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構造としてのエコシステム

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「製造業のサービス化」が話題になった時期があった。しかし、その後の成功例は少ないように思う。サービス化は、従来からの製品イノベーションと比較すると、あいまいさとリスクがある。サービス化への投資がコスト上昇を招いて期待収益につながらず、サービス化から利益を生み出すのに苦労する「サービスパラドックス」指摘されている。しかし、最近はあらゆる産業のデジタル化が叫ばれ、サービス化も新たな段階に移行しているように思う。これには「エコシステム」の隆盛が大きく関わっているであろう。ただ、現状は、エコシステムとは何か?とか、エコシステム構造やエコシステム戦略がまだ充分整理されていない。そこで、このような観点で情報整理に役立つ論考を探索し、それらの論考をつなぎ合わせた資料を作成してみた。

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構造としてのエコシステム

  1. 1. 構造としてのエコシステム B-frontier研究所 高橋 浩
  2. 2. 目次 1.はじめに 2.エコシステムに関わる新たな取組み 2.1 R. Adnerの取組み 2.2 R. Kapoorの取組み 2.3 M. Jacobidesの取組み 3.新たな価値創造に向けて 2
  3. 3. 価値創造の変遷 • 単独(個人または特定企業のみ)での価値創 造が難しい時代になった。 • そして、複数企業や複数パートナーと連携し た価値創造が主流になってきた。 • このような状況に対し、これを分析する理論 が多数登場している。 • 最近話題になった理論は殆どこの範疇に含 まれると言える。(⇒次頁) 3 1. はじめに
  4. 4. 新たな状況を分析する理論(例) • プラットフォーム理論 • 多面的市場理論 • ネットワークと提携論 • ビジネスモデル論 • サプライチェーンとバリューチェーン • 産業アーキテクチャ論 • 技術システム論 • オープンイノベーション • バリューネットワーク • など・・・ 4
  5. 5. 更なる状況の変化 • しかし、状況は一段と複雑化している。 • 当初は対象を明確に分析していると評価され た理論も、理論の鋭利さが次第に鈍ってきて いるのではないだろうか? • 一方、現在、「エコシステム」という言葉がもて はやされている。⇒(次頁表参照) • 既存理論はどんな点に限界を抱えてきている のだろうか? • その一端を分析してみよう。⇒(次々頁より) 5
  6. 6. 6 「エコシステム」に触れた論文件数の推移 8万件 10万件
  7. 7. 7 構築法 核心的焦点 古典的事例 範囲外(除外)or 欠落要素 プラットフォーム (例:Gawer& Cusumano,2002; Parker 等, 2016) 技術に焦点を当 てたアクセス、イ ンセンティブ、制 御 インテル 相互依存は必ずしもプラットフォー ムベースではない。プラットフォーム はインターフェースのガバナンスに関 係しているが、エコシステムは相互 依存の構造に関係している。 多面的市場(例: Hagiu & Wright, 2015) トランザクション に焦点を当てた アクセス、インセ ンティブ、制御 e-Bay 仲介者の役割を持たない多者間 協定を扱っている。パートナー間の 競争力の役割、間接リンクを除外 or欠落させている。 ネットワークと提 携(例:Gulati、 1999; Powell 等、 1996) 接続パターン Biotechnolog y alliance networks 明示的設計と調整戦略(価値の 流れ:誰が誰に引き渡すか、発明 への協力;知識に基づく構築)に よる価値提案を扱っている。 ビジネスモデル (例:Osterwalder 等,2005; Zott,Amit,Massa, 2011) 焦点企業の価値 創造と価値獲得 Zipcar パートナー間の間接リンク、境界論 理を扱っていない。全てのパート ナー企業間で必要なモデルの一貫 性も欠落させている。 既存理論の限界(除外or欠落)の例
  8. 8. 8 構築法 核心的焦点 古典的事例 範囲外(除外) or 欠落要素 サプライチェーンと バリューチェーン (例:Porter、1985; Simchi-Levi、2005) 製造するか購入 するか;交渉; パートナーの信 頼性 トヨタ クリティカルパスから外れた パートナー;多者間ダイナミッ クス; アラインメント戦略を除 外or欠落させている。 産業アーキテクチャ (例: Jacobides, 2005) 研究の垂直分割 住宅ローン バンキング 従来のバリューチェーンの外で 発生し、存在する新しい依存 関係を除外or欠落させている。 技術システム(例: Hughes, 1993) システムの社会 的、技術的側面; ボトルネック 電化 明示的な構造を除外or欠落 させている。 オープンイノベー ション(例: Chesbrough, 2006; von Hippel, 2006) イノベーションの 源; コミュニティ のガバナンスと 品質および 参加者 Xerox; Linux 複数のアクターの統合;多者 間ダイナミックスを除外or欠落 させている。 バリューネット(例: Christensen& Rosenbloom、1995) サプライチェーン のコスト構造へ のロックイン ディスク・ドラ イブ ダイナミックス;ネットワークの 出現と進化を除外or欠落させ ている。 既存理論の限界(除外or欠落)の例(続)
  9. 9. このような乖離が顕在化した背景 • ICTの急速な進歩によりパートナー間の調整の 可能性が高まった。 • ところが、これが価値創造に与える影響が既 存理論の修正では対処できなかった。 • そして、事態が一層複雑化した状況を生物学 の生態系(エコシステム)になぞらえる見解が 登場した。 • しかし、ビジネスの戦略面に活用できる仕組 みの登場は遅れていた。 9
  10. 10. エコシステムへの取組みの先行事例 • ビジネスエコシステム:企業とその環境を中心とす るグループ ・・・ Teece ; Iansiti&Levienなど • イノベーションエコシステム:特定のイノベーション や新たな価値提案とそれを支えるアクターの集 合を中心とするグループ ・・・Adner ; Adner & Kapoorなど • プラットフォームエコシステム:アクターがプラット フォームの周りでどのように編成されるかを考え るグループ ・・・ Gawer&Cusumano ; Ceccagnoli et al.など 10 2.エコシステムに関わる新たな取組み
  11. 11. 新たな取組みが登場 • 最近のエコシステムに関する概念的研究の 代表論文・・・3件 11 1. Ron Adner,“Ecosystem as Structure: An Actionable Construct for Strategy”, Journal of Management, Vol. 43 No. 1, pp.39-58, (2017) :構造としてのエコシステム:戦略のための実用的な構成 2. Rahul Kapoor,“Ecosystems: broadening the locus of value creation”, Journal of Organization Design, 7, 12, (2018) :エコシステム:価値創造の軌跡を広げる 3. M. G. Jacobides, Carmelo Cennamo, Annabelle Gawer, “Towards a theory of ecosystem”, Strat Mgmt J., 39, pp.2255–2276,(2018) :エコシステムの理論に向けて
  12. 12. ミシュランのPAXタイヤシステムを例題として 12 2.1 R. Adnerの取組み タイヤ空気圧モニター、合金ホイール、サポートリング、タイヤ PAXシステムのホイールは タイヤに物理的に固定。 空気圧が低下した場合 でもタイヤはサポートリン グによってリムに繋がっ たまま
  13. 13. PAXシステムの特徴 • パンクした場合でも、修理のため停止する前に 最大時速55マイルで125マイルまで走行し続 けられる。 • その後、修理工場に行って、タイヤを修理す れば良い。 • 結果、パンクとパンク修理の危険性に安全に 対処できる(顧客ニーズが極めて高かった)。 • 自動車の安全性は飛躍的に向上するハズ (高い期待効果) 13
  14. 14. パートナー達も高い関心を持った • 自動車メーカー: – 車の重要な差別化要因になる(特に安全性)。 – かさばるスペアタイヤをなくすことでデザイン性が 高まる。 • 自動車修理工場 – PAXタイヤを修理することで高いマージンが取れ る。 14 • 次々に大手との提携が進んだ。 – 自動車メーカー:メルセデス、GM、ルノー、ホンダ – タイヤメーカー:グッドイヤー、住友ゴム
  15. 15. しかし、事態は悪化して行った • タイヤを修理できる修理工場がないとの消費 者の不満が増大した。 • 修理できない場合、新しいタイヤを購入せざ るを得なかった。 • その場合、全タイヤ部品も交換するため高価 になった。 • 米国では「充分な修理や修理設備を提供でき ないことを明らかにしていなかった」と集団訴 訟が発生した。 15 • サービスネットワーク上の問題で大失敗に終 わった。
  16. 16. 何が原因だったのか? • ミシュランはタイヤのエコシステムを根本的に 変える必要があった。 • タイヤ市場は旧タイヤの交換市場(75%)と新 タイヤ購入のOEM市場(25%)に分かれる。 • タイヤのイノベーションは従来市場の大きい 交換市場で成功して後OEM市場に広がるの が通例だった。 • しかし、PAXシステムは構造上OEM市場から 参入しなければならなかった。 16
  17. 17. 17 伝統的なタイヤエコシステム ホイール (メーカー) 全天候型タイヤ (タイヤメーカー) 自動車メーカー 新モデル(自動 車メーカー) 自動車 ディーラー 消費者 修理設備 修理工場* *修理工場はディーラーのサービス部門配下にあることが多い エコシステムとの 繋がりが弱い エコシステムとの 繋がりが弱い 変化の無い従来 からの修理機器 強い相関 弱い相関
  18. 18. 18 PAXタイヤシステムのエコシステム 自動車メーカー 新モデル(自動 車メーカー) PAXタイヤシステム (タイヤメーカー) ホイール 自動車 ディーラー 消費者 修理工場* 修理設備 エコシステムとの繋が りが強化され、リンクの 場所が移動した エコシステムとの繋 がりが強化された *修理工場はディーラーのサービス部門配下にあることが多い 新規に開発された修理機 器の導入が必要になった 全体が強い相関にシフトし、・・ ホイール、修理工場の位置づけに変化が発生した。
  19. 19. PAXタイヤエコシステムの特性と変質 • ホイールの統合が自動車メーカーからタイヤ メーカーにシフトした。 • 修理工場においては短期的利益を最大化し ようとして、修理よりも交換を優先する変化が 発生しうる。 • 実際に発生した⇔本来意図したサービスが 顧客に提供できなくなった。 19 • 背景:従来潜在的アクターに過ぎなかった修理 工場がPAXタイヤエコシステムへの参加が自分 の選択となる明示的アクターに移行していた。
  20. 20. PAXタイヤエコシステムのダイナミックス • エコシステムを構成するアクター群内で新エコシ ステムに対応する新たな変化が発生した(「エコ システムのダイナミックス」)。 – アクター:タイヤメーカー、自動車メーカー、ディーラー、 修理工場、ホイールメーカー • 修理工場が本来のPAXシステムの修理に対応せ ず、またはPAXシステムの交換を選択する傾向 があった。 – 背景:修理工場は新たな修理機器に投資が必要で あった。それにも関わらず修理費用しか得られない。 • 結果、新エコシステムの想定した価値創造が頓 挫した。 20
  21. 21. 本質的相互作用 • 消費者がPAX装備車両を採用するメリット 21 • 新しい修理機器を採用する修理工場のメリット • 全国多数の修理工場に PAX修理機器が装備さ れていなければ消費者は PAXのメリットを享受でき ない。
  22. 22. ミシュランへの質問状 • ミシュランはPAXシステムに直接リンクしてい ない他のアクター(今回は“修理工場”)の行 動を変容させられるどのような駆動力を生み 出せたのだろうか? • メインのアクターに浮上した修理工場に変化 して欲しかった変化推進力とは何だろうか? – 新規修理機器への投資 – しかも、投資の割には必ずしも単価が高くない PAXタイヤの修理サービスの提供 22
  23. 23. エコシステム戦略とは? • 次のような設問に答える必要がある。 – 関連する部分はどこまでか? – 依存と独立の境界はどこか? – アクター間のリンク強度が(弱から強、強から 弱などに)変動するところはあるか? – 新たな依存関係が登場するところはあるか? – 各アクターの行動変容をどこまで考慮してエコ システムを構築するか? – 新たな行動変容を駆動するにはどのような手 段が可能か? 23
  24. 24. エコシステム論への示唆(Ⅰ) • エコシステム内他アクターの能力開発に影響を 及ぼす必要がある場合がある。 • これを見逃すとエコシステムのボトルネックになる 危険性がある。 • エコシステムを構成するアクターの多様性は、 戦略の性質に影響を与える新しいトレードオ フを生じさせる。 • そのアクターがキーの製品やサービスに直結 したリンクを持っていない場合でも、このよう な現象は発生しうる。 24
  25. 25. 25 2.2 R. Kapoorの取組み 電気自動車を例題として テスラモデルSのシャーシ 電池は車体下部全体を占めており、シャーシと一体化
  26. 26. 26 モーターは赤く表示さ れている部分に存在 電気自動車 焦点提供物上流工程 電池 電子機器 モーター 充電ステーション (充電インフラストラクチャ) 下流工程 修理工場 統合 消費者 統合 コンポーネント(部品) 補完品 電気自動車エコシステム構造の概要
  27. 27. 電気自動車への期待と課題 期待 • 地球にやさしい(環境対応、脱石油、静粛 性、・・) • 部品点数が少なく廉価に車ができる可能性 • 自動運転車など新たなトレンドへの高い親和性 の期待 課題 • 但し、当面は電池技術限界による各種の制約 (価格、走行距離、充電時間、など)の存在 • 既存ガソリン車と共存しながらの普及 • 充電インフラ整備という新たな負担 • 電気使用量が急増した場合の電力網との関係 27
  28. 28. 構造の3要素 • アクティビティ:エコシステムでどのように価値 が共同で創造されるかを決定する個別活動 • アクター:活動を引き受けて様々な提供品を 生み出す補完者や消費者の役割を果たす エージェント • アーキテクチャ:エコシステムの需要側と供給 側の交換を調整する技術的相互作用の枠組 み 28 エコシステムの構造表現
  29. 29. 29 レベル 定義 電気自動車のエコシステム アクティビ ティ 焦点提供物の消費者価 値提案に貢献する様々な 提供品の根底にあるタス ク 電気自動車製造、 電池製造、 充電ステーションの設置、 メンテナンス、 修理、など アクター アクティビティを行い、 様々な提供品を作成する エージェント 電気自動車メーカー、 電池メーカー、 充電サービスプロバイダー、 修理工場、など アーキテク チャ 提供品間の技術的相互 作用とアクター間の入出 力フローの相互作用の枠 組み 製品ベースとしてのバッテリーと電気自 動車、充電ステーションと電気自動 車; サプライヤーと充電サービスプロバイ ダーとしての電池メーカー; 補完者としての修理工場、など 電気自動車エコシステムの構造
  30. 30. 電気自動車エコシステムの特徴 • 電池と電気自動車の相互依存は、電気 自動車と充電インフラの相互依存とは異 なる。 ① 電池と電気自動車は、コンポーネントと製品 (焦点提供物)間の上流工程での相互作用 を介した直接接続 ② 電気自動車と充電インフラは、消費者と補完 品間の下流工程での相互作用を介した間接 接続 30
  31. 31. 31 電気自動車エコシステム 電池 (電池メーカー) モーター (モーターメーカー) 電子機器ほか (各種メーカー) 電気自動車メー カー新モデル (自動車メーカー) 自動車 ディーラー 消費者 充電インフラ (充電サービスプロバイダー) 電力網 (電力会社) 修理工場 (ディーラー配下) 修理機器 統合 統合 直接接続 ① ② 間接接続 環境改善他 (社会的ニーズ) コンポーネント(部品) 補完品
  32. 32. • 電池と充電インフラ間、充電インフラと電力網 間の相互依存関係は、通常は、相補性の分 析に基づいては明らかにされない。 • 電池の改善は、電気自動車の価値創造に対 する充電インフラの貢献を弱めるが、 • 他方、ピーク時の電池使用量の増加に合わ せて電力網が最適化されていない場合には、 充電インフラの貢献を強める。 32 電気自動車の相互依存の特徴
  33. 33. エコシステムの価値創造 • エコシステムでの価値創造は、アクター間の 補完性と、相互依存性の存在によって発生す る。 • アクターの提供品(製品やサービス)は、電気 自動車(焦点提供物)の消費者価値提案に貢 献するが・・・ • アクター間の関係には経済的関係と構造的 関係の同時生起がある。 33
  34. 34. • 補完性は、価値創造の可能性という観点から、 提供品(製品やサービス)間の経済的関係を 表しているが、 • 相互依存性は、提供品による価値創造のた めにどのように接続されているか、あるいは1 つの提供品の変更が、価値創造に対する他 提供品の貢献にどのように影響するかなど、 提供品間の構造的関係を表している。 34 アクター間の補完性と相互依存性
  35. 35. 本質的相互作用 • 消費者が電気自動車を採用するメリット 35 • 環境負荷改善(Co2削減ほか)などのメリット(利益代 表者は誰か?公的機関は利益を代表できるか?) • 全国各地に適切な密度で充 電インフラが装備されていなけ れば消費者は電気自動車の メリットを享受できない。 • 充電サービスプロバイダー(+電力網業者)の設備 導入/設備増強のメリット • (環境対応など)社会 的・文化的トレンドの強度 によってメリットが変化す る。
  36. 36. 社会的・文化的トレンドとの関係 • 地球環境のためガソリン車禁止の施策 – アイルランドは2030年よりガソリン車全面禁止 – 英国は2035年よりガソリン車全面禁止 – 中国は2035年までにEV5割、残りはHV • 電気自動車の充電時間がガソリン車の補給よ り長い(6倍から10倍以上の時間)~急速充電 器の充電待ちの懸念、他 • 電池の劣化に対するリサイクル他の対応策 • 電気自動車が数百万台に達すると、夏場や冬 場の電力ピーク時の電力供給量が追いつかな くなる危険性(日本の場合) 36
  37. 37. 電気自動車メーカーへの質問状 • 充電インフラを整備する事業者のインセン ティブをどのように設計または前提としている か? • “地球にやさしい”効果をどのように捉えてい るか? • 環境改善のためのアクターとの連携をどのよ うに認識しているか? • 充電サービスプロバイダーと環境改善アク ター間のバランスをどのように図ろうとしてい るか? 37
  38. 38. エコシステム戦略とは? • 次のような設問に答える必要がある。 – 構造の3要素の中身は何か? – アクター間の補完性と相互依存性は何か? – アクター間の依存関係はどのように変動しうる か? – それが価値提案に及ぼす影響はどんなところ に出て来るだろうか? – 社会的・文化的トレンドへの対応はどこまで考 慮すべきか? – 社会性に関わるエージェントをどのように評価 すべきか? 38
  39. 39. エコシステム論への示唆(Ⅱ) • 関係性の中身に性質の異なるものが混在す る。 • 社会的・文化的トレンドの影響を受けるアク ターが存在する。 • 革新的サービス実現には立法者、コミュニ ティ、標準策定機関などの関係者との関係構 築も重要になる。 • 企業行動を理解するためには、インフルエン サー、各種機関などの役割にも焦点を当てる 必要がある。 39
  40. 40. 40 2.3 M. Jacobidesの取組み 5Gを例題として
  41. 41. 5Gへの期待と課題 期待 • 未来の暮らしを変える新たな基幹技術の登 場 • 新たなサービスやビジネスの拡大が期待でき、 息の長い投資機会を提供 課題 • 5G向け基地局数が大幅に増加する懸念 – 背景:5G向け周波数帯は遠方まで飛ばない • 多様な用途拡大の施策・方式が多様化およ び不明確 41
  42. 42. 42 ローカル5Gの適応予想事例
  43. 43. 43 レベル 定義 キャリア5G/ローカル5Gのエコシステム アクティビ ティ 焦点提供物の消費者価値 提案に貢献する様々な提 供品の根底にあるタスク 5Gスマホの製造、5G基地局の製造、 各種コンポーネントの製造、 OSの開発、各種アプリの開発、 ワイヤレスサービスの提供、など アクター アクティビティを行い、様々 な提供品を作成するエー ジェント 5Gスマホ製造メーカー、5G基地局製造 メーカー、 OSおよび各種アプリ開発者、 キャリア5Gサービスプロバイダー、 ローカル5Gサービスプロバイダー、など アーキテク チャ 提供品間の技術的相互作 用とアクター間の入出力フ ローの相互作用の枠組み プラットフォームベースのアプリとOS; 製品ベースのHWコンポーネント、5Gサー ビス、5Gスマホ; プラットフォームベースの補完機能として のアプリ開発者、5G製品ベースの補完 機能としての5Gサービスプロバイダー、 HWコンポーネント;など 5Gエコシステムの構造
  44. 44. 5Gエコシステムの概要 アプリ (アプリ開発者) キー半導体 (半導体メーカー) 各種部品ほか (各種メーカー) 5Gスマホ新モデル (携帯機メーカー) 5Gサービス プロバイダー 消費者 5G基地局インフラ (5Gサービスプロバイダー) 無線網 (5Gサービスプロバイダー) 焦点提供物 最終顧客 無線網 (5Gサービスプロバイダー) キー半導体 (半導体メーカー) 各種部品ほか (各種メーカー) 5G基地局新モデル (5G基地局メーカー) 5Gサービス プロバイダー 消費者 5G基地局インフラ (5Gサービスプロバイダー) 適応対象毎のアプリ (アプリ開発者) 焦点提供物 最終顧客 A B (キャリア5 G指向) (ローカル5 G指向) (5Gサービスプロバンダー = キャリアのことが多い) (5Gサービスプロバンダー は多様な主体でありうる) 5Gエコシステム=A+B
  45. 45. エコシステムの他組織との違い • エコシステムでは、最終顧客は各参加者から提 供されたコンポーネント(またはオファリングの要 素)を選択できる。 • 場合によってはそれらを組み合わせる方法も選 択できる。 – 典型例: Android携帯エコシステムの最終 顧客は、どのアプリかを選択して購入し、どのプ ロバイダから購入するかを決定することができる。 ~キャリア5Gも同様 –ローカル5Gでは更に特定適応事例に合 わせたチューニング/カスタマイズができ る。 45
  46. 46. 焦点企業の商品 階層型価値システム 商品B の売手 商品A の売手 商品A の売手 供給者 コンポB 供給者 コンポA 供給者 コンポA 供給者 コンポB 供給者 コンポA 供給者 コンポA (焦点企業が組み立て て販売した形式で最終 商品を購入する) 最終顧客 エコシステムの他組織と異なる構造 焦点企業の商品 垂直的サプライチェーン関係 垂直的サプライチェーン関係 アームズ・レングス原則:複数当事者が互いに近い距離の関係を保ちつつ、互いに独立の立場を取る関係 アームズ・レングス取引 (焦点企業の商品と個々の 補完者からの補完商品を購 入する) 最終顧客 エコシステム型価値システム 協力関係 競争関係 協力関係 競争関係 一般的な補完性 競争関係 市場型価値システム アームズ・レングス取引 (個別にまたは共同で消費 するため、独立した販売者か ら個別の商品を購入する) 最終顧客 補完者の コンポA 補完者の コンポC 補完者の コンポB 特定の補完性 特定の補完性 特定の補完性 エコシステムの外 M. G. Jacobides, Carmelo Cennamo, Annabelle Gawer, “Towards a theory of ecosystem”, Strat Mgmt J., 39, pp.2255–2276,(2018) (5Gスマホあるいは5G基地局)
  47. 47. 47 A対応 B対応 焦点提供物と最終顧客 焦点提供物 コンポーネント (上流) コンポーネント (下流) 最終顧客 5Gスマホ新モ デル アプリ キー半導体 各種部品ほか 無線網 5G基地局イン フラ 消費者 5G基地局新モ デル 無線網 キー半導体 各種部品ほか 適応対象毎の アプリ ローカル5G対 応基地局インフ ラ 消費者 5Gスマホ、5Gインフラの同時整備/登場で、 アプリが更に複雑化 (キャリア5G指向) (ローカル5G指向)
  48. 48. エコシステムのポジショニング • エコシステムの新領域は、「契約上の取り決 めに拘束される必要はないが、それでもかなり の相互依存性を持つ、補完的なイノベーション、 製品、またはサービスの提供者を必要とする」 • エコシステムは、提携、サプライチェーン、市 場ベースの相互作用とは異なる企業間協調 問題に対する明確なソリューションとなる。 • エコシステムは、モジュール性を通じて独立し ているが、その一方、相互依存している企業 間の調整を許容する。 48
  49. 49. 5Gエコシステムの特徴 • 技術的トレンドの明確性はあるが、・・ • どのようなアプリが登場しうるかは不明確 • どのようなサービスプロバイダーが登場する かも不明確(ローカル5Gも含めた世界) • どのように5Gインフラが整備されるかも明確 ではない。 • より「エコシステムのポジショニング」(前頁)の有 効性が働く世界と推定される。 49
  50. 50. 本質的相互作用 • 消費者が5Gスマホを採用するメリット 50 • ローカル5Gサービスプロバイダーのメリット • 多様な用途向けアプリが開発 されていなければ消費者は5 Gスマホのメリットを享受でき ない。 • 5G向けアプリ開発者のメリット • 5Gインフラが整備され ていなければ消費者は 5Gのメリットを享受で きない。
  51. 51. 5G関連メーカー、5Gサービスプロバ イダーへの質問状 • 5Gサービスプロバイダーは5G向けアプリ開 発者のメリットをどのように保証できるか? – 背景:プラットフォームが断片化すればアプリ開 発者のメリットは発生しない懸念がある。 • 特にローカル5Gサービスの場合、消費者、ア プリ開発者、ローカル5Gサービスサービスプ ロバイダー間のバランスはどのように実現さ れるか? • その際、各アクターに既存(あるいはキャリア 5G)の役割の変容を促す駆動力は何か? 51
  52. 52. エコシステム戦略とは? • 次のような設問に答える必要がある。 – 契約上の取り決めに拘束されずに相互依存 性を持ち、補完者となりうるアクターとその提 供品は何か? – 何が枠組みで、どのような自由度が存在する か? – 価値創造に繋がりやすいアクター間の補完性 はどのようなものか? 52
  53. 53. • エコシステム出現の場面が増加している。 • 特別な契約なしに調整が可能な(あるいは期 待される)場面が増加している。 – 背景:多様な調整の契約なしに相互連携を推進 させなければ顧客需要の急激に対応できない ニーズが登場している。 • その背景にモジュール化(独立インタフェー ス)の増加と相互依存関係の多様化が進ん でいる。 53 エコシステム論への示唆(Ⅲ)
  54. 54. 従来のDPEの世界 • DPE(デジタルプラットフォーム&エコシステム) の世界。 • 例えば、エコシステムはプラットフォーマーとプ ラットフォームを消費者により価値あるものにす る補完者で構成 – プラットフォームインターフェースを通して確立された プラットフォーマーとその補完者のつながり – 産業レベルでのプラットフォームリーダーシップの役 割 – 競合するプラットフォームエコシステム間の競争 – など • プラットフォームエコシステムガバナンスが主な 目標に 54 3.新たな価値創造に向けて ⇒
  55. 55. 新たなDPEの世界 • ところが、エコシステムを構成するアクター数が 増えてきたことに伴い、・・・ • それらの間の相互依存関係が複雑になり、アク ターの役割が変化するエコシステムのダイナミズム が発生する場面が増えた。 • そこで、エコシステムの構造表現、依存関係、動 的変化などを明確にする必要性が高まった。 • 各アクターが生成する提供品(部品、アプリ、 サービスなど)間の連携を容易にするモジュール 化も進んでいる。 • 結果、「契約上の取り決めに拘束される必要はな いが、それでもかなりの相互依存性を持つ」連携 場面が増加し、新たな価値創造に貢献する。 55
  56. 56. 新たなDPE世界におけるサービスイノベー ションのためのエコシステム関連機能例 56 検知 機能例:機関、規制当局、インフルエンサーなど からの情報を詳細に収集する。 例:電気自動車システム 捕捉 機能例:エコシステム内のボトルネックを適切に制 御する。 例:ミシュランのPAXタイヤシステム 再構成 機能例:エコシステムの継続的再構成と関係性を 適切に管理する。 例:5G(キャリア5G/ローカル5G)システム
  57. 57. エコシステム戦略とは?(まとめ) • 答えるべき設問例 – アクター間の(役割、リンク形態/強度、など の)ダイナミックスにはどのようなものが有り得 るか? – 契約上の拘束なしに相互依存性を持ち補完 者となりうるアクターの補完品にはどのような ものが有り得るか? – トータルに価値を実現させるための行動変容 の施策にはどのようなものが有り得るか? 57
  58. 58. • エコシステムは相互に関連するアクターを調 整させる機能を有している。 • プラットフォームを構成するエコシステムのア クター群の役割をスタティックにのみ見るので なく、ダイナミックな変動まで考慮した視野で 俯瞰することが必要である。 • その基盤はモジュール構造によって支えられ ている。 58 エコシステム論への示唆(まとめ)
  59. 59. 全体的スケッチ • エコシステムは「焦点の価値提案を実現する ために相互作用する必要がある多数のパー トナー集合の連携の構造」と定義される。 • エコシステム戦略は「各企業が所属するエコ システムにおいて競争力を確保するためにそ の役割確保を追求する」ことが目標になる。 • 今後考えるべきは「エコシステムを介して連携 を可能にする要因、それを生じさせるエコシステ ムの考え方」をより具体化することである。 59
  60. 60. 新たな価値創造に向けて • エコシステム関連機能が「企業のサービス化 の旅」を成功させるためにますます重要性を 増している。 • 今後、ますます新たなエコシステムを構成す るためのアクター間の補完性・相互依存性の 動的役割変動やボトルネック解消策まで考慮 した設計に基づく価値創造が求められよう。 60

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