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ROBO-ONEのための
FUSION360講座
シートメタル編Ⅱ
シミュレーション編
東京電機大学理工学部 ヒューマノイド研究部
2018-15RT044-TDU
はじめに
 本講座は大人気3DCAD「Fusion360」のモデル機能は使えるように
なったけどシートメタル機能を使ったことがないという人向け講座
「ROBO-ONEのためのFusion360講座 シートメタル編」を終えて
何となくシートメタル機能を理解した人向けの続編です。
 前作で作成したブラケットをシミュレーション機能を用いて解析、
再設計することで基礎的な使い方を知り、様々な機能を学ぶ足掛か
りとなれば幸いです。
 本作では作成したブラケット等を使用してシミュレーション機能の
チュートリアルを行うほか、シートメタル機能の補足も行います。
 本講座はbiimシステムをリスペクトしています
シミュレーション機能とは?
 Fusion360に搭載されている機能の一つ。
 ロボットのブラケットを作る際、シミュレーション機能を用いて応
力の解析を行うことで実際にブラケットを製作・試験や手計算をし
なくても安全率や応力分布、変位などを調べることができる。便利
 解析はクラウド上で行われるため(一部ローカルでも可)、ミドルス
ペックのPCでも安心して解析を行うことができる。便利
 下図はよくある四角棒の片持ち梁の先端に荷重を加えたもの。
実践:設計条件(レギュレーション)
 前回、図のようなK社製サーボモータのホーンに取り付けるコの字
ブラケットを作成しました。
 サーボホーン間の長さは35[mm]でサーボホーンはK社製の小径ホー
ンを使用すること。またブラケットの幅は20[mm]とします。
 ブラケットとサーボホーンや他のブラケットとを締結するねじは4
点止めとします。
 ブラケットは厚さ1.5[mm]のアルミ板材(A5052)を使用し、理想的
に曲がってくれるものとします。
 本講座を円滑に行う都合上レギュレーションを改変、追加します。
実践:設計条件(レギュレーション)
 ブラケットの質量が6.0[g]以下であること。
 B‘面に他のブラケットを取り付け、図のように矢印方向に50[N]の荷重
を加えてもブラケットの変位が板厚の5%以下かつ安全率の最小値が4
以上となること。必要に応じ曲げ箇所を追加しても良い。
 ブラケットとサーボホーンや他のブラケットとを締結するねじは4点止
めとし、各固定面において各ねじは均等に固定されているものとする。
 ブラケットはアルミ板材(A5052)を使用し板厚は指定しない。また、理
想的に曲がってくれるものとする。
B‘
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 まずは前作にて作成したブラケットを開く
下準備#01
シートメタル
入門
 ブラウザ内の「ボディ1」を右クリックしプロパティを
クリック
 質量を確認すると6[g]を超えているため軽量化する必
要があることが分かる
下準備#02
シートメタル
入門
 作業スペースを「モデル」から「シートメタル」作業
スペースに切り替え
下準備#03Click
シートメタル
入門
 修正→シートメタル規則を選択
 表示されたシートメタル規則ウィンドウから適当な規
則にカーソルを合わせ、新しいルールをクリック
下準備#04
Click
シートメタル
入門
 「新しいルール」ウィンドウが表示されたらルール名を分か
り易いように「アルミニウム(1.0 mm)」のような名前に変更
 厚さ1.00[mm]、K係数を0.5に設定し保存をクリック、シー
トメタル規則ウィンドウに追加されたことを確認し閉じる
下準備#05
軽量化には肉抜き
を行う方法もある
が今回は肉抜きを
行える箇所が少な
いため手っ取り早
く板厚を薄くする
ことにした
①
②
③
④
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 ブラウザ内の「ルール」にカーソルを合わせ
ると赤枠で示す「ルールを切り替える」ボタ
ンが出現するのでクリック
軽量化#01
Click
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 「シートメタル規則を切り替える」ウィンドウが表示
されるのでライブラリ内にある先程作成した「アルミ
ニウム(1.0mm)」をクリックしエンターまたはOKをク
リック
軽量化#02
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 少し薄くなったことが分かるほかプロパティウィンド
ウで確認すると質量も減少している
 この時点で荷重に耐えることができるのか確認する
軽量化#03
←Before
質量:6.582g
After→
質量:4.422g
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 作業スペースを「シートメタル」から「シミュレー
ション」作業スペースに切り替え
 新規スタディウィンドウが表示されるので「静的応
力」を選択しOKをクリック
解析#01
Click
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 拘束→構造拘束をクリックし図のようにサーボホーンとねじ
で固定する8個の穴の内面をすべて選択
 「構造拘束」ウィンドウ内のタイプが「固定」、ターゲット
が「8面」になっていることを確認しエンターまたはOKをク
リック
解析#02
外観がデフォルト
のアルミニウムの
ものに変化します
が仕様です
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 荷重→構造荷重をクリックし図のように他のブラケッ
トとねじで固定する4個の穴の内面全てを選択
 「構造荷重」ウィンドウ内のタイプが「力」、ター
ゲットが「4面」になっていることを確認する
解析#03
方向タイプを今回
は「 角度」にし
たが「 ベクト
ル」で設定しても
良い
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 「構造荷重」ウィンドウの大きさを「50.00 N」に設定
し荷重方向を確認後エンターまたはOKをクリック
 必要であればX,Y,Z角度の調整も行う
解析#04
図では荷重方向を
合わせるために荷
重を-50.00[N]と
した
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 解析→プリチェックをクリックし図のように「スタ
ディのセットアップには、必要な情報がすべてありま
す。」と表示されることを確認しウィンドウを閉じる
解析#05
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 解析→解析をクリックしウィンドウが表示されたら
「クラウドで」に●を入れステータスが「準備完了」
となっていることを確認し「1スタディを解析」をク
リック(要オンライン)
解析#06
静的解析はオフラ
インでも使用可能
のためPCスペッ
クに自信があれば
「ローカル」で解
析を行っても良い
Click
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 解析が行われるのでしばらく待機
 完了したら「閉じる」をクリック
解析#07
Click
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 最小安全率を確認すると設計条件を満たしていること
が確認できる
解析#08
大きく変形してい
るように見えるが
結果→変形スケー
ル→実際をクリッ
クすると実際の変
形具合が見える
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 次に変位を確認する
 図の赤枠に示す安全率をクリックし表示されたプルダ
ウンメニューの変位をクリック
解析#09
Click
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 変位の最大値が0.06041[mm]と板厚の5%を超えたた
め強度曲げを行い変位量を抑える
解析#10
板厚の5%制限や
荷重50.0[N]は今
回の講座のために
微調整して設定し
た値で設計規則等
を完全に則ったわ
けではない
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 作業スペースを「シミュレーション」から「シートメ
タル」作業スペースに切り替え
修正#01
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 作成→フランジを選択し図中赤線で示す上部のエッジ
2カ所をクリック
修正#02
拡大
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 フランジウィンドウ内の曲げ位置を「隣接」に設定し
たら高さを5.00[mm]で引き出しエンターまたはOKを
クリック
修正#03
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 強度曲げ部分を作成したので再び同じ条件でシミュ
レーションを行います
修正#04
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 作業スペースを「シートメタル」から「シミュレー
ション」作業スペースに切り替え
解析2#01
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 解析結果が強度曲げ部分作成前の状態なので再びシ
ミュレーションを行う
 解析→解析をクリック
解析2#02
荷重や拘束位
置が同じであ
れば条件を再
定義する必要
はない
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 解析ウィンドウが表示されたら「解析」をクリック
 図中では諸事情によりローカルで解析を行った
解析2#03
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 変位の最大値を見ると0.01936[mm]となり設計条件を
満たすことができた
解析2#04
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 作業スペースを「シートメタル」に切り替え「フラッ
トパターンを作成」を行うと図のような展開図が得ら
れる
解析2#05
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 「ボディ1」のプロパティウィンドウを開くと質量が
5.37[g]となっているためすべての設計条件を満たすブ
ラケットを作成することができた
解析2#06
シートメタル
シミュレーション
機能入門
 これにてチュートリアル終了です!お疲れ様でした!
 本講座の作業手順はこのスライドを作った人がやってみ
た1例なのでより効率の良い方法があるかもしれません
完成
スライド作りを完走し
た感想は(定番激寒ギャグ)
「半端な知識で資料作
りを始めてはいけない
(1敗)と痛感したが下
手に口頭で伝承してい
くよりも資料として残
すことが色々な意味で
大事だと感じました」
以上

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