学 • 科学(と技術)が発達すればするほど…… • インフラ(⽔水道、電⼒力力、交通)は当たり前 • 携帯電話:量量⼦子⼒力力学などを元にしているのに 気にすることなく使っている • アナログの時計のような「機械」らしさもない
  15. 15. 『⼆二つの⽂文化』(1959) • チャールズ・スノーの 講演を元に、1963年年に 出版 • ⽂文学的知識識⼈人  vs  科学者 • お互いの知識識を同等に 扱わず、⼆二つの⽂文化の 間に断絶
  16. 16. ⽂文学的知識識⼈人←→科学者(物理理学者) お互いの敵意と嫌悪の溝が隔てている ⽂文学的知識識⼈人のうち何⼈人が、物理理学の第⼆二法則につ いて説明できるか? 「あなたはシェークスピアのものを読んだことがあ るか」と同等の質問なのに ⼤大きな議論論を巻き起こす
  17. 17. 当時の英国&スノーの背景 • なぜスノーは⽂文学的知識識⼈人に敵愾⼼心をむき出 しにしたのか? • コリーニ(1998=2011)の解説 • 英国の⼤大学の特権階級社会 • ⽂文学的知識識⼈人が「科学」を⽂文化として認めな かった
  18. 18. 当時の英国&スノーの背景2 • スノーの出⾝身:中産階級下層部 と、労働者階級上層部の間 • 元は科学者。科学のある論論⽂文で 失敗 • ⽂文学者として成功を収める。政 府の要⼈人 • 現在、⾃自分が属することになっ た、⽂文学的知識識⼈人の陣営から警 鐘を鳴らした
  19. 19. スノーの功罪 功績:科学を⽂文化の位置に押し上げた 副作⽤用:科学とそれ以外の⽂文化の断絶を可視化した
  20. 20. 「古典」となった「⼆二つの⽂文化」 • 「『⼆二つ』の⽂文化」という数にこだわった (他の⽂文化は?) • 理理系側の優越感は得られたが、それ以外の⼈人たちの 反発を強めた • ⽂文系/理理系や、科学/社会、というお決まりの⼆二分 法。問題点を松本(2009  p.  23)が指摘。 (例例えば、リスク問題は、当事者、利利害関係者、第 三者など様々なアクターがいる) • 科学だけを切切り離離すことは、科学を特別視して孤⽴立立 させる
  21. 21. 「あなたは科学技術のニュースや話題に興味や関 ⼼心がありますか?」 (科学技術と社会に関する世論論調査)
  22. 22. 「あなたは科学技術のニュースや話題に興味や関 ⼼心がありますか?」 (科学技術と社会に関する世論論調査)
  23. 23. 科学離離れではなく、科学嫌い? • 進化⽣生物学者のダン バー(1990)著 • 実感に基づく、著者の 仮説 • 当時の英国
  24. 24. 『科学がきらわれる理理由』 • 地動説を証明したガリレオがきっかけ • ニューエイジ神秘思想の系統は、反科学 • 反進化論論として「創造論論」がはびこっている • 病気やストレスから⾝身を守ってくれないように⾒見見える • 科学そのものが、⻄西洋⽂文化帝国主義や資本主義の副産物 • 環境⾯面の破壊 • ⽣生命を操作する科学への恐れ   • 科学の冷冷たい理理論論は、⾳音楽や美術や⽂文学を消し去るだろう   実感に合わないから?
  25. 25. 「科学はすべての⼈人のために存在する」 • 進化⽣生物学者で、⽶米国の⼈人 気エッセイスト、S.J.グー ルド(2003=2008) • 科学を特別視する⾵風潮に疑 問 • 「⾳音楽はプロの演奏家でな くても理理解できるのに、科 学を理理解できるのは研究者 だとなぜ決めつけるのだろ うか」(p.  84)
  26. 26. 専⾨門家ではない、科学の実践者 • ⽔水⽣生⽣生態学に詳しい、熱帯⿂魚愛好家。男性ブルーカ ラー労働者 • 園芸愛好家。中産階級の⼥女女性に多い • バードウォッチング、エコツーリズムを楽しむ上流流 階級 • 天⽂文学を学び、同好会を結成する天⽂文ファン • 確率率率統計の知識識を会得しているポーカーの名⼿手 • 恐⻯竜の知識識に詳しい、アメリカの⼦子供たち
  27. 27. そもそも、⽂文化とは? • 「『科学』は数多い⽂文化活動の⼀一つにすぎ ず、世界に対する社会の態度度の現れでもあ り、その芸術ないし宗教でもあり、そして同 時に政治や倫倫理理性の基本的な問題と不不可分で ある」(コリーニ  1993=2011,  p.  163) ウィリアムズの⽂文化概念念から解釈する
  28. 28. レイモンド・ウィリアムズ • 英国の⼤大学⼈人、⼩小説家・評論論 家 • 労働者階級出⾝身の、ケンブ リッジ⼤大学卒 • ニューレフト(新左翼)と呼 ばれる • カルチュラルスタディーズの 始祖として著名(⽂文化⼈人類学 などの源泉)
  29. 29. スノーとウィリアムズ • ⼆二⼈人とも、上流流階級出⾝身ではないが、ほぼ同 じ時期に、ケンブリッジ⼤大学卒 • スノーは階級社会に⾝身を置いて、論論戦を張っ た • ウィリアムズは、エスタブリッシュの中⼼心に 同じくいながら、マイノリティの側に⾝身を置 く • ウィリアムズは階級社会に対抗する:ハイソ サエティを好まない
  30. 30. 既存の⽂文化観 • ケンブリッジ⼤大学でのティータイムの違和感 から⽣生まれた、ウィリアムズの⽂文化の再定義 1. 理理想:普遍的な価値に基づき、⼈人間の完成さ れた態度度へ向かう 2. 記録:知性と構想⼒力力を働かせて作られたもの の全体。⼈人間の体験等、様々な姿が記録され ているもの 上記、2つとも「いわゆる⾼高尚で伝統のあるもの」
  31. 31. ウィリアムズの「第三の⽂文化」 • 「社会⽣生活のあり⽅方」→⽂文化の概念念を拡張 (⽂文化とはごくふつうのこと) • “culture”のラテン語の語源にも近い:魂の耕 作としての、「⽣生活習慣」 • ハイカルチャーだけを⽂文化としなかった
  32. 32. ⽂文化は「創造する働き」 • 「芸術家は主として『感情』を通して(現 実)を探る者であって、科学者はそれに⽐比べ ると『理理性』を通して探るもの」(ウィリア ムズ  1965=1983,  p.19) • 芸術も(科学も)、創造としての発⾒見見とコ ミュニケーションとして、芸術などを⽇日常⽣生 活に繋げる
  33. 33. 芸術を⽇日常⽣生活から 切切り離離すことの弊害 • 「コミュニケーション(相⼿手が受け取ること も、⾃自分が応答すること)は、独⾃自の体験を 共通の体験にする過程」(ウィリアムズ   1965=1983,  p.40) • ばらばらになったわれわれを回復復させるため には、コミュニケーションの有効な⼿手段。政 治や芸術だけを別の秩序とすることは、致命 的に間違っている。
  34. 34. 「社会⽣生活のあり⽅方」としての⽂文化 • 政治、芸術、科学、宗教、家庭⽣生活……全て 同じ⽂文化であり、単に部⾨門(category)が別な だけ。 • 例例えば、政治を切切り離離すと傷を負う • 同じ過程は、経済、科学、宗教、教育に⾒見見て いるだろう →スノーのように、科学を称揚するために⽇日 常⽣生活から区別することはしない
  35. 35. 科学を相対化してしまうの? • 「科学は⽇日常のものではないか」…科学は⾃自 然のなりたちの秘密を解き明かす、特別な秩 序体系では? • 現代の分断した科学と他の分野の対⽴立立を、相 対化するために必要な視点と考える • ウィリアムズの視点は、カルチュラル・スタ ディーズを作り、マイノリティの⽂文化に⽬目を 向ける契機となった
  36. 36. ⼤大森荘蔵(1921­−1997) • ⽇日本の科学哲学者 • 多くの弟⼦子を輩出した(野家啓⼀一、野⽮矢茂 樹、中島義道ほか) • ⽇日本の科学哲学の⼀一⼈人者のひとり • 「⼤大森哲学」「全⾝身哲学者」
  37. 37. ⽇日本の⼟土壌で 科学コミュニケーションを再考する • 『知の構造とその呪縛』(1994) • 「ややもすれば⽇日常⽣生活から遠く離離れて難解な学 問と誤解されがちな⾃自然科学を、実は⽇日常的な常 識識に密着して展開された『より精しいお話』とし てみることである」(⼤大森  1994,  p.9) • 欧⽶米からの借り物の科学コミュニケーションを、 ⽇日本の論論者の議論論から再考したい
  38. 38. 「死物化した現代科学」 • ⼤大森:『略略画化』…常識識、『密画化』…科学 • 密画化した現代科学は、ガリレイらの「科学⾰革 命」にさかのぼる • デカルトの⼆二元論論を批判:⾊色、⾳音、匂いのような 感覚的世界を、主観と客観に区別して「死物化」 させた • フッサールの科学批判:数学化のため
  39. 39. 科学から離離れていく私たち • 死物化した科学→「すべては⼈人間に無関⼼心に、⼈人間と は無関⼼心に進⾏行行する」(⼤大森  1994,  p.9) • 多くの⼈人々の「科学嫌い」は、感覚世界が奪われた世 界だからではないか? • ⼩小学校・理理科の学習要領領「⽇日常⽣生活と関連づけて考察 する態度度を育てる」 • 中学校・理理科の学習指導要領領「⽬目的意識識を持つこと」 が強調される→エネルギー、電流流、磁界、イオンなど • 理理科好きの⽣生徒:⼩小学校5年年は7割以上→中学3年年では 半分以下
  40. 40. ⼤大森の「⼆二元論論的世界観」の否定 →重ね描きへ • 略略画的世界観は、密画的世界観と両⽴立立 • ⼗十⼈人⼗十⾊色の「主観」でさえも、「ワイン⾃自⾝身 の特質」「演奏⾃自⾝身の特質」 • 略略画的世界観に、密画的世界を重ね描く(え がく) • 重ね描きによって、現代科学を修正 重ね描きの概念念は⼤大きなヒントだが、ラディカル?
  41. 41. 逆の「重ね描き」を 科学コミュニケーションに応⽤用 • ⼤大森:略略画的世界観に密画的世界観を重ね描 きして、現代科学を修正 • 密画的世界観に、略略画的世界観を重ね描くこ とはできないか? • 精しくなりすぎた科学を、私たちの⼿手に取り 戻す→科学を⽂文化に
  42. 42. 例例:界⾯面活性剤 • ⼀一つの分⼦子に親⽔水基と疎⽔水期がある • 液体の表⾯面張⼒力力を低下させる • 疎⽔水期が油と接触し、⽔水中に分散してミセルを形成 • ⾒見見せるが形成された状態を乳化 • パスタのゆで汁が汚れ落落としに使えるのは、界⾯面活性剤が ⼊入っているから • パスタソースを作るときにゆで汁を⼊入れるのは、油分の多 いソースと乳化させるため • 抹茶茶が泡⽴立立つのは、サポニンが⼊入っているから
  43. 43. キメラ(密画化) • 複数の異異なった遺伝⼦子情 報などをもつ⽣生物を「キ メラ」と呼ぶ • 再⽣生医療療では、万能性を 証明するためにキメラマ ウスを作る • ⾊色のあるマウスからES細 胞を作り、内部細胞のな い受精卵卵に注⼊入すると、 まだらのマウスが誕⽣生す る。 • 再⽣生医療療では、キメラを 作ることが必須
  44. 44. キメラ(略略画化) • 「源平咲き」 • 梅、ツツジ、モモなどで、⼀一本の⽊木から紅⽩白の花が 咲く • ⾚赤⾊色に発⾊色するはずの⾊色素が働かない、キメラ
  45. 45. 例例:⾮非線形数学 • 振動⼦子や同期現象は数学では難しい • カエルの合唱やホタルの明滅: 周期を持って運動するもの→振動⼦子 カエルの合唱やホタルの明滅は同期現象
  46. 46. まとめ • 「科学を⽂文化に」は、私たちの⼿手に科学を取 り戻すこと • 現在は、科学と他の分野は分断している • ウィリアムズ「⽂文化は社会⽣生活のあり⽅方」 • ⽂文化が同⼀一線上にあるならば、⼤大森の「重ね 描き」のアイディアが使えるのではないか
  47. 47. ⾒見見える科学も、 ⾒見見えない科学も、 私たちは楽しめる 科学は⽂文化になり得る

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