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地域包括ケアにおけるICT利活用について
病院経営戦略セミナー in 千葉 (2016.06.28. 15:15~16:45)
Ver 2.0
認定登録 日本医業経営コンサルタント 小川 敏治
公認情報セキュリティ監査人/プライバシーマーク審査員研修 主任講師
(公社)日本医業経営コンサルタント協会 常任委員会委員、継続研修講師
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1
団塊世代が後期高齢者となる2025年に向けた地域包括ケアシステム構築への流れは今後ます
ます加速する中で、在宅療養者を中心に医療・介護にかかわる医療機関、介護事業者、市町村や
けるICT利活用のポイント、当該ICT導入で押さえて頂きたいポイントなど(*2)について、お話しま
すので、皆様のご参考になれば幸いです。
0.はじめに
*1.Information and Communication Technologyの略、情報通信技術。ネットワーク通信による情報・知識の共有が念頭に置かれた表現。
*2.医療ポータル(NECネクサソリューションズ株式会社)で、私が担当しているウェブコラムhttp://www.nec-nexs.com/supple/medical/
column/introduction.html#ogawa01をベースに加筆編集致しました。
引用文献リスト 注1
医師会などの関係者が
連携し包括的に医療・介
護サービスを提供する
ためには、ICT(*1)の利
活用が重要であると言
われています。
今回は、在宅医療・介
護に関するICT政策動
向、地域包括ケアにお
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2
Contents
注.他の文献からの引用は、このように影付きの黒線枠で囲むと共に、脚注をつけて引用文献リスト(別紙)に記載しました。
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定
(3)医療等分野における番号制度の導入
(4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状
(2)ICT利活用の課題
(3)ICT利活用の導入手順
3.まとめ
* セミナー時間の都合上、具体的なICTツールには言及しないので、予めご了解ください。
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3
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定
(3)医療等分野における番号制度の導入
(4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状
(2)ICT利活用の課題
(3)ICT利活用の導入手順
3.まとめ
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4
注.高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)
情報通信技術(IT)の活用により世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に適確に対応することの緊要性にかんが
み、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進するために、平成13年1月、内閣に設置されました。
経済産業省 総務省
文部科学省
産業育成 通信業界育成
先端科学技術振興
IT戦略本部
(厚生労働省)
医療情報化に関する
タスクフォース
ICT
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯(その1)
引用文献リスト 注2
政府内でのICT政策関連組織
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5
医療情報化に関するタスクフォース(4テーマ)
1. 自己医療・健康情報活用サービス構想の実現
2. シームレスな地域連携医療の実現
3. レセプト情報等の活用による医療の効率化
4. 医療情報データベースの活用による医薬品等安全対策の推進
個人が自らの医療・健康情報を医療機関から受け取り、それを自らが電子的に管理・
活用することを可能とするもので、この一環として、「お薬手帳電子化」サービスがスター
トしています。
医療機関間の境界だけではなく、地理的境界、医療・介護といった職種の境界などを超
えて、切れ目のない医療・介護情報連携を実現することにより、 地域の医療・介護サービ
スの質の向上を目指すもので、「在宅医療・介護における情報連携における推進」として
、以下の調査研究・実証などを進めています。
○ 在宅拠点連携事業
「在宅医療・介護環境の特性に合わせた安全かつ効率的なICTシステムの検証」
○ 共通基盤整備事業
「在宅医療と介護の連携のための情報システムの共通基盤のあり方に関する調査研究」
「在宅医療・介護分野における情報連携基盤の開発及び活用の実証」
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯(その2)
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6
「診療録等の保存を行う場所について」の一部改正について( 厚労省2010年2月)
以下の3省庁4ガイドラインが遵守されることを前提条件として、それまでは震災対策等の危機
管理上の目的に限定されていた民間事業者による診療録等の外部保存が、この目的に限定され
ることなく認められました。
1.厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」
2.経済産業省「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」
3.総務省「ASP・SaaS (*2)における情報セキュリティ対策ガイドライン」
4.総務省「ASP・SaaS 事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯(その3)
課題「費用面を含むネットワークの持続可能性の確保、効果的な稼働の継続」に対して、今後の
普及・展開のための取組として、「クラウド技術の活用等による費用低廉化方策の確立」を表明。
健康・医療・介護分野におけるICT化の推進について( 厚労省2014年3月)
健康・医療・介護分野におけるICTも他の産業分野と同様にクラウドコンピューティング(*3)が普
及拡大していくと予想されます。
注2.ASP(Application Service Provider),SaaS(サース、Software as a Service)ともにインターネットなどのネットワークを通じたアプ
リケーション・サービス。
注3.従来は院内に設置したサーバーで管理・利用していたようなソフトウェアやデータなどを、インターネットなどのネットワークを通
じてサービスの形で必要に応じて利用する方式のコンピュータシステム。因みに、従来方式を「オンプレミス」と言います。
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7
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定
(3)医療等分野における番号制度の導入
(4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状
(2)ICT利活用の課題
(3)ICT利活用の導入手順
3.まとめ
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8
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定(その1)
引用文献リスト 注8
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9
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定(その2)
引用文献リスト 注8
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10
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定(その3)
引用文献リスト 注8
日本医師会認証局等で交付してい
る医師資格証の交付を受け、ID、
パスワードを取得する必要がある。
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11
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定
(3)医療等分野における番号制度の導入
(4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状
(2)ICT利活用の課題
(3)ICT利活用の導入手順
3.まとめ
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12
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(3)医療等分野における番号制度の導入(その1)
医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書(2012年9月18日)
医療等分野でやりとりされる情報は、機微性が高い情報を含むので、所得情報など
と安易に紐づけされない安全かつ効率的な仕組みが必要である。マイナンバーとは異
なる医療等分野でのみ使える番号(医療等ID(仮称))や安全で分散的な情報連携の基
盤を設ける必要がある。
引用文献リスト 注9
2014年5月30日に第1回目の研究会を開催し、計10回の研究会を経て、医療等分野
(健康・医療・介護分野)の情報連携に関する具体的な制度設計等について、検討結果
をとりまとめて、公表。
「医療等分野における番号制度」の具体的な制度設計を公表(2015年12月10日)
厚労省研究会報告書に基づいて、医療機関に関係が深い「医療保険のオンライン資
格確認の仕組み」、地域包括ケアシステムにおける情報連携に関わるIDなどの「医療
等分野の情報連携に用いる識別子(ID)の体系」についてお話しします。
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13
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(3)医療等分野における番号制度の導入(その2)
引用文献リスト 注9
まず、現状の 「医療保険資格確認」において、医療機関にとって以下のような主な課題があります。
1.医療機関で受診時に正しい被保険者資格の確認と記録が行われない場合、適切な診療報酬の
請求が出来ない。
2.被保険者証番号は、現在、保険者を異動すると被保険者証番号も変わる仕組みとなっており、資
格異動を原因とした過誤請求が生じる。
これらの課題を解決するために、「マイナンバー制度の新規インフラ」と「医療保険制度の既存のイン
フラ(レセプトオンライン請求のネットワーク)」を活用した、できるだけコストがかからない、安全で効
率的なオンライン資格確認の仕組みを、2018年度から段階的に導入し、2020年までに本格運用する
ことを目指して、準備を進めていくとしています。
尚、支払基金と国保中央会が、医療保険者からの委託を受けて、共同でオンライン資格確認の
サービス機関の役割を担えるように、国保法改正や番号法改正などの法整備(2015年通常国会で
成立)を行いました。
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14
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(3)医療等分野における番号制度の導入(その3)
引用文献リスト 注9
医療保険のオンライン資格確認に対応するためには、カードリーダーの設置を含むレセ
プトシステムなどの改修が必要になります。医療機関のシステム改修等が円滑にできる
ように、初期費用の対策を別途講じることも検討。
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15
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(3)医療等分野における番号制度の導入(その4)
急性期から回復期、在宅療養に至るまでの切れ目ない医療・介護サービスを提供し高齢者が身
近な地域で、できるだけ長く自立した生活を実現するために、現在、全国の地域において、医療機関
や介護事業者等が加入する医療等分野の地域情報連携ネットワーク(以下、地域ネットワーク)の整
備が進められています。
しかしながら、患者及び要介護者の識別子(ID)において、以下のような主な課題があります。
1.地域ネットワークを越えて情報連携が必要な場合に、それぞれの地域ネットワークの管理システ
ムで異なる識別子(ID)を用いて管理しているため、異なる地域ネットワーク間(例えば、A地域
ネットワークとB地域ネットワークの間)の情報連携が円滑にできない。
2.各医療機関等がそれぞれ異なるベンダが提供する情報連携システムを利用している場合、識別
子(ID)の管理体系が異なり同一地域内であっても、円滑な情報連携に支障が生じる。
このような課題に対して、患者本人を一意的に把握するための共通の識別子(ID)として、「地域医
療連携用ID(仮称)」を発行し、「異なるID体系で管理された医療情報等を突合するための識別子」と
いう役割に位置づけ、異なる地域ネットワーク間や異なるベンダが提供する情報連携システム間の
情報連携にこのIDを用いるとしています。
引用文献リスト 注9
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16
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(3)医療等分野における番号制度の導入(その5)
引用文献リスト 注9
患者と一対一で対応する「キーとなる識別子」は原則として変更せず資格確認サービ
ス機関の内部での管理のみに使用し外部には出さず、そのIDを元に目的別の複数
のサブIDを生成し外部に発行する階層化を構想しています。
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1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定
(3)医療等分野における番号制度の導入
(4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状
(2)ICT利活用の課題
(3)ICT利活用の導入手順
3.まとめ
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1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進
「日本再興戦略2016」などを閣議決定(2016年6月2日)
■ 新たな治療の開発などにつなげる新制度
治療や検査データを広く収集し、安全に管理したり匿名化したりすることで、新たな治療の開発などにつなげ
る新制度の検討を行い、来年中にも「法制上の措置」を講じる。また、同制度で集めた情報は、エビデンスに
基づく医療現場の「診療支援」などにも活用できる仕組みにする。
■ 医療保険のオンライン資格確認などの導入
段階的な運用を18年度に開始する方向でシステムや実務について検討し来年度中にシステム開発を始める。
■ 個別化健康サービスの実証事業
保険者などが持つレセプト情報と、ウエアラブル端末などから日常的に取得する健康情報とを活用した「個
別化健康サービス」の実証事業を、年度内にスタートさせる。
■ 介護分野でのロボットやセンサー技術の導入を推進
介護保険制度上での適切な評価について検討し、来年度中に結論を得る。
■ 在宅での看取りなどに関して、規制の見直し
例えば、医師が対面で死後診察をしなくても、ICTを活用して異状がないと判断できるといった要件を満たせ
ば死亡診断書を交付できるようにする規制の見直しについて、年度内に検討を始め、来年度に結論を得る。
引用文献リスト 注10
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19
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定
(3)医療等分野における番号制度の導入
(4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状
(2)ICT利活用の課題
(3)ICT利活用の導入手順
3.まとめ
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20
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状(その1)
■地域の基幹病院と医療機関を結ぶ「地域医療連携ネットワークシステム」は、地域医療再
生基金や地域診療情報連携推進などの補助金を利用した導入が進んでいるが、多拠
点・多職種間の連携・協働のためのICT利活用は、緒についたばかりで、各ITベンダーが
開発し提供しているクラウドサービスは、在宅医療・介護の現場関係者の意見を聞きな
がら運用し改善している段階です。
■各地域での在宅医療連携拠点事業などによる検証から、以下の利点が確認されました。
1.在宅療養者の状態をタイムリーに共有でき、チームケアの有効な手段である。
2.職種間のメンタルバリアが軽減し気軽に相談出来るようになった。
3.在宅療養者及びご家族の安心感が増した。
4.訪問後の事務や他職種への連絡などの負担が軽減した。
5.事業所内でのシフト勤務での引き継ぎが効率化した。
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21
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状(その2)
1.在宅療養者の状態をタイムリーに共有でき、チームケアの有効な手段である。
○医療・介護の多職種が等しく入力し治療及びケアの進捗管理が効率よく出来るように
なった。
○ショートステイ側としても、利用者が居宅時の状態も把握でき事前の受け入れ準備に
役立った。
○訪問看護時その場で在宅療養者の褥瘡の写真を撮ってかかりつけ医の判断や指示
を仰げたので、心強かった。
2.職種間のメンタルバリアが軽減し気軽に相談出来るようになった。
○介護職からかかりつけ医へ連絡は心理的な壁があり電話では気後れしてしまいがち
ですが、「在宅療養者の相談について、スマートフォンによる簡単な短文の書込み
(チャット)で返答がもらえたので嬉しかった。
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22
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状(その3)
3.在宅療養者及びご家族の安心感が増した。
○在宅療養者やその家族がかかわる医療・介護職の方々とコミュニケーションがとれる
機能が標準で利用できるクラウドサービスもあり、例えば、終末期の在宅療養者を介
護しているご家族の不安な気持ちを支える効果があることがわかりました。
4.訪問後の事務や他職種への連絡などの負担が軽減した。
5.事業所内でのシフト勤務での引き継ぎが効率化した。
○業務の効率化が図れたことを示すもので、地図情報システムを併用することにより、
訪問の順序やルートなどを最適化して移動時間の無駄を極力抑制する試みも見られ
ます。
○さらに、ある医師は訪問診療後、次の訪問先への移動中に訪問診察内容を音声で病
院に送り、病院の医師事務作業補助者が代理で仮入力し医師は病院に帰ってから入
力する必要はなく、チェックし登録操作するだけで診療録が出来上がる仕組みを導入
し、在宅医療で効率を低下させる 「移動」というプロセスをICT利活用により、訪問滞在
時間のアップや増患増収に繋げている医療機関も見受けられます。
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23
引用文献リスト 注11
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状(その4)
ある医療機関の事例
○業務フローや役
割などの見直し
○ITCの活用によ
る効率化
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24
地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
以上、まとめると、1~3は、多拠点・多職種間の連携・協働のためのICTツール導入の直
接的な効果であり、4と5は「業務フローや役割などの見直し」も併せて行った効果であると
考えられます。
高齢化により増大する在宅医療・介護ニーズに対して、少子化による医療・介護職のマン
パワーのより一層の不足状態の中で、病院として地域医療・介護に対応していくためには、
ICTツールを導入するだけでなく、例えば以下のような「業務フローや役割などの見直し」も
不可欠ではないでしょうか。
ア.他職種への連絡、シフト勤務での引き継ぎなどの手順の見直し
イ.訪問の順序やルート及び訪問エリア区分などの見直し
ウ.各専門職にしか出来ない業務に絞りその他の業務を、医師→特定看護師→看護師
→看護助手→医師事務作業補助者→アウトソーシングへと順送りに移行するなど、
役割分担の見直し
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1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定
(3)医療等分野における番号制度の導入
(4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状
(2)ICT利活用の課題
(3)ICT利活用の導入手順
3.まとめ
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2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(2)ICT利活用の課題(その1)
■各地域での在宅医療連携拠点事業などによる検証から、ICT利活用の
課題も明らかになりました。
(尚、ICT以外に関する課題、例えば、連携する事業者によって在宅医療・介護
への取り組み姿勢が異なることや医療職と介護職との在宅医療・介護の認識
の違いなどにもありますが、本セミナーでは省略させて頂きます。)
1.職種間における ICTリテラシーの格差
2.共有する在宅医療介護連携情報の標準化
3.既存システムとのデータ互換性、連携性
4.個人情報の適切な取扱いに関するマネジメント
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2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(2)ICT利活用の課題(その2)
1.職種間における ICTリテラシーの格差
病院では、オーダリングや電子カルテなどの基幹系システムの普及に伴い、日ごろから
ICT利活用している為、傾向として、医療職のICTリテラシーは高い。一方、介護事業所では
ICTが普及しておらず、アナログ(紙媒体への記録)にとどまるところが多く、また平均年齢も
高いため、ICTリテラシーは相対的に低いのが実情です。
また、「居宅での現場入力は時間的な制約と共に、入力作業中は会話が途切れてしまい
使い辛い。」との声も上がっています。
したがって、ICT導入教育や講習会は必要ですが、ICTリテラシーに依存せず、在宅医療・
介護の現場で簡単に操作できるものが望まれます。
例えば、情報の入力や閲覧はスマートフォンやタブレット端末を用いての選択型の入力や
直感的に登録できるインターフェイスなど、利用者に優しい操作性が重視されます。
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2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(2)ICT利活用の課題(その3)
2.共有する在宅医療介護連携情報の標準化
一人の在宅療養者に対して、医師、歯科医師、訪問看護師、薬剤師、介護支援専門員、
作業療法士、ホームヘルパーなど多くの専門職がかかわり、また、事業者として、病院、診
療所、歯科診療所、調剤薬局、訪問看護ステーション、居宅介護事業所、訪問介護事業所、
通所介護事業所、地域包括支援センターなど多岐にわたる事業者が関係します。
当然のことながら、これら関係者が連携して在宅療養者情報を共有し、コミュニケーション
を充実させることで、協働体制によるサービスの提供が求められますが、職種も事業者も異
なり、共有する在宅医療介護連携情報の標準化もされていない状態では、十分な連携がで
きないことが判明しました。
そこで、共通基盤整備事業(厚生労働省「在宅医療と介護の連携のための情報システム
の共通基盤のあり方に関する調査研究」)において、在宅医療介護連携情報の標準化など
が検討され、「在宅医療と介護の連携における情報システムの適切な利用を促進するため
のガイドライン(草案)」としてまとめられました。
今後、業界団体や標準化団体等による標準規格化が期待されます。
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29
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(2)ICT利活用の課題(その4)
3.既存システムとのデータ互換性、連携性
多岐にわたる事業者毎に業務システムが異なる場合が多く、在宅療養者情報を共有する
クラウドサービスとのデータの互換性や連携性が十分でない場合は、二重入力の手間が発
生し業務負担が増大することも指摘されています。
異なるITベンダーの電子カルテ間の連携に多額の費用がかかる地域医療連携ネットワー
クシステムの現状課題を医療介護連携でも繰り返さないために、共通基盤整備事業(総務
省「在宅医療・介護分野における情報連携基盤の開発及び活用の実証」など)が行われて
おり、その成果が期待されます。
また、今後は国家財政の厳しい中、経済的な効果を勘案して、厚生労働省は、今後の普
及・展開のための取組として、「クラウド技術の活用等による費用低廉化方策の確立」を表
明しており、大いに期待するところです。
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2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(2)ICT利活用の課題(その5)
4.個人情報の適切な取扱いに関するマネジメント
医療機関や介護事業者など、事業主体が異なる複数の事業者で在宅療養者などの個人
情報を共有し共同利用するためには、厚労省「医療・介護関係事業者における個人情報の
適切な取扱いのためのガイドライン」に準拠する必要があります。
一方、昨年9月に改正され2年以内に施行される「改正個人情報保護法」では、病歴など
を「要配慮個人情報」と定義付け、今まで以上に厳しい取扱い義務を課しています。
以上、短期的な年度単位での実証事業ではあまり顕在化していないようですが、本格的
に導入し運用する場合、関係する医療機関、介護事業者を取りまとめて、全体を統括しマネ
ジメントする機能が必須となり、大きな課題になると思われます。
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地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
以上、まとめると、以下の通りです。
■ ICTツールの要件
ア.ICTツールとして、ICTリテラシーに依存せず、在宅医療・介護の現場で簡単に操作
できるものが望まれます。
イ.既存の情報システムとのデータの互換性や連携性が確保でき、二重入力の手間が
発生しないものが望まれます。
■共有する在宅医療介護連携の情報マネジメントの要件
ア.共有する在宅医療介護連携情報の標準化がされていない為、予め、連携する医療
機関や介護事業者など、事業主体が異なる複数の事業者間で、共有する情報の範
囲や項目などを予め合意形成することが望まれます。
イ.また、関係法令に準拠した適切な取扱いの手順や安全管理措置などのルール化、
定期的なチェックなども予め合意形成することが望まれます。
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32
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定
(3)医療等分野における番号制度の導入
(4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状
(2)ICT利活用の課題
(3)ICT利活用の導入手順
3.まとめ
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33
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(3)ICT利活用の導入手順
私たち、認定登録 日本医業経営コンサルタント
が、在宅療養支援病院11医療機関を調査し分析
したところ、ICTツールの導入前の「事前」プロセス
が、ICTツールの導入成果を左右することがわか
りました。
今回は、「ICT利活用の導入手順」として、以下
の3ステップに分け、それぞれのポイントを掻い摘
んでお話します。
「事前」= ICTツールの導入前
「事中」= ICTツールの導入開始~導入完了
「事後」= ICTツールの導入完了後
引用文献リスト 注12
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34
地域における自院の立ち位置や、これからの方向性を考える
自院の推進体制の組織化及び整備
包括ケアのキーマンとなる「かかりつけ医」へのアプローチ
院長などのリーダーシップに基づいた院内の意識改革
連携する医療機関や介護事業者などとの信頼関係の構築
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(3)ICT利活用の導入手順(事前)
引用文献リスト 注12
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35
ICTツールの評価及び選定(*1) 業務フローや役割などの見直し
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(3)ICT利活用の導入手順(事中)
関係法令に準拠した適切な取扱いの手順や安全管理措置などのルール化(*1)
ICT導入教育や講習会及びヘルプデスク設置(*2)、モニタリング指標(*3)の設定
○ICTリテラシーに依存せず、在宅医療・介護の現場で簡単に操作で
きる。
○自院の情報システムとのデータの互換性や連携性が確保でき、二
重入力の手間が発生しない。
○連携する医療機関や介護事業者などと合意した共有する情報の範
囲や項目などが扱える。
○業務フローや役割などの見直し
○包括ケアのキーマンとなる「かかりつけ医」の意見を反映。
*1.このような作業はかなり労力がかかり、また専門的な知識が必要となります。院内の人材不足という課題解決策とし
て、「外部専門家の活用」という選択肢も考えられます。
*2.ICTツールの選定評価項目に入れ、ICTベンダーに委託することも考えられます。
*3.利用者(在宅療養者及びご家族)、業務プロセス、職員、財務などの各視点のモニタリング指標(項目、目標値)
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36
運用の評価
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(3)ICT利活用の導入手順(事後)
在宅療養者情報の取扱いの手順や安全管理の点検
院長などのリーダーシップによる全体の見直し
○一定期間運用後、モニタリング指標及び在宅療養者満足度調査や
利用者アンケートなどに基づいた評価。
○関係法令に準拠した適切な取扱いの手順や安全管理措置
などのルール化に基づいた点検
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37
1.在宅医療・介護に関するICT政策動向
(1)ICT政策の経緯
(2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定
(3)医療等分野における番号制度の導入
(4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進
2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント
(1)ICT利活用の現状
(2)ICT利活用の課題
(3)ICT利活用の導入手順
4.まとめ
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38
4.まとめ
以上、在宅医療・介護に関するICT政策動向、地域包括ケアにおけるICT利活用
のポイント、当該ICT導入で押さえて頂きたいポイントなどについて、お話し致しまし
た。少しでも、皆様のご参考になれば幸いです。
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39
引用文献リスト
注 1 厚生労働省医政局指導課在宅医療推進室 「在宅医療の最近の動向」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/h24_0711_01.pdf
注 2 日経BP社エンタープライズICTの総合情報サイトITpro「政府内でのICT政策関連組織」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20110112/356008/
注 3 厚生労働省医政局政策医療課 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第4.1版」
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/s0202-4.html
注 4 総務省 「ASP・SaaSにおける情報セキュリティ対策ガイドライン」
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/asp_saas/pdf/asp_saas_zentai.pdf
注 5 総務省 「ASP・SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン第1.1版」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_01000009.html
注 6 経済産業省 「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン第2版」
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/iryouglv2.pdf
注 7 厚生労働省 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/
注 8 厚生労働省 「平成28年度診療報酬改定説明会(平成28年3月4日開催)資料等について」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html
注 9 厚生労働省 「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」の報告書
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000106604.html
注 10 首相官邸 「日本再興戦略2016」http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seicho_senryaku2013.html#c21
注 11 医療法人社団プラタナス桜新町アーバンクリニック 「ICT活用による 在宅医療イノベーション」セミナー資料
注 12 公社 日本医業経営コンサルタント協会 近畿地区連絡協議会 地域包括ケアと在宅医療研究会
報告書「地域包括ケアシステムにおける在宅療養支援病院に対する期待と課題」
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40
小川 敏治 Toshiharu Ogawa(1958年生)
e-mail ogawa@one.jp
http://twitter.com/ogawa_one
http://www.one.jp/
認定登録 医業経営コンサルタント(4841)
プライバシーマーク主任審査員(PMS-A00125)
公認情報セキュリティ監査人(B0512002130)
情報セキュリティマネジメントシステム審査員補(ISJ-C04347)
公認システム監査人(K00247)
経営品質協議会認定アセッサー(JQAC05499)
医業経営コンサルタント継続研修講師
プライバシーマーク審査員研修主任講師
1981 千葉大学機械工学部卒、帝人(株)入社(生産設備開発設計担当)
1990 エイコー産業(株)(現社名:one(株))入社
1993 新分野進出事業計画策定(大阪府知事認定取得)(情報サービス業への業種転換)
1996 エイコー産業(株)(現社名:one(株))代表取締役就任
大阪府中小企業情報センター セミナー講師
1997 大阪府立産業デザイン研究センター セミナー講師
2002 ITコーディネータ協会・研修教材企画WGメンバー
南大阪大学経営情報学科講師(マーケティング論)
平成14年度中小企業活路開拓調査事業(大阪府中央会)専門家委員
2004 PGL骨格検討WG/研修企画WGメンバー(NPOITコーディネータ協会)
2004 年度日本経営品質賞・審査員(公財 日本生産性本部)
2004 年度関西経営品質賞・審査員(公財 関西生産性本部)
2004 年度徳島県経営品質賞・審査員(公財 とくしま産業振興機構)
2004 年度兵庫県経営品質賞・審査員(兵庫県産業労働部)
2005 プライバシーマーク審査員(一財 日本情報経済社会推進協会)
2006 プライバシーマーク主任審査員(一財 日本情報経済社会推進協会)
IT投資マネジメントGL・研究員(一財 日本情報経済社会推進協会)
プライバシーマーク・セミナー・講師(一財 日本情報経済社会推進協会)
2008 プライバシーマーク審査員フォローアップ研修・講師(一財 関西情報センター)
プライバシーマーク保護管理者向け研修・講師(一財 日本情報経済社会推進協会)
2009 ITコーディネータ・ケース研修講師(NPOITコーディネータ協会)
技術職員研修(個人情報保護)・講師(公社 全国公立文化施設協会)
プライバシーマーク審査員研修・講師(一財 関西情報センター)
2010 プライバシーマーク審査員補養成研修・講師(一財 関西情報センター)
プライバシーマーク審査員フォローアップ研修・講師(一財 関西情報センター)
2012 監査品質タスクフォース・メンバー(NPO 日本セキュリティ監査協会)
2014 NPO 日本セキュリティ監査協会 会長賞受賞(監査品質管理タスクフォース・メンバー)
寄稿「地域包括ケアにおけるICT利活用の現状と課題」(公社日本医業経営コンサルタント協会)
中小企業向けIT活用セミナー講師(公財 滋賀県産業支援プラザ)
2015 研究会報告書「地域包括ケアシステムにおける在宅療養支援病院に対する期待と課題」作
成実行委員(公社 日本医業経営コンサルタント協会)
医療ポータルサイト・ウェブコラム執筆(NEC ネクサソリューションズ㈱)
寄稿「医療現場の情報セキュリティのチェックポイント」(公社日本医業経営コンサルタント協会)
2016 調査研究部会パーソナルデータ監査 WG メンバー(NPO 日本セキュリティ監査協会)
寄稿「医療等分野の番号制度、制度設計公表」(公社 日本医業経営コンサルタント協会)
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  • 3. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 2 Contents 注.他の文献からの引用は、このように影付きの黒線枠で囲むと共に、脚注をつけて引用文献リスト(別紙)に記載しました。 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定 (3)医療等分野における番号制度の導入 (4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状 (2)ICT利活用の課題 (3)ICT利活用の導入手順 3.まとめ * セミナー時間の都合上、具体的なICTツールには言及しないので、予めご了解ください。
  • 4. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 3 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定 (3)医療等分野における番号制度の導入 (4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状 (2)ICT利活用の課題 (3)ICT利活用の導入手順 3.まとめ
  • 5. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 4 注.高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部) 情報通信技術(IT)の活用により世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に適確に対応することの緊要性にかんが み、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進するために、平成13年1月、内閣に設置されました。 経済産業省 総務省 文部科学省 産業育成 通信業界育成 先端科学技術振興 IT戦略本部 (厚生労働省) 医療情報化に関する タスクフォース ICT 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯(その1) 引用文献リスト 注2 政府内でのICT政策関連組織
  • 6. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 5 医療情報化に関するタスクフォース(4テーマ) 1. 自己医療・健康情報活用サービス構想の実現 2. シームレスな地域連携医療の実現 3. レセプト情報等の活用による医療の効率化 4. 医療情報データベースの活用による医薬品等安全対策の推進 個人が自らの医療・健康情報を医療機関から受け取り、それを自らが電子的に管理・ 活用することを可能とするもので、この一環として、「お薬手帳電子化」サービスがスター トしています。 医療機関間の境界だけではなく、地理的境界、医療・介護といった職種の境界などを超 えて、切れ目のない医療・介護情報連携を実現することにより、 地域の医療・介護サービ スの質の向上を目指すもので、「在宅医療・介護における情報連携における推進」として 、以下の調査研究・実証などを進めています。 ○ 在宅拠点連携事業 「在宅医療・介護環境の特性に合わせた安全かつ効率的なICTシステムの検証」 ○ 共通基盤整備事業 「在宅医療と介護の連携のための情報システムの共通基盤のあり方に関する調査研究」 「在宅医療・介護分野における情報連携基盤の開発及び活用の実証」 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯(その2)
  • 7. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 6 「診療録等の保存を行う場所について」の一部改正について( 厚労省2010年2月) 以下の3省庁4ガイドラインが遵守されることを前提条件として、それまでは震災対策等の危機 管理上の目的に限定されていた民間事業者による診療録等の外部保存が、この目的に限定され ることなく認められました。 1.厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」 2.経済産業省「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン」 3.総務省「ASP・SaaS (*2)における情報セキュリティ対策ガイドライン」 4.総務省「ASP・SaaS 事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン」 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯(その3) 課題「費用面を含むネットワークの持続可能性の確保、効果的な稼働の継続」に対して、今後の 普及・展開のための取組として、「クラウド技術の活用等による費用低廉化方策の確立」を表明。 健康・医療・介護分野におけるICT化の推進について( 厚労省2014年3月) 健康・医療・介護分野におけるICTも他の産業分野と同様にクラウドコンピューティング(*3)が普 及拡大していくと予想されます。 注2.ASP(Application Service Provider),SaaS(サース、Software as a Service)ともにインターネットなどのネットワークを通じたアプ リケーション・サービス。 注3.従来は院内に設置したサーバーで管理・利用していたようなソフトウェアやデータなどを、インターネットなどのネットワークを通 じてサービスの形で必要に応じて利用する方式のコンピュータシステム。因みに、従来方式を「オンプレミス」と言います。
  • 8. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 7 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定 (3)医療等分野における番号制度の導入 (4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状 (2)ICT利活用の課題 (3)ICT利活用の導入手順 3.まとめ
  • 9. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 8 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定(その1) 引用文献リスト 注8
  • 10. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 9 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定(その2) 引用文献リスト 注8
  • 11. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 10 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定(その3) 引用文献リスト 注8 日本医師会認証局等で交付してい る医師資格証の交付を受け、ID、 パスワードを取得する必要がある。
  • 12. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 11 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定 (3)医療等分野における番号制度の導入 (4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状 (2)ICT利活用の課題 (3)ICT利活用の導入手順 3.まとめ
  • 13. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 12 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (3)医療等分野における番号制度の導入(その1) 医療等分野における情報の利活用と保護のための環境整備のあり方に関する報告書(2012年9月18日) 医療等分野でやりとりされる情報は、機微性が高い情報を含むので、所得情報など と安易に紐づけされない安全かつ効率的な仕組みが必要である。マイナンバーとは異 なる医療等分野でのみ使える番号(医療等ID(仮称))や安全で分散的な情報連携の基 盤を設ける必要がある。 引用文献リスト 注9 2014年5月30日に第1回目の研究会を開催し、計10回の研究会を経て、医療等分野 (健康・医療・介護分野)の情報連携に関する具体的な制度設計等について、検討結果 をとりまとめて、公表。 「医療等分野における番号制度」の具体的な制度設計を公表(2015年12月10日) 厚労省研究会報告書に基づいて、医療機関に関係が深い「医療保険のオンライン資 格確認の仕組み」、地域包括ケアシステムにおける情報連携に関わるIDなどの「医療 等分野の情報連携に用いる識別子(ID)の体系」についてお話しします。
  • 14. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 13 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (3)医療等分野における番号制度の導入(その2) 引用文献リスト 注9 まず、現状の 「医療保険資格確認」において、医療機関にとって以下のような主な課題があります。 1.医療機関で受診時に正しい被保険者資格の確認と記録が行われない場合、適切な診療報酬の 請求が出来ない。 2.被保険者証番号は、現在、保険者を異動すると被保険者証番号も変わる仕組みとなっており、資 格異動を原因とした過誤請求が生じる。 これらの課題を解決するために、「マイナンバー制度の新規インフラ」と「医療保険制度の既存のイン フラ(レセプトオンライン請求のネットワーク)」を活用した、できるだけコストがかからない、安全で効 率的なオンライン資格確認の仕組みを、2018年度から段階的に導入し、2020年までに本格運用する ことを目指して、準備を進めていくとしています。 尚、支払基金と国保中央会が、医療保険者からの委託を受けて、共同でオンライン資格確認の サービス機関の役割を担えるように、国保法改正や番号法改正などの法整備(2015年通常国会で 成立)を行いました。
  • 15. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 14 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (3)医療等分野における番号制度の導入(その3) 引用文献リスト 注9 医療保険のオンライン資格確認に対応するためには、カードリーダーの設置を含むレセ プトシステムなどの改修が必要になります。医療機関のシステム改修等が円滑にできる ように、初期費用の対策を別途講じることも検討。
  • 16. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 15 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (3)医療等分野における番号制度の導入(その4) 急性期から回復期、在宅療養に至るまでの切れ目ない医療・介護サービスを提供し高齢者が身 近な地域で、できるだけ長く自立した生活を実現するために、現在、全国の地域において、医療機関 や介護事業者等が加入する医療等分野の地域情報連携ネットワーク(以下、地域ネットワーク)の整 備が進められています。 しかしながら、患者及び要介護者の識別子(ID)において、以下のような主な課題があります。 1.地域ネットワークを越えて情報連携が必要な場合に、それぞれの地域ネットワークの管理システ ムで異なる識別子(ID)を用いて管理しているため、異なる地域ネットワーク間(例えば、A地域 ネットワークとB地域ネットワークの間)の情報連携が円滑にできない。 2.各医療機関等がそれぞれ異なるベンダが提供する情報連携システムを利用している場合、識別 子(ID)の管理体系が異なり同一地域内であっても、円滑な情報連携に支障が生じる。 このような課題に対して、患者本人を一意的に把握するための共通の識別子(ID)として、「地域医 療連携用ID(仮称)」を発行し、「異なるID体系で管理された医療情報等を突合するための識別子」と いう役割に位置づけ、異なる地域ネットワーク間や異なるベンダが提供する情報連携システム間の 情報連携にこのIDを用いるとしています。 引用文献リスト 注9
  • 17. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 16 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (3)医療等分野における番号制度の導入(その5) 引用文献リスト 注9 患者と一対一で対応する「キーとなる識別子」は原則として変更せず資格確認サービ ス機関の内部での管理のみに使用し外部には出さず、そのIDを元に目的別の複数 のサブIDを生成し外部に発行する階層化を構想しています。
  • 18. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 17 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定 (3)医療等分野における番号制度の導入 (4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状 (2)ICT利活用の課題 (3)ICT利活用の導入手順 3.まとめ
  • 19. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 18 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進 「日本再興戦略2016」などを閣議決定(2016年6月2日) ■ 新たな治療の開発などにつなげる新制度 治療や検査データを広く収集し、安全に管理したり匿名化したりすることで、新たな治療の開発などにつなげ る新制度の検討を行い、来年中にも「法制上の措置」を講じる。また、同制度で集めた情報は、エビデンスに 基づく医療現場の「診療支援」などにも活用できる仕組みにする。 ■ 医療保険のオンライン資格確認などの導入 段階的な運用を18年度に開始する方向でシステムや実務について検討し来年度中にシステム開発を始める。 ■ 個別化健康サービスの実証事業 保険者などが持つレセプト情報と、ウエアラブル端末などから日常的に取得する健康情報とを活用した「個 別化健康サービス」の実証事業を、年度内にスタートさせる。 ■ 介護分野でのロボットやセンサー技術の導入を推進 介護保険制度上での適切な評価について検討し、来年度中に結論を得る。 ■ 在宅での看取りなどに関して、規制の見直し 例えば、医師が対面で死後診察をしなくても、ICTを活用して異状がないと判断できるといった要件を満たせ ば死亡診断書を交付できるようにする規制の見直しについて、年度内に検討を始め、来年度に結論を得る。 引用文献リスト 注10
  • 20. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 19 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定 (3)医療等分野における番号制度の導入 (4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状 (2)ICT利活用の課題 (3)ICT利活用の導入手順 3.まとめ
  • 21. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 20 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状(その1) ■地域の基幹病院と医療機関を結ぶ「地域医療連携ネットワークシステム」は、地域医療再 生基金や地域診療情報連携推進などの補助金を利用した導入が進んでいるが、多拠 点・多職種間の連携・協働のためのICT利活用は、緒についたばかりで、各ITベンダーが 開発し提供しているクラウドサービスは、在宅医療・介護の現場関係者の意見を聞きな がら運用し改善している段階です。 ■各地域での在宅医療連携拠点事業などによる検証から、以下の利点が確認されました。 1.在宅療養者の状態をタイムリーに共有でき、チームケアの有効な手段である。 2.職種間のメンタルバリアが軽減し気軽に相談出来るようになった。 3.在宅療養者及びご家族の安心感が増した。 4.訪問後の事務や他職種への連絡などの負担が軽減した。 5.事業所内でのシフト勤務での引き継ぎが効率化した。
  • 22. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 21 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状(その2) 1.在宅療養者の状態をタイムリーに共有でき、チームケアの有効な手段である。 ○医療・介護の多職種が等しく入力し治療及びケアの進捗管理が効率よく出来るように なった。 ○ショートステイ側としても、利用者が居宅時の状態も把握でき事前の受け入れ準備に 役立った。 ○訪問看護時その場で在宅療養者の褥瘡の写真を撮ってかかりつけ医の判断や指示 を仰げたので、心強かった。 2.職種間のメンタルバリアが軽減し気軽に相談出来るようになった。 ○介護職からかかりつけ医へ連絡は心理的な壁があり電話では気後れしてしまいがち ですが、「在宅療養者の相談について、スマートフォンによる簡単な短文の書込み (チャット)で返答がもらえたので嬉しかった。
  • 23. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 22 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状(その3) 3.在宅療養者及びご家族の安心感が増した。 ○在宅療養者やその家族がかかわる医療・介護職の方々とコミュニケーションがとれる 機能が標準で利用できるクラウドサービスもあり、例えば、終末期の在宅療養者を介 護しているご家族の不安な気持ちを支える効果があることがわかりました。 4.訪問後の事務や他職種への連絡などの負担が軽減した。 5.事業所内でのシフト勤務での引き継ぎが効率化した。 ○業務の効率化が図れたことを示すもので、地図情報システムを併用することにより、 訪問の順序やルートなどを最適化して移動時間の無駄を極力抑制する試みも見られ ます。 ○さらに、ある医師は訪問診療後、次の訪問先への移動中に訪問診察内容を音声で病 院に送り、病院の医師事務作業補助者が代理で仮入力し医師は病院に帰ってから入 力する必要はなく、チェックし登録操作するだけで診療録が出来上がる仕組みを導入 し、在宅医療で効率を低下させる 「移動」というプロセスをICT利活用により、訪問滞在 時間のアップや増患増収に繋げている医療機関も見受けられます。
  • 24. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 23 引用文献リスト 注11 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状(その4) ある医療機関の事例 ○業務フローや役 割などの見直し ○ITCの活用によ る効率化
  • 25. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 24 地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント 以上、まとめると、1~3は、多拠点・多職種間の連携・協働のためのICTツール導入の直 接的な効果であり、4と5は「業務フローや役割などの見直し」も併せて行った効果であると 考えられます。 高齢化により増大する在宅医療・介護ニーズに対して、少子化による医療・介護職のマン パワーのより一層の不足状態の中で、病院として地域医療・介護に対応していくためには、 ICTツールを導入するだけでなく、例えば以下のような「業務フローや役割などの見直し」も 不可欠ではないでしょうか。 ア.他職種への連絡、シフト勤務での引き継ぎなどの手順の見直し イ.訪問の順序やルート及び訪問エリア区分などの見直し ウ.各専門職にしか出来ない業務に絞りその他の業務を、医師→特定看護師→看護師 →看護助手→医師事務作業補助者→アウトソーシングへと順送りに移行するなど、 役割分担の見直し
  • 26. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 25 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定 (3)医療等分野における番号制度の導入 (4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状 (2)ICT利活用の課題 (3)ICT利活用の導入手順 3.まとめ
  • 27. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 26 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (2)ICT利活用の課題(その1) ■各地域での在宅医療連携拠点事業などによる検証から、ICT利活用の 課題も明らかになりました。 (尚、ICT以外に関する課題、例えば、連携する事業者によって在宅医療・介護 への取り組み姿勢が異なることや医療職と介護職との在宅医療・介護の認識 の違いなどにもありますが、本セミナーでは省略させて頂きます。) 1.職種間における ICTリテラシーの格差 2.共有する在宅医療介護連携情報の標準化 3.既存システムとのデータ互換性、連携性 4.個人情報の適切な取扱いに関するマネジメント
  • 28. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 27 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (2)ICT利活用の課題(その2) 1.職種間における ICTリテラシーの格差 病院では、オーダリングや電子カルテなどの基幹系システムの普及に伴い、日ごろから ICT利活用している為、傾向として、医療職のICTリテラシーは高い。一方、介護事業所では ICTが普及しておらず、アナログ(紙媒体への記録)にとどまるところが多く、また平均年齢も 高いため、ICTリテラシーは相対的に低いのが実情です。 また、「居宅での現場入力は時間的な制約と共に、入力作業中は会話が途切れてしまい 使い辛い。」との声も上がっています。 したがって、ICT導入教育や講習会は必要ですが、ICTリテラシーに依存せず、在宅医療・ 介護の現場で簡単に操作できるものが望まれます。 例えば、情報の入力や閲覧はスマートフォンやタブレット端末を用いての選択型の入力や 直感的に登録できるインターフェイスなど、利用者に優しい操作性が重視されます。
  • 29. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 28 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (2)ICT利活用の課題(その3) 2.共有する在宅医療介護連携情報の標準化 一人の在宅療養者に対して、医師、歯科医師、訪問看護師、薬剤師、介護支援専門員、 作業療法士、ホームヘルパーなど多くの専門職がかかわり、また、事業者として、病院、診 療所、歯科診療所、調剤薬局、訪問看護ステーション、居宅介護事業所、訪問介護事業所、 通所介護事業所、地域包括支援センターなど多岐にわたる事業者が関係します。 当然のことながら、これら関係者が連携して在宅療養者情報を共有し、コミュニケーション を充実させることで、協働体制によるサービスの提供が求められますが、職種も事業者も異 なり、共有する在宅医療介護連携情報の標準化もされていない状態では、十分な連携がで きないことが判明しました。 そこで、共通基盤整備事業(厚生労働省「在宅医療と介護の連携のための情報システム の共通基盤のあり方に関する調査研究」)において、在宅医療介護連携情報の標準化など が検討され、「在宅医療と介護の連携における情報システムの適切な利用を促進するため のガイドライン(草案)」としてまとめられました。 今後、業界団体や標準化団体等による標準規格化が期待されます。
  • 30. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 29 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (2)ICT利活用の課題(その4) 3.既存システムとのデータ互換性、連携性 多岐にわたる事業者毎に業務システムが異なる場合が多く、在宅療養者情報を共有する クラウドサービスとのデータの互換性や連携性が十分でない場合は、二重入力の手間が発 生し業務負担が増大することも指摘されています。 異なるITベンダーの電子カルテ間の連携に多額の費用がかかる地域医療連携ネットワー クシステムの現状課題を医療介護連携でも繰り返さないために、共通基盤整備事業(総務 省「在宅医療・介護分野における情報連携基盤の開発及び活用の実証」など)が行われて おり、その成果が期待されます。 また、今後は国家財政の厳しい中、経済的な効果を勘案して、厚生労働省は、今後の普 及・展開のための取組として、「クラウド技術の活用等による費用低廉化方策の確立」を表 明しており、大いに期待するところです。
  • 31. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 30 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (2)ICT利活用の課題(その5) 4.個人情報の適切な取扱いに関するマネジメント 医療機関や介護事業者など、事業主体が異なる複数の事業者で在宅療養者などの個人 情報を共有し共同利用するためには、厚労省「医療・介護関係事業者における個人情報の 適切な取扱いのためのガイドライン」に準拠する必要があります。 一方、昨年9月に改正され2年以内に施行される「改正個人情報保護法」では、病歴など を「要配慮個人情報」と定義付け、今まで以上に厳しい取扱い義務を課しています。 以上、短期的な年度単位での実証事業ではあまり顕在化していないようですが、本格的 に導入し運用する場合、関係する医療機関、介護事業者を取りまとめて、全体を統括しマネ ジメントする機能が必須となり、大きな課題になると思われます。
  • 32. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 31 地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント 以上、まとめると、以下の通りです。 ■ ICTツールの要件 ア.ICTツールとして、ICTリテラシーに依存せず、在宅医療・介護の現場で簡単に操作 できるものが望まれます。 イ.既存の情報システムとのデータの互換性や連携性が確保でき、二重入力の手間が 発生しないものが望まれます。 ■共有する在宅医療介護連携の情報マネジメントの要件 ア.共有する在宅医療介護連携情報の標準化がされていない為、予め、連携する医療 機関や介護事業者など、事業主体が異なる複数の事業者間で、共有する情報の範 囲や項目などを予め合意形成することが望まれます。 イ.また、関係法令に準拠した適切な取扱いの手順や安全管理措置などのルール化、 定期的なチェックなども予め合意形成することが望まれます。
  • 33. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 32 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定 (3)医療等分野における番号制度の導入 (4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状 (2)ICT利活用の課題 (3)ICT利活用の導入手順 3.まとめ
  • 34. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 33 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (3)ICT利活用の導入手順 私たち、認定登録 日本医業経営コンサルタント が、在宅療養支援病院11医療機関を調査し分析 したところ、ICTツールの導入前の「事前」プロセス が、ICTツールの導入成果を左右することがわか りました。 今回は、「ICT利活用の導入手順」として、以下 の3ステップに分け、それぞれのポイントを掻い摘 んでお話します。 「事前」= ICTツールの導入前 「事中」= ICTツールの導入開始~導入完了 「事後」= ICTツールの導入完了後 引用文献リスト 注12
  • 35. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 34 地域における自院の立ち位置や、これからの方向性を考える 自院の推進体制の組織化及び整備 包括ケアのキーマンとなる「かかりつけ医」へのアプローチ 院長などのリーダーシップに基づいた院内の意識改革 連携する医療機関や介護事業者などとの信頼関係の構築 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (3)ICT利活用の導入手順(事前) 引用文献リスト 注12
  • 36. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 35 ICTツールの評価及び選定(*1) 業務フローや役割などの見直し 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (3)ICT利活用の導入手順(事中) 関係法令に準拠した適切な取扱いの手順や安全管理措置などのルール化(*1) ICT導入教育や講習会及びヘルプデスク設置(*2)、モニタリング指標(*3)の設定 ○ICTリテラシーに依存せず、在宅医療・介護の現場で簡単に操作で きる。 ○自院の情報システムとのデータの互換性や連携性が確保でき、二 重入力の手間が発生しない。 ○連携する医療機関や介護事業者などと合意した共有する情報の範 囲や項目などが扱える。 ○業務フローや役割などの見直し ○包括ケアのキーマンとなる「かかりつけ医」の意見を反映。 *1.このような作業はかなり労力がかかり、また専門的な知識が必要となります。院内の人材不足という課題解決策とし て、「外部専門家の活用」という選択肢も考えられます。 *2.ICTツールの選定評価項目に入れ、ICTベンダーに委託することも考えられます。 *3.利用者(在宅療養者及びご家族)、業務プロセス、職員、財務などの各視点のモニタリング指標(項目、目標値)
  • 37. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 36 運用の評価 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (3)ICT利活用の導入手順(事後) 在宅療養者情報の取扱いの手順や安全管理の点検 院長などのリーダーシップによる全体の見直し ○一定期間運用後、モニタリング指標及び在宅療養者満足度調査や 利用者アンケートなどに基づいた評価。 ○関係法令に準拠した適切な取扱いの手順や安全管理措置 などのルール化に基づいた点検
  • 38. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 37 1.在宅医療・介護に関するICT政策動向 (1)ICT政策の経緯 (2)ICTに関連した2016年度診療報酬改定 (3)医療等分野における番号制度の導入 (4)日本再興戦略2016に基づいたICT利活用の推進 2.地域包括ケアにおけるICT利活用のポイント (1)ICT利活用の現状 (2)ICT利活用の課題 (3)ICT利活用の導入手順 4.まとめ
  • 39. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 38 4.まとめ 以上、在宅医療・介護に関するICT政策動向、地域包括ケアにおけるICT利活用 のポイント、当該ICT導入で押さえて頂きたいポイントなどについて、お話し致しまし た。少しでも、皆様のご参考になれば幸いです。
  • 40. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 39 引用文献リスト 注 1 厚生労働省医政局指導課在宅医療推進室 「在宅医療の最近の動向」 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/h24_0711_01.pdf 注 2 日経BP社エンタープライズICTの総合情報サイトITpro「政府内でのICT政策関連組織」 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20110112/356008/ 注 3 厚生労働省医政局政策医療課 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第4.1版」 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/s0202-4.html 注 4 総務省 「ASP・SaaSにおける情報セキュリティ対策ガイドライン」 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/asp_saas/pdf/asp_saas_zentai.pdf 注 5 総務省 「ASP・SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン第1.1版」 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_01000009.html 注 6 経済産業省 「医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン第2版」 http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/iryouglv2.pdf 注 7 厚生労働省 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」 http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/seisaku/kojin/ 注 8 厚生労働省 「平成28年度診療報酬改定説明会(平成28年3月4日開催)資料等について」 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html 注 9 厚生労働省 「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」の報告書 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000106604.html 注 10 首相官邸 「日本再興戦略2016」http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seicho_senryaku2013.html#c21 注 11 医療法人社団プラタナス桜新町アーバンクリニック 「ICT活用による 在宅医療イノベーション」セミナー資料 注 12 公社 日本医業経営コンサルタント協会 近畿地区連絡協議会 地域包括ケアと在宅医療研究会 報告書「地域包括ケアシステムにおける在宅療養支援病院に対する期待と課題」
  • 41. Copyright one corporation. All Rights Reserved. 40 小川 敏治 Toshiharu Ogawa(1958年生) e-mail ogawa@one.jp http://twitter.com/ogawa_one http://www.one.jp/ 認定登録 医業経営コンサルタント(4841) プライバシーマーク主任審査員(PMS-A00125) 公認情報セキュリティ監査人(B0512002130) 情報セキュリティマネジメントシステム審査員補(ISJ-C04347) 公認システム監査人(K00247) 経営品質協議会認定アセッサー(JQAC05499) 医業経営コンサルタント継続研修講師 プライバシーマーク審査員研修主任講師 1981 千葉大学機械工学部卒、帝人(株)入社(生産設備開発設計担当) 1990 エイコー産業(株)(現社名:one(株))入社 1993 新分野進出事業計画策定(大阪府知事認定取得)(情報サービス業への業種転換) 1996 エイコー産業(株)(現社名:one(株))代表取締役就任 大阪府中小企業情報センター セミナー講師 1997 大阪府立産業デザイン研究センター セミナー講師 2002 ITコーディネータ協会・研修教材企画WGメンバー 南大阪大学経営情報学科講師(マーケティング論) 平成14年度中小企業活路開拓調査事業(大阪府中央会)専門家委員 2004 PGL骨格検討WG/研修企画WGメンバー(NPOITコーディネータ協会) 2004 年度日本経営品質賞・審査員(公財 日本生産性本部) 2004 年度関西経営品質賞・審査員(公財 関西生産性本部) 2004 年度徳島県経営品質賞・審査員(公財 とくしま産業振興機構) 2004 年度兵庫県経営品質賞・審査員(兵庫県産業労働部) 2005 プライバシーマーク審査員(一財 日本情報経済社会推進協会) 2006 プライバシーマーク主任審査員(一財 日本情報経済社会推進協会) IT投資マネジメントGL・研究員(一財 日本情報経済社会推進協会) プライバシーマーク・セミナー・講師(一財 日本情報経済社会推進協会) 2008 プライバシーマーク審査員フォローアップ研修・講師(一財 関西情報センター) プライバシーマーク保護管理者向け研修・講師(一財 日本情報経済社会推進協会) 2009 ITコーディネータ・ケース研修講師(NPOITコーディネータ協会) 技術職員研修(個人情報保護)・講師(公社 全国公立文化施設協会) プライバシーマーク審査員研修・講師(一財 関西情報センター) 2010 プライバシーマーク審査員補養成研修・講師(一財 関西情報センター) プライバシーマーク審査員フォローアップ研修・講師(一財 関西情報センター) 2012 監査品質タスクフォース・メンバー(NPO 日本セキュリティ監査協会) 2014 NPO 日本セキュリティ監査協会 会長賞受賞(監査品質管理タスクフォース・メンバー) 寄稿「地域包括ケアにおけるICT利活用の現状と課題」(公社日本医業経営コンサルタント協会) 中小企業向けIT活用セミナー講師(公財 滋賀県産業支援プラザ) 2015 研究会報告書「地域包括ケアシステムにおける在宅療養支援病院に対する期待と課題」作 成実行委員(公社 日本医業経営コンサルタント協会) 医療ポータルサイト・ウェブコラム執筆(NEC ネクサソリューションズ㈱) 寄稿「医療現場の情報セキュリティのチェックポイント」(公社日本医業経営コンサルタント協会) 2016 調査研究部会パーソナルデータ監査 WG メンバー(NPO 日本セキュリティ監査協会) 寄稿「医療等分野の番号制度、制度設計公表」(公社 日本医業経営コンサルタント協会) 常任委員会委員(公社 日本医業経営コンサルタント協会)