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マイクロジオデータを用いた
将来の空き家分布推定に関する研究
東京大学空間情報科学研究センター
秋山祐樹 (Yuki Akiyama)
aki@iis.u-tokyo.ac.jp
2
発表の流れ
1. 背景と目的
2. 推定空き家率データの作成
3. 信頼性の検証
4. 結果
5. 結論
※同資料は2015年9月18~20日に愛媛大学にて開催された
日本地理学会2015年秋季学術大会の発表内容を元に
その後の進捗内容を盛り込んだものとなっています。
また2016年3月18日に愛知大学三遠南信地域連携研究センター
にて開催されたコア研究会の発表内容の抜粋となっています。
1. 背景と目的
近年の少子・高齢化の進行、人口減少社会の進展、また産業構造の変化により
空き家が増加し続けている。
特に管理者不在の戸建て空き家の増加は
・放火による火災の発生や、不審者の侵入といった地域の治安の悪化
・老朽化による自然災害時の倒壊危険性 ・景観の悪化など
近隣住民、ひいては地域全体に深刻な影響をもたらす可能性がある。
また空き家が増加していくことは地域の活力の低下や地方自治体の税収低下などにつな
がる可能性がある。
空き家率の推移
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2008/10_1.htm
街中での空き家倒壊の報道(日テレNews24)
http://www.news24.jp/articles/2015/06/12/07277190.html
3
1. 背景と目的
特に長年放置された老朽化した空き家の管理(撤去)は大きな課題。
日経新聞web版 2015/10/26
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26H1Z_W5A021C1000000/
2015年5月より「空き家対策特別
措置法」を全面施行。
特定空き家(倒壊の恐れや衛生上
問題のある空き家)に認定された
建物は条件によっては自治体が撤
去することが出来る。
横須賀市で特措法施行後、全国初
の空き家(所有者不明)の撤去を
行政代執行で実施した
(2015/10/26)。
4
1. 背景と目的
TNOニュース 「“景観損なう” 空き家撤去で初の行政代執行(2016/03/02)」
https://www.youtube.com/watch?v=CkoLOb8oBB4
特に長年放置された老朽化した空き家の管理(撤去)は大きな課題。
●条例(景観条例)に反する物件に対する全国初の強制撤去(那智勝浦町)
5
NHKニュース 「所有者が放置の空き家 法施行後初の強制撤去(2016/03/03)」
https://www.youtube.com/watch?v=E3Xq9XVEpOA
●所有者が判明している物件に対する全国初の強制撤去(葛飾区)
1. 背景と目的
一方で老朽化に至っていない利用価値がある空き家
も数多く存在する。
日経新聞
2015/10/27 5面
世田谷区では空き家をコミュニティスペース
として活用し、地域住民が集まり、ふれあう
ための施設として活用が始まっている。
小林ふれあいの家
http://www.setagayashak
yo.or.jp/service/sasaeai/k
yoten/page-
20150303153750/
6
1. 背景と目的
7
空き家の適正な管理の必要性が高まっている。
→平成26年11月「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空き家
対策特別措置法)」が成立。平成27年5月より施行された。
→これを受け地方自治体には空き家の分布調査を実施し、その成果を
デジタル化(GISで管理)することが努力義務と定められた。
このように今後ますます空き家が増えていく情勢の中、将来にわたって空き家
の適正な管理と利活用を進めていくためには・・・
1)空き家が今どこに分布しているのか
2)今後どこにどの程度空き家が増えていくのか
(特に戸建て空き家)
を把握することが求められている。
1. 背景と目的
8
1)空き家が現在どこに分布しているのか
・アンケート調査や現地調査(林ほか, 2004; 小西ほか, 2008)、公共データ
に基づく空き家分布モデルの適用(吉岡ほか,2013)などにより空き家の分
布を推定・把握しようとした研究が見られる。
>調査対象範囲は限定的(一つの自治体や団地程度)
>公共データ(水道閉栓状況・固定資産税など)の入手は困難。
・地方自治体による空き家分布調査業務が開始され始めている。
例:京都市、奈良市→公共データ(水道閉栓、固定資産税など)を活用
・住宅土地統計調査では空き家戸数をサンプル的に調査している。
2)今後どこにどの程度空き家が増えていくのか
・アンケート調査に基づくモデル構築(中西ほか, 2004)、将来人口に基づく
モデル構築(戸川ほか, 2006)などの研究が見られる。
>調査対象範囲は限定的(一つの自治体や団地程度)
>結果の信頼性検証が不十分、あるいはなされていない。
全国を対象にアクセス可能なデータを使って
将来の空き家の増加状況を推定する手法が求められている
1. 背景と目的
9
目的
国や全国の自治体による
空き家調査と空き家対策・活用の支援のために・・・
●全国をカバーするデータ・統計を用いて、今後戸建ての空き家
が増加する地域を推定する手法を開発する。
●戸建て空き家が増加する地域推定のためのデータを整備する。
●住宅・土地統計調査を用いて、同手法の信頼性を明らかにする。
全国を対象にアクセス可能なデータを使って
将来の空き家の増加状況を推定する手法が求められている
1. 背景と目的
10
一般財団法人日本再建イニシアティブ,2015年,
「人口蒸発『5000万人国家』日本の衝撃」,
新潮社
ワーキンググループメンバーとして参加。
「人口問題は日本史上最大の危機」であること
を主軸に、財界、官界、アカデミアの有識者に
よる、人口問題をソフトランディングさせ、
100年後も活力ある日本を維持するためにいま
何をすべきかを提言した意欲的な内容。
2015年7月には有識者委員会会員であり日本学
術会議会長でもある大西隆先生による記者会見
も開かれた。
本書の中で実施された施設配置シミュレーショ
ン内で開発した将来人口推計マイクロジオデー
タを活用した研究の一つ。
本研究のもう一つのきっかけ
11
発表の流れ
1. 背景と目的
2. 推定空き家率データの作成
3. 信頼性の検証
4. 結果
5. 結論
2.推定空き家率データの作成
12
データ開発の流れ
住宅地図
(ゼンリン; 2010年)
国勢調査
(総務省統計局; 2010年)
マイクロ人口統計(2010年)
将来人口
メッシュデータ
(HIT *1)
人口動態調査
(厚生労働省; 2010年)
将来推定居住者数データ
(共同住宅)
将来推定居住者数データ
(戸建て住宅)
将来推定空き家増加率データ
(戸建て住宅)
※1一般社団法人 北海道総合研究調査会
手法の詳細は現在開発中であるためここでは割愛します
2.推定空き家率データの作成
13
データ開発の流れ
住宅地図
(ゼンリン; 2010年)
国勢調査
(総務省統計局; 2010年)
マイクロ人口統計(2010年)
将来人口
メッシュデータ
(HIT *1)
人口動態調査
(厚生労働省; 2010年)
将来推定居住者数データ
(共同住宅)
将来推定居住者数データ
(戸建て住宅)
将来推定空き家増加率データ
(戸建て住宅)
※1一般社団法人 北海道総合研究調査会
手法の詳細は現在開発中であるためここでは割愛します
2.推定空き家率データの作成
マイクロ人口統計とは
世帯データの推定(家族類型・
構成人数)
住宅地図 国勢調査
集計結果比較
住宅地図から住宅該当建物を抽出
世帯データ(ポイントデータ)
推定世帯分布データ完成
(世帯数分のポイントデータ)
世帯人員の推定(年齢・性別)
推定世帯分布データ
(居住者情報付きの
世帯数分のポイントデータ)
居住者ごとのポイント生成
マイクロ人口統計完成
(居住者分のポイントデータ)
Akiyama, Y., Takada, T. and Shibasaki, R., 2013,
"Development of Micropopulation Census
through Disaggregation of National Population
Census", CUPUM2013 conference papers, 110.
14任意の集計単位で集計可能な人口統計(ポイントデータ)
2.推定空き家率データの作成
15
マイクロ人口統計でみる高齢化率(250mメッシュ集計)
2.推定空き家率データの作成
16
八王子市の例
推定
世帯人員[人]
マイクロ人口統計(八王子市の例)
2.推定空き家率データの作成
17
マイクロ人口統計(八王子市の例)
推定
世帯人員[人]
建物用途 一般住宅
経度 139.65633
緯度 35.663664
面積[㎡] 105.34
家族類型 8
世帯人数 5
世帯主[年齢区分-性別] 45 - 1
配偶者[年齢区分-性別] 40 - 2
世帯主子供の数 2
世帯主子供の情報 5-1 | 10 - 2
世帯主親の数 1
世帯主親の情報 75-2
その他の数 0
その他の情報 None
世帯属性情報
日本全国全ての世帯の分布と詳細な属性情報の推定
が可能なマイクロジオデータ
2.推定空き家率データの作成
18
データ開発の流れ
住宅地図
(ゼンリン; 2010年)
国勢調査
(総務省統計局; 2010年)
マイクロ人口統計(2010年)
将来人口
メッシュデータ
(HIT *1)
人口動態調査
(厚生労働省; 2010年)
将来推定居住者数データ
(共同住宅)
将来推定居住者数データ
(戸建て住宅)
将来推定空き家増加率データ
(戸建て住宅)
※1一般社団法人 北海道総合研究調査会
手法の詳細は現在開発中であるためここでは割愛します
2.推定空き家率データの作成
19
将来人口データをマイクロ人口統計に配分
マイクロ人口統計(2010年)
(3次メッシュ単位に分割)
115 118 225
105 35 65
25 10 15
将来人口メッシュデータ(3次メッシュ単位)
>5年毎で2010~2040年までの人口を格納
2010年
110 120 231
99 31 60
22 9 14
2015年
95 90 195
75 24 54
18 6 9
2040年
人口動態調査(厚生労働省; 2010年)
・2010年の年齢別死亡率
推定
世帯人員[人]
共同住宅 戸建て住宅と共同住宅の将来人口を5年毎に
推定する
(世帯主年齢は5歳ずつ増加させる)
2.推定空き家率データの作成
20
データ開発の流れ
住宅地図
(ゼンリン; 2010年)
国勢調査
(総務省統計局; 2010年)
マイクロ人口統計(2010年)
将来人口
メッシュデータ
(HIT *1)
人口動態調査
(厚生労働省; 2010年)
将来推定居住者数データ
(共同住宅)
将来推定居住者数データ
(戸建て住宅)
将来推定空き家増加率データ
(戸建て住宅)
※1一般社団法人 北海道総合研究調査会
手法の詳細は現在開発中であるためここでは割愛します
2.推定空き家率データの作成
21
マイクロ人口統計(20XX年)
0.68
0.00
0.00
共同住宅
0.00
0.44
0.15
0.02
0.180.00
0.00
0.74
0.00
0.00
0.00
0.00
将来推定空き家増加率データの整備
推定
空き家率[%]
0
0~25
25~50
50~75
75~100
20XX年には居住人数の確率が1.0未満の
戸建て住宅が出現するようになる。
居住者数の確率が1.0未満の戸建て住宅に
ついては以下の式で空き家率を与える。
空き家率 = 1.0 – 居住者数の確率
(空き家率<0の場合は0)
上地域の20XX年の2010年比
推定空き家増加率
=
15
2.21
=0.1473
ある地域(市区町村・町丁目など)全体の
戸建て住宅の2010年比の空き家増加率は
以下の式で与えられる。
=
地域内戸建住宅の
空き家率
地域内の戸建住宅
の戸数
地域内戸建住宅の
2010年比空き家増加率
2.推定空き家率データの作成 22
将来推定空き家増加率データ(愛知県豊橋市の例)
2010年の居住者数(社人研の2010年人口を配分)
共同住宅
2.推定空き家率データの作成 23
将来推定空き家増加率データ(愛知県豊橋市の例)
2010年比推定空き家率(2015年)
2.推定空き家率データの作成 24
将来推定空き家増加率データ(愛知県豊橋市の例)
2010年比推定空き家率(2020年)
2.推定空き家率データの作成 25
将来推定空き家増加率データ(愛知県豊橋市の例)
2010年比推定空き家率(2030年)
2.推定空き家率データの作成 26
将来推定空き家増加率データ(愛知県豊橋市の例)
2010年比推定空き家率(2040年)
2.推定空き家率データの作成 27
将来推定空き家増減率マップ(愛知県豊橋市の例:町丁目集計)
2010年比推定空き家率(2015年)
(戸建住宅数/空き家数/空き家率)
推定空き家率[%]
2.推定空き家率データの作成 28
将来推定空き家増減率マップ(愛知県豊橋市の例:町丁目集計)
2010年比推定空き家率(2040年)
(戸建住宅数/空き家数/空き家率)
推定空き家率[%]
2.推定空き家率データの作成 29
将来推定空き家増減率マップ(愛知県豊橋市の例:町丁目集計)
2010年比推定空き家率(2015年)
推定空き家率[%]
2.推定空き家率データの作成 30
将来推定空き家増減率マップ(愛知県豊橋市の例:町丁目集計)
2010年比推定空き家率(2020年)
推定空き家率[%]
2.推定空き家率データの作成 31
将来推定空き家増減率マップ(愛知県豊橋市の例:町丁目集計)
2010年比推定空き家率(2030年)
推定空き家率[%]
2.推定空き家率データの作成 32
将来推定空き家増減率マップ(愛知県豊橋市の例:町丁目集計)
2010年比推定空き家率(2040年)
推定空き家率[%]
2040年までに最
も空き家が増える
可能性がある地区
花田一番町
→ 116棟中
18.55件の住宅
が空き家化する
可能性あり
2040年までに最
も空き家率が高ま
る可能性がある地
区(10世帯以上の
地区のうち)
嵩山町字井原
→11棟中
27.27%の住宅
が空き家化する
可能性有り
2.推定空き家率データの作成 33
将来推定空き家増減率マップ(岐阜県岐阜市の例:町丁目集計)
2010年比推定空き家率(2015年)
推定空き家率[%]
2.推定空き家率データの作成 34
将来推定空き家増減率マップ(岐阜県岐阜市の例:町丁目集計)
2010年比推定空き家率(2020年)
推定空き家率[%]
2.推定空き家率データの作成 35
将来推定空き家増減率マップ(岐阜県岐阜市の例:町丁目集計)
2010年比推定空き家率(2030年)
推定空き家率[%]
2.推定空き家率データの作成 36
将来推定空き家増減率マップ(岐阜県岐阜市の例:町丁目集計)
2010年比推定空き家率(2040年)
2040年までに最
も空き家率が高ま
る可能性がある地
区(10世帯以上の
地区のうち)
元町2丁目
→13棟中
33.46%の住宅
が空き家化する
可能性有り
推定空き家率[%]
2040年までに最
も空き家が増える
可能性がある地区
鷺山
→ 1544棟中
76.05件の住宅
が空き家化する
可能性あり
37
発表の流れ
1. 背景と目的
2. 空き家率データの作成
3. 信頼性の検証
4. 結果
5. 結論
3. 信頼性の検証 38
2015年現在、全国規模の空き家調査結果として利用できるデータとし
て「住宅・土地統計調査」がある。
最新の調査が平成25年(2013年)であり、5年毎に調査されている。
集計単位は市区町村単位が最小となっている。
将来推定空き家増加率データ
2010年から2015年までに増加したと推定される戸建て空き家の棟数
住宅・土地統計調査
2008年と2013年の「その他空き家※」の棟数の増減
を市区町村毎に比較した。
※住宅・土地統計調査では空き家は「二次的住宅」「賃貸用」「売却用」「その他」に
区分されている。本研究で対象とする管理者不在の戸建て空き家は「その他」に区分
される。
3. 信頼性の検証 39
y = 0.6155x + 224.78
R² = 0.5017
0
1000
2000
3000
4000
-2000 -1000 0 1000 2000 3000 4000
推
定
空
き
家
デ
ー
タ
空
き
家
増
加
数
(
2
0
1
0
~
2
0
1
5
年
)
住宅土地統計 その他空き家の増減(2008年~2013年)
住宅・土地統計調査との比較結果
豊橋市
X(住宅土地統計):-610件
Y(推定値):927.09件
岐阜市
X(住宅土地統計):2090件
Y(推定値):1421.67件
3. 信頼性の検証 40
y = 0.6155x + 224.78
R² = 0.5017
0
1000
2000
3000
4000
-2000 -1000 0 1000 2000 3000 4000
推
定
空
き
家
デ
ー
タ
空
き
家
増
加
数
(
2
0
1
0
~
2
0
1
5
年
)
住宅土地統計 その他空き家の増減(2008年~2013年)
住宅・土地統計調査との比較結果
人口移動が大きい
・2013年以降の空き家増加が大
・空き家の撤去
・空き家の撤去
・空き家の再利用
3. 信頼性の検証 41
y = 0.6155x + 224.78
R² = 0.5017
0
1000
2000
3000
4000
-2000 -1000 0 1000 2000 3000 4000
推
定
空
き
家
デ
ー
タ
空
き
家
増
加
数
(
2
0
1
0
~
2
0
1
5
年
)
住宅土地統計 その他空き家の増減(2008年~2013年)
住宅・土地統計調査との比較結果
人口移動が大きい
・2013年以降の空き家増加が大
・空き家の撤去
・空き家の撤去
・空き家の再利用
●住宅・土地統計調査はサンプル調査
>調査対象地域をサンプリングし、さらにその地域内の住宅
をサンプリングしている。
>そのため同調査から得られる空き家数の信頼性は高くは
ないと考えられる。
>とはいえ全国規模で実施されている空き家調査は唯一同調査
のみ。
→今後は現地調査の結果等との突き合わせ検証が必要。
42
発表の流れ
1. 背景と目的
2. 空き家率データの作成
3. 信頼性の検証
4. 結果
5. 結論
43
結果
2020年 2030年 2040年 2010年以降新規に空き家と
なった戸建住宅の割合の
推定値
空き家となった
戸建住宅の割合
(2010年比)
特に中部地方,近畿地方南部,中
国四国地方,九州地方など,西日
本の山間部を中心に特に空き家が
急速に増加していく可能性がある
ことが分かった.
43
結果 44
0
500000
1000000
1500000
2000000
2500000
3000000
3500000
4000000
4500000
そ
の
他
空
き
家
数
その他空き家数の推移と将来推計(青:確報値、緑:2008年と2013年の確
報値から推計、赤:本研究で推計、グラフ内数字の単位は万)
125 131
149
182
212
288
300
318
342
384
402 408 413 417
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
0.35
0 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000
2
0
4
0
年
空
き
家
遷
移
率
(
2
0
1
0
年
比
)
戸建て世帯数
北海道 東北 関東 中部 近畿 中四国 九州 沖縄
結果
市区町村ごとの戸建て世帯数と2040年新規空き家遷移率(2010年比)の関係
・戸建て世帯数が多いほど新たに空き家となる確率も低くなる傾向にある。
・沖縄地方は空き家遷移率が小 →少子高齢化が他の地域よりも緩やかなことが要因?
東京都杉並区
大阪府西成区
北海道歌志内市(左)・夕張市(右)
45
愛知県豊橋市
岐阜県岐阜市
46
発表の流れ
1. 背景と目的
2. 空き家率データの作成
3. 信頼性の検証
4. 結果
5. 結論
5. 結論 47
全国をカバーするデータ・統計を用いることで、今後戸建ての
空き家が増加する地域をある程度推定する手法を提案した。
同手法を全国のデータに適用し、全国の将来推定空き家増減率マップを整備す
る環境を実現した。
住宅・土地統計調査と比較し同手法で得られるデータの信頼性を明らかにした。
今後の展望
住宅・土地統計調査よりも精緻な検証データを収集し、信頼性の検証を実施す
る(住宅・土地統計調査はサンプル調査であるため、信頼性が高い検証データ
とは言えない)。
空き家化するメカニズム(空き家化に繋がる要因)を明らかにしデータ作成手
法を改善する(世帯構造に基づいた出生率、周辺施設との位置関係、建物の構
造や築年、用途地域など?を考慮)。
同成果の活用が期待される国・地方自治体などへのヒアリング
(国交省国土情報課・住宅局、内閣府まち・ひと・しごと創生本部 など)
ご清聴頂きありがとうございました
<Contact>
秋山祐樹
東京大学空間情報科学研究センター 特任助教
愛知大学三遠南信地域連携研究センター 研究員
韓国国土研究院 Visiting Research Fellow
Email: aki@iis.u-tokyo.ac.jp
URL: http://akiyama-lab.jp/yuki/
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