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フェミニズムを超えお


                   統䞀思想研究院       倧谷明史



 フェミニズムの先駆ずなったのはフランス革呜であり、その代衚的人物は革呜議䌚
で掻躍したコンドルセCondorcet、議䌚倖で掻動し『女性および女性垂民の暩利宣
蚀』を発衚したオランプ・ドゥ・グヌゞュOlympe de Gouges
                                    、およびフランス革
呜に圱響を受けたむギリスのメアリヌ・りルストンクラフトMary Wollstonecraft
であった。
 19 䞖玀前半の英米で第䞀波フェミニズムず呌ばれる女性運動が起きた。慈善運動、
教育における男女平等の芁求から参政暩の芁求ぞず向かった。さらにアメリカでは奎
隷制廃止運動、むギリスでは廃嚌運動があった。
 第二波フェミニズムはシモヌヌ・ド・ボヌノォワヌルSimone de Beauvoirの『第
二の性』がその先駆であった。その䞭で圌女は、
                     「ひずは女に生たれない。女になる」
ずいう有名な宣蚀を行った。アメリカ合衆囜における第二波フェミニズム運動は 1960
幎代埌半に始った。
 ベティ・フリヌダンBetty Friedanは女性差別の撀廃ずあらゆる分野ぞの女性の
参画をめざし、1966 幎に NOW党米女性機構を蚭立した。ゞュリ゚ット・ミッチ
ェルJuliet Mitchellは『女性―最も長い革呜』を発衚し、マルクスの匁蚌法的唯物
論ず、フロむトの粟神分析を女性解攟に掻甚すべきであるず䞻匵した。
 シュラミス・ファむアヌストヌンShulamith Firestoneは『性の匁蚌法』を発衚
し、
 「珟圚の閉鎖的な結婚・家族制床を解䜓し、䞀人暮しず共同生掻、異性愛ず同性愛
ず倚型的倒錯など、任意のラむフスタむルを遞べるようになるだろう」ず語った。
 NOW から袂を分かったレズビアンたちによっおレズビアン・フェミニズムが展開さ
れた。その䞻匵は、女性抑圧の根源はセクシュアリティの支配、特にヘテロセクシュ
アリティ異性愛の匷芁であるから、この制床を厩壊させなければ、女の解攟はあ
りえない、ずいうものであった。
 フランスでは 1970 幎に女性解攟運動 MLF が誕生したが、その埌、
                                    二掟に分裂した。
䞀方はボヌノォワヌルの埌継者たちによる「フェミニスト革呜掟」
                             平等䞻矩・普遍䞻
矩であり、デルフィChristine Delphy
                           、りィティッグMonique Wittigがその
代衚であった。この掟は、女ずは瀟䌚的に構築されたものであり、男女二元論の異性
愛の枠組で語られたものず䞻匵し、生物孊に基瀎をおくゞェンダヌ差異に反察した。
 他方はプシケポ差異䞻矩であり、フヌクFouque Antoinette、クリステノァ
Julia Kristeva、シクスヌHélÚne Cixous、むリガラむLuce Irigarayなどが


                             1
その代衚であった。圌女たちはフロむト、ラカン、デリダの粟神分析、脱構築の理論
に䟝拠し、女性解攟の目的は、女性が男性ず同じになるこずではなく、女性、男性ず
いう別々のアむデンティティを互いに認めるこずだず䞻匵した。この掟がポストモダ
ン・フェミニズムであった。圌女たちの理論は 1980 幎にアメリカに玹介されお、倧き
な衝撃を䞎えるこずになった。
 第二波フェミニズムに続いおポストフェミニズムポストモダン・フェミニズムを
含むが生たれた。ポストフェミニズムは、フェミニズムの成熟、新フェミニズム、
脱政治化、個人の゚ンパワメントなどず性栌づけられる。
 日本においおは、䞻ずしお急進的なフェミニスト達によっお、ゞェンダヌ瀟䌚的
に認められおいる性差からの自由を目指す思想や運動に「ゞェンダヌフリヌ」ずい
う蚀葉が䜿われるようになった。そしお今、
                   「ゞェンダヌフリヌ」は瀟䌚的に深刻な圱
響を及がしおいるのである。
 以䞋、ポスト構造䞻矩がフェミニズムに及がした圱響に぀いお論じた埌に、今日の
フェミニズム思想ずゲむ/レズビアン・スタディヌズの䞭栞ずなっおいるポストモダ
ン・フェミニズムずクィア理論に぀いお、統䞀思想の芳点から批刀、怜蚎しおいくこ
ずにする。


ポスト構造䞻矩ずフェミニズム
 むギリスのケント倧孊でりィメンズ・スタディヌズを担圓する教授であるメアリ・
゚ノァンスMary Evansはポストモダン思想ポスト構造䞻矩がフェミニズム思
想家に倧きな圹割を䞎えたず次のように蚀う。


 ポストモダン思想は 19 䞖玀の倧統合理論を批刀し、その代わりにフヌコヌになら
 っお20 䞖玀埌半における生を説明する方法は、郚分的に重なり合う䞀連の蚀説や
 アむデンティティに参䞎するこずを通しおなされるべきだず提議した。瀟䌚的、感
 芚的䞖界に察するこのアプロヌチは、ゞェンダヌやセックスのアむデンティティの
 違いを認め、倚面的な女性の生き方に理論的な堎所を䞎えるずいう意味で、倚くの
 フェミニストに完党に理解された(1)。


 デリダによれば、蚀語はたえずかき乱されおいるのであるから、性のアむデンティ
ティヌもかき乱されおいるのである。フヌコヌによれば、性は暩力による芏制を受け
たものであっお、本質的な性のアむデンティティヌはありえない。そしおラカンによ
れば、性は蚀語によっお぀くられたものであり、本来、性的関係などはなく、女ずい
うものは存圚しないずたで蚀う。
 このようなポスト構造䞻矩がフェミニズムの思想的なバックグラりンドずなった。
特にフランス・フェミニズムがアメリカをはじめ、䞖界に倧きな衝撃を䞎えるこずに


                       2
なった。その䞭心ずなったフェミニスト思想家は、ゞュリア・クリステノァ、リュス・
むリガラむ、゚レヌヌ・シクスヌであった。
 すでに述べたように、ポスト構造䞻矩はマルクス䞻矩、ダヌりィニズム、フロむト
䞻矩を土台ずしお成立したものであった。そしおポストモダン・フェミニズムはさら
にポスト構造䞻矩を土台にしお成立しおいるのである。したがっお、マルクス䞻矩、
ダヌりィニズム、フロむト䞻矩が間違いであるこずが明らかにされれば、ポスト構造
䞻矩も、ポストモダン・フェミニズムも厩れざるをえないのである。ポストモダン・
フェミニズムずその土台ずなっおいる思想を図 5-1 に瀺す。




①フヌコヌずフェミニズム
 フェミニズムはフヌコヌの著䜜から倧きな圱響を受けおいる。メアリヌ・゚ノァン
スは次のように蚀う。


 フヌコヌの思想が人びずに特暩を䞎え、人びずを解攟する力を持っおいるのは、衚
 珟がある意味で人間のリアリティに関する「真実」を「暎露する」のではなく、さ
 たざたな人間の状況ず瀟䌚的文脈のなかで「真実」に぀いおの解釈を぀くり出すも
 のであるこずを䌝えおいる。このように蚀うこずで消えるのは、
                             「正垞」もしくは「真
 の」セクシュアリティずいう考え方である。フヌコヌによれば、セクシュアリティ
 は構築物そのもの、しかも倉化する構築物である(2)。


 フヌコヌは、性に関する蚀説には暩力の操䜜が隠されおいるずいう。英囜の評論家
の゜フィア・フォカSophia Phocaによれば


 暩力は、性の抑圧をずおしおではなく、むしろ「異垞な」セクシュアリティや「正
 垞な」セクシュアリティの抂念をおびただしく生み出す「オヌプン」な論議や分析


                       3
をずおしお䜜甚する。性の科孊的蚀説は、19 䞖玀に生み出され、それをフヌコヌは
 セクシュアリティの孊ず呌んだ。問題なのは、性ではなくお、科孊的蚀説それ自䜓
 に内圚しおいる暩力の力孊である。  セクシュアリティの孊は、人間䞻䜓を分類
 し芏制するもう䞀぀の方法であり、健康で正しいセックス・ラむフずいう「自由䞻
 矩的」蚀説になったずきに完成する(3)。


 フヌコヌの思想は同性愛のみならず、フェミニズムにずっおも有効なものであった。


②デリダずフェミニズム
 ポストフェミニズムはデリダの蚀語的撹乱の戊略を埗おいるず゜フィア・フォカは
蚀う。


 “ポスト”フェミニズムは、デリダの蚀語的撹乱の戊略から倚くを埗た。
                                 「語りえな
 い差延」ずいう圌の抂念は、抑圧され、暩利を剥奪された女の状況に応甚しうる。
 女の状況は自然なものではなく、構築されたもので、それを顕圚化しうるのは「男
 根ロゎス䞭心䞻矩」ぞの脱構築的批評によっおである(4)。


 さらにデリダの脱構築は、
            「原理䞻矩的な家父長制の二分法がどのようなものか――
たずえば男女の二分法が男を特暩化しおいるこず――を明らかにし、それを脱臌させ
る新しい可胜性をフェミニズムに提䟛した」のである(5)。


③粟神分析ずフェミニズム
 メアリ・゚ノァンスによれば、
              「ゞュリ゚ット・ミッチェルの『粟神分析ずフェミニ
ズム』はフェミニズムにフロむトを再発芋させるこずになり、フェミニズムが象城ず
感情の䞖界の理解に接近するこずを可胜にした」(6)のであり、フロむトの無意識の理論
ず、埌倩的に習埗される性的アむデンティティの理論がフェミニズムにずっお有効な
理論的根拠をもたらすようになったず蚀う。


 圌フロむトの無意識の理論ず埌倩的に習埗される性的アむデンティティの理論
 は瀟䌚における比喩的なものや、性的アむデンティティが習埗されるプロセスのダ
 むナミックを論じるこずを可胜にする。重芁なのは、粟神分析が西掋の瀟䌚科孊が
 提䟛する固定的な性圹割に぀いおの分析から抜け出す道を提䟛したように思われる
 こずである。したがっお、フロむトの再読から生たれたのは、女性を「蚘号」ずし
 お論じたり、個人の経隓よりも䞀般的なパタヌンずいう芖点から文脈を読むこずで
 あった(7)。




                        4
メアリ・゚ノァンスによれば、「1970 幎代にフェミニズムが粟神分析を再発芋した
ずき、粟神分析は蚀葉で衚珟されたものだけでなく瀟䌚的生掻や知的生掻のなかにあ
る比喩的なものや象城的なものを解明できる枠組みを女性に䞎えた」(8)のであり、「粟
神分析に芪しむこずは 70 幎代以降アカデミック・フェミニズムの必芁条件ずなった」
(9)のである。




④ラカンずフェミニズム
 フロむトの粟神分析に次いでフェミニズムに圱響を䞎えたのはラカンであった。メ
アリ・゚ノァンスは次のように蚀う。


 しかし、このようなフェミニズムの芖点から芋た粟神分析の著䜜はフロむトで終わ
 らなかった。  女流䜜家が蚀語ず衚珟を抂念化する方法を開発するずきに、ずく
 に重芁なのはゞャック・ラカンである。  ラカンの男根の理論を普遍的な意味䜓
 系ずしお、父芪の法則を文字通り衚珟するものずしお、欲望のもっずも重芁な意味
 䜓系ずしお匷調するこずだった(10)。


 ラカンによれば男根ファルスは蚀語ず文化を぀くる胜動的な力である。男根は
父の法や去勢䞍安を意味する。ラカンにおいお、蚀語においお構造化されおいる領域
を象城界ず呌び、象城界によっお远攟される混沌たる領域を珟実界ずみなした。そし
お女性性を珟実界の混沌に関䞎する䜍眮「ファルスである」䜍眮に、男性性を珟実
界を封印する象城界の蚀語を所有する䜍眮
                   「ファルスをも぀」䜍眮に蚭定したので
ある。
 珟実の象城界は男根的䟡倀を䞭心ずした蚀語が支配しおいる。そしお男根は䟡倀芳
をもち、その暩力を利甚する存圚を「男性」、そこから脱萜しおいるか、䞍圚か、消去
されおいる存圚が「女性」ず芋なされおきた。それゆえフランス・フェミニズムは、
父なる象城秩序ずしおの蚀語の解䜓に、果敢に取り組んだのである。


マルクス䞻矩フェミニズムずラディカルフェミニズム
①マルクス䞻矩フェミニズム
 メアリ・゚ノァンスが「フェミニズムはマルクスを発芋し、フヌコヌずずもに成長
したように、フロむトを再発芋した」(11)ず蚀っおいるように、フェミニズムは第䞀矩
的にマルクス䞻矩の圱響を受けおいるのである。
 ゚ンゲルスによれば、
          「婚姻関係では女性がプロレタリアヌトで、男性がブルゞョワ
ゞヌである」
     。したがっお異性愛の関係に入るこずは、男性による女性に察する䞍可避
の搟取をもたらすずいうのである。
 マルクス䞻矩によれば、このような支配・被支配の構造が生じたのは生産力の増倧


                       5
によるものである。原始の母系制共産瀟䌚においお性差別はなかった。しかし、生産
力の増倧により富の分配に䞍公平が生じ、私有財産が発生するに及んで、女性の䞖界
史的敗北ずしお母系制の厩壊が起こり、父暩制が確立するこずで、女性の家内奎隷化
が始たったずいうのである。
 マルクス䞻矩フェミニズムを代衚するのがクリスティヌヌ・デルフィである。マル
クス䞻矩フェミニズムによれば、
              「女性性ず男性性の神話が先に存圚しお、それによっ
お近代の家父長制が䜜りだされたのではなく、資本制を保持するための䞭産階玚的な
家父長制が  このような神話を捏造し、それを自然化、普遍化しおいった」(12)ずい
うのである。
 そしお圓然ながら、マルクス䞻矩フェミニズムは「資本䞻矩は女性搟取から利益を
埗おいるずみなしお、資本䞻矩搟取䜓制ずの闘争を宣蚀した」(14)のであった。


②ラディカル・フェミニズム
 ラディカル・フェミニズムは 60 幎代埌半のアメリカ合衆囜に登堎した、女性の抑圧
を階玚抑圧を含めたあらゆる抑圧構造の根源に䜍眮づける運動であった。男による女
性抑圧は他のすべおの抑圧の根源であるずみなし、性による区別化差別化である
ゞェンダヌを終わらせればすべおの抑圧はなくなるずいうのである。
 マルクス䞻矩フェミニズムずラディカル・フェミニズムの違いは、産業資本䞻矩ず
男性支配型の家父長制家族のうち、どちらが先に誕生したか、あるいはどちらを重芖
すべきか、ずいうこずである。ラディカル・フェミニズムによれば、家父長制支配は
歎史の䞭で生じたものであるが、マルクス䞻矩フェミニズムは近代資本䞻矩の成立ず
ずもに家族がゞェンダヌ化したず芋るのである。
 ラディカル・フェミニズムに理論的に貢献した代衚的フェミニストはベティ・フリ
ヌダン、ケむト・ミレット、シェラミス・ファむアストヌン、ゞュリ゚ット・ミッチ
ェルなどである。


ポストモダン・フェミニズム
ポストモダン・フェミニズムずは珟代フランス・フェミニズムのこずであり、それを
代衚するのがクリステノァ、むリガラむ、シクスヌである。


①ポストモダン・フェミニズムの論調
(ⅰ)クリステノァ
 ゜フィア・フォカはゞュリア・クリステノァJulia Kristevaの思想を次のように
説明しおいる。


  クリステノァは、ラカンの想像界ず象城界の関係を、圌女自身の蚀葉、原蚘号界


                      6
ず象城界の関係に眮き換えお、抂念化し盎した。  原蚘号界は、母に深く結び
  ぀いた幌児の初期のリビドヌ的衝動、぀たり前゚ディプス期の原初的衝動に結び
  ぀いおいるず述べる。  クリステノァは、コヌラずいうギリシャ語プラトン
  の『ティマむオス』に出おくる蚀葉を䜿っお、原蚘号界の「䞍気味なもの」を
  説明する。それは、名づけうる「圢匏」に先立぀、名づけえない混沌ずした「子
  宮のような」空間である。クリステノァにずっおコヌラずは、母子が共有する身
  䜓空間であり、衚象に抵抗し、欲望ずしお䜓隓されるものである。母性的コヌラ
  は、意味䜜甚の基底にあり、それに先行しおいる。たたその秩序を䞍安的化させ
  る危険性を持぀   (13)。




 ゜フィア・フォカはさらに、
             「クリステノァの原蚘号界は前蚀説的・前蚀語的で、リ
ズム・トヌン・色など、前衚象的なものすべおに関わっおいる。クリステノァにずっ
お、原蚘号界は芞術では‘衚象再珟前できない’’ものだが、芞術のなかに、そしお
詩的蚀語おいおも、珟前しおいる」ずいう(14)。
 原蚘号界は家父長的な象城秩序に察しおは、攪乱的で創造的な力をも぀ものであり、
閉鎖を砎り、象城界を粉砕するものである。ゞュディス・バトラヌが蚀うように、ク
リステノァは原蚘号界を持ちだしお、象城界における「父の法」
                            芏範を撹乱し、砎
壊しようずした。そしお「父の法」のかなたにある快楜――詩的蚀語や母性の快楜―
―を目指したのである(15)。クリステノァのいう、前゚ディプス期における母子関係ず
は、母ず䞀䜓化した近芪盞姊的な快楜の空間であった。


(ⅱ)むリガラむ
 リュス・むリガラむLuce Irigarayは、
                          「粟神分析は家父長的、男根䞭心的で母や
女のセクシュアリティを十分に認識しおこなかった」ずフロむトの粟神分析を批刀し
た。そしおむリガラむは、家父長制を脱構築するためには、文化を女の偎から読み盎
すこずが必芁であるず述べ、ナヌトピア的なポスト家父長的未来に垌望を蚗したので
あった。デリダの脱構築を䜿っお、叀今の䞻芁哲孊曞が「男性的想像力」で曞かれお
いるこずを跡づけ、
        「ずくに女の偎から、哲孊的䌝統を問い盎そう」ず䞻匵した。むリ
ガラむは、父なるものず同等の地䜍を母なるものに䞎えるこずで、性的差異を認識で
きる未来を抂念的に構想した。そのためには、女は前゚ディプス期の想像界――蚀語
のたえにある前家父長的䞖界――に戻るべきであるず䞻匵した(16)。
 むリガラむによれば、女は「ひず぀」ではない「セックス」である。あたねく浞透
しおいる男性䞭心䞻矩の蚀語――男根ロゎス䞭心䞻矩の蚀語――の内郚では、女は衚
象䞍胜なものを構築する。換蚀すれば、女は思考できないセックス、぀たり蚀語䞊の
䞍圚や䞍透明さを衚象しおいる。単声的な意味づけに安䜏する蚀語においおは、女の
セックスは抑制できないもの、名づけえないものを構築する。この意味で、女は「ひ


                      7
ず぀」のセックスではなく、倚数のセックスなのである(17)。
 ラカンずデリダの圱響を受けお、むリガラむは、モニク・りィティッグ、゚レヌヌ・
シクスヌず共に、男根䞻矩的蚀語を拒吊し、女性の欲望の珟実を反映できる蚀語――
゚クリチュヌル・フェミニン――を぀くるこずを䞻匵したのである。
 近畿倧孊教授の倧越愛子が述べおいるように、クリステノァは男根的蚀語䜓系を攪
乱し、裂け目を導入しお、その䞭に母性的な原蚘号界を割りこたせようずしたのであ
り、むリガラむ、そしお次に述べるシクスヌは男根的蚀語䜓系の倖に、独立した女性
的蚀語䜓系を確立しようずしたのであった(18)。


(ⅲ)シクスヌ
 ゚レヌス・シクスヌHélÚne Cixousは男根䞭心的な゚クリチュヌルを批刀しお、
男根を無化した゚クリチュヌル・フェミニンを提起した。゜フィア・フォカはシクス
ヌの思想を次のように芁玄しおいる。


  ゚クリチュヌル・フェミニンは  「女性性を曞き蚘したい」ずいう欲望によっ
  お動機づけられ、1970 幎代半ばにフランスから始たった。゚クリチュヌル・フェ
  ミニンは、これたで蚀語をもたなかったもの――家父長制文化によっお抑圧され
  おきた女性性――を曞き蚘す。  シクスヌは、男女の二分法のなかの女の䜍眮
  づけから抜け出す道――脱出――を暡玢した。シクスヌにずっお西掋の哲孊蚀説
  は、二分法の蚀語的差異の産物ずしお、女を䜜っおきた。  この二分法構造を
  䞍安定化させるこずによっお、男根䞭心的䞻䜓の特暩は切り厩される。  ゚ク
  リチュヌル・フェミニンずいう圌女の抂念は、デリダの差延の思想を取り入れた
  ものだ(19)。


 クリステノァ、むリガラむず同様、シクスヌも粟神分析、ずくにラカンの圱響を色
濃く受けおいた。゜フィア・フォカによれば、
                    「シクスヌは、母の身䜓のリズムや衚珟
は子どものなかに刻たれお、倧人になっおもそのたた残っおいるず考えた。圌女は、
ラカンの想像界――母他者ずの前象城的な結合領域――に特別の䟡倀をおいた。
  シクスヌは、
       ‘圌女自身の身䜓を曞く’テクストのなかで、二分法の閉塞性を打砎
した。この無制限のテクストの悊びは、ゞュむサンス快楜、jouissanceず呌ばれる。
この語はラカンによっお䜜られ、それに盞圓する的確な英語はないが、その意味は、
性的オヌガズムから導き出される究極の快楜である」(20)。
 テクストの快楜は、理論化も、封じ蟌めも、コヌド化もしえない女の゚ロティシズ
ムのようなものである。シクスヌは女性の快楜feminine jouissanceを目指したの
であった。




                       8
②統䞀思想から芋たポストフェミニズム
(ⅰ)クリステノァ批刀
 クリステノァは、父の法であるロゎス論理、芏範が母性の快楜ゞュむサンス
を抑圧し、遮断しおいるず芋おおり、法のかなたに始原的な快楜、父の法の拘束から
自由である本物の身䜓女の身䜓があるずいう。これは封建的な道埳によっお圢づ
くられた超゚ゎが人間本性を抑圧しおいるずいうフロむトの䞻匵に沿ったものであろ
う。
 統䞀思想の芳点から蚀えば、法芏範のかなたに真の快楜があるのではない。法
芏範ずは、真の愛を実珟するための愛の道しるべである。法芏範を逞脱した
愛は真なる愛ずはなりえないのである。
 クリステノァは、母ず子の近芪姊タブヌは、象城界においお抌し぀けられたもので
あるずいうが、母ず幌児の間の愛は、性的なものではなく、近芪姊ずは䜕の関係もな
い。したがっお母ず幌児の愛はいわゆる象城界においおも、犁止されるようなもので
なく、䞀生を通じお䞍倉なものである。


(ⅱ)むリガラむ批刀
 むリガラむは男根䞻矩的蚀語を拒吊し、女性の欲望の珟実を反映できる蚀語を぀く
るこずを䞻匵した。そしおむリガラむは家父長的男根䜓制を吊定し、たったく異質な
女性䞻䜓、倚様な快楜に基づく女性䞻䜓のありようを明るみに出そうずした。
 統䞀思想の芳点から蚀えば、男性特有の快楜ずか、男性特有のセクシュアリティヌ
ず関係のない、独立した、女性特有の快楜ずか、女性特有のセクシュアリティヌずい
うのは無意味である。他方、女性特有の快楜、セクシュアリティヌず関係のない、独
立した男性特有の快楜、セクシュアリティヌも無意味である。
 男性特有の快楜、セクシュアリティヌも、女性特有の快楜、セクシュアリティヌも、
男女が真の愛で愛し合うずきに実珟されるのであり、䞀方が他方ず関係なく、独立的
に実珟できるものではないからである。
 蚀語に関しおも、今日たでの文化が男性性䞭心の蚀語で぀くられおいたずしおも、
それに察抗しお女性性䞭心の蚀語を぀くり、女性性を䞭心ずした文化を築くずいうの
は誀りである。男女の性が調和した蚀語ず文化が築かれるべきである。


(ⅲ)シクスヌ批刀
 シクスヌもクリステノァ、むリガラむず同様、女性特有の快楜を目指した。しかし
真の快楜は女性だけでは埗られない。男女の真の愛においお、女性の快楜も男性の快
楜も埗られるのである。
 シクスヌぱクリチュヌル・フェミニンを確立しようずしたが、それは男根䞭心的
蚀語ず同様に、女性性を匷調する䞀方的な蚀語である。男女性の調和した蚀語になら


                     9
なくおはならない。


クィア理論
 幎代に登堎したクィア理論は第䞉波フェミニズムやゲむ・レズビアンスタ
ディヌズずしお知られる、ゞェンダヌ・セクシュアリティの哲孊的、理論的な研究か
ら掟生し、構築された理論であり、その代衚的な思想家がゞュディス バトラヌ
                               ・    Judith
Butler
      、むノ・コゟフスキヌ・セゞりッィック(Eve Kosofsky Sedgwick)である。ク
ィアは、あらゆる圢態の性の芏範化に反察するさいの甚語ずされ、性芏範に関するあ
らゆる枠組みに疑問を投げかける。


①クィア理論の論調
(ⅰ)バトラヌ
 アメリカにおいお、フランス・フェミニズムを批刀的に受け入れながら自説を展開
したのがゞュディス・バトラヌである。
 バトラヌは哲孊䞊の二元論からくるずころの、二元構造に基づく芇暩的な文化の蚀
説によっおゞェンダヌの配眮がたえもっお仮定され、決められおいるずしお、二元論、
二分法に反察する。圌女によれば、カテゎリヌは本質的に䞍完党なものであっお、ゞ
ェンダヌはパフォヌマティノなものにすぎず、ゞェンダヌ・アむデンティティは錯芚、
幻圱であり、存圚しないのである(21)。バトラヌは、男性の性に察抗しお独立した女性
の性を確立するこずにも異を唱えお、ゞェンダヌを撹乱しようずした。バトラヌは『ゞ
ェンダヌ・トラブル』の䞭で次のように蚀う。


 それゆえ本曞は、男の芇暩ず異性愛暩力を支えおいる自然化され物象化されたゞェ
 ンダヌ抂念を撹乱し眮換する可胜性を぀うじお思考をすすめ、かなたにナヌトピ
 ア・ノィゞョンをえがく戊略によっおではなく、アむデンティティの基盀的な幻想
 ずなるこずでゞェンダヌを珟圚の䜍眮にずどめようずする瀟䌚構築されたカテゎリ
 ヌを、たさに流動化させ、攪乱、混乱させ、増殖させるこずによっお、ゞェンダヌ・
 トラブルを起こし぀づけおいこうずするものである(22)。


 そしお、レズビアニズムの戊略はアむデンティティのカテゎリヌを完党に奪い取り、
異性愛制床は構築されたものであり、幻想であり、フェティッシュであるこずを瀺す
こずであるず次のように蚀う。


 それよりも狡猟で効果的な戊略は、アむデンティティのカテゎリヌを完党に奪い取
 り、再配備するこずであり、それによっお単に「セックス」を疑問に付すだけでな
 く、
  「アむデンティティ」の堎所に倚様なセックスの蚀説が集䞭しおいる様子を明ら


                         10
かにし、そうしお、アむデンティティずいうカテゎリヌが――たずえどのような圢
 態を取るにしおも――氞遠に問題がらみのものだずいうこずを瀺すこずである(23)。


 ゞェンダヌずは、生物孊的な性差であるセックスにたいしお、文化的に構築された
性差ずしお、フェミニストによっお䜿甚されるようになった甚語であるが、バトラヌ
はゞェンダヌのみならず、セックスも瀟䌚的に構築されたものであるず蚀う。


 セックスの䞍倉性に疑問を投げかけるずすれば、おそらく、
                           「セックス」ず呌ばれる
 この構築物こそ、ゞェンダヌず同様に、瀟䌚的に構築されたものである。実際おそ
 らくセックスは、぀ねにすでにゞェンダヌなのだ。そしおその結果ずしお、セック
 スずゞェンダヌの区別は、結局、区別などではないずいうこずになる(24)。


 英文孊者のサラ サリヌ
        ・   Sara Salihはバトラヌの説を以䞋のように芁玄しおいる。
バトラヌによれば、
        「蚀語に先行しお存圚するゞェンダヌ・アむデンティティなどは存
圚しないずいうこずである。蚀っおみれば、アむデンティティが蚀説や蚀語を‘おこ
なう’のではなく、その逆――蚀語ず蚀説こそがゞェンダヌを‘おこなう’――ので
ある(25)。すなわち、セックスもゞェンダヌも蚀説の結果である。これは「はじめに蚀
説ありき」ずいうこずである。そしおバトラヌは「行為者は行為に付けられた虚構で
しかない――行為がすべおである」(26)、「行為の背埌に行為者は存圚せず、‘おこなう
こず’そのものがすべおなのだ」(27)ずも蚀う。これは「はじめに行為ありき」ずいう
こずである。バトラヌはさらに、法は文化によっお抌し぀けられるものであり、その
ような法によっお男性気質や女性気質が生みだされるず蚀う。
 結局、バトラヌは、
         「䞻䜓ずいうカテゎリヌず芏範を揺るがし、法の限界を暎くこず
によっお、                   (28)
     法を空掞化させる再意味化の代案を提瀺」 しようずしたのである。今日、
フェミニズム理論やクィア理論ぞのバトラヌの圱響は決定的なものずなっおいる。


(ⅱ)セゞりィック
 クィア理論の原動力ずも、王母Queen Motherずも蚀われるセゞりィックは「ホ
モ゜ヌシャル」なる抂念を提瀺した)。
 ホモ゜ヌシャルずは、異性愛男性の友情・同胞愛によっお支えられた連垯関係を指
す。セゞりィックによれば、叀代ギリシアから近代に至るたで西掋はホモ゜ヌシャル
な瀟䌚であったが、ホモ゜ヌシャルはホモセクシャル同性愛ず断絶したものでな
く、すなわち、連続したものであったずいう。ホモ゜ヌシャルな瀟䌚は朜圚的に同性
愛的であった。
 セゞりィックは「男性が異性愛関係をも぀のは男同士の究極的な絆を結ぶためであ
る」(29)、
      「女性は、男同士の絆を維持するための溶媒」(30)である。ホモ゜ヌシャルな瀟


                     11
䌚では、女性は男同士が絆を結ぶための手段になっおいるずいう。セゞりィックは、
レノィストロヌスの「女性の亀換」論―女性は、婚姻の盞手ずしおではなく、男同
士の絆をゆるぎないものにするために亀換される物―をフェミニズムの芖点から芋た
のである。
 フヌコヌによれば、19 䞖玀に「ホモセクシュアル」ずいう近代のカテゎリヌが生た
れ、
 「ホモセクシュアル」が「䞀぀の皮族」になった。同性愛を異質化し、呚瞁に远い
やる異性愛䞻矩はそこからはじたったず、セゞりィックは芋おいる。
 東京倧孊教授の倧橋掋䞀が述べおいるように、ホモ゜ヌシャリティずは、異性愛男
性の集合䜓であるが、そこにおいお男性の絆を切り裂きかねない女性フェミニスト
ず、男性集合䜓を女性から切り離しお同性愛集団化しかねない同性愛男性は排陀され
る。それゆえ、ホモ゜ヌシャリティはホモフォビア同性愛者嫌悪ずミ゜ゞニヌ女
性嫌悪に支えられた父暩制のホモ゜ヌシャル瀟䌚なのである。この男性同士の連垯
から同性愛者ず女性䞀般を解攟するために、ゲむ男性ずフェミニストずの連垯が生た
れる。か぀おは倩敵であったゲむ男性ずフェミニストが、ずもにホモ゜ヌシャル的父
暩制瀟䌚の犠牲者であるこずに目芚めお連垯するずいうのであり、ここにクィア理論
が成立したのである(31)。
 セゞりィックによれば、
           「性的欲望は、安定したアむデンティティを溶解させる、予
想しがたい匷力な溶剀」(32)であり、同性愛ず異性愛は揺れ動くものであっお、セクシ
ュアリティは混沌たるものであるずいう。


②統䞀思想から芋たクィア理論
(ⅰ)バトラヌ批刀
 バトラヌの䞻匵は「はじめに蚀説ありき」ずいうこずであるが、䞻䜓は行為によっ
お蚀説のなかで構築されるず蚀っお、蚀説の背埌に䞻䜓を認めない。蚀説のなかで䞻
䜓が生じるずいうこずである。しかし䞻䜓のない蚀説などありえるであろうか。バト
ラヌはたた、行為の背埌に行為者は存圚せずず蚀うが、行為者のない行為などありえ
るであろうか。
 ペハネ犏音曞の冒頭に「はじめに蚀ありき」ずあるが、それは神ずいう䞻䜓がいお、
蚀が発せられたのである。神ずいう䞻䜓のない蚀はありえない。同様に、人間ずいう
䞻䜓なくしお蚀説が存圚するずいうこずはありえない。虚空の䞭に蚀が存圚しおいる
ずいうのであろうか。これは、すべおは物質から生じたずいう「唯物論」ならぬ「唯
蚀論」ずもいうべきものであろう。
 統䞀思想から蚀えば、「はじめに愛ありき」、そしお愛から蚀が生たれたのである。
぀たり、神は愛であり、愛から倩地創造の構想たたはシナリオずしおの蚀が生たれた
のである。そしお男ず女、雄ず雌のペアシステムは愛の実珟のために぀くられたので
ある。぀たり愛の完成のために男は男らしく、女は女らしく造られたのである。愛に


                   12
は、愛が真なる愛ずなるための道しるべが必芁であった。したがっお蚀には「愛の道」
ずしおの法芏範が䌎っおいたのである。
 サラ・サリヌは、バトラヌに「ラディカルな構築䞻矩者」ずいうレッテルを貌ろう
ずしたが、バトラヌはそれに反論しおいるず、次のように述べおいる。


  「ラディカルな構築䞻矩者」ずは、すべおは蚀語であり、すべおは蚀説である。
                   、、、、、、、
  ぀たり身䜓を含めお、すべおのものが構築されおいるず、単玔にそしおおそら
  く頑固に蚀い匵るこずだずされおいる。しかしバトラヌは、この批刀は脱構築
  のアプロヌチをはき違えたものだず䞻匵し、脱構築は、
                          「すべおのものは蚀説ずし
  お構築されおいる」ずいう蚀い方に垰着しないず述べる。脱構築するずは、䞻䜓
  が蚀説によっお構築されるさいに、排陀、抹消、予めの排陀、棄华がどのように
  䜜甚しおいるかを認識し、分析するこずである」(33)


 しかしバトラヌが真に蚀いたいこずは、蚀語ず蚀説がすべおを決定しおいるずいう
こずであろう。これはリチャヌド・ドヌキンスが遺䌝子は利己的であるず䞻匵しなが
らも、反論されるずメタファヌであるずか、遺䌝子には協力的な面もあるず蚀っお、
匁解しおいるのず同じである。
 バトラヌは、ゞェンダヌずいうカテゎリヌを「流動化させ、攪乱、混乱させ、増殖
させるこずによっお、ゞェンダヌ・トラブルを起こし぀づける」(34)ず䞻匵した。バト
ラヌのこのような䞻匵は、たさにポストモダン・フェミニズムの行き着くずころであ
る。このような䞻匵は、デリダによる蚀説の撹乱ず軌を䞀にするものであり、さらに
はダヌりィニズムの突然倉異による皮の撹乱ず軌を䞀にするものである。
 統䞀思想の芳点から蚀えば、神は生物を皮類に埓っお創られたように、男ず女も明
確な差異をもっお創られたのである。そしお男ず女が肉䜓的にも、粟神的にも、ハヌ
モニヌを描きながら愛し合うずき、男も女も真の喜び快楜を埗るこずができるの
である。


(ⅱ)セゞりィック批刀
 セゞりィックによれば、男性同士、女性同士の同性愛はホモ゜ヌシャルずいう男性
同士の友情に危険なものずみなされお、ホモ゜ヌシャル的父暩制瀟䌚では排陀されお
いるずいうが、そうではない。同性愛は真なる異性愛から逞脱したものであるから、
人間は本性的に同性愛を避けようずするのである。
 セゞりィックは、男同士の友情の䞭には、同性愛が朜圚しおいるずいうが、本来、
友情兄匟姉効の愛ず同性愛には䜕の関係もない。同性愛は異性間の性愛の歪んだ
もの、倉圢であるが、それにたいしお友情兄匟姉効の愛は性愛ずは無関係なもの
である。


                    13
セゞりィックはたた、レノィストロヌスの「女性の亀換」論の芳点からホモ゜ヌ
シャルな瀟䌚を考察しおいる。女性が歎史的に男性から虐げられおきたのは事実であ
るが、それは人類始祖の゚バの堕萜によっお、女性がその眪を償わなければならなく
なったからであった。しかし、今日、再臚の摂理の進行ずずもに、女性の莖いの歎史
蕩枛埩垰の歎史が終わり、男性ず女性が同等な䜍眮ず䟡倀を持぀こずができる時
代になった。20 䞖玀に入り、女性解攟運動が台頭するようになったのは、そのような
時代的背景があったのである。したがっお、女性を亀換する物ず芋るのは誀りである。
 セゞりィックはさらに、セクシュアリティは揺れ動くものであり、混沌たるもので
あるずいう。これはバトラヌのゞェンダヌ・トラブルず同様、デリダによる蚀説の撹
乱ず軌を䞀にするものであり、さらにはダヌりィニズムの突然倉異による皮の撹乱ず
軌を䞀にするものである。


フェミニズムを超えお、真の男女の愛ぞ
 ポストモダン・フェミニズムの生みの芪はたさにポスト構造䞻矩であり、さらには
マルクス䞻矩、ダヌりィニズム、フロむト䞻矩なのである。
 すなわち珟代フェミニズム特にポストモダン・フェミニズム、およびクィア理論
の根ずなっおいるのがマルクス䞻矩、ダヌりィニズム、フロむト䞻矩であり、幹ずな
っおいるのがポスト構造䞻矩である。したがっおマルクス䞻矩、ダヌりィニズム、フ
ロむト䞻矩が厩壊し、ポスト構造䞻矩が厩壊すれば珟代フェミニズムは厩壊せざるを
えないのである。その他のフェミニズム――マルクス䞻矩フェミニズム、ラディカル・
フェミニズム、゚コロゞカル・フェミニズム他――に぀いおも同様である。それらは
盎接、ポスト構造䞻矩ず関わりないずしおも、マルクス䞻矩、ダヌりィニズム、フロ
むト䞻矩のいずれかに基づいおいるのであり、同様に厩壊せざるをえないのである。
 フェミニズムの厩壊の埌に来るのは、神の愛を䞭心ずした、玔朔にもずづいた真の
男女愛、真の倫婊愛の理念である。人間は本来、個性を完成した䞀人の男性ず、個性
を完成した䞀人の女性が結婚するようになっおいる。そしお統䞀思想から芋た、本然
の結婚の意矩は、1)男性ず女性の二性が調和しおいる神の姿に䌌るこず、すなわち神の
顕珟であり、2)宇宙䞇物の完成、3)人類の統䞀、4)家庭の完成である。ずころが䞍倫、
同性愛、近芪盞姊などは、そのような理想を砎壊するものである。䞍倫、同性愛、近
芪盞姊などの歪んだ愛のなかには、神は臚圚できず、運行できない。たた、䞇物が共
鳎できないものである。聖曞には、
               「被造物党䜓が、今に至るたで、共にうめき共に産
みの苊しみを続けおいる」
           ロ-マ人ぞの手玙 8:22ず曞かれおいる。日本のこずわざ
にも、
  「倫婊喧嘩は犬も食わない」ずある同性愛、その他の歪んだ愛は蚀うたでもな
い
 。さらには、人類を分裂せしめ、家庭を砎壊するものずなるのである。フェミニズ
ムおよびゞェンダヌを吊定する思想はたさにそのような悲惚な結果をもたらすもので
ある。


                    14
第 4 回䞖界女性䌚議1995 幎、北京においお、マザヌ・テレサは次のようなメッ
セヌゞを寄せた。


      私には、なぜ男性ず女性は党く同じだず䞻匵し、男女の玠晎らしい違いを吊定し
      ようずする人々がいるのか理解できたせん。神より授けられたものは党お善きも
      のでありながら、党おが同じものであるずは限りたせん。  神は私達に「汝を
      愛するがごずく隣人を愛せよ」ずおっしゃいたした。だから、私はたず正しく自
      分を愛し、それからそれず同じように隣人を愛したす。しかし、神が自分をお造
      りになったこずを受け入れないずすれば、どうしお自分を愛するこずなどできる
      でしょうか。男の玠晎らしい違いを吊定する人々は、自分たちが神によっお造ら
      れた存圚であるこずを認めようずしたせんし、それゆえに隣人を愛するこずもで
      きたせん。圌らがもたらすものは、察立ず䞍幞ず䞖界平和の砎壊でしかありたせ
      ん。


  真の倫婊愛による真の家庭が栞ずなっお築かれる瀟䌚、䞖界が、来るべき理想瀟䌚
であり理想䞖界である。そこでは男性による女性の支配、差別、虐埅はなく、女性の
男性に察する反抗、反逆もない。男性ず女性が真の愛のもずで、共に喜び合う䞖界で
あり、そこでは男女の真の平等が実珟されるのである。




èš»
(1)   メアリ・゚ノァンス、奥田暁子蚳『珟代フェミニスト思想入門』明石曞店、1998
      幎、33-34 頁。
(2)   同䞊、123-24 頁。
(3)   ゜フィア・フォカ、レベッカ・ラむト、竹村和子・河野貎代矎蚳『ポストフェミ
      ニズム入門』䜜品瀟、2003 幎、99 頁。
(4)   同䞊、51 頁。
(5)   同䞊。
(6)   メアリ・゚ノァンス『珟代フェミニスト思想入門』35 頁。
(7)   同䞊、35 頁。
(8)   同䞊、78 頁。
(9)   同䞊、73 頁。
(10) 同䞊、74 頁。
(11) 同䞊、197 頁。


                         15
(12) 竹村和子『フェミニズム』岩波曞店、2000 幎、17 頁。
 (13)    ゜フィア・フォカ、レベッカ・ラむト『ポストフェミニズム入門』64 頁。
 (14)    同䞊、159 頁。
(15)     ゞュディス・バトラヌ、竹村和子蚳『ゞェンダヌ・トラブル』青土瀟、1999
幎、163 頁。
(16)     ゜フィア・フォカ、レベッカ・ラむト『ポストフェミニズム入門』59-61 頁。
(17)     ゞュディス・バトラヌ『ゞェンダヌ・トラブル』33 頁。
(18)     倧越愛子『フェミニズム入門』筑摩曞房、1996 幎、187 頁。
(19)     ゜フィア・フォカ、レベッカ・ラむト『ポストフェミニズム入門』52-54 頁。
(20)     同䞊、55-57 頁。
(21) ゞュディス・バトラヌ『ゞェンダヌ・トラブル』58, 257 頁。
(22) 同䞊、73 頁。
 (23) 同䞊、226-227 頁。
(24) 同䞊、28-29 頁。
(25) サラ・サリヌ、竹村和子蚳『ゞュディス・バトラヌ』青土瀟、2005 幎、115 頁。
(26) 同䞊、114 頁。
(27) 同䞊、225 頁。
 (28) 同䞊、238 頁。
(29) むノ・K・セゞりィック、䞊原早苗・亀柀矎由玀蚳『男同士の絆むギリス文孊
        ずホモ゜ヌシャルな欲望』名叀屋倧孊出版䌚、2001 幎、76 頁。
(30) 同䞊、244 頁。
(31)    倧橋掋䞀「キヌワヌド解説」
                    、竹村和子線『ポストフェミニズム』䜜品瀟、2003
        幎。
(32) むノ・コゟフスキヌ・セゞりィック、倖岡尚矎蚳『クロヌれットの認識論』青土
        瀟、1999 幎、121 頁。
 (33) サラ・サリヌ『ゞュディス・バトラヌ』144 頁。
(34) ゞュディス・バトラヌ『ゞェンダヌ・トラブル』73 頁。




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バトラヌ、ゞュディス『ゞェンダヌ・トラブル』竹村和子蚳、青土瀟、1999 幎。 Judith
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フォカ、゜フィア、レベッカ・ラむト『ポストフェミニズム入門』竹村和子・河野貎
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ホロックス、、 Z・ゞェノティック『フヌコヌ』癜石高志蚳、珟代曞通、1998 幎。
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ミルズ、サラ『ミシェル・フヌコヌ』酒井隆史蚳、青土瀟、2006 幎。
 Sara Mills, MICHEL FOUCAULT. Routledge, New York, 2003.
ラむト、゚リザベス『ラカンずポストフェミニズム』怎名矎智蚳、岩波曞店、2005 幎。
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                                      17
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             ・    田厎英明蚳、青土瀟、     Nicholas Royle, JACQUES
                           2006 幎。
 DERRIDA, Routledge, New York,2003.
䞊利博芏『デリダ』枅氎曞院、2001 幎。
今村仁叞・栗原仁『フヌコヌ』枅氎曞院、1999 幎。
内田隆䞉『ミシェル・フヌコヌ』講談瀟、1990 幎。
倧越愛子『フェミニズム入門』筑摩曞房、1996 幎。
倧城信哉著・小野功生監修『図解雑孊・ポスト構造䞻矩』ナツメ瀟、2006 幎。
奥田暁子、秋山掋子、支倉寿子線著『抂説フェミニズム思想史』ミネルノァ曞房、2003
幎。
斎藀慶兞『デリダなぜ「脱―構築」は正矩なのか』NHK 出版、2006 幎。
桜井哲倫『フヌコヌ』講談瀟、2003 幎。
新宮䞀成『ラカンの粟神分析』講談瀟、1995 幎。Shingu Kazushige, Being Irrational,
 Gakuju Shoin, Tokyo, 2004.
高橋哲哉『デリダ』講談瀟、2003 幎。
竹村和子『フェミニズム』岩波曞店、2000 幎。
竹村和子線『ポストフェミニズム』䜜品瀟、2003 幎。
䞭山元『フヌコヌ入門』筑摩曞房、1996 幎。




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  • 1. フェミニズムを超えお 統䞀思想研究院 倧谷明史 フェミニズムの先駆ずなったのはフランス革呜であり、その代衚的人物は革呜議䌚 で掻躍したコンドルセCondorcet、議䌚倖で掻動し『女性および女性垂民の暩利宣 蚀』を発衚したオランプ・ドゥ・グヌゞュOlympe de Gouges 、およびフランス革 呜に圱響を受けたむギリスのメアリヌ・りルストンクラフトMary Wollstonecraft であった。 19 䞖玀前半の英米で第䞀波フェミニズムず呌ばれる女性運動が起きた。慈善運動、 教育における男女平等の芁求から参政暩の芁求ぞず向かった。さらにアメリカでは奎 隷制廃止運動、むギリスでは廃嚌運動があった。 第二波フェミニズムはシモヌヌ・ド・ボヌノォワヌルSimone de Beauvoirの『第 二の性』がその先駆であった。その䞭で圌女は、 「ひずは女に生たれない。女になる」 ずいう有名な宣蚀を行った。アメリカ合衆囜における第二波フェミニズム運動は 1960 幎代埌半に始った。 ベティ・フリヌダンBetty Friedanは女性差別の撀廃ずあらゆる分野ぞの女性の 参画をめざし、1966 幎に NOW党米女性機構を蚭立した。ゞュリ゚ット・ミッチ ェルJuliet Mitchellは『女性―最も長い革呜』を発衚し、マルクスの匁蚌法的唯物 論ず、フロむトの粟神分析を女性解攟に掻甚すべきであるず䞻匵した。 シュラミス・ファむアヌストヌンShulamith Firestoneは『性の匁蚌法』を発衚 し、 「珟圚の閉鎖的な結婚・家族制床を解䜓し、䞀人暮しず共同生掻、異性愛ず同性愛 ず倚型的倒錯など、任意のラむフスタむルを遞べるようになるだろう」ず語った。 NOW から袂を分かったレズビアンたちによっおレズビアン・フェミニズムが展開さ れた。その䞻匵は、女性抑圧の根源はセクシュアリティの支配、特にヘテロセクシュ アリティ異性愛の匷芁であるから、この制床を厩壊させなければ、女の解攟はあ りえない、ずいうものであった。 フランスでは 1970 幎に女性解攟運動 MLF が誕生したが、その埌、 二掟に分裂した。 䞀方はボヌノォワヌルの埌継者たちによる「フェミニスト革呜掟」 平等䞻矩・普遍䞻 矩であり、デルフィChristine Delphy 、りィティッグMonique Wittigがその 代衚であった。この掟は、女ずは瀟䌚的に構築されたものであり、男女二元論の異性 愛の枠組で語られたものず䞻匵し、生物孊に基瀎をおくゞェンダヌ差異に反察した。 他方はプシケポ差異䞻矩であり、フヌクFouque Antoinette、クリステノァ Julia Kristeva、シクスヌHélÚne Cixous、むリガラむLuce Irigarayなどが 1
  • 2. その代衚であった。圌女たちはフロむト、ラカン、デリダの粟神分析、脱構築の理論 に䟝拠し、女性解攟の目的は、女性が男性ず同じになるこずではなく、女性、男性ず いう別々のアむデンティティを互いに認めるこずだず䞻匵した。この掟がポストモダ ン・フェミニズムであった。圌女たちの理論は 1980 幎にアメリカに玹介されお、倧き な衝撃を䞎えるこずになった。 第二波フェミニズムに続いおポストフェミニズムポストモダン・フェミニズムを 含むが生たれた。ポストフェミニズムは、フェミニズムの成熟、新フェミニズム、 脱政治化、個人の゚ンパワメントなどず性栌づけられる。 日本においおは、䞻ずしお急進的なフェミニスト達によっお、ゞェンダヌ瀟䌚的 に認められおいる性差からの自由を目指す思想や運動に「ゞェンダヌフリヌ」ずい う蚀葉が䜿われるようになった。そしお今、 「ゞェンダヌフリヌ」は瀟䌚的に深刻な圱 響を及がしおいるのである。 以䞋、ポスト構造䞻矩がフェミニズムに及がした圱響に぀いお論じた埌に、今日の フェミニズム思想ずゲむ/レズビアン・スタディヌズの䞭栞ずなっおいるポストモダ ン・フェミニズムずクィア理論に぀いお、統䞀思想の芳点から批刀、怜蚎しおいくこ ずにする。 ポスト構造䞻矩ずフェミニズム むギリスのケント倧孊でりィメンズ・スタディヌズを担圓する教授であるメアリ・ ゚ノァンスMary Evansはポストモダン思想ポスト構造䞻矩がフェミニズム思 想家に倧きな圹割を䞎えたず次のように蚀う。 ポストモダン思想は 19 䞖玀の倧統合理論を批刀し、その代わりにフヌコヌになら っお20 䞖玀埌半における生を説明する方法は、郚分的に重なり合う䞀連の蚀説や アむデンティティに参䞎するこずを通しおなされるべきだず提議した。瀟䌚的、感 芚的䞖界に察するこのアプロヌチは、ゞェンダヌやセックスのアむデンティティの 違いを認め、倚面的な女性の生き方に理論的な堎所を䞎えるずいう意味で、倚くの フェミニストに完党に理解された(1)。 デリダによれば、蚀語はたえずかき乱されおいるのであるから、性のアむデンティ ティヌもかき乱されおいるのである。フヌコヌによれば、性は暩力による芏制を受け たものであっお、本質的な性のアむデンティティヌはありえない。そしおラカンによ れば、性は蚀語によっお぀くられたものであり、本来、性的関係などはなく、女ずい うものは存圚しないずたで蚀う。 このようなポスト構造䞻矩がフェミニズムの思想的なバックグラりンドずなった。 特にフランス・フェミニズムがアメリカをはじめ、䞖界に倧きな衝撃を䞎えるこずに 2
  • 3. なった。その䞭心ずなったフェミニスト思想家は、ゞュリア・クリステノァ、リュス・ むリガラむ、゚レヌヌ・シクスヌであった。 すでに述べたように、ポスト構造䞻矩はマルクス䞻矩、ダヌりィニズム、フロむト 䞻矩を土台ずしお成立したものであった。そしおポストモダン・フェミニズムはさら にポスト構造䞻矩を土台にしお成立しおいるのである。したがっお、マルクス䞻矩、 ダヌりィニズム、フロむト䞻矩が間違いであるこずが明らかにされれば、ポスト構造 䞻矩も、ポストモダン・フェミニズムも厩れざるをえないのである。ポストモダン・ フェミニズムずその土台ずなっおいる思想を図 5-1 に瀺す。 ①フヌコヌずフェミニズム フェミニズムはフヌコヌの著䜜から倧きな圱響を受けおいる。メアリヌ・゚ノァン スは次のように蚀う。 フヌコヌの思想が人びずに特暩を䞎え、人びずを解攟する力を持っおいるのは、衚 珟がある意味で人間のリアリティに関する「真実」を「暎露する」のではなく、さ たざたな人間の状況ず瀟䌚的文脈のなかで「真実」に぀いおの解釈を぀くり出すも のであるこずを䌝えおいる。このように蚀うこずで消えるのは、 「正垞」もしくは「真 の」セクシュアリティずいう考え方である。フヌコヌによれば、セクシュアリティ は構築物そのもの、しかも倉化する構築物である(2)。 フヌコヌは、性に関する蚀説には暩力の操䜜が隠されおいるずいう。英囜の評論家 の゜フィア・フォカSophia Phocaによれば 暩力は、性の抑圧をずおしおではなく、むしろ「異垞な」セクシュアリティや「正 垞な」セクシュアリティの抂念をおびただしく生み出す「オヌプン」な論議や分析 3
  • 4. をずおしお䜜甚する。性の科孊的蚀説は、19 䞖玀に生み出され、それをフヌコヌは セクシュアリティの孊ず呌んだ。問題なのは、性ではなくお、科孊的蚀説それ自䜓 に内圚しおいる暩力の力孊である。  セクシュアリティの孊は、人間䞻䜓を分類 し芏制するもう䞀぀の方法であり、健康で正しいセックス・ラむフずいう「自由䞻 矩的」蚀説になったずきに完成する(3)。 フヌコヌの思想は同性愛のみならず、フェミニズムにずっおも有効なものであった。 ②デリダずフェミニズム ポストフェミニズムはデリダの蚀語的撹乱の戊略を埗おいるず゜フィア・フォカは 蚀う。 “ポスト”フェミニズムは、デリダの蚀語的撹乱の戊略から倚くを埗た。 「語りえな い差延」ずいう圌の抂念は、抑圧され、暩利を剥奪された女の状況に応甚しうる。 女の状況は自然なものではなく、構築されたもので、それを顕圚化しうるのは「男 根ロゎス䞭心䞻矩」ぞの脱構築的批評によっおである(4)。 さらにデリダの脱構築は、 「原理䞻矩的な家父長制の二分法がどのようなものか―― たずえば男女の二分法が男を特暩化しおいるこず――を明らかにし、それを脱臌させ る新しい可胜性をフェミニズムに提䟛した」のである(5)。 ③粟神分析ずフェミニズム メアリ・゚ノァンスによれば、 「ゞュリ゚ット・ミッチェルの『粟神分析ずフェミニ ズム』はフェミニズムにフロむトを再発芋させるこずになり、フェミニズムが象城ず 感情の䞖界の理解に接近するこずを可胜にした」(6)のであり、フロむトの無意識の理論 ず、埌倩的に習埗される性的アむデンティティの理論がフェミニズムにずっお有効な 理論的根拠をもたらすようになったず蚀う。 圌フロむトの無意識の理論ず埌倩的に習埗される性的アむデンティティの理論 は瀟䌚における比喩的なものや、性的アむデンティティが習埗されるプロセスのダ むナミックを論じるこずを可胜にする。重芁なのは、粟神分析が西掋の瀟䌚科孊が 提䟛する固定的な性圹割に぀いおの分析から抜け出す道を提䟛したように思われる こずである。したがっお、フロむトの再読から生たれたのは、女性を「蚘号」ずし お論じたり、個人の経隓よりも䞀般的なパタヌンずいう芖点から文脈を読むこずで あった(7)。 4
  • 5. メアリ・゚ノァンスによれば、「1970 幎代にフェミニズムが粟神分析を再発芋した ずき、粟神分析は蚀葉で衚珟されたものだけでなく瀟䌚的生掻や知的生掻のなかにあ る比喩的なものや象城的なものを解明できる枠組みを女性に䞎えた」(8)のであり、「粟 神分析に芪しむこずは 70 幎代以降アカデミック・フェミニズムの必芁条件ずなった」 (9)のである。 ④ラカンずフェミニズム フロむトの粟神分析に次いでフェミニズムに圱響を䞎えたのはラカンであった。メ アリ・゚ノァンスは次のように蚀う。 しかし、このようなフェミニズムの芖点から芋た粟神分析の著䜜はフロむトで終わ らなかった。  女流䜜家が蚀語ず衚珟を抂念化する方法を開発するずきに、ずく に重芁なのはゞャック・ラカンである。  ラカンの男根の理論を普遍的な意味䜓 系ずしお、父芪の法則を文字通り衚珟するものずしお、欲望のもっずも重芁な意味 䜓系ずしお匷調するこずだった(10)。 ラカンによれば男根ファルスは蚀語ず文化を぀くる胜動的な力である。男根は 父の法や去勢䞍安を意味する。ラカンにおいお、蚀語においお構造化されおいる領域 を象城界ず呌び、象城界によっお远攟される混沌たる領域を珟実界ずみなした。そし お女性性を珟実界の混沌に関䞎する䜍眮「ファルスである」䜍眮に、男性性を珟実 界を封印する象城界の蚀語を所有する䜍眮 「ファルスをも぀」䜍眮に蚭定したので ある。 珟実の象城界は男根的䟡倀を䞭心ずした蚀語が支配しおいる。そしお男根は䟡倀芳 をもち、その暩力を利甚する存圚を「男性」、そこから脱萜しおいるか、䞍圚か、消去 されおいる存圚が「女性」ず芋なされおきた。それゆえフランス・フェミニズムは、 父なる象城秩序ずしおの蚀語の解䜓に、果敢に取り組んだのである。 マルクス䞻矩フェミニズムずラディカルフェミニズム ①マルクス䞻矩フェミニズム メアリ・゚ノァンスが「フェミニズムはマルクスを発芋し、フヌコヌずずもに成長 したように、フロむトを再発芋した」(11)ず蚀っおいるように、フェミニズムは第䞀矩 的にマルクス䞻矩の圱響を受けおいるのである。 ゚ンゲルスによれば、 「婚姻関係では女性がプロレタリアヌトで、男性がブルゞョワ ゞヌである」 。したがっお異性愛の関係に入るこずは、男性による女性に察する䞍可避 の搟取をもたらすずいうのである。 マルクス䞻矩によれば、このような支配・被支配の構造が生じたのは生産力の増倧 5
  • 6. によるものである。原始の母系制共産瀟䌚においお性差別はなかった。しかし、生産 力の増倧により富の分配に䞍公平が生じ、私有財産が発生するに及んで、女性の䞖界 史的敗北ずしお母系制の厩壊が起こり、父暩制が確立するこずで、女性の家内奎隷化 が始たったずいうのである。 マルクス䞻矩フェミニズムを代衚するのがクリスティヌヌ・デルフィである。マル クス䞻矩フェミニズムによれば、 「女性性ず男性性の神話が先に存圚しお、それによっ お近代の家父長制が䜜りだされたのではなく、資本制を保持するための䞭産階玚的な 家父長制が  このような神話を捏造し、それを自然化、普遍化しおいった」(12)ずい うのである。 そしお圓然ながら、マルクス䞻矩フェミニズムは「資本䞻矩は女性搟取から利益を 埗おいるずみなしお、資本䞻矩搟取䜓制ずの闘争を宣蚀した」(14)のであった。 ②ラディカル・フェミニズム ラディカル・フェミニズムは 60 幎代埌半のアメリカ合衆囜に登堎した、女性の抑圧 を階玚抑圧を含めたあらゆる抑圧構造の根源に䜍眮づける運動であった。男による女 性抑圧は他のすべおの抑圧の根源であるずみなし、性による区別化差別化である ゞェンダヌを終わらせればすべおの抑圧はなくなるずいうのである。 マルクス䞻矩フェミニズムずラディカル・フェミニズムの違いは、産業資本䞻矩ず 男性支配型の家父長制家族のうち、どちらが先に誕生したか、あるいはどちらを重芖 すべきか、ずいうこずである。ラディカル・フェミニズムによれば、家父長制支配は 歎史の䞭で生じたものであるが、マルクス䞻矩フェミニズムは近代資本䞻矩の成立ず ずもに家族がゞェンダヌ化したず芋るのである。 ラディカル・フェミニズムに理論的に貢献した代衚的フェミニストはベティ・フリ ヌダン、ケむト・ミレット、シェラミス・ファむアストヌン、ゞュリ゚ット・ミッチ ェルなどである。 ポストモダン・フェミニズム ポストモダン・フェミニズムずは珟代フランス・フェミニズムのこずであり、それを 代衚するのがクリステノァ、むリガラむ、シクスヌである。 ①ポストモダン・フェミニズムの論調 (ⅰ)クリステノァ ゜フィア・フォカはゞュリア・クリステノァJulia Kristevaの思想を次のように 説明しおいる。 クリステノァは、ラカンの想像界ず象城界の関係を、圌女自身の蚀葉、原蚘号界 6
  • 7. ず象城界の関係に眮き換えお、抂念化し盎した。  原蚘号界は、母に深く結び ぀いた幌児の初期のリビドヌ的衝動、぀たり前゚ディプス期の原初的衝動に結び ぀いおいるず述べる。  クリステノァは、コヌラずいうギリシャ語プラトン の『ティマむオス』に出おくる蚀葉を䜿っお、原蚘号界の「䞍気味なもの」を 説明する。それは、名づけうる「圢匏」に先立぀、名づけえない混沌ずした「子 宮のような」空間である。クリステノァにずっおコヌラずは、母子が共有する身 䜓空間であり、衚象に抵抗し、欲望ずしお䜓隓されるものである。母性的コヌラ は、意味䜜甚の基底にあり、それに先行しおいる。たたその秩序を䞍安的化させ る危険性を持぀ (13)。 ゜フィア・フォカはさらに、 「クリステノァの原蚘号界は前蚀説的・前蚀語的で、リ ズム・トヌン・色など、前衚象的なものすべおに関わっおいる。クリステノァにずっ お、原蚘号界は芞術では‘衚象再珟前できない’’ものだが、芞術のなかに、そしお 詩的蚀語おいおも、珟前しおいる」ずいう(14)。 原蚘号界は家父長的な象城秩序に察しおは、攪乱的で創造的な力をも぀ものであり、 閉鎖を砎り、象城界を粉砕するものである。ゞュディス・バトラヌが蚀うように、ク リステノァは原蚘号界を持ちだしお、象城界における「父の法」 芏範を撹乱し、砎 壊しようずした。そしお「父の法」のかなたにある快楜――詩的蚀語や母性の快楜― ―を目指したのである(15)。クリステノァのいう、前゚ディプス期における母子関係ず は、母ず䞀䜓化した近芪盞姊的な快楜の空間であった。 (ⅱ)むリガラむ リュス・むリガラむLuce Irigarayは、 「粟神分析は家父長的、男根䞭心的で母や 女のセクシュアリティを十分に認識しおこなかった」ずフロむトの粟神分析を批刀し た。そしおむリガラむは、家父長制を脱構築するためには、文化を女の偎から読み盎 すこずが必芁であるず述べ、ナヌトピア的なポスト家父長的未来に垌望を蚗したので あった。デリダの脱構築を䜿っお、叀今の䞻芁哲孊曞が「男性的想像力」で曞かれお いるこずを跡づけ、 「ずくに女の偎から、哲孊的䌝統を問い盎そう」ず䞻匵した。むリ ガラむは、父なるものず同等の地䜍を母なるものに䞎えるこずで、性的差異を認識で きる未来を抂念的に構想した。そのためには、女は前゚ディプス期の想像界――蚀語 のたえにある前家父長的䞖界――に戻るべきであるず䞻匵した(16)。 むリガラむによれば、女は「ひず぀」ではない「セックス」である。あたねく浞透 しおいる男性䞭心䞻矩の蚀語――男根ロゎス䞭心䞻矩の蚀語――の内郚では、女は衚 象䞍胜なものを構築する。換蚀すれば、女は思考できないセックス、぀たり蚀語䞊の 䞍圚や䞍透明さを衚象しおいる。単声的な意味づけに安䜏する蚀語においおは、女の セックスは抑制できないもの、名づけえないものを構築する。この意味で、女は「ひ 7
  • 8. ず぀」のセックスではなく、倚数のセックスなのである(17)。 ラカンずデリダの圱響を受けお、むリガラむは、モニク・りィティッグ、゚レヌヌ・ シクスヌず共に、男根䞻矩的蚀語を拒吊し、女性の欲望の珟実を反映できる蚀語―― ゚クリチュヌル・フェミニン――を぀くるこずを䞻匵したのである。 近畿倧孊教授の倧越愛子が述べおいるように、クリステノァは男根的蚀語䜓系を攪 乱し、裂け目を導入しお、その䞭に母性的な原蚘号界を割りこたせようずしたのであ り、むリガラむ、そしお次に述べるシクスヌは男根的蚀語䜓系の倖に、独立した女性 的蚀語䜓系を確立しようずしたのであった(18)。 (ⅲ)シクスヌ ゚レヌス・シクスヌHélÚne Cixousは男根䞭心的な゚クリチュヌルを批刀しお、 男根を無化した゚クリチュヌル・フェミニンを提起した。゜フィア・フォカはシクス ヌの思想を次のように芁玄しおいる。 ゚クリチュヌル・フェミニンは  「女性性を曞き蚘したい」ずいう欲望によっ お動機づけられ、1970 幎代半ばにフランスから始たった。゚クリチュヌル・フェ ミニンは、これたで蚀語をもたなかったもの――家父長制文化によっお抑圧され おきた女性性――を曞き蚘す。  シクスヌは、男女の二分法のなかの女の䜍眮 づけから抜け出す道――脱出――を暡玢した。シクスヌにずっお西掋の哲孊蚀説 は、二分法の蚀語的差異の産物ずしお、女を䜜っおきた。  この二分法構造を 䞍安定化させるこずによっお、男根䞭心的䞻䜓の特暩は切り厩される。  ゚ク リチュヌル・フェミニンずいう圌女の抂念は、デリダの差延の思想を取り入れた ものだ(19)。 クリステノァ、むリガラむず同様、シクスヌも粟神分析、ずくにラカンの圱響を色 濃く受けおいた。゜フィア・フォカによれば、 「シクスヌは、母の身䜓のリズムや衚珟 は子どものなかに刻たれお、倧人になっおもそのたた残っおいるず考えた。圌女は、 ラカンの想像界――母他者ずの前象城的な結合領域――に特別の䟡倀をおいた。   シクスヌは、 ‘圌女自身の身䜓を曞く’テクストのなかで、二分法の閉塞性を打砎 した。この無制限のテクストの悊びは、ゞュむサンス快楜、jouissanceず呌ばれる。 この語はラカンによっお䜜られ、それに盞圓する的確な英語はないが、その意味は、 性的オヌガズムから導き出される究極の快楜である」(20)。 テクストの快楜は、理論化も、封じ蟌めも、コヌド化もしえない女の゚ロティシズ ムのようなものである。シクスヌは女性の快楜feminine jouissanceを目指したの であった。 8
  • 9. ②統䞀思想から芋たポストフェミニズム (ⅰ)クリステノァ批刀 クリステノァは、父の法であるロゎス論理、芏範が母性の快楜ゞュむサンス を抑圧し、遮断しおいるず芋おおり、法のかなたに始原的な快楜、父の法の拘束から 自由である本物の身䜓女の身䜓があるずいう。これは封建的な道埳によっお圢づ くられた超゚ゎが人間本性を抑圧しおいるずいうフロむトの䞻匵に沿ったものであろ う。 統䞀思想の芳点から蚀えば、法芏範のかなたに真の快楜があるのではない。法 芏範ずは、真の愛を実珟するための愛の道しるべである。法芏範を逞脱した 愛は真なる愛ずはなりえないのである。 クリステノァは、母ず子の近芪姊タブヌは、象城界においお抌し぀けられたもので あるずいうが、母ず幌児の間の愛は、性的なものではなく、近芪姊ずは䜕の関係もな い。したがっお母ず幌児の愛はいわゆる象城界においおも、犁止されるようなもので なく、䞀生を通じお䞍倉なものである。 (ⅱ)むリガラむ批刀 むリガラむは男根䞻矩的蚀語を拒吊し、女性の欲望の珟実を反映できる蚀語を぀く るこずを䞻匵した。そしおむリガラむは家父長的男根䜓制を吊定し、たったく異質な 女性䞻䜓、倚様な快楜に基づく女性䞻䜓のありようを明るみに出そうずした。 統䞀思想の芳点から蚀えば、男性特有の快楜ずか、男性特有のセクシュアリティヌ ず関係のない、独立した、女性特有の快楜ずか、女性特有のセクシュアリティヌずい うのは無意味である。他方、女性特有の快楜、セクシュアリティヌず関係のない、独 立した男性特有の快楜、セクシュアリティヌも無意味である。 男性特有の快楜、セクシュアリティヌも、女性特有の快楜、セクシュアリティヌも、 男女が真の愛で愛し合うずきに実珟されるのであり、䞀方が他方ず関係なく、独立的 に実珟できるものではないからである。 蚀語に関しおも、今日たでの文化が男性性䞭心の蚀語で぀くられおいたずしおも、 それに察抗しお女性性䞭心の蚀語を぀くり、女性性を䞭心ずした文化を築くずいうの は誀りである。男女の性が調和した蚀語ず文化が築かれるべきである。 (ⅲ)シクスヌ批刀 シクスヌもクリステノァ、むリガラむず同様、女性特有の快楜を目指した。しかし 真の快楜は女性だけでは埗られない。男女の真の愛においお、女性の快楜も男性の快 楜も埗られるのである。 シクスヌぱクリチュヌル・フェミニンを確立しようずしたが、それは男根䞭心的 蚀語ず同様に、女性性を匷調する䞀方的な蚀語である。男女性の調和した蚀語になら 9
  • 10. なくおはならない。 クィア理論 幎代に登堎したクィア理論は第䞉波フェミニズムやゲむ・レズビアンスタ ディヌズずしお知られる、ゞェンダヌ・セクシュアリティの哲孊的、理論的な研究か ら掟生し、構築された理論であり、その代衚的な思想家がゞュディス バトラヌ ・ Judith Butler 、むノ・コゟフスキヌ・セゞりッィック(Eve Kosofsky Sedgwick)である。ク ィアは、あらゆる圢態の性の芏範化に反察するさいの甚語ずされ、性芏範に関するあ らゆる枠組みに疑問を投げかける。 ①クィア理論の論調 (ⅰ)バトラヌ アメリカにおいお、フランス・フェミニズムを批刀的に受け入れながら自説を展開 したのがゞュディス・バトラヌである。 バトラヌは哲孊䞊の二元論からくるずころの、二元構造に基づく芇暩的な文化の蚀 説によっおゞェンダヌの配眮がたえもっお仮定され、決められおいるずしお、二元論、 二分法に反察する。圌女によれば、カテゎリヌは本質的に䞍完党なものであっお、ゞ ェンダヌはパフォヌマティノなものにすぎず、ゞェンダヌ・アむデンティティは錯芚、 幻圱であり、存圚しないのである(21)。バトラヌは、男性の性に察抗しお独立した女性 の性を確立するこずにも異を唱えお、ゞェンダヌを撹乱しようずした。バトラヌは『ゞ ェンダヌ・トラブル』の䞭で次のように蚀う。 それゆえ本曞は、男の芇暩ず異性愛暩力を支えおいる自然化され物象化されたゞェ ンダヌ抂念を撹乱し眮換する可胜性を぀うじお思考をすすめ、かなたにナヌトピ ア・ノィゞョンをえがく戊略によっおではなく、アむデンティティの基盀的な幻想 ずなるこずでゞェンダヌを珟圚の䜍眮にずどめようずする瀟䌚構築されたカテゎリ ヌを、たさに流動化させ、攪乱、混乱させ、増殖させるこずによっお、ゞェンダヌ・ トラブルを起こし぀づけおいこうずするものである(22)。 そしお、レズビアニズムの戊略はアむデンティティのカテゎリヌを完党に奪い取り、 異性愛制床は構築されたものであり、幻想であり、フェティッシュであるこずを瀺す こずであるず次のように蚀う。 それよりも狡猟で効果的な戊略は、アむデンティティのカテゎリヌを完党に奪い取 り、再配備するこずであり、それによっお単に「セックス」を疑問に付すだけでな く、 「アむデンティティ」の堎所に倚様なセックスの蚀説が集䞭しおいる様子を明ら 10
  • 11. かにし、そうしお、アむデンティティずいうカテゎリヌが――たずえどのような圢 態を取るにしおも――氞遠に問題がらみのものだずいうこずを瀺すこずである(23)。 ゞェンダヌずは、生物孊的な性差であるセックスにたいしお、文化的に構築された 性差ずしお、フェミニストによっお䜿甚されるようになった甚語であるが、バトラヌ はゞェンダヌのみならず、セックスも瀟䌚的に構築されたものであるず蚀う。 セックスの䞍倉性に疑問を投げかけるずすれば、おそらく、 「セックス」ず呌ばれる この構築物こそ、ゞェンダヌず同様に、瀟䌚的に構築されたものである。実際おそ らくセックスは、぀ねにすでにゞェンダヌなのだ。そしおその結果ずしお、セック スずゞェンダヌの区別は、結局、区別などではないずいうこずになる(24)。 英文孊者のサラ サリヌ ・ Sara Salihはバトラヌの説を以䞋のように芁玄しおいる。 バトラヌによれば、 「蚀語に先行しお存圚するゞェンダヌ・アむデンティティなどは存 圚しないずいうこずである。蚀っおみれば、アむデンティティが蚀説や蚀語を‘おこ なう’のではなく、その逆――蚀語ず蚀説こそがゞェンダヌを‘おこなう’――ので ある(25)。すなわち、セックスもゞェンダヌも蚀説の結果である。これは「はじめに蚀 説ありき」ずいうこずである。そしおバトラヌは「行為者は行為に付けられた虚構で しかない――行為がすべおである」(26)、「行為の背埌に行為者は存圚せず、‘おこなう こず’そのものがすべおなのだ」(27)ずも蚀う。これは「はじめに行為ありき」ずいう こずである。バトラヌはさらに、法は文化によっお抌し぀けられるものであり、その ような法によっお男性気質や女性気質が生みだされるず蚀う。 結局、バトラヌは、 「䞻䜓ずいうカテゎリヌず芏範を揺るがし、法の限界を暎くこず によっお、 (28) 法を空掞化させる再意味化の代案を提瀺」 しようずしたのである。今日、 フェミニズム理論やクィア理論ぞのバトラヌの圱響は決定的なものずなっおいる。 (ⅱ)セゞりィック クィア理論の原動力ずも、王母Queen Motherずも蚀われるセゞりィックは「ホ モ゜ヌシャル」なる抂念を提瀺した)。 ホモ゜ヌシャルずは、異性愛男性の友情・同胞愛によっお支えられた連垯関係を指 す。セゞりィックによれば、叀代ギリシアから近代に至るたで西掋はホモ゜ヌシャル な瀟䌚であったが、ホモ゜ヌシャルはホモセクシャル同性愛ず断絶したものでな く、すなわち、連続したものであったずいう。ホモ゜ヌシャルな瀟䌚は朜圚的に同性 愛的であった。 セゞりィックは「男性が異性愛関係をも぀のは男同士の究極的な絆を結ぶためであ る」(29)、 「女性は、男同士の絆を維持するための溶媒」(30)である。ホモ゜ヌシャルな瀟 11
  • 12. 䌚では、女性は男同士が絆を結ぶための手段になっおいるずいう。セゞりィックは、 レノィストロヌスの「女性の亀換」論―女性は、婚姻の盞手ずしおではなく、男同 士の絆をゆるぎないものにするために亀換される物―をフェミニズムの芖点から芋た のである。 フヌコヌによれば、19 䞖玀に「ホモセクシュアル」ずいう近代のカテゎリヌが生た れ、 「ホモセクシュアル」が「䞀぀の皮族」になった。同性愛を異質化し、呚瞁に远い やる異性愛䞻矩はそこからはじたったず、セゞりィックは芋おいる。 東京倧孊教授の倧橋掋䞀が述べおいるように、ホモ゜ヌシャリティずは、異性愛男 性の集合䜓であるが、そこにおいお男性の絆を切り裂きかねない女性フェミニスト ず、男性集合䜓を女性から切り離しお同性愛集団化しかねない同性愛男性は排陀され る。それゆえ、ホモ゜ヌシャリティはホモフォビア同性愛者嫌悪ずミ゜ゞニヌ女 性嫌悪に支えられた父暩制のホモ゜ヌシャル瀟䌚なのである。この男性同士の連垯 から同性愛者ず女性䞀般を解攟するために、ゲむ男性ずフェミニストずの連垯が生た れる。か぀おは倩敵であったゲむ男性ずフェミニストが、ずもにホモ゜ヌシャル的父 暩制瀟䌚の犠牲者であるこずに目芚めお連垯するずいうのであり、ここにクィア理論 が成立したのである(31)。 セゞりィックによれば、 「性的欲望は、安定したアむデンティティを溶解させる、予 想しがたい匷力な溶剀」(32)であり、同性愛ず異性愛は揺れ動くものであっお、セクシ ュアリティは混沌たるものであるずいう。 ②統䞀思想から芋たクィア理論 (ⅰ)バトラヌ批刀 バトラヌの䞻匵は「はじめに蚀説ありき」ずいうこずであるが、䞻䜓は行為によっ お蚀説のなかで構築されるず蚀っお、蚀説の背埌に䞻䜓を認めない。蚀説のなかで䞻 䜓が生じるずいうこずである。しかし䞻䜓のない蚀説などありえるであろうか。バト ラヌはたた、行為の背埌に行為者は存圚せずず蚀うが、行為者のない行為などありえ るであろうか。 ペハネ犏音曞の冒頭に「はじめに蚀ありき」ずあるが、それは神ずいう䞻䜓がいお、 蚀が発せられたのである。神ずいう䞻䜓のない蚀はありえない。同様に、人間ずいう 䞻䜓なくしお蚀説が存圚するずいうこずはありえない。虚空の䞭に蚀が存圚しおいる ずいうのであろうか。これは、すべおは物質から生じたずいう「唯物論」ならぬ「唯 蚀論」ずもいうべきものであろう。 統䞀思想から蚀えば、「はじめに愛ありき」、そしお愛から蚀が生たれたのである。 ぀たり、神は愛であり、愛から倩地創造の構想たたはシナリオずしおの蚀が生たれた のである。そしお男ず女、雄ず雌のペアシステムは愛の実珟のために぀くられたので ある。぀たり愛の完成のために男は男らしく、女は女らしく造られたのである。愛に 12
  • 13. は、愛が真なる愛ずなるための道しるべが必芁であった。したがっお蚀には「愛の道」 ずしおの法芏範が䌎っおいたのである。 サラ・サリヌは、バトラヌに「ラディカルな構築䞻矩者」ずいうレッテルを貌ろう ずしたが、バトラヌはそれに反論しおいるず、次のように述べおいる。 「ラディカルな構築䞻矩者」ずは、すべおは蚀語であり、すべおは蚀説である。 、、、、、、、 ぀たり身䜓を含めお、すべおのものが構築されおいるず、単玔にそしおおそら く頑固に蚀い匵るこずだずされおいる。しかしバトラヌは、この批刀は脱構築 のアプロヌチをはき違えたものだず䞻匵し、脱構築は、 「すべおのものは蚀説ずし お構築されおいる」ずいう蚀い方に垰着しないず述べる。脱構築するずは、䞻䜓 が蚀説によっお構築されるさいに、排陀、抹消、予めの排陀、棄华がどのように 䜜甚しおいるかを認識し、分析するこずである」(33) しかしバトラヌが真に蚀いたいこずは、蚀語ず蚀説がすべおを決定しおいるずいう こずであろう。これはリチャヌド・ドヌキンスが遺䌝子は利己的であるず䞻匵しなが らも、反論されるずメタファヌであるずか、遺䌝子には協力的な面もあるず蚀っお、 匁解しおいるのず同じである。 バトラヌは、ゞェンダヌずいうカテゎリヌを「流動化させ、攪乱、混乱させ、増殖 させるこずによっお、ゞェンダヌ・トラブルを起こし぀づける」(34)ず䞻匵した。バト ラヌのこのような䞻匵は、たさにポストモダン・フェミニズムの行き着くずころであ る。このような䞻匵は、デリダによる蚀説の撹乱ず軌を䞀にするものであり、さらに はダヌりィニズムの突然倉異による皮の撹乱ず軌を䞀にするものである。 統䞀思想の芳点から蚀えば、神は生物を皮類に埓っお創られたように、男ず女も明 確な差異をもっお創られたのである。そしお男ず女が肉䜓的にも、粟神的にも、ハヌ モニヌを描きながら愛し合うずき、男も女も真の喜び快楜を埗るこずができるの である。 (ⅱ)セゞりィック批刀 セゞりィックによれば、男性同士、女性同士の同性愛はホモ゜ヌシャルずいう男性 同士の友情に危険なものずみなされお、ホモ゜ヌシャル的父暩制瀟䌚では排陀されお いるずいうが、そうではない。同性愛は真なる異性愛から逞脱したものであるから、 人間は本性的に同性愛を避けようずするのである。 セゞりィックは、男同士の友情の䞭には、同性愛が朜圚しおいるずいうが、本来、 友情兄匟姉効の愛ず同性愛には䜕の関係もない。同性愛は異性間の性愛の歪んだ もの、倉圢であるが、それにたいしお友情兄匟姉効の愛は性愛ずは無関係なもの である。 13
  • 14. セゞりィックはたた、レノィストロヌスの「女性の亀換」論の芳点からホモ゜ヌ シャルな瀟䌚を考察しおいる。女性が歎史的に男性から虐げられおきたのは事実であ るが、それは人類始祖の゚バの堕萜によっお、女性がその眪を償わなければならなく なったからであった。しかし、今日、再臚の摂理の進行ずずもに、女性の莖いの歎史 蕩枛埩垰の歎史が終わり、男性ず女性が同等な䜍眮ず䟡倀を持぀こずができる時 代になった。20 䞖玀に入り、女性解攟運動が台頭するようになったのは、そのような 時代的背景があったのである。したがっお、女性を亀換する物ず芋るのは誀りである。 セゞりィックはさらに、セクシュアリティは揺れ動くものであり、混沌たるもので あるずいう。これはバトラヌのゞェンダヌ・トラブルず同様、デリダによる蚀説の撹 乱ず軌を䞀にするものであり、さらにはダヌりィニズムの突然倉異による皮の撹乱ず 軌を䞀にするものである。 フェミニズムを超えお、真の男女の愛ぞ ポストモダン・フェミニズムの生みの芪はたさにポスト構造䞻矩であり、さらには マルクス䞻矩、ダヌりィニズム、フロむト䞻矩なのである。 すなわち珟代フェミニズム特にポストモダン・フェミニズム、およびクィア理論 の根ずなっおいるのがマルクス䞻矩、ダヌりィニズム、フロむト䞻矩であり、幹ずな っおいるのがポスト構造䞻矩である。したがっおマルクス䞻矩、ダヌりィニズム、フ ロむト䞻矩が厩壊し、ポスト構造䞻矩が厩壊すれば珟代フェミニズムは厩壊せざるを えないのである。その他のフェミニズム――マルクス䞻矩フェミニズム、ラディカル・ フェミニズム、゚コロゞカル・フェミニズム他――に぀いおも同様である。それらは 盎接、ポスト構造䞻矩ず関わりないずしおも、マルクス䞻矩、ダヌりィニズム、フロ むト䞻矩のいずれかに基づいおいるのであり、同様に厩壊せざるをえないのである。 フェミニズムの厩壊の埌に来るのは、神の愛を䞭心ずした、玔朔にもずづいた真の 男女愛、真の倫婊愛の理念である。人間は本来、個性を完成した䞀人の男性ず、個性 を完成した䞀人の女性が結婚するようになっおいる。そしお統䞀思想から芋た、本然 の結婚の意矩は、1)男性ず女性の二性が調和しおいる神の姿に䌌るこず、すなわち神の 顕珟であり、2)宇宙䞇物の完成、3)人類の統䞀、4)家庭の完成である。ずころが䞍倫、 同性愛、近芪盞姊などは、そのような理想を砎壊するものである。䞍倫、同性愛、近 芪盞姊などの歪んだ愛のなかには、神は臚圚できず、運行できない。たた、䞇物が共 鳎できないものである。聖曞には、 「被造物党䜓が、今に至るたで、共にうめき共に産 みの苊しみを続けおいる」 ロ-マ人ぞの手玙 8:22ず曞かれおいる。日本のこずわざ にも、 「倫婊喧嘩は犬も食わない」ずある同性愛、その他の歪んだ愛は蚀うたでもな い 。さらには、人類を分裂せしめ、家庭を砎壊するものずなるのである。フェミニズ ムおよびゞェンダヌを吊定する思想はたさにそのような悲惚な結果をもたらすもので ある。 14
  • 15. 第 4 回䞖界女性䌚議1995 幎、北京においお、マザヌ・テレサは次のようなメッ セヌゞを寄せた。 私には、なぜ男性ず女性は党く同じだず䞻匵し、男女の玠晎らしい違いを吊定し ようずする人々がいるのか理解できたせん。神より授けられたものは党お善きも のでありながら、党おが同じものであるずは限りたせん。  神は私達に「汝を 愛するがごずく隣人を愛せよ」ずおっしゃいたした。だから、私はたず正しく自 分を愛し、それからそれず同じように隣人を愛したす。しかし、神が自分をお造 りになったこずを受け入れないずすれば、どうしお自分を愛するこずなどできる でしょうか。男の玠晎らしい違いを吊定する人々は、自分たちが神によっお造ら れた存圚であるこずを認めようずしたせんし、それゆえに隣人を愛するこずもで きたせん。圌らがもたらすものは、察立ず䞍幞ず䞖界平和の砎壊でしかありたせ ん。 真の倫婊愛による真の家庭が栞ずなっお築かれる瀟䌚、䞖界が、来るべき理想瀟䌚 であり理想䞖界である。そこでは男性による女性の支配、差別、虐埅はなく、女性の 男性に察する反抗、反逆もない。男性ず女性が真の愛のもずで、共に喜び合う䞖界で あり、そこでは男女の真の平等が実珟されるのである。 èš» (1) メアリ・゚ノァンス、奥田暁子蚳『珟代フェミニスト思想入門』明石曞店、1998 幎、33-34 頁。 (2) 同䞊、123-24 頁。 (3) ゜フィア・フォカ、レベッカ・ラむト、竹村和子・河野貎代矎蚳『ポストフェミ ニズム入門』䜜品瀟、2003 幎、99 頁。 (4) 同䞊、51 頁。 (5) 同䞊。 (6) メアリ・゚ノァンス『珟代フェミニスト思想入門』35 頁。 (7) 同䞊、35 頁。 (8) 同䞊、78 頁。 (9) 同䞊、73 頁。 (10) 同䞊、74 頁。 (11) 同䞊、197 頁。 15
  • 16. (12) 竹村和子『フェミニズム』岩波曞店、2000 幎、17 頁。 (13) ゜フィア・フォカ、レベッカ・ラむト『ポストフェミニズム入門』64 頁。 (14) 同䞊、159 頁。 (15) ゞュディス・バトラヌ、竹村和子蚳『ゞェンダヌ・トラブル』青土瀟、1999 幎、163 頁。 (16) ゜フィア・フォカ、レベッカ・ラむト『ポストフェミニズム入門』59-61 頁。 (17) ゞュディス・バトラヌ『ゞェンダヌ・トラブル』33 頁。 (18) 倧越愛子『フェミニズム入門』筑摩曞房、1996 幎、187 頁。 (19) ゜フィア・フォカ、レベッカ・ラむト『ポストフェミニズム入門』52-54 頁。 (20) 同䞊、55-57 頁。 (21) ゞュディス・バトラヌ『ゞェンダヌ・トラブル』58, 257 頁。 (22) 同䞊、73 頁。 (23) 同䞊、226-227 頁。 (24) 同䞊、28-29 頁。 (25) サラ・サリヌ、竹村和子蚳『ゞュディス・バトラヌ』青土瀟、2005 幎、115 頁。 (26) 同䞊、114 頁。 (27) 同䞊、225 頁。 (28) 同䞊、238 頁。 (29) むノ・K・セゞりィック、䞊原早苗・亀柀矎由玀蚳『男同士の絆むギリス文孊 ずホモ゜ヌシャルな欲望』名叀屋倧孊出版䌚、2001 幎、76 頁。 (30) 同䞊、244 頁。 (31) 倧橋掋䞀「キヌワヌド解説」 、竹村和子線『ポストフェミニズム』䜜品瀟、2003 幎。 (32) むノ・コゟフスキヌ・セゞりィック、倖岡尚矎蚳『クロヌれットの認識論』青土 瀟、1999 幎、121 頁。 (33) サラ・サリヌ『ゞュディス・バトラヌ』144 頁。 (34) ゞュディス・バトラヌ『ゞェンダヌ・トラブル』73 頁。 参考文献 ゚ノァンス、メアリ『珟代フェミニスト思想入門』奥田暁子蚳、明石曞店、1998 幎。 Mary Evans,Introducing Contemporary Feminist Thought, Polity Press, Cambridge, UK, 1997. ガッティング、ガリヌ『フヌコヌ』井原健䞀郎蚳、岩波曞店、2007 幎。Gary Gutting, FOUCAULT: A VERY SHORT INTRODUCTION. Oxford University Press Inc., New York,2005. 16
  • 17. ギャロップ、ゞェヌン『ラカンを読む』富山倪䜳倫、怎名矎智、䞉奜みゆき蚳、岩波 曞店。2000 幎。Lane Gallop, Reading Lacan, Cornell University Press, London, 1985. サリヌ、 『ゞュディス・バトラヌ』 サラ 竹村和子蚳、青土瀟、2005 幎。Sara Salih, Judith Butler, Routledge, New York, 2002. シム、スチュアヌト小泉朝子蚳『デリダず歎史の終わり』小泉朝子蚳、岩波曞店、2006 幎。Stuart Sim, DERRIDA AND THE END OF HISTORY, Totem Books, New York, 1999. ゞョン゜ン、ポヌル『神の探求』高橋照子蚳、共同通信瀟、1997 幎。Paul Johnson,THE QUEST FOR GOD.The Orion Publishing Group Ltd.,London,1996. ストラザヌン、ポヌル『90 分でわかるフヌコヌ』浅芋省吟蚳、青山出版瀟、2002 幎。 Paul Strathern, FOUCAULT IN 90 MINUTES. Ivan R. Dee, Chicago, 2000. ストラザヌン、ポヌル『90 分でわかるデリダ』浅芋昇吟蚳、青山出版瀟、2002 幎。 Paul Strathern, DERRIDA IN 60 MINUTES, Ivan R Dee Publisher, Chicago, 2000. スパヌゎ、タムシン『フヌコヌずクむア理論』吉村育子蚳、岩波曞店、2004 幎。Tamsin Spargo, FOUCAULT AND QUEER THEORY. Totem Books, New York, 1999. セゞりィック、むノ・コゟフスキヌ『男同士の絆むギリス文孊ずホモ゜ヌシャルな 欲望』䞊原早苗・亀柀矎由玀蚳、名叀屋倧孊出版䌚、2001 幎。 Eve Kosofsky Sedgwick, Between Men: Englishi Literature and Male Homosocial Desire. Columbia University Press, New York, 1985. セゞりィック、むノ・コゟフスキヌ『クロヌれットの認識論』倖岡尚矎蚳、青土瀟、 1999 幎。Eve Kosofsky Sedgwick, Epistemology of the Closet. University of California Press, Berkeley, 1990. バトラヌ、ゞュディス『ゞェンダヌ・トラブル』竹村和子蚳、青土瀟、1999 幎。 Judith Butler, Gender Trouble, Routledge New York, 1990. フォカ、゜フィア、レベッカ・ラむト『ポストフェミニズム入門』竹村和子・河野貎 代矎蚳、䜜品瀟、2003 幎。 Sophia Phoca and Rebecca Wright, Introducing Post feminism, Icon Books UK, 1999. ベルゞヌ、キャサリン『ポスト構造䞻矩』折島正叞蚳、岩波曞店、2003 幎。 Catherine Belsey, POSTSTRUCTURALISM. Oxford University Press Inc., New York,2002. ホロックス、、 Z・ゞェノティック『フヌコヌ』癜石高志蚳、珟代曞通、1998 幎。 Chris Horrocks and Zoran Jevtic, INTRODUCING FOUCAULT, Totem Books, New York, 1997. ミルズ、サラ『ミシェル・フヌコヌ』酒井隆史蚳、青土瀟、2006 幎。 Sara Mills, MICHEL FOUCAULT. Routledge, New York, 2003. ラむト、゚リザベス『ラカンずポストフェミニズム』怎名矎智蚳、岩波曞店、2005 幎。 Elizabeth Wright, Lacan and Postfeminism, Icon Books UK, 2000. 17
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