2011年8月25日のFukuoka DSL Nightで話した内容です。

1. 公理→論理→定理
2011/08/25
南部 晃史
@Ackey_pp

2. G. W. Leibniz
人は誰でも計算だけで
現に最も困難な真理すら
判断することになるであろう
以降、人々はすでに
手中にしているものについて
もはや論争することなく
新たな発見に向かうことになろう
Gottfried Wilhelm Lebniz, 下村寅太郎他監修+澤口昭聿訳,
『ライプニッツ著作集 1 論理学』, 工作社, ISBN4-87502-149-6, 1988年

3. G. W. Leibniz
論理って計算みたいなもんやから
規則に則ってやったら
ちゃんと正しい答え出んねんで。
そやさけ、正しいかどうかなんて
機械に調べさせときゃええやん

4. ことばのていぎ
• 前から分かってることから新しいことを導く(＊)
• (＊)の出発点を公理と呼ぶ
• (＊)を繰り返して最終的に得られたものを定理と呼ぶ
• (＊)における導き方を推論規則と呼ぶ
• 定理が得られるまでの(＊)の繰り返しを証明と呼ぶ

5. 証明のイメージ
公理 命題
命題 定理
命題
命題

6. 公理と論理と定理
公理 定理
(大前提) (新事実)
論理
公理系 (推論規則)
証明

7. 公理系を定めれば
半ば機械的に定理が導ける

8. 多角形の決定条件
ある仮定から
全ての辺の長さと角の大きさが
決定するか

9. 多角形の決定条件
公理：
(1) a, bが決定ならばa±bは決定である
(2) ABが決定ならばBAが決定である
(3) ∠ABCが決定ならば∠CBAが決定である
(4) AB, BC, CAが決定なら∠ABC, ∠BCA, ∠CABが決定
(5) AB, BC, ∠ABCが決定ならCA, ∠BCA, ∠CABが決定
(6) AB, ∠CAB, ∠ABCが決定ならCA, BC, ∠BCAが決定

10. 多角形の決定条件
推論規則：
(1) PとP→QがあればQが得られる
(2) 任意の仮定Pを導入できる
(3) PとQがこの順にあればP→Qを得て、
Pを仮定命題から外せる

11. 多角形の決定条件
仮 定
辺、対角線、内角のうち、いくつかが決定
結 論
全ての辺と内角が決定している
または
決定しているものから導出されるもの全てが既に決定

12. 例
仮定：
四角形ABCDのAB, BC, CD,∠BCD,ACが決定

13. 例
仮定：
四角形ABCDのAB, BC, CD,∠BCD,ACが決定
(a) 仮定と公理(2)に推論規則(1)を用いてCAが決定
ACが決定である。
公理(2)と推論規則(1)を用いてCAが決定

14. 例
仮定：
四角形ABCDのAB, BC, CD,∠BCD,ACが決定
(b) 仮定と(a)と公理(4)に推論規則(1)を用いて
∠ABC, ∠BCA, ∠CABが決定される
仮定からAB, BCが決定。
(a)からCAが決定。
さらに公理(4)と推論規則(1)を用いて
∠ABC, ∠BCA, ∠CABが決定

15. 例
仮定：
四角形ABCDのAB, BC, CD,∠BCD,ACが決定
(c) 仮定と公理(b)と公理(1)に推論規則(1)を用いて
∠ACDが決定される
仮定から∠BCDが決定。
(b)から∠BCAが決定。
さらに公理(1)と推論規則(1)を用いて
∠ACD(=∠BCD-∠BCA)が決定

16. 例
仮定：
四角形ABCDのAB, BC, CD,∠BCD,ACが決定
(d) 仮定と(c)と公理(5)に推論規則(1)を用いて
AD,∠CAD,∠ADCが決定される
仮定からAC,CDが決定。
(c)から∠ACDが決定。
さらに公理(5)と推論規則(1)を用いて
AD,∠CAD,∠ADCが決定

17. 例
仮定：
四角形ABCDのAB, BC, CD,∠BCD,ACが決定
(e) (a)と(d)と公理(1)に推論規則(1)を用いて
∠DABが決定される
(b)から∠CABが決定。
(d)から∠CADが決定。
さらに公理(1)と推論規則(1)を用いて
∠DABが決定

18. 例
仮定：
四角形ABCDのAB, BC, CD,∠BCD,ACが決定
仮定と公理から
AB, BC, CD, DA
∠ABC, ∠BCD, ∠CDA, ∠DAB
が決定した！

19. まとめ
公理系を指定して
公理から推論規則をたどると
何か面白い定理が見つけられるんじゃない？