More Related Content
Similar to 金融論 1/3 - 午前中 (20)
More from Yukio Saito (20)
金融論 1/3 - 午前中
- 1. 金融論 1/3 – 午前中
金融論 谷川孝美先生(日本大学商学部)
2011/08/15
配布資料は2種類:金融論、 BOJ 基準割引率および基準貸付利率(従来の公定歩合)の推移
// 金融論の基礎知識から始めて、中央銀行の金融機能へ。
// 授業の進め方で無駄があるというご指摘があるかも知れないが、基礎を押さえないと後々困ることも
// 出てくるので予めご了承願いたい。
// わからないことが出たら質問ください。授業の妨げになるとは思っていない、ただ質問がうまくできない方
// であっても気になさらず、電子メールでも。
// 学習に役立つ参考資料は図書館で利用できるものを案内できる
■1日目 金融論の基礎の確認
貨幣とは何か、金利
1
- 2. 金融論 1/3 – 午前中
■日銀の介入資金を吸収せず金融緩和政策を狙う。
→公開市場操作とは?(為替介入)
→金融緩和政策とは?
【為替介入】
◎為替介入の資金
→財務大臣が管理する政府の「外国為替資金特別会計(外為会計)」の資金が使われる。
◎急激な円安・ドル高の場合
→ドル売り=円買い
外為会計の保有するドルを売却
◎急激な円高・ドル安の場合
→円売り=ドル買い
政府短期証券を発行して円資金を調達し、ドルを買い入れる。
// 政府が借金する。円を借りてきてドルを買う。
// 実行部隊は BOJ、資金そのものは政府である。
◎為替介入の所轄→財務大臣
実施の決断、 タイミング、 金額等は財務大臣が決定する。
◎日本銀行は何をやっているの?
→財務大臣の代理人として、財務大臣の指示に基づいて為替介入の実務を遂行している。
◎財務大臣が為替介入決定
→財務相為替国際局為替市場課からの指示
→日本銀行金融市場局為替課が介入を実施
// 国が決断し、政府の銀行として BOJ が担っている。
2
- 3. 金融論 1/3 – 午前中
【金融論】
○貨幣、利子
○金融システム
銀行、証券会社など金融機関
金融市場
○中央銀行(日本銀行)
○金融政策・・・マクロ経済 // マクロ経済との関係性はどうなっているのだろうか?
○国際金融
外国為替レート
// オカネって一体何なのだろうか?電車賃、ジュースを買うオカネ
// オカネを借りると付く金利とは何なのだろうか?
// 現金を保有し預金。預金したオカネはどこへ行くのだろうか?
// 日本銀行券とは日本で使われる紙幣に印刷されている。
// どこから紙幣がやってくるのだろうか?
// 銀行に振り込まれているオカネ 金融システム
// 仕事に対する給料、それを口座から引き出している
// 貨幣、銀行について今日は触れてみる(目標)
【金融とは何か】
○金銭の融通。かねまわり(広辞苑)
○債権・債務の関係を生じしめるような貨幣の移転現象のこと(有斐閣「経済辞典」)
金融=貨幣にかんすること。
// 貨幣、金本位制オカネ
3
- 4. 金融論 1/3 – 午前中
【金融取引と実物取引】
実物取引=財・サービスの交換
物々交換 (barter exchange)
実物経済 (real economy)
金融取引=債権債務の発生から消滅
貨幣経済 (monetary economy)
「現在の資金(マネー、購買力)」と将来の資金を交換する取引」
取引=同じ価値のものを交換する約束
決済=貨幣や品物をやり取りして、債権債務の関係を解消すること
約束=取引
実際のやり取り=決済
// 経済的な交換には、同じ価値のモノの交換でなければならない。
// ヒトによって価値観が異なる(同じでなければ不成立)
// 等価交換が原則
【金融取引】 (異時間点間の取引) // 時間の流れを伴う
資金調達者(債務者)金融負債
約束
(金融商品)
資 資
金 金
資金提供者(債権者)金融資産
現在 将来(1年後)
時間の流れ
4
- 5. 金融論 1/3 – 午前中
【金融(異時点間の取引)の事例】
得られた所得はすぐに、
給 所 全て使われるのか?
料 得
恒 常 所 得 ( 日 々 の 生 活 に 必 要 な 所 得 )
1ヶ月
仕事を始めて、1か月後に給料がはいる場合を考えよう。日々の生活資金はどうするの?
得られた所得はすぐに、
給 借 全て使われるのか? 給
料
↓
料 入 金融取引 返
済
恒 常 所 得 ( 日 々 の 生 活 に 必 要 な 所 得 )
【金融取引とリスク】
⇒金融取引
資金提供者
資金←→将来の返済の約束(証書)
→返済されないかもしれない(可能性)
→信用リスク、貸倒リスク
デフォルトリスク(債務不履行リスク)
5
- 6. 金融論 1/3 – 午前中
【金融取引とリスクの移転】
○新規事業に投資する場合を考えてみよう
○資金調達方法=負債契約、持分契約
負債契約(デット debt)
→投資結果に関わらず返済する義務
⇒リスクは資金調達者のみが負う // ハイリスク
※返済額を超えれば、投資実行者の利益 (資金の調達者) // ハイリターン
持分契約(エクイティ equity)
→投資結果=資金提供者の損益 // ローリターン
⇒資金提供者がリスクを負う // ローリスク
// 投資が利益出るかどうか(可能性)
// 予想通りにならない可能性(リスク)→誰が負担するのか→貸借→借りた側に返済する義務
→貸借 (ローリスク・ローリターン)
// 株式 を持つ = equity を持つ。持分(資金の出し手)のみ責任を負う。
// 利益大 であった=(リスクはダメになることのみ注視されるが、根本的には成功するのもリスク)
= 借りた額だけ返済する(資金調達者の利益)
= 持分方式であった場合はハイリターン (ハイリスク・ハイリターン)
10:15 でいったん休憩!次は 10:30~
6
- 7. 金融論 1/3 – 午前中
10:30~
【貨幣の歴史 貨幣の定義】
貨幣の歴史
○直接交換方式 物々交換 barter
※欲求の二重の一致 魚のつもり
→一般的受容(領)性
Aさん Bさん
魚◁---< 肉 beef
① 肉欲しい ①‘魚食べたくない
等価交換でない
② 肉欲しい ②‘魚ほしい
等価交換で成立
(欲求二重の一致)
③ 肉欲しい ③‘肉になる前の牛、鶏
(交換成立しない)
④ 肉欲しい 米 ④‘米欲しい
誰もが欲しがるものを仲介
一般的受容(領)性=貨幣の役割
○間接交換方式
・商品貨幣、貝、金など
// 不動産(土地)などは近年になってから
7
- 8. 金融論 1/3 – 午前中
【一般的受容性(受領性)】
○一般に広く受け入れられること
○交換円滑化のための条件
① 少量でも価値があり、運搬が容易
② 品質が一定、分割可能
③ 価値が安定している
④ 保存可能。
→これらを満たすもの=貴金属 (宝石は鑑定が難しい。輝き、傷、色、etc.)
【古代の貨幣】
BOJ 金融研究所 貨幣博物館
貨幣博物館の開館日・開館時間は、当分の間、以下のとおりとなっています(月曜日、祝日は定例
休館日)。
[7~9月中]
火曜日~金曜日……休館
土曜日 ・ 日曜日…… 9:30~16:30(最終入館16:00)
http://www.imes.boj.or.jp/cm/htmls/index.htm
貨幣
昔、貝が使われていたから「貨」に貝が含まれる。
// 中世ヨーロッパの価値の保存方法:装飾品、十字架(金で製作)など
// 日本貨幣の発生 (富本銭:西暦683年、明日香村)、(和同開珎:西暦708年)
// 紙幣のはじまり 世界最古は中国のジャオス(交子)、
// 日本最古の紙幣は山田羽書(三重県、1600 年~)
// 銀行券のはじまり:1661 年ストックホルム銀行券(金・銀本位制では重量がかさむのを避ける)
8
- 9. 金融論 1/3 – 午前中
【貨幣の機能(役割)】
○交換手段 medium of exchange
※欲求の二重の一致
貨幣が交換の媒介物となることで、物々交換と比較して、財の取引や流通が著しく円滑になる。
// 電子マネー(スイカ、イコカ)そのものに価値はない。入金している金額に価値がある。
// 電子データそのものが貨幣価値にあたる。
○価値尺度機能 measure of value(計算単位、決済単位)
いろいろな財を交換するのにそれぞれ異なる財の価値を計るための尺度が必要となる。
// 肉一頭、魚なんグラム、お肉何グラムではなく、それぞれに金額が付与されているので
// どちらに価値があるか尺度や計算単位としている。
○価値保護手段 means of store of value
【価値尺度機能、計算単位】
○貨幣がない場合とある場合の比較(4種類)
A C
B
A C
D
B D
○5種類を比較する場合
A
B
B E A C
D
E
C D
9
- 10. 金融論 1/3 – 午前中
○1000個を比較する場合
貨幣が無い場合 → 499,500回
貨幣がある場合 → 999回
【貨幣の定義】
○マネーストック(BOJ が公表)
○マネーストック統計
「一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体を保有する現金通貨や預金通貨などの通貨
量の残高を集計したもの」
○以前はマネーサプライ統計と呼ばれていたが、2008年以降、マネーストック統計となった。
○通貨保有主体=一般法人、個人、地方公共団体
中央政府、中央銀行、預金取扱機関(銀行)、保険会社、証券会社、短資会社などを除く。
非居住者も除く。
フロー:一定期間における変化→GDP
ストック:ある時点の量(残高)
○M1,M2,M3,広義流動性
○M1=現金通貨+預金通貨(全預金取扱機関)
最も容易に決済手段として使えるもの
現金通貨:銀行券発行高+貨幣流通高
預金通貨:要求払預金など
※全預金取扱機関=国内銀行等+ゆうちょ 銀行+農協、漁協+各連合会など
※国内銀行等(国内銀行+信金、信組など)
狭義 → 広義
M1 M2(M3)
10
- 11. 金融論 1/3 – 午前中
○M2=現金通貨+預金通貨+準通貨+CD
(国内銀行等:銀行以外は含まれない)
// CD はコンパクトディスク、中日ドラゴンズ、クリスチャン・ディオールではない
・準通貨(定期性預金)
・譲渡性預金(Certificate of Deposit:CD):銀行が作った証券としての存在
金融市場で自由に譲渡できる定期性預金
無記名の預金証書
○M3=現金通貨+預金通貨+準通貨+CD
(全預金取扱機関:銀行以外も含まれる)
準通貨は、解約すれば預金通貨となり決済手段として用いられることが出来る。
○広義流動性=M3+金銭の信託+投資信託+金融債+銀行発券普通社債
+金融機関発行CP+国債・FB+外債
(広い範囲の金融商品)
※マネーサプライとは異なっている点に注意が必要である。
11
- 12. 金融論 1/3 – 午前中
M2 M3 M1
801.7 1105 519.1
普通預金
75.6
預金通貨 443.5
広義流動性 1466.8
// http://www.boj.or.jp/statistics/money/ms/ms1107.pdf
// 2011年8月9日 日本銀行 調査統計局 マネーストック速報(2011年7月)
12
- 13. 金融論 1/3 – 午前中
【貨幣の保有動機】 ケインズによる
○取引動機 ・・・ 所得
予想された支出と収入の間の橋渡し
○予備的動機 ・・・ 所得
突然の支出に備える
○投機的動機 ・・・ 金利
登記を目的とする金融取引における資産選択としての貨幣の需要 → 流動性選好
11:55まで。
13