Diese Präsentation wurde erfolgreich gemeldet.
Die SlideShare-Präsentation wird heruntergeladen. ×

180126 コメントシートと即興ディベートで学ぶ環境法政策(アクティブラーニング学内fd)

Anzeige
Anzeige
Anzeige
Anzeige
Anzeige
Anzeige
Anzeige
Anzeige
Anzeige
Anzeige
Anzeige
Anzeige
Nächste SlideShare
190220 fd at fukuoka uni
190220 fd at fukuoka uni
Wird geladen in …3
×

Hier ansehen

1 von 39 Anzeige

180126 コメントシートと即興ディベートで学ぶ環境法政策(アクティブラーニング学内fd)

Herunterladen, um offline zu lesen

千葉大学学内FD(アクティブラーニングの実践事例から考える研究・教育のあり方)において報告した、法政経学部「環境法」における教育方法の紹介です。

千葉大学学内FD(アクティブラーニングの実践事例から考える研究・教育のあり方)において報告した、法政経学部「環境法」における教育方法の紹介です。

Anzeige
Anzeige

Weitere Verwandte Inhalte

Weitere von Akemi Yokota (20)

Aktuellste (20)

Anzeige

180126 コメントシートと即興ディベートで学ぶ環境法政策(アクティブラーニング学内fd)

  1. 1. コメントシートと即興ディベートで 学ぶ環境法政策 平成29年度全学FD研修 アクティブ・ラーニングの実践事例から考える 教育・学習のあり方 2018年1月26日 千葉大学大学院社会科学研究院 准教授 横田明美 akemi@chiba-u.jp
  2. 2. 自己紹介 横田明美 博士(法学) @akmykt 行政法 →環境法・情報法・消費者法 法学部→法科大学院→博士課程 ↑この前に:東大ESSに所属 (ディスカッション・ディベート) 研究者としての専門分野: 『義務付け訴訟の機能』(弘文堂、2017年) 行政に「~して!」と要求する訴訟 p.2
  3. 3. 最近の研究課題 若手研究(B) 題目: 集合的利益・拡散的利益を巡る法制度設計― 消費者・環境・情報法制の架橋 ・・・AI・ロボットが普及した社会と行政法 横田明美「AI・ロボット社会の進展に伴うリスクに対する 環境法政策の応用可能性」環境法研究7号71-88頁 同「AI・ロボットと行政規制」弥永真生・宍戸常寿(編)『AI・ ロボットと法』(有斐閣、2018年(予定)) p.3
  4. 4. 趣味としてtwitterやブログをやっています (別名:ブロガー出身法学研究者(社会実験中) 大学生からの質問に答える連載をやっていました p.4 ぱうぜ @kfpause も もっています 『カフェパウゼで法学を』(弘文堂)として 書籍版発売予定!
  5. 5. 詳しくは「横田明美研究室」のページからどうぞ http://akmykt.net/ 「横田明美」で検索でOK p.5
  6. 6. 本日の内容 • Ⅰ 講義設計の背景 – 法学系教育の現状と課題 – 「環境法」という科目の特殊性と立ち位置 • Ⅱ 講義の内容 – 学生への告知と段階的な受容へ – コメントシートの狙いと実施方法 – ディベートの狙いと実施方法 • Ⅲ まとめ – 学生の反応と雑感 p.6
  7. 7. Ⅰ 講義設計の背景 法学系教育の現状と課題 • 前提:すべての学生が「初修」 • 高校までの「法教育」とは異なる • インプット多めの講義スタイル – 大教室講義によるインプット • 積み上げ式受講の必要性(後掲:カリキュラムツリー) – 少人数ゼミ(演習科目)によるアウトプット • 演習は任意受講のため、参加せず卒業する者も • よく話す人とまったく発言しない人に分かれる傾向あり • 卒論はないことが多い 結果として、アウトプットする機会が定期試験だけ、 ということも p.7
  8. 8. 参考:法政経学部のコース別カリキュラムツリー • 法政経学部:2年次から4コースで選択 – 法学 経済学 経営・会計学 政治学・政策学 • 法学:積み上げ方式での学習が必須 – 環境法を受講する者が多い法学コースと政治学・政 策学コースを比較すると、3・4年次の授業設計が大 きく異なる – 法学では多くの大学で卒論を課さない • 横田自身は法経学部総合政策学科担当教員だったので卒 論指導経験はあるが、卒論を書いたことが無い・・・ p.8
  9. 9. 日本公法史 日本私法史 法哲学I 法哲学II 憲法I 憲法II 民法I 民法II 家 族 法 刑法I 刑法II 民法III 会社法 民事手続法 入門基礎 法学 入門基礎 法史学 入門基礎マクロ経済学,入門基礎ミクロ経 済学、入門基礎経営・会計学,入門基礎政 治学、入門基礎政策形成論 入門 法政経学 基礎ゼミ ナール 法 学 演 習 法 学 特 別 講 義 2 年 法 学 演 習 法学の応用 力 ・ 実 践 力 及び調査能 力 を つ け る ための科目 法学コースカリキュラムツリー  ミクロ・マクロ 経済学演習  初級統計学  簿記原理  財務諸表論 など 水準100 水準200 水準300 水準400 社 会 科 学 の 理 解 の 幅 を 広 げ る 科 目 1年 2年 3年 4年 法学の専門性の幅を広げる科目 インテンシブ プログラム 法学の専門性を 深める科目 社会科学の基礎を固める科目 刑事手 続法 行政法I 行政法II 刑 事 政 策 、 少 年 法 経 済 法 Ⅰ 、 経 済 法 Ⅱ 労 働 法 Ⅰ 、 労 働 法 Ⅱ 、 商 取 引 法 、 保 険 法 、 民 事 執 行 法 、 倒 産 法 消 費 者 法 、 環 境 法 、 医 事 法 、 著 作 権 法 、 特 許 法社 会 保 障 法 国 際 法 Ⅰ 国 際 法 Ⅱ 英 米 法 Ⅰ 、 英 米 法 Ⅱ 、 法 社 会 学 Ⅰ 、 法 社 会 学 Ⅱ 法学の基礎を固める科目 応用憲法I 応用憲法II 応用民法I 応用民法II 応用民法III 応用刑法I 応用刑法II 応用行政法 応用商法I 応用商法II 応用民事訴訟法I 応用民事訴訟法II 応用刑事訴訟法 スポーツ・健康 教養コア 情報リテラシー 教養展開 外国語  英語  初修外国語 普 遍 教 育 科 目 ギ ャ ッ プ タ ー ム ( )で の 海 外 留 学 ・社 会 経 験 T2 9
  10. 10. 経済学の基礎固め  入門基礎マクロ経済学,  入門基礎ミクロ経済学  初級統計学  初級経済史 など 社会科学の基礎固め  入門法政経学  入門基礎法学  入門基礎政治学  入門基礎経営・会計学 など 基礎ゼミナール 卒業論文 演習系科目 経済学コースカリキュラムツリー ゼミナールIa ゼミナールIb サブゼミナール ゼミナールIIa ゼミナールIIb 1年 2年 3年 4年 経済学の専門性を 深めるための科目  データ解析  計量経済学  金融工学  環境経済学  ゲーム理論  金融論  医療経済学  日本経済史  財政学 など 経済学の上級科目  上級マクロ経済学  上級ミクロ経済学  上級統計学  上級経済数学 経済学の中級科目  中級マクロ経済学  中級ミクロ経済学  中級統計学  中級経済数学  簿記原理  政治哲学  憲法 など 水準100 水準200 水準300 水準400 社 会 科 学 の 理 解 の 幅 を 広 げ る 科 目 スポーツ・健康 教養コア 情報リテラシー 教養展開 外国語  英語  初修外国語 普 遍 教 育 科 目 ギャップターム (T2)での海外 留学・社会経験 10
  11. 11. 専門科目  経営学総論Ⅰ  経営学総論Ⅱ  簿記原理Ⅰ  簿記原理Ⅱ  初級統計学  初級経済数学  初級経済史 専門基礎科目  入門法政経学  入門基礎経営・会計学  入門基礎ミクロ経済学  入門基礎マクロ経済学 基礎ゼミナール 卒業論文 (経営・会計系) 演習系科目 経営・会計系コース カリキュラムツリー ゼミナールⅠ (経営・会計系) サブゼミナール (経営・会計系) ゼミナールⅡ (経営・会計系) 1年 2年 3年 4年 経営学・会計学の専門科目  経営管理総論  マーケティング論  原価計算論Ⅰ  原価計算論Ⅱ  財務諸表論Ⅰ  財務諸表論Ⅱ 経営学・会計学の専門科目  中小・ベンチャー企業論  イノベーション論  マーケティングリサーチ  人的資源管理論  経営戦略論  組織論  財務管理論  管理会計論  会計マネジメント論  監査論  連結会計論 経済学の専門科目  中級ミクロ経済学  中級マクロ経済学  中級統計学  中級経済数学  政治哲学  憲法 など 水準100 水準200 水準300 水準400 社 会 科 学 の 理 解 の 幅 を 広 げ る 科 目 スポーツ・健康 教養コア 情報リテラシー 教養展開 外国語  英語  初修外国語 普 遍 教 育 科 目 ギャップターム (T2)での海外 留学・社会経験 特定課題研究 (経営・会計系) 高度化ゼミナールⅠ・Ⅱ (経営・会計系) 11
  12. 12. 政治学・政策学の 基礎科目  入門基礎政治学  入門基礎政策形成論  社会思想史Ⅰ, Ⅱなど 社会科学の基礎  入門法政経学  入門基礎各科目(法 学、法史学、ミクロ経 済学、マクロ経済学、 経営・会計学)など 基礎ゼミナール 卒業論文 演習系科目 政治学・政策学コースカリキュラムツリー ゼミナールI サブゼミナール 演習(政治政策) ゼミナールII 演習(政治政策) 1年 2年 3年 4年 国際系科目  国際政策論  国際経済論  国際地域社会論  外国事情  外国語演習 など 上級科目  国際政治  環境経済論  法学/経済学上 級科目 など 中級科目 政治哲学 ■政治 思想史 ■アジア政 治 ■中東政治 ■ 公共政策論 ■環境 政策論 ■社会保障 論 ■行政学 ■法 学科目/経済学/ 経営・会計学科目 など  簿記原理  政治哲学  憲法 など 水準100 水準200 水準300 水準400 社 会 科 学 の 理 解 の 幅 を 広 げ る 科 目 EMS実 習Ⅰ EMS 実習 Ⅱ EMS実 習Ⅲフィールドスタディ (国内・国際) EMS=環境マネジメントシステム 海外留学 認定科目 講義 連携 実習 ギャップ ターム(T2) での海外 留学・社会 経験 スポーツ・健康 教養コア 情報リテラシー 教養展開 外国語  英語  初修外国語 普 遍 教 育 科 目 12
  13. 13. Ⅰ 講義設計の背景 法学系教育の現状と課題 • 定期試験のスタイル:論述式 – A)一行問題 • 「○○について論じなさい」 • 抽象的な法概念や原理・原則、特定の制度等のテー マについての理解や、見解対立などを適切に答える – B)事例問題 • 具体的な事例に対する解決の方法を問う問題 • 一行問題の要素に加えて、事例を分析する能力が必 要。結論を理由をつけて、条文との関係も指摘しなが ら論じることになる p.13
  14. 14. Ⅰ 講義設計の背景 法学系教育の現状と課題 • 論述式試験についてのよくある誤解 • 「覚えていることを吐き出す試験」 • 「六法が持ち込めるのだから勉強しなくて良い」 • 論述式試験はかなり高度な「即興レポート」 – 法体系が頭の中にインプットできている – 問題に応じたかたちで頭から引き出せる – 文章が適切な段落分けのもとで整理されている – 時間内に長文を正確に書き切れる p.14
  15. 15. Ⅰ 講義設計の背景 法学系教育の現状と課題 • 問題点まとめ – 受動的な学生の場合、インプット過剰になりがち – 難度の高いアウトプットを要求される「定期試験」 までの間に訓練する機会がない • 実際に求められる能力 – 不確かな事案への対応 – 両方(場合によっては多数の)当事者からの立論 – 科目を横断した柔軟な思考能力 p.15
  16. 16. Ⅰ 講義設計の背景 環境法科目の特殊性と立ち位置 • 「環境法」科目の特性 – 法学系の横断科目=3年生以上を対象 • 民法、行政法、民事訴訟法、(国際法)について概括 的な知識がないと理解できない – 豊富な「環境系科目」のひとつとしての横断性 • 法政経学部の特徴:環境問題を複数の視点で教える – 環境政策論1,2 環境経済学 ISOへの参加 • ほとんどの学生が初年次科目として環境関連科目を 受講しており、環境保護への関心は高い p.16
  17. 17. Ⅰ 講義設計の背景 環境法科目の特殊性と立ち位置 • 環境法政策の特徴 – 多様な利害関係を調整する必要 • 「環境を守ろう」だけでは現実の問題に対応できない – 不確実性のある問題を扱う • 「よくわからないうちからどうするか」という発想は、既 存の法学観念からはかなり離れた発想 • 講義設計の目標 – 法学系カリキュラムに不足しがちなアウトプット訓 練を盛り込み、多様な利害関係に対応させる p.17
  18. 18. Ⅱ 講義の内容 1)学生への告知と段階的受容 • シラバス段階で特殊性を明示 • 他の法学科目とは定期試験も評価方法も異なる • 初回講義でも強調 – コメントシートとディベートの狙いを話す • 全体の30%配点、書いて提出することでほぼ満点 • 良いことが書いてあれば加点要素 • 負担感についてもコメント – 「持ち込み可能な試験は甘くありません」 – 研究室図書貸し出しについても説明 • 途中回でディベートの説明 – ディベートアレルギー対応とフローシートの説明(後述) p.18
  19. 19. (参考):シラバスの授業計画欄(一部) – 定期試験においてはすべての紙媒体を持ち込み 可とする(各回の指定印刷物を持参してくることを 予定している)。定期試験までに、授業内容と社 会問題を結びつけて持ち込んだ紙媒体を活用し ながら自分の見解をまとめることができるような 準備が必要となる。 p.19
  20. 20. (参考):シラバスの評価方法欄 – 各回のコメントペーパー(提出回数が7割未満の者に は単位を付与しない。また、興味深い問題提起や見 解を含むものについては加点要素とする。)および ディスカッションへの参画(ここまでを合計して30%) 及び期末試験(70%)による。 – 評価基準としては、環境法独自の法的枠組・考え方 を一度身につけた上で、それを反対からの意見とも 対話できる形で咀嚼し、表現することができるかを主 たる課題とする。そのために、講義でふれた情報等 を自分の目で取り扱えること(必要があれば適切に 情報を手に入れて知識を更新できること)も求められ る。 p.20
  21. 21. Ⅱ 講義の内容 2)コメントシートの狙いと実施方法 • コメントシートへの記入 – 概要 • A5サイズ、最後の10分をあてる • →次回冒頭5分で応答 – 課題の告知時点 • 原則:配布レジュメの冒頭に記載、講義でも冒頭に • 例外:終了時(抜き打ちor講義進行が到達しなかった とき) p.21
  22. 22. Ⅱ 講義の内容 2)コメントシートの狙いと実施方法 – 課題告知時に、到達目標も共に説明 • 1)単なる感想(思いついたことを、できれば根拠付で) • 2)今日の講義内容をまとめる(ミニテスト) • 3)これまでの経験を総ざらえ(体験知と結びつける) • 4)【発想→整想→成果物】という段階を踏んで、主張・ 理由・証拠がそろった文章を書く(ミニレポート) • 段階的アウトプットの練習 p.22
  23. 23. 参考:出題例(詳細は http://timeleap- cafe.hatenablog.jp/entry/2015/11/27) • タイプ1 今日の講義についての感想や疑問 を(何を読んでそう思ったかも含めて)書き出 そう – 今回の講義であなたが感じた感想や、質問を書 いてください。 できるだけ、何をどのように読んでそう思ったの か、レジュメや教科書の箇所を明示してください。 p.23
  24. 24. 参考:出題例(詳細は http://timeleap- cafe.hatenablog.jp/entry/2015/11/27) • タイプ2 今日の講義の内容からあるテーマ にそってキーワードをピックアップしてみよう – 環境基本法にはまだ不足しているものがあると 指摘されることがある。それは何か。環境基本法 の具体的な条文をあげながら、足りないと思われ ることについて指摘せよ。 p.24
  25. 25. 参考:出題例(詳細は http://timeleap- cafe.hatenablog.jp/entry/2015/11/27) • タイプ3 自分の過去の知見と結びつけてみ よう – あなたの周りで市民やNGO、企業が環境保全の ために行っている取り組みを教えてください。特 に、それが法的にどのような意味をもつのかも、 わかる限りでいいので教えてください。 p.25
  26. 26. 参考:出題例(詳細は http://timeleap- cafe.hatenablog.jp/entry/2015/11/27) • タイプ4 即興の【発想→整想→成果物】形式 で、ミニレポートを書いてみよう – A)講義冒頭の課題~発想のフェイズ あなたが知っている「市民に何かをしてもらうための方 策」について、国や地方自治体が • 1)用いることができるもの/できそうなもの/できな いものを、考えつくだけたくさんリストアップせよ。 • 2)上でリストアップしたもので、その過程のどこかに 「法」がかかわるものがあれば、具体例(できれば法の 名前や条文も)を挙げて示せ。 p.26
  27. 27. 参考:出題例(詳細は http://timeleap- cafe.hatenablog.jp/entry/2015/11/27) • タイプ4 即興の【発想→整想→成果物】形式 で、ミニレポートを書いてみよう – B)講義後のコメントシート~整想と成果物のフェ イズ • 「市民に何かをしてもらうための方策」として、国や地 方自治体が用いることができる手法を1つ以上、紹介 すること。 • その際、「法と政策」の関係を必ず示すこと。 p.27
  28. 28. Ⅱ 講義の内容 3)ディベートの狙いと実施方法 • ディベートアレルギー問題への対応必須 • 誤解に基づく苦手意識 • 初回+途中回で丁寧に対応(受講忌避も!) • 意外と本学でもディベートの講義が少ない – ディスカッションは慣れているらしい • ポイントをおさえた講義 – ディベートの重要な概念だけを講義 • 横田自身もサークル経験しかなく、プロではないため – 詳細は配付資料に委ねる • 後掲・松本&河野のディベート部分のコピーを年内配布 • 松本&河野+瀧本の要点まとめを当日用レジュメに記載 p.28
  29. 29. Ⅱ 講義の内容 3)ディベートの狙いと実施方法 • 「ジャッジを説得する」 – 相手を言い負かすのではない! – 公平な第三者に対し、主張に理由と証拠をつけ て説得する • 普通のディベートではエビデンスのない議論は不採用 • 「悪魔の代言人」 – あえて「最強の反対者」の審問を受けること • 本心とは違うことを、全力で言ってよい • 肯定/否定/審判の振り分けはじゃんけんで決める • 人格への評価と主張内容とを切り離そう p.29
  30. 30. Ⅱ 講義の内容 3)ディベートの狙いと実施方法 • 教員側の準備はかなり大変 – 論題設定は気を遣う • 多数の利害関係で、「是非」になるよう明快に設定 • 素朴に両論が出てきそうなエビデンスを用意する – 実際の論題 • 防潮堤建設の是非(何メートル級かも含め議論) • ゴミ分別強化のために行政罰を科す条例改正 • シラスウナギの国内規制強化(漁業、種の保存) p.30
  31. 31. Ⅱ 講義の内容 3)ディベートの狙いと実施方法 • 即興ディベートまでの段階を踏む – ひとりで一から議論を組み立てるのは不可能 • エビデンスとなる資料は教員が用意 – 段階を踏む • 1)ひとりでもくもく考える【感想シート1】 • 2)5,6人でわいわい議論する【感想シート2】 • 3)全員でじゃんけん→肯定・否定・ジャッジに分かれる • 4)各2名づつのチームで準備 • 5)ディベート(各フェイズ2分)【フローシート】 • 6)全体のまとめ→振り返って書く【感想シート3】 p.31
  32. 32. 前半(一人で読んでみてどう考えたか、気がついた点をメモしよ う) 中盤(ディスカッション中に気がついたことをメモしてみよう。もし、 他の人が良いことをいっていたらそれもメモしよう。前半部で書い たことが深まったなら、適宜→などを引いて関連をしめしてみよ う) 後半(ディベート後、どのように考えたか、今回のフローシートだと 自分がジャッジならどっちが優勢と考えるかなどをメモしよう。ディ ベート自体への感想も歓迎!) 感想シート 学籍番号: 氏名: 他の班員の氏名: (三本線ノート類似にしました。指示に従ってメモをしてください。なお、ディベート作戦会議用のメモはこの裏面を使ってください。授業全体の感想はフローシート裏面にお願いします) 32
  33. 33. 肯定側立論 否定側立論 否定側反駁1 肯定側反駁1 否定側反駁2 肯定側反駁2 フローシート 学籍番号: 氏名: 肯定・否定・審判 同じチームメンバー: 相 手: 33
  34. 34. Ⅱ 講義の内容 3)ディベートの狙いと実施方法 • フローシートの効用 – フェイズを可視化 – 否認と抗弁を区別する(法学用語) • 否認:相手の言うことは成り立たない • 抗弁:相手の言うことは成り立つが、不具合がある →それぞれ、否定側の以下に対応する! 否認:肯定側立論に対する否定側反駁 抗弁:否定側立論 p.34
  35. 35. 35
  36. 36. Ⅱ 講義の内容 3)ディベートの狙いと実施方法 • (参考):法科大学院の実務家教育における 要件事実論とブロックダイアグラム – 私見:フローシートの書き方は要件事実論におけ るブロックダイアグラムの書き方とよく似ている。 – ディベートをフローシートの書き方まで教えること で、否認と抗弁の区別を体感的に体得させること ができる。 p.36
  37. 37. Ⅲ まとめ • 学生側の反応は上々 – 「意見をまとめる訓練をしたことがなかった」 – 「ディベートのためには準備がかなり要る」 – 「自分の意見と離れて議論する発想が新鮮」 – 「ジャッジが難しい」 ←評定とは関係ないことを強調 • 教員視点からの雑感 – コメントシートは第4回から急にレベルが上がる • 毎年同じ現象。ちなみに「ミニテスト」回 – ディベートの要点だけなら経験少なくても活用可能 – 論題設定は毎回苦労する p.37
  38. 38. ディベート参考資料 • 松本 茂, 河野 哲也 『「読む・書く・プレゼン・ ディベート」の方法 改訂第二版』玉川大学出 版会、2015年 • 瀧本哲史『武器としての決断思考』星海社新 書、2011年 p.38
  39. 39. 謝辞 実際の講義資料はmoodleでご覧ください。 Key : 【会場内のみ投影】 ご静聴ありがとうございました。 横田明美 http://akmykt.net akemi@chiba-u.jp p.39

Hinweis der Redaktion

  • タイプ1 今日の講義についての感想や疑問を(何を読んでそう思ったかも含めて)書き出そう
    最もスタンダードなお題は次の通りである。
    今回の講義であなたが感じた感想や、質問を書いてください。 できるだけ、何をどのように読んでそう思ったのか、レジュメや教科書の箇所を明示してください。
    疑問についても典拠を挙げるように、と求めているのは、実際には教科書の参照頁を示すためにもう一度読み返してみたら自己解決した、という事例が多いからである。また、こうすることで、第7回【前編】【後編】で紹介したゼミでの質問のように、質問も「主張・理由・証拠」の形で記述できるようになる。 実際のコメントシートでは、このお題を出すと、ちょっとした疑問であるとか、もっと勉強してみたいという意欲などが多く寄せられる。
  • タイプ2 今日の講義の内容からあるテーマにそってキーワードをピックアップしてみよう
    この使い方は、ミニテストに近い。その日の講義のなかから、重要な項目を拾い上げてみることで、講義のまとめをしてみようというものである。
    例えば、環境法の第3回講義「環境法の基本原則」のときには、環境基本法とそれに関連する条約等を紹介した講義のあとに次のお題を掲げた。

    環境基本法にはまだ不足しているものがあると指摘されることがある。それは何か。環境基本法の具体的な条文をあげながら、足りないと思われることについて指摘せよ。

    実際の講義では、「環境基本法の限界」については3、4箇所くらいの項目でバラバラに紹介された事柄を、ひとつの視点であとからまとめなおしてみよう、というものである。これは、講義後にまとめノートをつくるという自学の練習にもなるだろう。
  • タイプ3 自分の過去の知見と結びつけてみよう
    法学での学習は、今までの講義とのリンクを張りながら考えるとより「使える」ものになる。会社法の講義を受けていれば民法での講義を思い出すことがあるだろうし、行政法は民法や憲法、民事訴訟法との関連が多い科目である。そこで、今回の講義で学んだことを、今まで身につけた知識や経験と結びつけて考える時間をとると、もっと学習が楽しくなる。
    環境法の講義では、社会に出る一歩手前の大学4年生が多く受講している科目であることも鑑みて、法学での学びとこれまでの社会経験とを結びつける訓練も意図している。そのため、第4回「環境保護の担い手」という回では、環境法を担うのは行政だけでなく、市民や企業もその主体になる、ということを述べた上で、次のお題を出した。

    あなたの周りで市民やNGO、企業が環境保全のために行っている取り組みを教えてください。特に、それが法的にどのような意味をもつのかも、わかる限りでいいので教えてください。

    このお題に対するコメントシートには、千葉大学の環境ISO委員会の話題や、自治体での補助金政策、ニュースで見聞した話題など、多様な意見が寄せられた。教科書を通じて学ぶことと、いまここで生きて得ている知見とを結びつけることができているようだ。
  • タイプ4 即興の【発想→整想→成果物】形式で、ミニレポートを書いてみよう
    一番難しく、しかしやってみると非常に力になるタイプの質問は、あたかもレポートを書くときのように、【発想→整想→成果物】の3つのステップ*3を踏んで、まとまった文章を書いてみることである。

    A)事前課題~発想のフェイズ
    第5回「環境保全の手法」では、電車が遅延したために授業開始を10分遅らせた。早く来た学生に申し訳ないので、講義開始まで、板書として次の課題を出した。

    あなたが知っている「市民に何かをしてもらうための方策」について、国や地方自治体が
    1)用いることができるもの/できそうなもの/できないものを、考えつくだけたくさんリストアップせよ。
    2)上でリストアップしたもので、その過程のどこかに「法」がかかわるものがあれば、具体例(できれば法の名前や条文も)を挙げて示せ。

    10分間この課題に取り組んでもらったあと、規制的手法や誘導的手法についての講義を行った。

    B)コメントシート~整想と成果物作成のフェイズ
    講義を終えた後に掲げたコメントシートのお題は次の通りである。

    「市民に何かをしてもらうための方策」として、国や地方自治体が用いることができる手法を1つ以上、紹介すること。
    その際、「法と政策」の関係を必ず示すこと。

    このお題は、そのまま期末試験として使ってもよいくらいに難しいものである。そこで、まずは事前課題の1)において、発想、つまりとにかく書き出してみるという作業を行ってもらい、徐々にそれを選別する「整想」を行ってもらい、最後に成果物としてのコメントシートを出してもらう、ということを試みた。
    このようなやりかたは、講義直後に試してみるには荷が重いかもしれない。しかし、毎回の講義から、予想問題を作ってみて、自分で解いてみるということは以前もオススメしたことがあるので、意欲がある方はぜひチャレンジして、アウトプット不足を解消していただきたい。
    なお、タイプ1~3はお題を事前に予告していたが、最後のタイプ4はその場で考えて出題した。少し難しかったようだが、かなり熱いコメントが多数寄せられた。
  • タイプ4 即興の【発想→整想→成果物】形式で、ミニレポートを書いてみよう
    一番難しく、しかしやってみると非常に力になるタイプの質問は、あたかもレポートを書くときのように、【発想→整想→成果物】の3つのステップ*3を踏んで、まとまった文章を書いてみることである。

    A)事前課題~発想のフェイズ
    第5回「環境保全の手法」では、電車が遅延したために授業開始を10分遅らせた。早く来た学生に申し訳ないので、講義開始まで、板書として次の課題を出した。

    あなたが知っている「市民に何かをしてもらうための方策」について、国や地方自治体が
    1)用いることができるもの/できそうなもの/できないものを、考えつくだけたくさんリストアップせよ。
    2)上でリストアップしたもので、その過程のどこかに「法」がかかわるものがあれば、具体例(できれば法の名前や条文も)を挙げて示せ。

    10分間この課題に取り組んでもらったあと、規制的手法や誘導的手法についての講義を行った。

    B)コメントシート~整想と成果物作成のフェイズ
    講義を終えた後に掲げたコメントシートのお題は次の通りである。

    「市民に何かをしてもらうための方策」として、国や地方自治体が用いることができる手法を1つ以上、紹介すること。
    その際、「法と政策」の関係を必ず示すこと。

    このお題は、そのまま期末試験として使ってもよいくらいに難しいものである。そこで、まずは事前課題の1)において、発想、つまりとにかく書き出してみるという作業を行ってもらい、徐々にそれを選別する「整想」を行ってもらい、最後に成果物としてのコメントシートを出してもらう、ということを試みた。
    このようなやりかたは、講義直後に試してみるには荷が重いかもしれない。しかし、毎回の講義から、予想問題を作ってみて、自分で解いてみるということは以前もオススメしたことがあるので、意欲がある方はぜひチャレンジして、アウトプット不足を解消していただきたい。
    なお、タイプ1~3はお題を事前に予告していたが、最後のタイプ4はその場で考えて出題した。少し難しかったようだが、かなり熱いコメントが多数寄せられた。

×