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Ppt teranishi g
- 3. 目的
情報の非対称性が存在するオークションにおいて
売り手の情報開示戦略がもたらす取引への影響の分析
• 情報の非対称性が存在する
ビックレー(セカンドプライス)オークションを用いてモデル化
• 売り手・買い手ともに各自に合理的な行動をとるエージェントを設計
* 学習によって合理的な情報開示戦略をとる売り手エージェント
* 学習によって合理的な非開示情報推測を行う買い手エージェント
• 売り手に合理的な情報開示戦略がもたらす取引への影響を分析
• 買い手の非開示情報推測の方法の違いによる取引への影響を分析
- 4. ビックレーオークションのモデル
財 l の特徴ベクトル Vl (vl1 , vl 2 ,..., vlN feature ) 売
財を N feature個(3個)の特徴量で表現
(1∼3の整数値で与える:数値が大ほど良い財)
N feature 特徴(3,1,2)
買い手j の財l の評価関数 f (Vl )
j j
av k lk
k 1
買い手によって重視する特徴量が異なることを
j
想定し,各買い手の ak をさまざまに与える
買1 買2 買3
売り手が財の特徴ベクトルを
特徴(3,1,2) 特徴(3,1,2) 特徴(3,1,2)
各買い手に提示
各買い手の評価関数に
基づく財の評価値
(=入札額)
f1 2000 f2 3000 f 3 1000
最も高額の入札者が
買い手が評価値を偽らず入札するとき
2番目に高い入札額で落札 2番目に高い入札額 最も高額の入札者
社会的余剰(売り手と買い手の余剰和)が最大となる
⇒評価値をそのまま入札するのが最適戦略 [Vickrey,W(1961)]
売り手の余剰(落札額) 買い手の余剰(評価値-落札額)
= 2000 = 3000-2000 = 1000
- 5. 本研究のモデル
i
売り手 の意思決定テーブル • 売り手は財の情報の開示 売
非開示のみを選択 特徴(3,1,2)
特徴ベクトル 開示する特徴
V ベクトル V 'i • 売り手は財を偽って
l i
開示することはない
(1,1,1) (*,1,*)
意思決定テーブルに基づき 特徴(3,*,2)
(1,1,2) (1,*,2) 買い手に特徴ベクトルを提示
…
…
(3,1,1) (3,*,*)
買1 買2 買3
…
…
売り手・買い手ともに合理的なエージェントを想定し
i
買い手 の特徴量推定テーブル 特徴(3,*,2) 特徴(3,*,2) 特徴(3,*,2)
両者とも自分に有利な売買ができるように各テーブルを学習
開示された特 推定特徴ベ
徴ベクトルV 'i クトルV ''i
i l
各買い手の特徴量推定テーブルに基づき
(*,1,*) (2,1,3)
財の特徴量を推定
(1,*,2) (1,1,2)
…
…
特徴(3,2,1) 特徴(3,3,2) 特徴(3,1,2)
(3,*,*) (3,2,1)
…
…
各買い手で推定された
特徴量に基づき入札
f 1
2000 f 2
3000 f 3
1000
- 6. 売り手の意思決定テーブルと学習方法
どの特徴量がどの値のときに非開示にすると
売り手の余剰を最大化できるか? 売
特徴(3,1,2)
特徴ベクトル 開示する特徴
V ベクトル V 'i
l i 特徴(3,*,2) ?
(1,1,1) (*,1,*)
特徴(3,*,*) ?
(1,1,2) (1,*,2)
…
… 学習
…
買
(3,1,1) (3,*,*)
…
…
Hill Climbingに基づく意思決定テーブルの学習
Ti :売り手 i の意思決定テーブル T i の適応度 : Tiのもと一定回数財を売買したときの余剰の総和
学習世代tにおけるテーブル集合 学習世代t+1におけるテーブル集合
テーブル 適応度 最も適応度の高いテーブル テーブル
T1i 15000 の近傍解を複数生成 T1i
T2i
・
30000
・
T2i・
・ ・ ・
・ ・ ・
i i
TN s _ table 4000 TN s _ table
- 7. 買い手の特徴量推定テーブルと学習方法
財の評価を誤らないために,隠された
特徴量の値をなるべく正確に推定したい 特徴(3,*,2)
開示された特 推定特徴ベ
徴ベクトルV 'i クトルVl
''i
i
買 特徴(3,1,2) ?
(*,1,*) (2,1,3)
(1,*,2) (1,1,2) 特徴(3,2,2) ?
…
…
… 学習
(3,*,*) (3,2,1)
…
…
Hill Climbingによる特徴量推定決定テーブルの学習
Ui :買い手 i の推定テーブル U iの適応度 : Ui のもと一定回数財を売買したとき
推定した特徴量と落札した財の特徴量が一致した回数
学習世代tにおけるテーブル集合 学習世代t+1におけるテーブル集合
テーブル 適応度 最も適応度の高いテーブル テーブル
i
U1 20 の近傍解を複数生成 U1 i
U・ i2 45
・ U・ i2
・ ・ ・
・ ・ ・
i
U N s _ table 30 U iN s _ table
- 8. 実験
• 売り手の情報開示戦略の学習によって,売り手の余剰がどのように変化するか
• 売り手の余剰を大にする情報開示戦略がどのような戦略であるかを分析
実験設定
設定1:買い手が売り手を区別できない場合 設定2:買い手が売り手を区別できる場合
買い手が各売り手に対して 買い手が各売り手に対して
同一の特徴値推定テーブルを持つ 個別の特徴値推定テーブルを持つ
売り手 売り手
買い手 買い手
財の特徴量 : 3次元,3段階 Vkl (v1 , v2 , v3 ) vk {1,2,3}
l l l l
売り手数 : 5人
売り手が売る財 : 2700個
買い手数 : 10人
買い手の財評価関数 : 平均1.0,分散0.2の標準正規乱数でランダムに設定
- 9. 実験結果1 [戦略の学習による売り手余剰の分析]
売り手がすべての情報を開示する場合を1とした時の
各学習世代における情報開示戦略がもたらす売り手余剰
1.15
1.1 売り手を区別できる
売り手を区別できない
1.05
200世代以降の平均・分散
1
平均 分散
0.95 区別有 1.10 1.37 103
区別無 1.08 3.78 104
0.9
0 100 200
両設定において情報開示戦略が売り手余剰を大にすることが分った
⇒売り手・買い手の財配分が偏り,売り手に有利な市場が形成される
- 10. 実験結果2 [学習で得られた情報開示戦略の分析]
売り手を区別できない場合 売り手を区別できる場合
開示率1
開示率1
0.9
0.9
値3の開示率 0.9
0.9
0.8 0.8
0.7 0.7
0.6 0.6
0.5
0.5
値2の開示率 0.5
0.5
0.4 0.4
0.3 0.3
0.2
0.2
値1の開示率 0.2
0.2
0.1 0.1
0 0
0
100
100 200
世代数
0
100
100
世代数
平均 分散 平均 分散
値1の開示率 0.202 1.14 10 3 値1の開示率 0.210 1.10 10 3
値2の開示率 0.580 1 . 67 10 3
値2の開示率 0.653 2.18 10 3
4
値3の開示率 0.891 7.51 10 4 値3の開示率 0.943 4.02 10
必ずしも売り手に不都合な情報を非開示し続けるのが良いとは限らない
同様に,都合の良い情報を必ず開示し続けるのが良いとも限らない
- 11. 結論
情報の非対称性が存在するオークションにおいて
売り手の情報開示戦略がもたらす取引への影響に鑑み
売り手に合理的な情報開示戦略がもたらす取引への影響を分析した
• 売り手は必ずしも売り手に都合の悪い情報をすべて非開示とすること
が最適戦略でないことが確認された
• 売り手は必ずしも売り手に都合の良い情報を全て開示とすることが最
適戦略ではないことも確認された
• 売り手は売り手に都合の良い情報も都合の悪い情報も
開示・非開示を織り交ぜて買い手に非開示の要素を推測されないよう
な戦略をとることが売り手の余剰を最大化する