放射性汚染物焼却処分場建設に関する公開質問書(田村市)
- 1. 2014 年 1 月 21 日
田村市長
冨塚 宥暻 殿
放射能汚染物焼却施設建設に関する公開質問書
私達は、環境省が進める県内の放射性廃棄物減容化政策について調査している有志の
会です。東京電力南いわき開閉所における放射能汚染廃棄物の減容化施設建設計画につ
いて、
深刻な危惧を抱いています。
焼却による放射性物質の放出、
再汚染は避けられず、
4 月から都路町内の学校・保育園に通う子供達に影響がないとは到底考えられません。
こ
れまでの環境省による説明は限定された地区のみで行われ、メディア取材も認められず
その内容も明らかにされていません。また説明を受けた住民も少なからず納得していま
せん。
9 月 30 日には区長会で焼却炉反対決議が全員一致で可決され、市長へその旨伝えられ
ましたが、市長はこれを無視して事前調査受け入れを表明しました。事前調査は従来公
共工事を進めるための前段として行われてきたことから、これを受け入れたことは即ち
減容化事業の承認につながりかねません。原発事故による放射性廃棄物の減容化という
世界でも例のない事業を行うに当たり、住民の声を無視して市長が独断的に受入れるこ
とはあってはならないと考えます。
施設受け入れを検討している自治体としては住民の生命、財産を守る自治体の責務に
鑑み住民が納得できるよう説明責任を果たすこと、多大な国費を投じる放射性廃棄物処
理事業として全国から注目を集めている点も考慮し、誠意ある対応を求めます。
ついては以下質問致します。
1.事業計画書はいつ明らかにされますか。
減容化事業計画書及び事前調査計画書を市民が情報開示請求したところ、環境省か
らの提出を受けていないことを理由に不開示とされました。計画書は本来最初に提示
を受けるべきもので、これなくして受け入れ可否の判断はできないはずです。市はこ
れらを本当に取得していないのでしょうか、もしそのようであれば早急に提出を求め
精査した上で住民に説明すべきです。
2.説明が地区限定とされ、メディア取材を入れないのはなぜですか。
排ガスは隣接自治区にのみ留まるものではなく、気象条件や気流等によっては数百
ないし数千キロメートル先へ到達するとされています。また、一日あたり 800~1,200
トンもの地下水を汲み上げるのであれば、当然下流広域に影響が及びます。こうした
重大な問題がありながら地区限定で密室的に進める理由を明らかにすべきです。
3.膨大な放射性物質を処理する危険性また作業員の内部被ばくをどのように考え、説
明しますか。
施設ではいわき市、県北を除く中通り、会津から広く汚染廃棄物を集めて一日 400
- 2. トン処理するとされています。廃棄物は農林業、汚泥、除染から出たもので、特に中
通り、いわきのものは汚染度が高いと推測されます。
分かりやすい事例として塙町のバイオマス発電計画を参照すると、施設は 340 トン/
日処理能力で、ちょうど今回の施設に近い大きさになります。塙町では、焼却する木
質チップは 100 ㏃以下とされていましたが、バグフィルターを通しても 0.3 ㏃/㎥が排
出されると説明されました。排ガスは 69,600 ㎥毎時ですので、一日の排ガス総量に含
まれるセシウムは何と 50 万㏃超という計算になります。
焼却灰は 11.6 トン/日排出され、
2,000 ㏃/kg 程度とされていましたので、
2,320 万㏃
が一日当りの総量となります。これが毎日絶え間なく排出されることになります。
(資
料①)
南いわき開閉所で扱う焼却物が 100 ㏃以下ということは考えられず、実際には数万
ベクレルのものも相当量あるはずですので、とてつもない高濃度の放射性廃棄物を扱
う施設となり、高濃度焼却灰等を扱う作業員の内部被ばくは健康を脅かすレベルとな
ることが予想されます。施設に市民が雇用される可能性もあり、市として作業員の安
全を確保する責任が生じます。
4.農林系廃棄物の推計量が過大であったとの報道について、環境省に説明を求めまし
たか。またどのように説明されますか。
施設で処理が予定されているものの大半が農林系廃棄物とされていますが、県内の
農林系廃棄物の実際の量は環境省推計の 4 割しかなく、現在抱えている農家も特に困
っていないとする事実が昨年 11 月 30 日朝日新聞で報道されました。
(添付②)これに
ついても検証しないまま施設を設置させることは重大な不作為であり、不必要に過大
な施設を建設する可能性も疑われます。焼却対象物についての正確な情報の把握をま
ず行い、きちんと精査、説明すべきではないでしょうか。
以上、勝手ながら 1 月 31 日(金)までにご回答頂くようお願い致します。
以上
放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会
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