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データ表現演習
その後

2013年12月4日(水)
川本 思心

1
おことわり
• このスライドは
– 「データ」の種類や、質問紙調査を中心とした方法、その注
意点などを話題としたCoSTEPの演習「データ表現演習」が元
• 演習その1でNISTEP調査の二次分析の立案、その2で実際に集計
– 基本的にクロス集計レベル。有意差検定まで求めないレベル

• 「その2」のフォローアップで作成したのが本スライド
– 立案に基づき、集計してみる

– 同じデータについて、いくつかのグラフで表現してみる

– ということで、いまいち分からんという部分もありますが、
あしからず
2
ワーク3:NISTEP月例調査(2009-12)を
分析してみよう
• 質問紙をよみ、何のための項目かを考える
• どの項目について、どのように集計するかグルー
プで考える
– 例)月ごとの変化
項目間の比較(クロス集計)などなど

• それで何が明らかになるか?
– どのようなグラフが適切か
3
科学技術に対する
国民意識の変化に関する調査
• NISTEP(文部科学省科学技術・学術政策研究所)
– 2009.11~2012.3毎月ネットモニターに対して調査
– http://data.nistep.go.jp/dspace/handle/11035/1156

「この報告書では、科学技術に対する国民の意識の変化に
ついて、インターネット調査の結果から月単位の短期的に見
た意識の変化を(中略)比較することで、数年単位の中・長期
的に見た意識の変化を報告しています。
このたび、当初が有するデータを幅広く活用いただくことに
より、国内外の科学技術政策研究等へ貢献していくため、イ
ンターネット調査で御回答いただいた個票データ(匿名、.csv
若しくは.xls形式)を公表することとなりました。」
4
5
6
A班案:3.11前後で科学者・技術者に対する信頼は
変化したか。また、地域の違いはあるか
• Q7. 科学者や技術者に対する「信頼」についてお伺いします
– Q7-1. あなたは科学者の話は信頼できると思いますか【4間隔?/単一選択】
– Q7-2. あなたは技術者の話は信頼できると思いますか【4間隔?/単一選択】
1.
2.
3.
4.
5.

信頼できると思う
どちらかといえば信頼できると思う
どちらかといえば信頼できないと思う
信頼できないと思う
わからない

• Q22. あなたのお住まいの都道府県をお答えください
• 47都道府県(1-47)【名義/単一選択】
※Q番号は月によって異なる。この番号は2011年6月調査のもの
7
といってもすべての月で設問が共通ではないので、
できる範囲内での分析に少し修正

A班(改):科学者への信頼
• 3.11前後で変化したのか?
– データがあるのは2010年5~6月,10~11月,2011年4月
~2012年2月
2010年5月、6月、2011年4月、5月、6月を集計
• 2010年10月11月はノーベル賞の影響があり(?)若干肯定的
傾向があるため除外

• 地域差はあるのか?
– 都道府県別に分けると票数が一桁になる県も多い
被害が大きかった地域が他の地域と合算されないよう
に配慮しつつ、票数がある程度均等になるように19地
8
域にまとめる
まずは全国まとめての集計。
形はほぼデフォルトのエクセルグラフ(集合棒グラフ)ですが…

科学者への信頼の変化
2010.5

2010.6

2011.4

2011.5

2011.6

600
500

456

400

300
512
494
200

88 92 22 48
信頼できる

127

110

285

100
0

459
171

39

54 69
どちらかといえば信頼できる

77

どちらかといえば信頼できない

24 24 42 29
信頼できない

38

11789

236
131

わからない

• 集合棒グラフ(縦): 一番初めに目につくのは”どちらかと
言えば信頼できる”が、どの月も最も多いということ

– 月の変化はわかりにくい
横軸に回答項目と月変化の二つの軸が混じっているから
9
じゃあ線グラフがよいかというと…

科学者への信頼の変化
600

信頼できる

500

どちらかといえば信頼できる

400
300

どちらかといえば信頼できない

200

信頼できない

100

わからない

0
2010.5

2010.6

2011.4

2011.5

2011.6

• 折れ線グラフ: 変化はわかりやすいが…
– 月ごとの票数が違うので実数では比較できない
• 一枚前のスライドの棒グラフも同様

– 2010年6月と2011年4月の間は空いているはずが連続
• 折れ線グラフは直接的な連続性をイメージさせるので注意

10
だいぶよくなってきましたが…

科学者への信頼の変化
100%
90%
80%

117
24
54

89
24
69

70%

236

127

29
77

38
110

42

60%

171

50%
40%

131

494

512
459

456

48

39

2011.5

10%

285
92

2010.5

0%

88

2010.6

22
2011.4

信頼できない
どちらかといえ
ば信頼できない
どちらかといえ
ば信頼できる
信頼できる

2011.6

30%
20%

わからない

• 100%積上げグラフ: パーセントにして比較する
• 肯定的回答を青系色、否定的回答を赤系色でまとめる
– それでも否定的回答の月比較がしづらい
基準線がそろっていないから

11
これならOKですが、グレースケールにすると
非常に見づらいかもしれないことに注意

科学者への信頼の変化
100%

24
69

42

90%

24
54

80%

117

89

171

29
77
131

70%
60%
494

459

どちらかといえ
ば信頼できない
わからない

456

285

20%
88

92

2010.5

0%

127

512

30%

10%

信頼できない

236

50%
40%

38
110

2010.6

22
2011.4

48

39

2011.5

どちらかといえ
ば信頼できる
信頼できる

2011.6

• 項目順序の入れ替え:否定的回答を上端にあわせて見やすくする
– 名義尺度であれば、どの項目が重要かで順序を変えるのもOK
※ 本来あるべき選択肢としては、信頼・やや信頼・どちらでもない・やや不信・不信であり、これは間隔
尺度(順序尺度)である。「わからない」は「どちらでもない」と同義ではないが、「わからない」はそもそ
も順序外の選択肢なので中間においてもまぁ…
12
では次に地域別に見てみます。
19地域にまとめましたが、それでも多い!

2010年5月 地域別の信頼
信頼できる

どちらかといえば信頼できる

0%
北海道
東北日本海
東北太平洋
北関東
埼玉
千葉
東京
神奈川
北陸
中部
愛知
三重奈良和歌
京都滋賀
大阪
兵庫
中国山陰
四国
福岡
九州沖縄

20%
4
1

わからない

どちらかといえば信頼できない

40%

60%

80%

23
6

20
18
37

8
15
9

39
70
40
4

11

5

26

4

26
3

18

1

21
6
4
4

6
49
25
20

3
3

4

12
19
18

100%
3

2

2
3
5

信頼できない

3
1
5
1 1
8
1 1
5
3
4
7
2
24
9 4
13
7 1
3
3
6
4
5
2
1 1
6
2
11
5 2
4
4
1
5
4
1
1
2
2
4
1
13
ちなみにスライド15,16のグラフとは
軸が横倒しになってますがあしからず

2010年6月 地域別の信頼
信頼できる

どちらかといえば信頼できる

0%
北海道
東北日本海
東北太平洋
北関東
埼玉
千葉
東京
神奈川
北陸
中部
愛知
三重奈良和歌
京都滋賀
大阪
兵庫
中国山陰
四国
福岡
九州沖縄

20%
3

わからない

どちらかといえば信頼できない

40%

60%

18
4

1

8
26
18

3
11
1

29
28

17
11
3
1
4
5
4
8
6
2
3
2
3

70
62
16
38
31
12
19
35
29
28
6
18
21

80%

信頼できない

100%

6
2

1 1
2
4
3
4
4
1
4
4 1
4
5
1
13
7 1
12
5 1
3
2 1
4
4 1
5
3
3
7
1
3
2
8
3
4
4
9
2
2
5
1
2
2
1
2 1 2
3
5
1
14
震災直後、変化があるようです。
東北は不信傾向がやや強い?

2011年4月 地域別の信頼
信頼できる

どちらかといえば信頼できる

0%
北海道
東北日本海
東北太平洋
北関東
埼玉
千葉
東京
神奈川
北陸
中部
愛知
三重奈良和歌
京都滋賀
大阪
兵庫
中国山陰
四国
福岡
九州沖縄

20%

わからない

どちらかといえば信頼できない

40%

60%

11

8

1
3

12
22
12

23
15
53

35
21

12
12
9
14

13

12

11
2
7

6
8
13

3
9
1
3
2

9
8

24

10

7

10
5

6
7

11
27

3

8
9

8

12

2
2

15

9
14

1
1

2
11
5

40
39

3

2

6

7

4
4

100%

5
4

2

5

1
2
1
1

80%

6

4

信頼できない

8
4

8
5
4

1
2

9
15
もどった?

2011年5月 地域別の信頼
信頼できる

どちらかといえば信頼できる

0%
北海道
東北日本海
東北太平洋
北関東
埼玉
千葉
東京
神奈川
北陸
中部
愛知
三重奈良和歌
京都滋賀
大阪
兵庫
中国山陰
四国
福岡
九州沖縄

わからない

20%

40%

1

どちらかといえば信頼できない

60%

80%

20

100%

7

2

5

14

1

5
67

3

8
16
10
3

29

1

7
12

34
12

1
2
2
4

6
12
6
13

19

3
2

2
9

14

7
6

25
3

2

2

3
11

1
1
5
2

2

3

15
36
14

5

5

17
13
1

44
10

1
2

8
25

11

3
2

32
6

2

1

14
3

1

1

22

3

信頼できない

2
2 1
1
1 1
2
2
3
1
3
2 1
16
といっても一年前より
やや不信傾向なようです

2011年6月 地域別の信頼
信頼できる

どちらかといえば信頼できる

0%
北海道
東北日本海
東北太平洋
北関東
埼玉
千葉
東京
神奈川
北陸
中部
愛知
三重奈良和歌
京都滋賀
大阪
兵庫
中国山陰
四国
福岡
九州沖縄

わからない

20%
2

40%
17

どちらかといえば信頼できない

60%

80%

5

2

8
2

12
30
26
76
56

3
3
9
2

8
13
18
10

18

3
41

9

15

7
21

7
3
4

20

6

2
22

32
12

6
10

1
7

16

28

2
1
1
2

2
9

15

7

2

3

2
1
2

100%

8
2
6

2

13

信頼できない

2
1
7
3

11
2
1
2
5
2
6
3
3
3
1
4
2
9
5
3
1
5
1
3
3
2
6
2

17
5か月分のデータを見やすくするために強引にまとめました。
こういった操作をしなくてよいように事前によく考えて質問紙をつくりましょう

地域別にみた科学者への信頼度の推移
4.50
4.00
3.50

3.00
2.50
2.00
1.50
1.00
0.50

0.00
2010.5

2010.6

2011.4

2011.5

2011.6

北海道
東北日本海
埼玉
東京
神奈川
北陸
中部
愛知
三重奈良和歌
京都滋賀
大阪
兵庫
中国山陰
四国
福岡
九州沖縄
千葉
北関東
東北太平洋

• 情報を減らして折れ線グラフに:回答を得点化して平均点を表示
元:信頼=1、やや信頼=2、やや不信=3、不信=4、わからない=5
後:信頼=5、やや信頼=4、わからない=3、不信=2、やや不信=1
18
「?」をなくして確かなことを言うには
有意差検定をする必要があります。

考察(仮):科学者への信頼
• 震災直後の2011年4月には信頼が低下?
– 2011年5月には概ね元に戻るが、以前より「わからな
い」の回答はやや多くなった?
• NISTEP報告書でも報告済み

• 被災地の信頼の低下は他地域よりやや大きい?
– しかし、その後は他の地域と同様?
このデータに関してはNISTEP報告書で分析されていない

19
B班案:科学情報の提供に対する満足度と、
原発事故情報に関する信頼するメディアの関係
• Q8. (略)科学技術のうち、社会的に影響力の大きいものに
ついての情報が、一般の人々に十分に提供されていると
思いますか。【5間隔?/単一選択】
1.
2.
3.
4.
5.
6.

十分に提供されている
どちらかといえば提供されている
どちらともいえない
あまり提供されていない
全く提供されていない
わからない

20
B班案続き
• Q13. あなたは現在どのような手段で福島第1原子力発電所の事故
の情報を得ていますか。(中略)最も信頼している手段を一つだけ
お選びください。【名義/単一選択】
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.

テレビ
新聞
インターネット(マスコミや官庁のホームページなど、SNS以外のWebサイト)
ラジオ
週刊誌等の一般の雑誌
専門書や学術雑誌
友人・知人(職場の同僚を含む)との会話
家族との会話
Twitterやmixi、FacebookなどのSNS(各種の交流サイト)
その他具体的に
特にない

21
B班案続き
• Q16. (略)大学等が、放射能・放射性物質に関する情報や地震・
原発事故などに関する情報を社会へ発信しようとする場合、どの
ような方法で(中略)促進したらよいと思いますか(中略)。最も適
切な方法と思われるものを一つだけお選びください。 【名義/単一選択】
1. テレビやラジオ等の番組に出演して説明する
2. 新聞に投稿したり、取材を受けて新聞紙上で説明する
3. 雑誌に投稿する
4. インターネットを利用して情報を発信する(研究機関や個人のホームページ上
で説明するなど)
5. 小学校や中学校、高校などに出向いて、体験学習や説明会を開催する
6. 公民館等で説明会を開催する
7. ホール等で大規模な説明会や討論会を開催する
8. その他具体的に
22
設問や選択肢がそろっていない…

B班(改) :メディア評価と選好性
• 社会的に影響力がある科学技術に関する情報の
提供に対する満足度の変化
2011年4月、5月、6月を集計
• 震災以前は設問がない

• 原発事故関連で最も信頼しているメディアと研究者
が発信に利用してほしいメディアの関係
– 上記は同じメディアなのか?
2011年6月のみを集計
• 震災以前と2011年4月、5月には設問がない
23
縦グラフではなく横グラフでもかまいませんが
配色に注意した100%積上げグラフがベストでしょう

影響力の大きな科学技術の情報は
十分に提供されているか
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%

47
54

71
42

47
47

279

278

310

229

210

あまり提供されていない

227

132
15

2010.6

全く提供されていない

どちらともいえない

No Data No Data

2010.5

わからない

131
12

128
11

2011.4

2011.5

どちらかといえば提供さ
れている
十分に提供されている

2011.6

• 肯定的回答が2割、否定的回答が4割程
• 震災3カ月間で変化なし?
24
二つの設問で、選択肢として挙げられているメディアが
異なるので、そのままでは使いにくい。

期待するメディアと信頼しているメディア
テレビ信頼

新聞信頼

ネット(SNS以外)信頼

ラジオ信頼

一般雑誌信頼

専門書・学術雑誌信頼

友人・知人信頼

家族信頼

SNS信頼

その他信頼

なし

0%

10%

20%

テレビ・ラジオ出演希望
テレビ・ラジオ出演期待

公民館説明会希望
公民館説明会期待
大規模説明・討論会希望
大規模説明会・討論会期待
その他希望
その他期待

40%

50%

60%

248

新聞投稿・取材希望
新聞投稿・取材期待
雑誌投稿希望
雑誌投稿期待
ネット発信希望
ネット配信期待
小中高出前授業希望
小中高出前授業期待

30%

70%

80%

66

16

58

39

4

20

3

1

2

67

14
6

5

3

11

5

13
3

1 1
1

7
1

50

1111 5

1

2

4 2 6 212

5

3

1

15
7

1

3 11

100%

922
14
0
2
7

2

7

90%

6
4

2

8

3

• 見づらさの原因
 11×8という選択肢多さ・色の多さ(そもそも二つの設問で選択肢が違う…)
 回答パターンにめだった規則性がない

25
いっそグラフではなく
表にするという手もありますが

期待するメディアと信頼しているメディア
テレビ・ラジオ信頼

新聞信頼

一般・専門雑誌信頼

ネット・SNS信頼

友人・知人信頼

家族信頼

その他信頼

なし

0%

20%

テレビ・ラジオ出演希望
テレビ・ラジオ出演期待
新聞投稿・取材希望
新聞投稿・取材期待
ネット発信希望
雑誌投稿期待

3

39

24

7

14

1

3
13
3

2
4

2

8
6

3
1

50

8

1 5

21

3

5

11

60

69
3

6

100%

1

8

4

公民館説明会希望
公民館説明会期待

80%
66

17

小中高出前授業希望
小中高出前授業期待

その他希望
その他期待

60%

257

雑誌投稿希望
ネット配信期待

大規模説明・討論会希望
大規模説明会・討論会期待

40%

1

2

1 1
1

11

15

7
6

11 2

8

3

• 二つの設問の選択肢をある程度対応するようにまとめる(苦肉の策)
• 注目すべきところだけを強調
– 赤枠: 期待するメディアと信頼しているメディアで同一のメディアが選択されている割合
26
得られた結果は、
また新たな疑問をうみます。

考察(仮):メディア評価と選好性
• 科学技術に関する情報の提供が十分ではないという
否定的回答は約4割あり、震災後3ヶ月間でほぼ変化
がない?
NISTEP報告書でも報告済み

– 科学者への信頼がやや回復したのと対照的?

• 信頼しているメディアと、大学等による情報発信で利用
を期待するメディアを、同じと回答する場合が多い?
NISTEP報告書での分析なし

– 当然と言えば当然でやや解釈しにくい結果
– だが、一致しない人は?
– 例えば、新聞を最も信頼しているが、テレビに期待している、という
回答者はテレビと大学等にどのような役割を期待しているのか?
27
C班案:3.11関連情報に関して信頼するメディアと、
原子力に関する知識程度との関係
• Q13. あなたは現在どのような手段で福島第1原子力発電所の事故
の情報を得ていますか。(中略)最も信頼している手段を一つだけお
選びください。【名義/単一選択】
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
10.
11.

テレビ
新聞
インターネット(マスコミや官庁のホームページなど、SNS以外のWebサイト)
ラジオ
週刊誌等の一般の雑誌
専門書や学術雑誌
友人・知人(職場の同僚を含む)との会話
家族との会話
Twitterやmixi、FacebookなどのSNS(各種の交流サイト)
その他具体的に
特にない

28
C班案続き
• Q17.原子力についてあなたがもっている知識は、世間一般
の人に比べて詳しいほうだと思われますか。 【5間隔?/単一選択】
1.
2.
3.
4.
5.
6.

非常に詳しい
まあ詳しい(世間一般よりは詳しいほう)
どちらともいえない(世間一般なみ)
あまり知らない(世間一般より知らないほう)
ほとんど知らない
その他具体的に

• Q21. 年齢
• 15-69歳【比例/単一選択】

29
なかなか刺激的な仮説です

C班(改) :知識程度と信頼するメディア
• 原子力に関して知識が豊富と自己評価している人
は、原発事故報道においてどのメディアを信頼して
いるのか
– ネット情報を信頼する人は自己評価が高い?
2011年4月のみを集計
• 月変化まで集計するのはちょっと大変なので…

30
メディアの比較のみであればこの形でもよいですが、
これだと知識との関連がわかりにくいのです。

信頼するメディアと知識の関係
非常に詳しい

まあ詳しい

どちらともいえない

あまり知らない

1922

77 1

ほとんど知らない

その他

250
200
150
100

204

50
0

332

94
69

79
119 14
10

77
131 16 1
17

2 1

1411

634

6111 1

4101 2

• テレビと回答する票が多すぎてメディアごとの違いが分かりにくい
 調査目的とあわせて、「テレビ」という大きなカテゴリではなく、適切な分
解能をもつ選択肢を設定すべき
 例: ニュース/ワイドショー/ドキュメンタリー番組 等
31
目がチカチカする!
ガタガタ!

信頼するメディアと知識の関係
非常に詳しい

まあ詳しい

0%

10%

どちらともいえない

20%

テレビ 3 32
新聞 1

60%

70%

80%

31

14

2

7
4

1
1

6

3

6
4

1

1

7

SNS

17

2

2

家族との会話

10

16

9

1

100%

69

77

1

その他

90%

79

専門書・学術雑誌

その他

50%

ほとんど知らない

94

19

一般雑誌
友人・知人

40%

204

ネット(SNS以外) 1
ラジオ

30%

あまり知らない

1
4

11
10

1
1

1
2

• 見づらさの原因
 横方向: 5選択肢の色に規則性がない
 縦方向: 10メディアの並び(5選択肢の割合)に規則性がない

32
テレビは402票、ネット(SNS以外)は143票ですが、
学術誌は15票、友人・知人は7票しかないので注意

信頼するメディアと知識の関係
非常に詳しい

まあ詳しい

0%

どちらともいえない

20%

専門書・学術雑誌

40%

1
1
16

1

1

204

一般雑誌

2

10
69

2

3

1

1

94
9

6

2

14

4

1

1

17

79

テレビ 3 32

家族との会話

1

77

19

友人・知人

100%

10

31

新聞 1

80%

11

4

ネット(SNS以外) 1

その他

7

6

その他

ほとんど知らない

60%

7

SNS

ラジオ

あまり知らない

2

4
1

• 回答傾向順に並び替え
– 選択肢(この場合メディア種類)に順序性、カテゴリ性がなければ並び
替えてもOK
33
受講生Mさんからの疑問です

新たな疑問
• 同じ個人メディアでもウェブネット(SNS)を信頼する人とリ
アルネット(友人)を信頼する人では、知識の自己評価が
異なる傾向がある(前頁赤矢印)
• 原因
1.そもそもSNSと友人ではメディアの性質が異なるから
2.他の要因が影響を与えているから
要因として可能性のある設問でクロス集計してみる
• 年代×メディア
• 年代×知識自己評価
34
メディアと年代で
クロス集計してみると…

各メディアを信頼している年代の構成
10代
0%
専門書・学術雑誌

20代
20%

50代

40%

60代

60%

80%

5
7

その他

ネット(SNS以外)

21

新聞

17

1

3

ラジオ

28

1
4
1

28

59
2

8
27

2
1

1

23

66

1

3

22

15

2

2

2

32

65

2

6

3

テレビ

100%

2

4

友人・知人

一般雑誌

40代

1

SNS

家族との会話

30代

1

1

62

84

3

5
2

2
1

• 非常に見づらい!
– 縦10項目・横6項目6色・各項目の量(幅)、傾向がそろってない
 無理に一つのグラフにまとめなくてもよい。わける。
35
各グラフタイトル横のカッコ内の数字は平均年齢(年代)。
正規分布してないので単純平均は適切な目安にならない場合もあります。

各メディアを信頼している年代の構成
ネット(SNS以外)
(32.0)

0

一般雑誌 (26.7)

50代

40代

30代

0

20代

8

1

2 2

0 1

0

その他 (30.6)

1

テレビ (35.9)

60

27

17 15
13
60代

0

23

50代

0

5

28

40代

1
0

10

30代

20

15

20代

3
2

84

60代

0 0

3

65 66 66 59 62

50代

0
0

40

4

40代

1

4

20

30代

2

2

0 1 1 0
0

1 1

1

25

20代

1

1

80

10代

若
い

3

2

30

3

2

1

新聞 (38.6)

100

4

1

2

3

0

5
3

5

2

10代

0

友人・知人 (22.9)

2

60代

2 2

22

21

28

50代

2

3
5 5

40代

1

60代

50代

40代

30代

20代

10代

0

2 1

10

10代

2
1 2

32 32

3

4

3

4

60代

2

6

ラジオ (42.1)

5

4

20

7

6

5

30

3
4

専門・学術雑誌
(39.3)

6

30代

4

6

40

20代

5

10代

家族 (30.0)

SNS (28.9)
8

• 友人・知人、SNSは若者傾向(友人・知人がより若年傾向)
• ラジオは年配傾向、新聞、テレビはどの年代も信頼
 年代と知識自己評価の関係を見てみる

36

年
配
ちなみに各年代の人数が123~130人とほぼ等しいのは、
そうなるように調査者が回答者を集めたからです。

各年代の知識自己評価
非常に詳しい

まあ詳しい

0%

20%

10代 2

20代 1

17

50代
60代 1

あまり知らない

40%

ほとんど知らない

60%

18
12

54

19

22

24
27

26

76
20

100%

26

62

その他

80%

65

12

30代 1
40代

どちらともいえない

21
24
23

70
80

12 1
12 1
16

11

∴ウェブネット(SNS)利用者とリアルネット(友人)利用者で
知識自己評価が異なったのは、後者がより若年であり、
若年者は自己評価が低い傾向があるため?
37
繰り返しますが差があるかは検定しなければわかりません。
下の図もあくまで仮のモデル。

考察(仮):知識程度と信頼するメディア
• ネットメディアを信頼している人は、原子力に関する知識の
程度について自己評価が高い傾向がある?
• ウェブネット信頼者とリアルネット(友人)信頼者で自己評価
が異なったのは、後者がより若年であり、若い人は自己評
価が低い傾向があるため?
ネットメディア
信頼

+

知識
自己評価

+

-
年齢

 これらの分析はNISTEP報告書で行われていない
※ 2011年4月は震災直後であるということをふまえて解釈する必要がある。他の月
のデータ、さらには先行研究も参照したほうがよい
38
まとめ
• データの「選別」と「下ごしらえ」はそれなりの作業
• 何を一番伝えたいかで選択すべきグラフのタイプ、表
現は異なってくる
– データのポイントを理解できていないと見づらいグラフになる

• 適切な観点をもてば、クロス集計だけでも新たな情報
を得られる(こともある)
– 解釈できない(しにくい)情報が出てくるだけの場合も

• なぜその分析をしたのか
– そのデータを社会に出すことの意味(作用)を常に考える
39
参考文献
• 文部科学省科学技術政策研究所
– 『科学技術に関する意識調査』インターネット調査(2009年11月
~2012年3月)の個票データ
• http://www.nistep.go.jp/research/the-relationship-of-science-andtechnology-with-society/public-attitudes-survey-result

– 報告書
• http://data.nistep.go.jp/dspace/handle/11035/1156

分析原案の作成
• 北海道大学CoSTEP 2013年度本科生
– 「データ表現演習」出席者
40

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