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日本健康心理学会第35回大会 発表資料
- 1. Proactive Copingとwell-beingの関連性の縦断的検討
〇 永峰 大輝 1, 2,武田 清香 1, 3,石川 智 1,石川 利江 4
1 桜美林大学大学院国際学研究科,2 東京女子医科大学医学部,3 東海大学医学部,4 桜美林大学大学院
Keywords | Proactive Coping,well-being,交差遅延効果モデル,縦断研究
日本健康心理学会第35回大会[ 2022年11月19日
(土)
~20日
(日)
] 東北学院大学土樋キャンパス ホーイ記念館 H304教室
方法
■ 調査対象者
専門学校生,
大学生,
大学院生および一般成人531名に3回のweb調査
を行った。学生はGoogle forms,
一般成人はweb調査会社を通して
行った。解答に不備があった者を除外し,
最終的に267名
(男性122名,
女性145名,
Mage= 39.48歳,
SD = 15.98)
を分析対象とした。
調査時期は,2021年9月~2022年3月にかけて1ヶ月半から2ヶ月
おきに調査した。
■ 調査内容
・フェイスシート:生年月日,性別
・Proactive Coping Scale of Health Behavior
(永峰他,
2022)
PCHB:健康に特化したProactive Copingの信念を測定する尺度。
・日本語版Proactive Coping Competence Scale
(永峰他,
2022)
PCC-J:Proactive Copingの行動を測定する尺度。
・日本版主観的幸福感尺度
(島井他,
2004)
SHS:Well-beingを測定する尺度。
結果
e
e
e
.46***
.15**
.27***
Wave 2
e
e
e
.53***
.17*
.29***
Wave 3
Wave 1 Wave 2 Wave 3
well-being well-being well-being
信念 信念
信念
行動 行動 行動
.62***
.79*** .81***
.61***
.53 ***
.41 ***
.71 ***
well-being well-being well-being
.14***
.59***
.16***
.10**
.13***
-.03
.06***
.14***
.63***
.16***
.10**
.14***
-.03
.06***
χ2 (114) = 292.21, p < .001,
TLI = .95, CFI = .97,
RMSEA = .08, SRMR = .05
※ 実線は有意なパス,
破線は有意でないパス
■ 事前分析
性別による年齢差はなかった
(t (254.91) = 0.94,p = .35)
。
信頼性係数はPCHBがα, ω = .95―.96,PCC-Jが
α, ω = .95―.96,SHSがα, ω = .79―.86であった。
各変数間の相関分析を行った結果(Wave 1),
PCHBはPCC-J
(r = .69)
,SHS
(r = .41)
と,
PCC-JはSHS
(r = .51)
と有意な正の相関が見られた。
■ 交差遅延効果モデル
モデル適合度はχ2 (114) = 292.21, p < .001, TLI = .95,
CFI = .97, RMSEA = .08, SRMR = .05であり,各変数間の
因果関係を推測するモデルとして妥当であることが示された。
安定効果では,全ての間隔で有意なパスを示していた
(β = .59―.81, p < .001)。
PCHBはPCC-Jに正の影響を与え
(Wave 1―2, 2-3間共にβ = .14, p < .001),
PCC-JはPCHB
(Wave 1―2, 2―3間共にβ = .16, p < .001)
と
SHS
(Wave 1―2, 2―3間共にβ = .10, p < .01)
に
正の影響を与えた。SHSからはPCC-Jに正の影響を与えた
(Wave 1―2, 2―3間にβ = .13, .14, p < .001)。
背景と目的
近年,
将来志向性のストレスコーピング研究に注目が集まっている。
代表的な概念であるProactive Copingは,
顕在化していないストレッ
サーに対して挑戦的な目標や個人的成長を促進させるための努力と
されている
(Schwarzer, 1999)
。
先行研究では,横断調査によってProactive Copingがwell-beingに
有意な正の影響を与えることが示されている
(Sohl & Moyer, 2009)
。
しかし,
縦断調査や介入研究によるProactive Copingと健康の
因果関係の検討はまだ行われていない。
■ 目的
本研究では,
3波の縦断調査を実施し,
Proactive Copingとwell-being
の因果関係について時系列変化を含めて検討することを目的とする。
Proactive Coping
行動
Proactive Coping
信念
Well-being
?
考察
Proactive Copingの信念と行動,Proactive Copingの行動とwell-beingは
相互に影響し合っていることが示唆された。また,各変数間で一方向の
因果関係は見られなかった。
Proactive Copingの信念と行動の関係について,
従来の健康行動理論で
は行動意図から行動につながると言われている
(e.g., Schwarzer, 1992)
。
つまり,Proactive Copingの健康行動に関する信念を高めることが行動
促進につながり,それがさらに信念を高めるという循環的な関係である
ことが分かった。well-beingに関しては,健康行動の信念だけでなく,
行動を生起することがwell-beingの向上につながり,
それによってさらに
Proactive Copingの行動も高められることが示された。
今後は,well-beingを高める介入にProactive Copingの要素を含める
など,応用的なプログラムを開発し,有効性を検討する必要がある。
P1-21