1. 環境省、またも都路町の一部に説明会
■これまでの説明会の矛盾・疑問点■
昨年7月、9月に行われた10区への説明会の内容は、多くの矛盾や疑問があります。
①集約処理―放射性物質に汚染された農業系ゴミ、汚泥を県北と相双地区以外の県内全域か
ら集めて処理する計画ですが、環境省はなぜ他自治体のゴミを都路に押し付けるのでしょうか。
昨年までは、各自治体に仮設焼却炉を設置する計画でした。鮫川村焼却炉問題連絡会の一昨
年の調査で、県中・県南殆どの自治体が仮設焼却炉の設置について環境省より打診があった
ことが確認されています。鮫川村の爆発事故を受けて実施が困難と見て、都路に集約すること
にしたのではないでしょうか。そうであればこの計画は国の都合です。
は市町村で発生したゴミはその自治体で処理することと定めています。しかし
原発事故後 を改正し8,000㏃/ｋｇ以下のゴミは市町村処理と一方的に定めて
市町村に押し付けながら、ある時は国の都合でその一部をかき集めて一か所で処理するとは、
何というご都合主義でしょうか。（原発事故前は市町村で処理するゴミに放射性物質は含めないと定
めていた）
●なぜかき集めるのか？― 国が責任を持つのは8,000㏃/kg超のゴミ（指定廃棄物）です。しか
し濃度の高いゴミだけを燃やすと、焼却灰が高濃度になってしまい扱いが困難になる上、10万
㏃/kgを超えるものは中間貯蔵施設に処分しなければなりません。地元との交渉に時間がかか
る中間貯蔵ではなく、簡便に済ませるため10万㏃/kg以下の灰は富岡町にある既存の民間処
分場に処分することとしました。焼却灰濃度を薄めるためには、焼却処理において放射能濃度
の低いゴミが大量に必要となるため、広くかき集めることにしたのです。「復興のため」ではなく
「国の都合のため」です。
②排ガスは大幅に希釈される？― 環境省は、排ガスに含まれる放射性セシウムを基準値以
下に抑え、さらに大気中で薄まるため非常に大きい安全率がかけられるなどと説明しています。
排ガスの温度は160℃前後のため、温度の異なる大気に希釈されにくく長距離に渡って運ばれ
ることが分かっています。逆に無風状態の時や冬場に発生する接地逆転層下では一定の範囲
に高濃度に滞留します。
●代替案は？―「焼却しなければどうするの？」というのは、加害者から被害者に対する言葉で
はありません。京大原子炉実験所助教の小出裕章氏は「東電第二原発に広大な敷地があるの
でそこへ搬入するのが望ましい」と提案しています。第二原発廃炉を確実にするためにも、私達
はこれを強く求めます。
■区長会の反対決議を無視■
5月28日、環境省は都路の一部の地域に説明会を実施すると通知しました。
開催スケジュールは以下の通りです。
6月7日（土） 都路10区 6月8日（日） 都路9区のうち合子のみ
対象地区の住民は、これまで何度も田村市全体に広く説明会を実施して欲し
いと要望しています。安心安全な施設であり、復興のために必要と説明しながら
なぜ環境省はこのような密室形式でしか実施できないのでしょうか。
昨年9月の区長会による反対決議は全地区の民意です。これら住民の意見を
聞くつもりはないということですから、説明会は事業を行うことの一方通告ではな
いでしょうか。
放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会ニュース vol.6
http://gomif.blog.fc2.com/ 2014.6.4
焼却反対！
廃棄物処理法
放射能特措法

2. ●大量に飛散する埋立作業●
処分場へ運び込まれた焼却灰は運搬車より積み下ろされ、ブル
ドーザーで敷きならして転圧（踏み固める）されます。この間大量
の灰が飛散し、作業員はまともに曝露（ばくろ）することになります。
都路に計画される仮設焼却炉で一日に排出される焼却灰はおよ
そ13トンにのぼります。（一日400トン処理する場合）
この灰は少なくとも3年間一定の量が場内に保管されることにな
ります。高い塀に囲まれた建設予定地では、事故が起きても知ら
れることなく済まされる恐れが否定できません。
風による粒子の動き
(K.Pye,1987 : Aeolian Dust and Dust Deposits,Academic Presss,P49より)
日の出処分場の例
日の出処分場は東京の多摩地区３７０万人のゴミの巨大最終処分場です。処分されているのは
焼却灰とプラスチック、ガラス金属などの不燃ゴミです。この処分場から飛散する焼却灰が、周辺
住民に健康被害をもたらしている実態を長年の調査で明らかにした市民団体「たまあじさいの会」
による調査報告をご紹介します。（たまあじさいの会HP http://www011.upp.so-et.ne.jp/tamaaji/index.html）
●高いガン死亡率と低い男子出生率●
処分場ができる前、日の出町のガン死亡率は全国平均100に対し80と低い数値でした。しかし
処分場ができた後、徐々にその値は高くなり14～15年後には全国平均を4倍以上も上回るように
なりました。また焼却炉や産廃処理施設の周辺で男子出生率の低下が顕著になっていることが
全国的な調査で明らかになっており、日の出町では全国調査を上回る深刻な結果が出ています。
①焼却灰の毒性
焼却灰にはダイオキシンや環境ホルモンなどの化学物質、重金属など、身体に深刻な影響を
及ぼす物質が濃縮、生成されています。これらの多くは体内に蓄積され、生物の食物連鎖によっ
て濃縮され子孫にまでその影響を与えることが知られています。代表的な例として水俣病やイタ
イイタイ病などの四大公害があります。今回はこれに放射性物質が加わります。
②焼却灰の飛散性
●見えないほど小さな灰● 灰の多くは10ミクロン以下という微粒子で、スギ花粉よりも小さいサ
イズです。吸い込んでも花粉のようにすぐに症状は出なくても、高い毒性によって長い時間をか
けてアレルギー･免疫力低下･男子出生減少･ガン死等の症状となってあらわれます。
焼却灰中10ミクロン以上の粒子は重量で60％、10ミクロン以下が40％を占めます。粒子の個数
では10ミクロン以下の方が圧倒的に多く、1ミクロンのものまでさまざまです。5ミクロン以下の粒子
は多くがバグフィルターをすりぬけます。
左図のように２０ミクロンより小さい粒
子は、風に乗って長距離移動します。
すなわち焼却炉や処分場の焼却灰
等の多くは風に乗って浮遊します。
なお、粒径２０ミクロン以下の粒子は
目視できません。目視できるのは、ス
ギ花粉のように30ミクロン以上の粒子
です。スギ花粉でも長距離を浮遊す
ることは周知のとおりです。
処分作業で舞い上がる焼却灰
（関口鉄夫氏提供）