様々な研究やジャーナルのガイドライン、そして科学関連の執筆に関する論説では、論文の質を上げるためには図表やグラフが重要な役割を担うと断言しています。この記事では図表の効果的な使い方に不可欠なガイドラインを紹介します。

1. 研究成果の発表に効果的な図表の使い方

2. 研究成果の発表に効果的な図表の使い方
様々な研究やジャーナルのガイドライン、そして科学関
連の執筆に関する論説1-10では、論文の質を上げるため
には図表やグラフ（またはdisplay items=表示物）が重要
な役割を担うと断言しています。
論文の審査段階では、これら表示物が査読者やジャー
ナルの編集者にすばやく研究結果の全体像を見せ、論
文が出版された後には、読者（中にはこれら表示物のみ
を見て、論文の残りの部分は見ない人もいる7）に対して
同様の働きをします。

3. 研究成果の発表に効果的な図表の使い方
これらのビジュアル的要素は、著者が詳細な結果や複
雑な関連性、パターン、傾向を明確で簡潔に見せるた
めに役立ちます1-8,11,13,14。つまり原稿は短くなり3,5,13,15、
読者は研究結果がより理解しやすくなるのです11,12。
しかし、表示方法の上手な図表は情報を効率的に捉え
て見せられる一方、仕上がりの粗末な図表は読者を混
乱させ論文の有効性を損なうこともあります16。著者がう
まくバランスを取れるよう、この記事では図表の効果的
な使い方に不可欠なガイドラインを紹介します。

4. 論文執筆計画：図表を使うべき時
論文執筆計画：図表を使うべき時
効果的な図表の作成には論文の執筆開始段階での入念な計画が必要です。その取り組
み方についてご覧ください。
1. まずは投稿を目指すジャーナルの指示を確認しましょう。ジャーナルによっては図表
の数を制限していたり、表示物のデザイン的な面で細かなガイドラインを設けているこ
ともあります。
2. 次に、最も重要な情報をうまく伝えるためには、図表を使うのか、文章を使うのかを決
めます。（決める際には、下の表1を参照ください。）
3. 表示物を使うことに決めたら、読者に注視してもらいたい事とあなたが見せたい事を
基準に、最も目的に適う表示物を選びます。（下の表1で詳細を参照ください。）
4. 最後に、本記事のセクション3で概説する最適な手法のガイドラインに従い、また、セ
クション4で示す例を見直し、図表がきちんと作成できているかを確認してください。

5. 表1：データ表示に際する図、表、文書の選択方法
：データ表示に際する図、表、文書の選択方法
表の利用 図の利用 文章の利用
たくさんの精密な値や、他の具 精密なデータ値よりも一般的な 提示するべき広範囲に渡る、ま
体的なデータを小さなスペース パターンが重要で、傾向、パタ たは複雑なデータがない。
で見せる17 。 ーン、データ間またはデータ外と
の関連性の提示8,9,13,16,17,18。（使
用するもの：グラフと散布図）
関連する項目間でのデータ値や 研究結果をまとめる8。（使用す データを表に入れると、ひとつの
特性2,9、または複数の共有特 るもの：グラフ、散布図、地図、 表に列が2つ以下しか作成でき
性や変数の項目19を比較、対比 円グラフ） ないとき2。
する。
ある特性の存在/不在を見せる 一連の出来事、手順、地理的特 見せようとしているデータが研
19。
徴や、物理的特性の視覚的な 究にあまり重要でなかったり、
説明の提示7,18。（使用するもの： 主となる研究成果と無関係なと
回路図、画像、写真、地図） き8,12。

6. 図表使用における最適なガイドライン
一般的なガイドライン
1. 表示物は自明であること
表示物は自明であること：読者（そしてもちろん査読者とジャーナルの編集者）
は、全文を読む前に図表に注目しますので、これら表示物は独立しているべき
です6,8,9,12,16,20。
2. 参照はしても、反復はしない
参照はしても、反復はしない：読者の注意を図表の意義や重要ポイントに引き
込むために文章を使いましょう。ただし、詳細の反復はやめましょう5,12,16,19,21,22
。つまり、例えば主要な発見を強調はしても（例：「図1に示すように、治療は患
者の24%のみに効果的であることを発見した」）、細かい値を繰り返さない（例：
「表2に示すように、被験者の32%がオプション1を、12%がオプション2を、10%
がオプション3をそして、46%がオプション4を選択した」）ことです。これは図表が
持つ本来の目的を覆すことになります。

7. 図表使用における最適なガイドライン
一般的なガイドライン
3. 一貫性を持たせる6,9,12,17：表の中の値と詳細が本文内のものと一致しているこ
とを確かめましょう。（例：略語、グループ名、治療名）
4. 情報提供する明確なタイトルをつける16,17：図表は漠然としたものではなく9,19、
簡潔にその目的や図表の内容を表現し、理想的にはあなたが注目してもらい
たいこと17に読者を引き付けられるものであるべきです。（例：統合失調症に苦
しむ患者への催眠療法の利害得失）また、列の見出し、軸や図のラベル等も
わかりやすい適切な名前をつけるようにしましょう。
5. ジャーナルのガイドラインを厳守する：あなたが投稿を目指すジャーナルの、図
ジャーナルのガイドラインを厳守する
表の数、数字のスタイル、タイトル、画像の解像度、ファイル形式等に関する指
示を確認し、確実に従うようにしましょう18,23。

8. 表のガイドライン
1. 反復する表はまとめる
反復する表はまとめる：反復する情報を示す図表は、情報伝達効果を上げるどころ
か台無しにします8,12。全ての図表のタイトルが、同じだったり似たようなことについ
て提示していないかを調べましょう8。もし提示していたら、表現方法を再考し、その
表やグラフを削除したりまとめたりしましょう。
2. データを分割する7：大量の情報を提示するときには、データを明確で適切なカテゴ
リーに分割し、正確で記述的なタイトルを付けた列で提示しましょう。
3. 表の中のデータ範囲に注意する
表の中のデータ範囲に注意する：提示するデータが広範で表が煩雑もしくは長くな
り過ぎる場合は、表を付表や補足資料の一部にすることも検討しましょう8。
表をすっきりとさせる：行や列の間隔には十分なスペースを確保し7、レイアウトが煩
4. 表をすっきりとさせる
雑、すし詰めにならないようにしましょう。

9. 図のガイドライン
画像は鮮明にする：図は各部全てクリアなものにしましょう18。標準フォントを使用し
1. 画像は鮮明にする
、ラベルは図の背景に対し読みやすいように、そして画像はクリアなものにしましょ
う24。
2. 重要なメッセージは凡例を使い説明する25：凡例は図の有効性にとって極めて重要
です。中心的なメッセージに注意を引くために、また略語や記号の説明にも凡例を
利用しましょう。
3. 全ての重要な部分にラベルをつける
全ての重要な部分にラベルをつける：重要なセクション、回路図や写真の部位、そ
してグラフや散布図内の全ての軸、曲線、データセットにラベルをつけましょう
6,7,16,18。
4. 詳細を入れる
詳細を入れる：画像と地図にはスケールバーを入れ、数の記載部には全て単位を
明記し、地図や概略図には凡例を入れ、地図上には緯度と経度を明記しましょう
7,18。

10. 用意周到な図表の例
下の表は、ひなを飼育するマカロニペンギンの摂食に関する研究26から抜粋したもので、これが
効果的な表の例である理由も引き続きご覧ください。

11. 用意周到な図表の例
1. タイトルが何についての表なのかを明確に説明している。
2. 列の見出しが記述的で、提示するデータの性質を明確に表している。
3. データが分かりやすく分類されている。
4. 論文全体を参照しなくても理解できるくらい独立している。
5. 上付き記号と注釈で分かりやすく追加情報を示している。
6. 列と行には十分な間隔があり、レイアウトがすっきりとしていて、フォントも読み
やすい。

12. 効果的な図（グラフ）の例
1. 情報提供するタイトルを用い、即座
に読者に下のグラフでは何を期待
できるのかを告げている。
2. 軸の名前がわかりやすい。
3. 重要な点は、グラフ内の各要素が
何を意味するかはっきりしている。
4. 下にある図の凡例がグラフ内の重
要ポイントへ読者の注意を引き付け
ている。
5. 下にある注釈が情報源を確かにし
ている。
6. グラフが2次元ですっきりしている。
上に示すのは牡蠣の自然防波堤としての有効性についての論文27からの
図で、いくつか良いポイントがあります。

13. 研究成果の発表に効果的な図表の使い方
結論
図表やその他の表示物は強力なコミュニケーションツールとなりうるものです7。それは
あなたの論文をプロフェッショナルな仕上がりにし、読者の興味を引き付けて離さず、ま
た複雑で大量の情報を効果的に見せることを可能にします。
ほとんどのジャーナル編集者や査読者はあなたの論文全部を読み始める前に表示物
に目を通すため、これらの重要性はどんなに強調しても強調しきれないほどです。

14. 研究成果の発表に効果的な図表の使い方
参考文献:
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15. 研究成果の発表に効果的な図表の使い方
参考文献:
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16. 研究成果の発表に効果的な図表の使い方
参考文献:
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