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CMS Conference 2008


CMSは何年間使えるのか?
コーポレートサイトにおける
CMS導入のすべてを教えます


                      2008-11-26
      楽天株式会社 編成部
                              清水 誠


      © 2008 Makoto Shimizu          1
CMS Conference 2008


   概要
   企業におけるWebの重要性は高まるばかりだ。製品やサービスに関する
   リッチで新鮮なコンテンツの掲載が売上を左右する一方、業務に直結し
   たWebアプリケーションも増えつつある。
         Web知識の少ないコンテンツオーナーが投入するコンテンツ
         の品質を確保するにはどうしたらいいのか?
         静的ページと動的システムでコンテンツを共有する方法は?
         サイト規模の拡大を見越した対策の落とし所は?
         CMSは何年間使えるのか?
   コーポレイトサイトならではの要件を整理しつつ、コンテンツの効果的な
   管理方法やCMSの使いこなし術について、筆者の経験や世界のトレンド
   を交えてご紹介する。




                      © 2008 Makoto Shimizu   2 / 33
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   自己紹介(CMS関連の知識経験)

   1. Web暦13年:マーケ・制作・開発・IA
      コンテンツ制作・管理の現場を体験
   2. 最近は事業者側において
      立ち上げや改善プロジェクトを推進中
   3. US最先端のコンテンツ管理(ECM)を
      日本主導で立ち上げた経験
   4. 個人サイトでOSSのブログ・CMSを実験




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   Agenda

   1.   「コンテンツ」とは?
          コンテンツとデータの違い
          後回しにされてきたコンテンツ管理
   2.   「管理」の意義
          管理できていますか?
          例:株価が急落
   3.   CMS使いこなし術 ×7
          背景、対策、推奨アプローチ
   4.   成功するコンテンツ管理のために
   5.   参考



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   「コンテンツ」とは?

      人から人へ伝えるための情報
      非定型・非構造型
      変化する生物
         相手や時期、目的、見せ方によって変化
         編集を加え続ける必要がある
      バリエーションやバージョン等の派生物が多い


            コンテンツは管理が難しい

                      © 2008 Makoto Shimizu   5 / 33
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   後回しにされてきたコンテンツ管理

   データ:         扱いやすいためシステム化が進行
   コンテンツ: 箱(ファイルサーバ)だけ用意
         「クリエイティブな人間に任せておこう」
         「手作業や運用でカバーできる」
                      ところが…
       コンテンツの量や多様性、重要度が増大

       高まるニーズを受けてソリューションが発達


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   Webコンテンツは管理できていますか?

      全ページ数/ファイル数を常に把握している

      オーナー不明のコンテンツは1ページも無い

      Webサーバ上に不要ファイルがひとつも無い

      どの画像がどこで使われているか調べられる

      価値の低くなったコンテンツを特定できる


   コンテンツは管理が難しいという認識が必要


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   例:コンテンツの管理不足で株価が急落

   あるサイトに誤って再掲載された6年前の記事がク
   ロールされ、Googleニュースに掲載された




                                              一気に3ドルまで
                                               下落(700%)

                                          株価が急落

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   CMS使いこなし術


      1.   公開終了・廃棄まで管理する
      2.   素材をアセット化する
      3.   コンテンツを部品化する
      4.   他のシステムと連携させる
      5.   コンテンツの品質を高める仕組みづくり
      6.   コンテンツ管理を分担する
      7.   貯めるべきはコンテンツ。システムではない



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   1.公開終了・廃棄まで管理する

   背景
      公開(追加と更新)しか管理していない場合が多い
      貯める一方では長期的な管理ができない




                      © 2008 Makoto Shimizu   10 / 33
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   1.公開コンテンツ以外も管理する

   対策
    公開終了後の保管・アーカイブ・廃棄まで管理する

            作成         配信          保管                廃棄

      オーナーと期限を設定し、
                           期限を設定
           オーナーは定期的に棚卸しを行う
                           =コンテンツの
           退職や異動時は必ず引継ぎを行う 価値を明確にする
              内容       ページ数        更新頻度          オーナー         保管期間
       1   会社情報         1         3ヶ月         社長室 A.T     ∞
       3   プレスリリース一覧    15        3日          広報部 C.S     3年間
       6   製品紹介         1         2~3週間       マーケ M.S     ∞
       7   製品カタログ       32        2~3週間       マーケ T.A     販売終了後
                                                          6ヶ月


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   2.素材をアセット化する

   背景
      デバイスや実装技術が増えて複雑化する一方、発信するコ
      ンテンツはあまり変わらない 使い回しが増えている
      原稿や素材の方がより頻繁に編集され、派生していく
      デジタル情報は複製が簡単だが、変更や維持管理のコスト
      が上昇、情報漏えいや誤配信も増えていく
               管理・制作コスト




                               コンテンツの量
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   2.素材をアセット化する

   対策
    メディアやページに依存しない汎用的な素材を作る
      画像は高解像度、レイヤーを残す
    同じものは一元管理
    何がどこで使われているかを把握する
             アセット           レイアウト




                      © 2008 Makoto Shimizu   13 / 33
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   参考:DAM(デジタルアセット管理)を使うと…

      メタデータ検索や関連付け、自動変換が可能




   変換前        1.余白を    2.縮小              3.サイズ   4.JPEG
   TIFF        除去       回転                拡大      変換

 レイヤー追加、ウォーターマーク追加、XMP抽出なども

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   3.コンテンツを部品化する

   背景
      ページ管理 と コンテンツ管理 は異なる
      細分化は手間がかかり、メンテが大変

         タイトル               タイトル
                             リード
          本文                 本文
                             関連

        ブログ                 CMS


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   3.コンテンツを部品化する

   対策
    コンテンツ構造を柔軟に変更できるCMSを選ぶ
         構造の定義をGUIで行える
          • DB構造を意識する必要がない
       ネックになるのは既存コンテンツの移行
      テキストの構造化はXMLが便利
         トピックベースのDITAが有望?
      テンプレートの部品化も必要


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   参考:コンテンツの整理と部品化は時間がかかる

      コンテンツの定義・収集・整理・加工・入力に2年

  2004       2005          2006                 2007         2008

標準化                   DAM

                 コンテンツのアセット化

                         プロセスの定義と改善

                                              配信の自動化
                                              (WCM・DTP)
                                                       WCM

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   4.他のシステムと連携させる

   背景
    サイトがビジネスに直結。ECやCRM、基幹連動、
    コミュニティ機能など、動的なページは増える一方
    静的なページのみをCMSで管理するのは消極的
      静的・動的を問わず、コンテンツを一元管理したい
                                              Web
          DBや基幹

                                              Webアプリ
       一括インポート

           PC/Mac                             DTP
                           リポジトリ

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   4.他のシステムと連携させる
   対策
      動的プログラムに対してコンテンツを受け渡す
         XML変換して配信、 アプリやAJAXから読み込む



                HTML
        CMS            Web


                 XML
                              アプリ




                       © 2008 Makoto Shimizu   19 / 33
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   4.他のシステムと連携させる
   対策
      動的プログラムに対してコンテンツを受け渡す
         XML変換して配信、 アプリやAJAXから読み込む
         配信時にDB更新できるECM系のCMSを使う


        CMS                Web



                                  アプリ
                      DB


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   4.他のシステムと連携させる
   対策
      動的プログラムに対してコンテンツを受け渡す
         XML変換して配信、 アプリやAJAXから読み込む
         配信時にDB更新できるECM系のCMSを使う
         コンテンツ入出力のAPI(REST等)を用意する

                                              Web
        CMS           Web
                               API
            API
                                                他の
                                                システム
                              アプリ
                                                       DTP


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   4.他のシステムと連携させる
   対策
      保管リポジトリと変換・配信機能を分離する
      プログラムとして配信する
         例:プログラム部分をテンプレート化し、
         PHPファイルとして配信する

                           WCM                HTML

             リポジトリ
                                              PHP


             保管・管理        変換・配信
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   5.コンテンツの品質を高める仕組みづくり
   背景
    入力
      リッチテキストエディタを使うと無法状態に
    ワークフロー
      承認を行ったのに、確認不足で事故が発生
      誰が何をどうレビューするのかが不明確
      レビューや承認のワークフローが形骸化
      自分でレビューし自分で承認?




                      © 2008 Makoto Shimizu   23 / 33
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   5.コンテンツの品質を高める仕組みづくり
   対策
    リッチテキスト(WYSIWYG)エディタは、使えるボタンをカス
    タマイズする
      <b>ではなく<strong>
      CSS対応
    項目ごとに使えるスタイルをON/OFFできるCMSを使う
      例:概要文は太字のみ、本文は表・リストも許容




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   5.コンテンツの品質を高める仕組みづくり
   対策
    差分をレビューできるようにする
    レビュー結果をビジュアルで効率よく伝える
    ワークフローはボトルネックにならないように、スキップや事
    後レビュー版も用意する




                      © 2008 Makoto Shimizu   25 / 33
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   参考:無料でも使えるアノテーション




                      9つのツールをWeb担当者フォーラムにて紹介予定
                         © 2008 Makoto Shimizu   26 / 33
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   6.コンテンツ管理を分担する

   背景
      コンテンツオーナーがコンテンツを直接投入すれば公開時
      間を短縮できる?実際は難しい
      制作部門がボトルネックになりがち。依頼側は原稿が遅れ
      て不完全、丸投げでレビューしない、度重なるASAP指定。
      受ける側は長時間労働、被害者意識を持つ
      依頼者は自己責任でコンテンツの管理業務を担うべき
   対策
      プロセスを固めてから管理を引き継ぐ
      社内サポート体制を確立する


                      © 2008 Makoto Shimizu   27 / 33
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   7.貯めるべきはコンテンツ。システムではない

   背景
    M&A、会社や組織の統廃合、サービスや会社の
    新規立ち上げなど、ビジネスは急速に変化してい
    る。マーケティング手法や技術も進化しつつある
    大規模なCMS導入の結果、テンプレートやワーク
    フローが変更しにくくなるのは好ましくない
      システムや機能を貯めると、足かせになってしまう




                      © 2008 Makoto Shimizu   28 / 33
CMS Conference 2008


   7.貯めるべきはコンテンツ。システムではない
   対策
    変更に強いCMSを選ぶ
         サイト構造やデザインテンプレートの変更・テストをシミュ
         レートし、時間とコストを下げておく。手順が明確、リスク
         が少ない、作業量が少ない、は変更を奨励する条件
      乗換えを想定しておく
        構造化されたコンテンツを取り出す方法を選定・導入前
        に確認しておく
      CMSを無理に一本化しない。Best of Breed戦略(サイトごと
      に最適なCMSを入れる)
      CMSにすべてを求めない

                      © 2008 Makoto Shimizu   29 / 33
CMS Conference 2008


   成功するコンテンツ管理のために

      完璧な要件定義は不可能、と理解する
      手探りで少しずつ。ただしビジョンは大きく
       人間の想像には限界がある
      機能や技術はドライに使いこなす
       フェーズを分けて導入
      運用が重要。継続的な改善を
       思い入れを持たない
       サイトやプロセス、意識を進化させていく
      変化を受け入れる
       導入は一瞬、運用は永続的
      事業者側が主体的・戦略的に推進すべき
       変化は良いこと、という意識を
         丸投げは失敗の元
         事業や運用を最も理解できるのは事業者自身


                      © 2008 Makoto Shimizu   30 / 33
CMS Conference 2008


   参考:主体的・戦略的な取り組みの事例

      全社的なグローバル展開
       US本社に提案し、グローバルプロジェクト化
         外圧をテコに国内でも推進を強化
      組織体制を変更
         アセットの制作・管理・活用を分割
         個人の評価システムとの連動




                      © 2008 Makoto Shimizu   31 / 33
CMS Conference 2008


   参考:主体的・戦略的な取り組みの事例

      積極的なメディア展開のための先行投資
           アセットを蓄積し、効率良いメディア展開を可能に
           シングルソース、CRM、デジタル化の推進
        制作・管理のコスト




                                              投資するほど
                                              有効活用できる


                                   コンテンツの量
                      © 2008 Makoto Shimizu             32 / 33
CMS Conference 2008


   ご清聴ありがとうございました

      ご意見・ご感想・ご質問は「実践CMS★IA」まで
      http://www.cms-ia.info
      より詳しい内容に関しては、
      他の著書もご参照ください(次項)




                      © 2008 Makoto Shimizu   33 / 33
CMS Conference 2008


   著書
   MdN Web STRATEGY
      『実践CMS導入・運用ガイド』
       http://www.mdn.co.jp/content/blank/101/149/
       1.    CMSの要件は何を定義すべき?
       2.    ツールの評価から運用上の問題点を見極めよう
       3.    CMSで解決できる分類・ナビゲーションの課題とは
       4.    ドキュメント管理で生産性をUP
       5.    ワークフローの本当の意義とは
       6.    資産としてのテンプレート
       7.    複雑化するサイト配信
       8.    DAMとCMSでシングルソースを実現
       9.    コンテンツ移行をスムーズに進めるためのプランニング
       10.   使いやすさの最先端?気になる3種類のCMSをレビュー
       11.   SOA流のCMS連携術
       12.   ECMの本命?ようやく動き出したOracleのCMSを徹底レビュー
       13.   CMSの真価はコンテンツの構造化にあり

                                 © 2008 Makoto Shimizu   34 / 33
CMS Conference 2008


   著書
   Web担当者Forum
       『ステップ式!CMS活用はじめの一歩』
       http://web-tan.forum.impressrd.jp/l/2499
       1.   コンテンツの理解から始める導入準備
       2.   ベンダーよりもCMSに詳しくなる!
            4つのステップで進めるCMSの情報収集
       3.   CMS導入の提案を社内で通すための7つの説得手法
       4.   RFPでは失敗する? CMSをうまく選ぶためのチェックリスト
       5.   CMSの可能性を最大化するためのWeb担当者の心得
       6.   CMS導入でのコンテンツ移行を成功させるポイント
       7.   CMS導入はゴールではなくスタート、その「運用」の秘訣とは
       『Webのレビューに便利なオンライン付箋ツール』
       http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2009/02/20/4875
                                © 2008 Makoto Shimizu        35 / 33
CMS Conference 2008


   著書
   ロフトワーク WebEXP.jp
       『CMSとIA〜デジタル時代を生き抜く情報整理術』
       1.   CMSとIAの接点:溢れる情報を整理しよう
            http://www.webexp.jp/feature/200811/20081125_cmsia1.html

       2.   コンテンツ管理の本質:リポジトリとは
            http://www.webexp.jp/feature/200902/20090203_cmsia2_1.html

       3.   大量の音楽ファイル(MP3)をCMS流に管理する
            http://www.webexp.jp/feature/200906/20090629_cmsia3.html




                              © 2008 Makoto Shimizu                      36 / 33

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CMSは何年間使えるのか?コーポレートサイトにおけるCMS導入のすべてを教えます(CMS Conference 2008)

  • 2. CMS Conference 2008 概要 企業におけるWebの重要性は高まるばかりだ。製品やサービスに関する リッチで新鮮なコンテンツの掲載が売上を左右する一方、業務に直結し たWebアプリケーションも増えつつある。 Web知識の少ないコンテンツオーナーが投入するコンテンツ の品質を確保するにはどうしたらいいのか? 静的ページと動的システムでコンテンツを共有する方法は? サイト規模の拡大を見越した対策の落とし所は? CMSは何年間使えるのか? コーポレイトサイトならではの要件を整理しつつ、コンテンツの効果的な 管理方法やCMSの使いこなし術について、筆者の経験や世界のトレンド を交えてご紹介する。 © 2008 Makoto Shimizu 2 / 33
  • 3. CMS Conference 2008 自己紹介(CMS関連の知識経験) 1. Web暦13年:マーケ・制作・開発・IA コンテンツ制作・管理の現場を体験 2. 最近は事業者側において 立ち上げや改善プロジェクトを推進中 3. US最先端のコンテンツ管理(ECM)を 日本主導で立ち上げた経験 4. 個人サイトでOSSのブログ・CMSを実験 © 2008 Makoto Shimizu 3 / 33
  • 4. CMS Conference 2008 Agenda 1. 「コンテンツ」とは? コンテンツとデータの違い 後回しにされてきたコンテンツ管理 2. 「管理」の意義 管理できていますか? 例:株価が急落 3. CMS使いこなし術 ×7 背景、対策、推奨アプローチ 4. 成功するコンテンツ管理のために 5. 参考 © 2008 Makoto Shimizu 4 / 33
  • 5. CMS Conference 2008 「コンテンツ」とは? 人から人へ伝えるための情報 非定型・非構造型 変化する生物 相手や時期、目的、見せ方によって変化 編集を加え続ける必要がある バリエーションやバージョン等の派生物が多い コンテンツは管理が難しい © 2008 Makoto Shimizu 5 / 33
  • 6. CMS Conference 2008 後回しにされてきたコンテンツ管理 データ: 扱いやすいためシステム化が進行 コンテンツ: 箱(ファイルサーバ)だけ用意 「クリエイティブな人間に任せておこう」 「手作業や運用でカバーできる」 ところが… コンテンツの量や多様性、重要度が増大 高まるニーズを受けてソリューションが発達 © 2008 Makoto Shimizu 6 / 33
  • 7. CMS Conference 2008 Webコンテンツは管理できていますか? 全ページ数/ファイル数を常に把握している オーナー不明のコンテンツは1ページも無い Webサーバ上に不要ファイルがひとつも無い どの画像がどこで使われているか調べられる 価値の低くなったコンテンツを特定できる コンテンツは管理が難しいという認識が必要 © 2008 Makoto Shimizu 7 / 33
  • 8. CMS Conference 2008 例:コンテンツの管理不足で株価が急落 あるサイトに誤って再掲載された6年前の記事がク ロールされ、Googleニュースに掲載された 一気に3ドルまで 下落(700%) 株価が急落 © 2008 Makoto Shimizu 8 / 33
  • 9. CMS Conference 2008 CMS使いこなし術 1. 公開終了・廃棄まで管理する 2. 素材をアセット化する 3. コンテンツを部品化する 4. 他のシステムと連携させる 5. コンテンツの品質を高める仕組みづくり 6. コンテンツ管理を分担する 7. 貯めるべきはコンテンツ。システムではない © 2008 Makoto Shimizu 9 / 33
  • 10. CMS Conference 2008 1.公開終了・廃棄まで管理する 背景 公開(追加と更新)しか管理していない場合が多い 貯める一方では長期的な管理ができない © 2008 Makoto Shimizu 10 / 33
  • 11. CMS Conference 2008 1.公開コンテンツ以外も管理する 対策 公開終了後の保管・アーカイブ・廃棄まで管理する 作成 配信 保管 廃棄 オーナーと期限を設定し、 期限を設定 オーナーは定期的に棚卸しを行う =コンテンツの 退職や異動時は必ず引継ぎを行う 価値を明確にする 内容 ページ数 更新頻度 オーナー 保管期間 1 会社情報 1 3ヶ月 社長室 A.T ∞ 3 プレスリリース一覧 15 3日 広報部 C.S 3年間 6 製品紹介 1 2~3週間 マーケ M.S ∞ 7 製品カタログ 32 2~3週間 マーケ T.A 販売終了後 6ヶ月 © 2008 Makoto Shimizu 11 / 33
  • 12. CMS Conference 2008 2.素材をアセット化する 背景 デバイスや実装技術が増えて複雑化する一方、発信するコ ンテンツはあまり変わらない 使い回しが増えている 原稿や素材の方がより頻繁に編集され、派生していく デジタル情報は複製が簡単だが、変更や維持管理のコスト が上昇、情報漏えいや誤配信も増えていく 管理・制作コスト コンテンツの量 © 2008 Makoto Shimizu 12 / 33
  • 13. CMS Conference 2008 2.素材をアセット化する 対策 メディアやページに依存しない汎用的な素材を作る 画像は高解像度、レイヤーを残す 同じものは一元管理 何がどこで使われているかを把握する アセット レイアウト © 2008 Makoto Shimizu 13 / 33
  • 14. CMS Conference 2008 参考:DAM(デジタルアセット管理)を使うと… メタデータ検索や関連付け、自動変換が可能 変換前 1.余白を 2.縮小 3.サイズ 4.JPEG TIFF 除去 回転 拡大 変換 レイヤー追加、ウォーターマーク追加、XMP抽出なども © 2008 Makoto Shimizu 14 / 33
  • 15. CMS Conference 2008 3.コンテンツを部品化する 背景 ページ管理 と コンテンツ管理 は異なる 細分化は手間がかかり、メンテが大変 タイトル タイトル リード 本文 本文 関連 ブログ CMS © 2008 Makoto Shimizu 15 / 33
  • 16. CMS Conference 2008 3.コンテンツを部品化する 対策 コンテンツ構造を柔軟に変更できるCMSを選ぶ 構造の定義をGUIで行える • DB構造を意識する必要がない ネックになるのは既存コンテンツの移行 テキストの構造化はXMLが便利 トピックベースのDITAが有望? テンプレートの部品化も必要 © 2008 Makoto Shimizu 16 / 33
  • 17. CMS Conference 2008 参考:コンテンツの整理と部品化は時間がかかる コンテンツの定義・収集・整理・加工・入力に2年 2004 2005 2006 2007 2008 標準化 DAM コンテンツのアセット化 プロセスの定義と改善 配信の自動化 (WCM・DTP) WCM © 2008 Makoto Shimizu 17 / 33
  • 18. CMS Conference 2008 4.他のシステムと連携させる 背景 サイトがビジネスに直結。ECやCRM、基幹連動、 コミュニティ機能など、動的なページは増える一方 静的なページのみをCMSで管理するのは消極的 静的・動的を問わず、コンテンツを一元管理したい Web DBや基幹 Webアプリ 一括インポート PC/Mac DTP リポジトリ © 2008 Makoto Shimizu 18 / 33 15:10
  • 19. CMS Conference 2008 4.他のシステムと連携させる 対策 動的プログラムに対してコンテンツを受け渡す XML変換して配信、 アプリやAJAXから読み込む HTML CMS Web XML アプリ © 2008 Makoto Shimizu 19 / 33
  • 20. CMS Conference 2008 4.他のシステムと連携させる 対策 動的プログラムに対してコンテンツを受け渡す XML変換して配信、 アプリやAJAXから読み込む 配信時にDB更新できるECM系のCMSを使う CMS Web アプリ DB © 2008 Makoto Shimizu 20 / 33
  • 21. CMS Conference 2008 4.他のシステムと連携させる 対策 動的プログラムに対してコンテンツを受け渡す XML変換して配信、 アプリやAJAXから読み込む 配信時にDB更新できるECM系のCMSを使う コンテンツ入出力のAPI(REST等)を用意する Web CMS Web API API 他の システム アプリ DTP © 2008 Makoto Shimizu 21 / 33
  • 22. CMS Conference 2008 4.他のシステムと連携させる 対策 保管リポジトリと変換・配信機能を分離する プログラムとして配信する 例:プログラム部分をテンプレート化し、 PHPファイルとして配信する WCM HTML リポジトリ PHP 保管・管理 変換・配信 © 2008 Makoto Shimizu 22 / 33
  • 23. CMS Conference 2008 5.コンテンツの品質を高める仕組みづくり 背景 入力 リッチテキストエディタを使うと無法状態に ワークフロー 承認を行ったのに、確認不足で事故が発生 誰が何をどうレビューするのかが不明確 レビューや承認のワークフローが形骸化 自分でレビューし自分で承認? © 2008 Makoto Shimizu 23 / 33
  • 24. CMS Conference 2008 5.コンテンツの品質を高める仕組みづくり 対策 リッチテキスト(WYSIWYG)エディタは、使えるボタンをカス タマイズする <b>ではなく<strong> CSS対応 項目ごとに使えるスタイルをON/OFFできるCMSを使う 例:概要文は太字のみ、本文は表・リストも許容 © 2008 Makoto Shimizu 24 / 33
  • 25. CMS Conference 2008 5.コンテンツの品質を高める仕組みづくり 対策 差分をレビューできるようにする レビュー結果をビジュアルで効率よく伝える ワークフローはボトルネックにならないように、スキップや事 後レビュー版も用意する © 2008 Makoto Shimizu 25 / 33
  • 26. CMS Conference 2008 参考:無料でも使えるアノテーション 9つのツールをWeb担当者フォーラムにて紹介予定 © 2008 Makoto Shimizu 26 / 33
  • 27. CMS Conference 2008 6.コンテンツ管理を分担する 背景 コンテンツオーナーがコンテンツを直接投入すれば公開時 間を短縮できる?実際は難しい 制作部門がボトルネックになりがち。依頼側は原稿が遅れ て不完全、丸投げでレビューしない、度重なるASAP指定。 受ける側は長時間労働、被害者意識を持つ 依頼者は自己責任でコンテンツの管理業務を担うべき 対策 プロセスを固めてから管理を引き継ぐ 社内サポート体制を確立する © 2008 Makoto Shimizu 27 / 33
  • 28. CMS Conference 2008 7.貯めるべきはコンテンツ。システムではない 背景 M&A、会社や組織の統廃合、サービスや会社の 新規立ち上げなど、ビジネスは急速に変化してい る。マーケティング手法や技術も進化しつつある 大規模なCMS導入の結果、テンプレートやワーク フローが変更しにくくなるのは好ましくない システムや機能を貯めると、足かせになってしまう © 2008 Makoto Shimizu 28 / 33
  • 29. CMS Conference 2008 7.貯めるべきはコンテンツ。システムではない 対策 変更に強いCMSを選ぶ サイト構造やデザインテンプレートの変更・テストをシミュ レートし、時間とコストを下げておく。手順が明確、リスク が少ない、作業量が少ない、は変更を奨励する条件 乗換えを想定しておく 構造化されたコンテンツを取り出す方法を選定・導入前 に確認しておく CMSを無理に一本化しない。Best of Breed戦略(サイトごと に最適なCMSを入れる) CMSにすべてを求めない © 2008 Makoto Shimizu 29 / 33
  • 30. CMS Conference 2008 成功するコンテンツ管理のために 完璧な要件定義は不可能、と理解する 手探りで少しずつ。ただしビジョンは大きく 人間の想像には限界がある 機能や技術はドライに使いこなす フェーズを分けて導入 運用が重要。継続的な改善を 思い入れを持たない サイトやプロセス、意識を進化させていく 変化を受け入れる 導入は一瞬、運用は永続的 事業者側が主体的・戦略的に推進すべき 変化は良いこと、という意識を 丸投げは失敗の元 事業や運用を最も理解できるのは事業者自身 © 2008 Makoto Shimizu 30 / 33
  • 31. CMS Conference 2008 参考:主体的・戦略的な取り組みの事例 全社的なグローバル展開 US本社に提案し、グローバルプロジェクト化 外圧をテコに国内でも推進を強化 組織体制を変更 アセットの制作・管理・活用を分割 個人の評価システムとの連動 © 2008 Makoto Shimizu 31 / 33
  • 32. CMS Conference 2008 参考:主体的・戦略的な取り組みの事例 積極的なメディア展開のための先行投資 アセットを蓄積し、効率良いメディア展開を可能に シングルソース、CRM、デジタル化の推進 制作・管理のコスト 投資するほど 有効活用できる コンテンツの量 © 2008 Makoto Shimizu 32 / 33
  • 33. CMS Conference 2008 ご清聴ありがとうございました ご意見・ご感想・ご質問は「実践CMS★IA」まで http://www.cms-ia.info より詳しい内容に関しては、 他の著書もご参照ください(次項) © 2008 Makoto Shimizu 33 / 33
  • 34. CMS Conference 2008 著書 MdN Web STRATEGY 『実践CMS導入・運用ガイド』 http://www.mdn.co.jp/content/blank/101/149/ 1. CMSの要件は何を定義すべき? 2. ツールの評価から運用上の問題点を見極めよう 3. CMSで解決できる分類・ナビゲーションの課題とは 4. ドキュメント管理で生産性をUP 5. ワークフローの本当の意義とは 6. 資産としてのテンプレート 7. 複雑化するサイト配信 8. DAMとCMSでシングルソースを実現 9. コンテンツ移行をスムーズに進めるためのプランニング 10. 使いやすさの最先端?気になる3種類のCMSをレビュー 11. SOA流のCMS連携術 12. ECMの本命?ようやく動き出したOracleのCMSを徹底レビュー 13. CMSの真価はコンテンツの構造化にあり © 2008 Makoto Shimizu 34 / 33
  • 35. CMS Conference 2008 著書 Web担当者Forum 『ステップ式!CMS活用はじめの一歩』 http://web-tan.forum.impressrd.jp/l/2499 1. コンテンツの理解から始める導入準備 2. ベンダーよりもCMSに詳しくなる! 4つのステップで進めるCMSの情報収集 3. CMS導入の提案を社内で通すための7つの説得手法 4. RFPでは失敗する? CMSをうまく選ぶためのチェックリスト 5. CMSの可能性を最大化するためのWeb担当者の心得 6. CMS導入でのコンテンツ移行を成功させるポイント 7. CMS導入はゴールではなくスタート、その「運用」の秘訣とは 『Webのレビューに便利なオンライン付箋ツール』 http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2009/02/20/4875 © 2008 Makoto Shimizu 35 / 33
  • 36. CMS Conference 2008 著書 ロフトワーク WebEXP.jp 『CMSとIA〜デジタル時代を生き抜く情報整理術』 1. CMSとIAの接点:溢れる情報を整理しよう http://www.webexp.jp/feature/200811/20081125_cmsia1.html 2. コンテンツ管理の本質:リポジトリとは http://www.webexp.jp/feature/200902/20090203_cmsia2_1.html 3. 大量の音楽ファイル(MP3)をCMS流に管理する http://www.webexp.jp/feature/200906/20090629_cmsia3.html © 2008 Makoto Shimizu 36 / 33