地域ニーズに沿ったAI活用への挑戦〜株式会社エルブズによる社会性エージェントサービス〜

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2016年10月6日
油谷実紀
地域ニーズに沿ったAI活用への挑戦
～株式会社エルブズによる社会性エージェントサービス～
CEATEC JAPAN 2016
SP-20特別講演「IoT、AI活用による地域活性化」

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自己紹介
油谷実紀(ゆたにみき)
1994年3月東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了、修士(心理学)
○TIS株式会社フェロー戦略技術センター長
■1994年入社以来、自社パッケージ開発、アライアンスビジネス立ち上げ、
製造業向けSI案件のプロジェクトマネージャー等を経験、
2009年度よりR&D部門を担当し、モバイル、クラウド、
人工知能等のエンタープライズ適用検証と技術開発を推進
○株式会社エルブズ取締役副社長
■社会性エージェントサービス提供を目的とした事業会社を立ち上げ、
少子高齢化社会における人工知能の役割を追求
■https://elvez.jp/
《外部機関》
○オープンガバメント・コンソーシアム理事兼 AI・ロボット分科会主査
○国立大学法人電気通信大学非常勤講師
Facebook: 油谷実紀
Twitter: @blackaplysia

九州支社
名古屋アーバンネットオフィス
浜松オフィス
北京駐在員事務所
ホーチミン駐在員事務所
ジャカルタ駐在員事務所
TISのその他事業所
ＴＩＳ東京本社
ＴＩＳ名古屋本社
ＴＩＳ大阪本社
中国
天津濱海高新IDC
関西地区
GDC大阪
大阪センター
心斎橋 gDC-EX
心斎橋ｇDC
大阪第2DC
関東地区
GDC御殿山
東京第1センター
東京DC
東京第2DC
横浜DC
中部地区
名古屋センター
師勝センター
北陸地区
万葉ＤＣ
富山ＤＣ
TIS株式会社のご紹介
TIS株式会社 (TIS Inc.)
※企業グループ：TISインテックグループ (TIS INTEC Group)
昭和46年 (1971年) 4月28日
100 億円連結: 20,067 人
単体: 5,553 人（2016年4月1日現在）
代表取締役会長兼社長桑野徹
社名
創業
資本金従業員
代表者
連結: 382,689 百万円
単体: 149,669 百万円（2016年3月期）
売上高
東証第一部上場市場
事業所

システムインテグレータとして長期的(5～10年)で獲得すべき技術を戦略技術として
集中的に研究開発対象としており、現在はProactiveな人工知能に注目している
TISの中長期技術展望
技術ビジョン
Proactiveな(主体的な)人工知能が人類の生活をより豊かにする
技術ミッション
①超知覚と協調行動の能力をもつCyber-Physical Systems (CPS)の提供
― 超知覚(meta-perception): 環境に埋め込まれた情報ソースを用いた知覚
― 協調行動(cooperative robotics): 環境内の複数ロボットによる協調行動
②①を実装するためのエッジ・クラウド・オーケストレーションの実現
― エッジ(デバイスおよびフォグ)とクラウドとを結びつけ、
エンタープライズシステムのインフラストラクチャとして
インテグレートおよびオーケストレート

情報発信
技術ブログ（Tech-Sketch.jp）
CodeZine
（Tech-Sketch出張所）
技術勉強会（Tech-Circle）
Facebook
（Tech-Sketch）
http://tech-sketch.jp/ http://codezine.jp/article/corner/480
http://techcircle.connpass.com/ https://www.facebook.com/
techsketch
tech-sketch 検索

主体的な人工知能と共生する社会を実現する技術

「主体的な人工知能」とそれを実装したロボットは、刻々と変化する環境情報を収集し、
適宜利用者に情報を提供し、さらには自律的に行動を行う主体となる
主体的な人工知能
主体的でない人工知能
主体的な人工知能
質問・
指示・操作
主体データ
IoTクラウド
主体
情報提供
自律行動
LODクラウド
問い合わせ
情報収集
情報共有
※LOD: Linked Open Data
IoT: Internet of Things

2020年における対話によるコミュニケーション
対話
ボット
アプリ利用者
ボット
API
代理人
機能
仮想世界(Cyber World)
物理世界(Physical World)
社会的
つながり
ボットが社会の代理人
(エージェント)の役割を果たす
連携
※API: Application Programming Interface

2020年に実現されるさまざまなデバイスとの対話
対話の対象
・スマホ内ボット
・ホログラム(MR／AR)
・コミュニケーションロボット
デバイスの情報収集元
・IoTセンサ
(カメラ、人感センサ等)
・自律移動ロボット
・クラウド連携
(LOD、ロボット間連携)
※MR: Mixed Reality (複合現実)
AR: Augmented Reality (拡張現実)
IoT: Internet of Things
LOD: Linked Open Data
クラ
ウド
連携
対話によるコミュ
ニケーション

 ボットによるコミュニケーション
– メッセージング各社による対話サービス・デバイスの公開ラッシュ
– 現状は個人のアシスタントや自社サービス内のリコメンドが主流
→複雑・大量の業務用対話シナリオを導入することは難しい
(もう間もなくGartnerのいう「幻滅期」に突入)
2016年に実現されている技術の状況
ベンダー対話サービス製品
Amazon Alexa Echo (設置型デバイス)
Google Assistant Allo (メッセージングソフトウェア)
Home (設置型デバイス)
Microsoft Cognitive Services Cortana (アシスタントソフトウェア)
Apple Siri Siri (アシスタントソフトウェア)
※設置型デバイス開発中との噂

 業務用対話シナリオの導入
– 個々のシナリオを作成
IBM Watson Dialog / Conversation
NTTドコモ Repl.ai
Wit.ai (Facebookが買収)
API.ai (Googleが買収)
– 今後の課題
業務ドキュメントからのシナリオ大量作成
柔軟性の高いシナリオ
システム主導による対話
 逆質問による不足情報の補完
 情報推薦

 サービスロボット
– サービスロボット市場が生まれつつある
《出典》国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(2014)
「NEDOロボット白書2014」
http://www.nedo.go.jp/content/100567345.pdf
産業用ロボットフィールドロボットサービスロボット
場所・工場設備・危険環境等・日常生活
目的・生産効率化・作業代行・生活支援・癒し
作業内容・人の代替・人の代替・人の代替・人との共生
特徴・自律性
・安全性
・高速
・高精度
・ユビキタス性
・ヒューマン・マシン・
インタラクション

 コミュニケーションをはかるロボット
– ユーザとのコミュニケーションはコミュニケーション型と
移動作業型(自律移動型)が中心となる
《出典》前ページと同資料「NEDOロボット白書2014」より
コミュニケー
ション型
移動作業型
(操縦中心)
移動作業型
(自律中心)
人間装着型搭乗型汎用型
想定卓上ヒューマノ
イド
癒し系ロボット
作業支援
災害対応
床下点検
掃除・警備
案内・荷物搬送
介助(犬)
ロボットスーツ
動作支援
ベッド移乗
移動支援汎用
ヒューマ
ノイド
特徴自律性大接触性大接触性大
汎用性大
自律性大
汎用性大
例 Pepper、SOTA ドローンハウステンボス
「変なホテル」
アクティブリンク
「アシストスー
ツ」
セグウェ
イ
ASIMO

 今後は複数サービスロボットの役割分担が可能になる
自律移動ロボット
・単純音表現
・メカ的風貌
・情報収集
および分析
・自律作業
・警備
・案内
・搬送
コミュニケー
ションロボット
・自然言語
による会話
・ヒューマ
ノイド的風貌
・感情表現
・癒し

地域社会にAIを活用するために

 総務省(2016)「『平成28年度情報通信白書』の概要」p.41
http://www.soumu.go.jp/main_content/000431190.pdf
– 「人工知能(AI)導入で想定される雇用への影響」として、
以下の4点を挙げている
① 雇用の一部代替
② 雇用の補完 - AIにできることはAIにやらせる
③ 産業競争力への直結による雇用の維持・拡大
④ 女性・高齢者等の就労環境の改善 - AIが人の作業を補佐
 上記4点の影響はすべてがネガティブということではない
 とりわけ②と④については、社会全体として生産性向上によって
少子高齢化社会における労働力供給の不足分を補う
プラスの効果をもたらす
AI導入による雇用の補完と就労環境の改善

 国土交通省(2014)「国土交通白書2015」第I部第1章第2節2
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h26/hakusho/h27/index.html
– 人口減少が地方のまち・生活に与える影響として、以下を挙げている
① 生活関連サービス(小売・飲食・娯楽・医療機関等)の縮小
② 税収減による行政サービス水準の低下
③ 地域公共交通の撤退・縮小
④ 空き家、空き店舗、工場跡地、耕作放棄地等の増加
⑤ 地域コミュニティの機能低下
 人口減少の結果生じる生活利便性の低下に対して、タスクの
一部代替や生産性向上等においてAIを活用出来る可能性はないか
– ①生活関連サービス
– ②行政サービス
– ③地域公共交通
人口減少の影響とAI活用の可能性

「人口減少の悪循環のイメージ図」とAI活用の可能性
人口減少
生活関連サービス
(小売・飲食・娯楽・
医療機関等)の縮小
税収減等による
行政サービス低下・
社会インフラ老朽化
地域公共交通
の撤退・縮小
空き家・空き店舗
・工場跡地・
耕作放棄地の増加
住民組織の担い手不足
(自治会、消防団、
地域の祭り等)
学校の統廃合
地域コミュニティの機能低下就業機会
(雇用)の
減少
生活利便性の低下地域の魅力の低下
さらなる人口減少
※「国土交通白書2015」より引用
AI活用

 内閣府(2012)「高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会報告書」
http://www8.cao.go.jp/kourei/kihon-kentoukai/pdf/report1-4.pdf
– 高齢化社会に対して、「自助」(※セルフケア)、
「共助」(介護保険等)、「公助」(※高齢化福祉事業等)の
組み合わせのみならず、地域の人々、友人、世代間を超えた
人々との間の顔の見える助け合い＝「互助」の再構築
– 見守り等を通じて高齢者、とりわけ一人暮らしの高齢者の
孤立化防止のための地域とのコミュニケーションづくり、および、
巡回しながらニーズを把握するなどアウトリーチする仕組み
– 日常生活圏内において、医療、介護、予防、住まい、
生活支援サービスが切れ目なく、有機的かつ一体的に提供される
地域包括ケアシステムの確立
「互助」の場におけるAI活用の可能性

エルブズの社会性エージェントサービス

人と対話する人工知能に社会性を持たせることにより、人々の社会生活を豊かに
するスタートアップElvezを設立しTISがシード出資
株式会社エルブズ
設立 2016/2/26
本店東京都渋谷区
役員
代表取締役社長田中秀樹
取締役副社長油谷実紀
取締役河村正和
特許
特願2016-79926
「人工知能エージェント
による見守りシステム」
事業内容
社会性エージェントサービスの提供
ビジョン
社会性を持つAIで幸せを提供する
ポリシー
複雑な社会課題を技術力とスピードを
併せ持って解決する
・技術力の源泉：
TIS戦略技術センターの完全バックアップ
・スピードの理由：
農業クラウドで培った大学/自治体との幅広い人脈

解決したい地域包括ケアモデルの課題
地域包括ケアモデルは、
・高齢化、過疎/孤独/孤立、食料品アクセスなど
複雑な問題を解決する手法として期待
・基本理念：自助と互助
ところが現実は・・・
専門職員が少ない
ボランティアも少ない
財政には余裕がない
AI対話システムを
「御用聞き」に応用
↓
地域全体の負担軽減

AI対話システムをサービス化する
 AIを活用した「御用聞き」サービスとはどのようなものか
(「サ○エさん」に登場する三○屋サ○ちゃんのイメージ)
– 地域社会に根付く
– 持続可能である(毎日来る)
– 商業、農業、交通等の実用サービスと紐付いている
– 個人や家庭の嗜好をある程度知っている
– などなど
 地域の方々の
自助、共助、互助をベースとした
民間活力を生み出す源泉となる
民活再発明

これまでの民活との比較
 民活再発明は、ITによるソーシャルネットワークの力をもって
地域コミュニティに「自助、互助、共助」のしくみを実現
従来の民活民活再発明
正式名称民間活力
英語名 Private sector vitality Social vitality
プロジェクト規模大規模中小規模
役割政府に変わる地域コミュニティ
求められる
能力
資金力・経営能力
資金・経営に加え
自助・互助・共助

エルブズが実現する「御用聞きAI」のいる地域社会
エルブズケアエージェントサービス
チャネルに所属する
フレンドとの会話
チャネルに所属する
バーチャルエージェントとの会話
ニーズ・状況の把握
遠隔地の家族
地域の人々
個人事業主
NPO
自治体
警察
地域の法人
郵便局
銀行
店舗
御用聞き
サービス
ネットワーク
御用聞きAIが適時専門職員にエスカレーションし、
地域包括ケアシステムの自助と互助の成立を促す

 南山城村の道の駅事業
「道の駅お茶の京都みなみやましろ村」
– 2017年4月オープン予定
 国土交通省(2015)
「平成27年度重点『道の駅』の選定について」
http://www.mlit.go.jp/common/001117203.pdf
– 交流・連携：都市との地域間交流、情報ワンストップ
– 産業振興：農林産物ブランド化、6次産業化・雇用創出
– 地域福祉：高齢者生活支援、コミュニティバス
– 防災：後方支援拠点、バックアップ機能
「京都府唯一の村」南山城村が進める道の駅事業「京都府唯一の村」
南山城村
ココ！
《出典》Wikipedia

南山城村での実証実験の状況
 エルブズプレスリリース「京都府南山城村地域で高齢者向けAI活用の
調査・実証実験を実施
～『御用聞きAI』アプリの
プロトタイプを使い、
実用性を評価～」
https://elvez.jp/?p=814

エルブズアプリ(α版)
エージェントとの対話画面管理者画面(すべての対話ログを記録)
管理者画面(メール送信履歴)

大阪大学のヒューマンロボットインタラクションに関する研究成果と当社の自然言語処理
実装技術を組み合わせ、エルブズの高齢者向け「社会性エージェント」技術を高度化
選択式対話によるコミュニケーションに関する共同研究
三者の実績を融合することにより、
AI・ロボットの社会的役割を明確化
エルブズのサービスアプリに組み込むことで
高齢者との円滑なコミュニケーションを検証

はこだて未来大学と、対話シナリオの大量生成に関連する技術として、対話破綻の事前検知、
および、マンガの自動タグ付けによる対話辞書・シナリオ生成の実用化を目指す
対話破綻検知および生産性の高いシナリオ生成に関する共同研究
マンガの視覚的表現からの
自動タグ付けを活用した
生産性の高い対話辞書・
シナリオ生成
対話の破綻を自動的に検知し
会話を適宜修正することで
より自然な対話を実現

地域医療に詳しい某大学医学部と認知症の発見に関する共同研究を開始、
エージェントが認知症のシグナルを捉える「監視しない見守り」の実現を目指す
安否確認および見守りに関する共同研究
今日は
昭和何年?
かかりつけ医
専門医
遠隔地の家族
自治体
地域包括ケアセンター
日常的にアプリを使用してもらう
ことで個人ごとの生活リズムを把握し、
認知症特有の不自然な行動の発現を
検知して関係者に通知

 エルブズでは、
少子高齢化社会に向けたAI適用に関する研究を行っていただける大学、
お互いの強みを提供しあい、ともに社会課題に挑戦いただける企業、
地域の抱える課題に対してAIの活用をご検討いただける自治体等、
AIを用いた社会課題解決に挑戦する仲間を随時探しています。
– ロボットデバイスの利用
– 現状では縮小せざるをえない
行政サービスの一部の
AI対話サービスへの移行
– その他、地域が抱える
個別の課題への適用
 エルブズに賛同いただける方、
ご連絡お待ちしております。
さいごに

地域ニーズに沿ったAI活用への挑戦〜株式会社エルブズによる社会性エージェントサービス〜

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