新しいポインティング手法を評価する際,実験では通例「できるだけ速く正確に」タスクを行うよう教示する.本稿では複数のバイアスが,既存のポインティング手法であるBubble CursorとBayesian Touch Criterionの評価結果に与える影響を検証した.結果,前者は全バイアス条件でベースライン手法の性能を上回ったが,後者はより単純なターゲット予測手法の性能も下回り,元の論文とは異なる結果となった.このように複数のバイアスを調査することで,手法の特性をより正確に議論し,一般化可能性の高い結論を得ることができる.本稿では複数の主観的なバイアスを実験条件に加えることが望ましいと提言する. 木下大樹,大塲洋介,富張瑠斗,山中祥太,宮下芳明.速さと正確さへの主観的なバイアスがポインティング手法評価の一般化可能性に与える影響,インタラクション2023論文集,pp.78-87,2023.