そこで、本研究におけるモチベーションですが、現在存在している計算資源、PCやワークステーションなどを、もっと有効に利用できるのではないか、バイオインフォマティクスなどにおける大量データ処理などに有効に使えるのではないか、と考えました。 具体的には、ユーザーが利用していないデスクトップ PC などの CPU 時間を使って分散処理をさせる「遊休リソースコンピューティング」の手法と、 PC クラスタなど、比較的密な環境において利用されている PC クラスタ用 HPC アプリケーションをハイブリッド化することで、計算処理専用に設計された PC クラスタなどではない、デスクトップ PC から、大規模な演算処理の性能を引き出せるのではないかと考えました。 そして、実際に、そのようなシステムでどの程度のパフォーマンスを得ることができるのか、また、どのような制約があって、何を考慮する必要があるのか、といったことを明らかにしたいと考えました。
そこで具体的な本研究の目的ですが、遊休リソースコンピューティングと、 PC クラスタなどの HPC アプリケーションをハイブリッド化したシステムを設計、実装し、パフォーマンス、スケーラビリティの評価を、既存の分散技術と比較することとしました。 利用するアプリケーションに関しては、バイオインフォマティクスで利用されているアプリケーションを用います。その理由は、処理するデータサイズが大きいこと、またアプリケーションが比較的シンプルであることが挙げられます。 これらの実証や評価を行うことによって、遊休リソースを用いたコンピューティング、つまりコモディティ化したハードウェア資源のパフォーマンスを最大限有効に利用するための、パフォーマンスやスケーラビリティについての知見が得られるものと考えております。