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10/29/2014 1
Trust 
信頼に基づいた自律と協働―開かれた学問 
テーマリーダー中村征樹 
10/29/2014 2
達成したいこと 
信頼される 
研究コミュニティと 
社会との協働 
10/29/2014 3
達成したいこと 
質の高い研究が展開される 
誠実な研究者が正当に評価される 
自由にのびのびと研究しながら、 
インテグリティが確保される 
社会からの正当な支援と協働 
10/29/2014 4
10/29/2014 5 
研究 
コミュニティ 
社会
背景 
不正の発生、学問への信頼の低下… 
新ガイドライン、 
不正への対応の強化… 
後ろ向きになりがち 
10/29/2014 6
背景 
再現実験・追試をしても報われない 
評価がいびつ/歪んだ競争 
(指標ありきで、本質的な競争になっていない) 
社会からの(過剰な)期待のもとで研究費を獲得 
不正を抑止できず、インテグリティがそこなわれる 
10/29/2014 7
社会から信頼され支持される学問とは? 
不正がないのは当然 
質の高い研究 
(知的好奇心/社会への貢献) 
すぐれた研究不正 
10/29/2014 8
質の高い研究を実現するには? 
新しいことを次々に生み出していくこと 
(something-new-ism)が偏重され、 
すでに生み出された知識をチェックしてい 
くことが軽視されていないか? 
10/29/2014 9
社会とのコミュニケーション 
のありかたとは? 
研究を続けていくための基盤は社会からの支援であり、 
コミュニケーションは重要。 
しかし、「宣伝」「広報」に偏重していないか? 
「役に立つこと」を強調し、 
過剰な期待を生み出していないか? 
正当な期待/信頼関係に基づく関係構築: 
・成果を誠実に伝える 
・不確実性・限界を含めた営みとしての科学を伝える 
10/29/2014 10
そのためには… 
研究者個人が責任を全うする 
研究者が責任を全うできる 
仕組みをつくる 
社会もちゃんと関わる 
10/29/2014 11
Key results 
実現のための実践的・具体的提案 
10/29/2014 12
(1)本物の評価システムをつくる 
(2)日本発のボトムアップなインテグリティ 
の仕組みをつくる 
(3)研究の多元的なチェックシステム 
(4)研究者以外も研究に関わる 
10/29/2014 13
(1)本物の評価システムをつくる 
(2)日本発のボトムアップなインテグリティ 
の仕組みをつくる 
(3)研究の多元的なチェックシステム 
(4)研究者以外も研究に関わる 
10/29/2014 14
10/29/2014 15 
研究 
コミュニティ
(1)本物の評価システムをつくる 
研究者間の評判を組み込んだ評価システム 
(「あのラボの成果はあやしい」「信頼できる」…) 
再現実験・追試など、 
質の高い研究を担保する取り組みも評価 
インパクトファクターに代わる 
ジャーナルの評価システム 
(リトラクト率、インテグリティ確保の取り組み、研究者間の評判…) 
10/29/2014 16
(2)日本発のボトムアップな 
インテグリティの仕組みをつくる 
重要なのは現場の 
研究者のコミットメント 
10/29/2014 17
(2)日本発のボトムアップな 
インテグリティの仕組みをつくる 
ラボレベル、学会レベル、大学レベルなどでの 
議論・相談、ベストプラクティスの共有 
学会レベル:SNSや学会の場等を活用 
例)「こういうときはどうするべき?」 
事例:FDカフェ、キャリアプランニ 
ングカフェ… 
10/29/2014 18
(3)研究の多元的なチェックシステム 
再現実験・追試を登録するシステムをつくる 
事例:STAP New Data(Paul Knoepfler) 
出典:http://www.ipscell.com/stap-new-data/ 
10/29/2014 19
10/29/2014 20 
研究 
コミュニティ 
社会
(3)研究の多元的なチェックシステム 
ファンディングの多様化/クラウド・ファンディング 
事例:高木仁三郎市民科学基金 
出典:http://www.takagifund.org/index.html 
10/29/2014 21
(4)研究者以外も研究にかかわる 
当事者等、非研究者による妥当性の検討 
• 当事者として、研究者とは違った評価の視点・基準 
• 基盤としてのオープン・アクセス:「開かれた科学」 
事例:ACT-UP(治験方法の科学的に妥当な代替案の提案) 
10/29/2014 22 
出典:http://www.actupny.org/
10/29/2014 23 
研究 
コミュニティ 
社会
信頼される科学を 
現場から 
10/29/2014 24
ただし・・・ 
模範的な研究とはいえないが 
斬新で新しいものを生み出す研究 
「山師」的な研究者 
科学に内在する反社会性・反倫理性 
「歯止めのない知的好奇心」 
このような側面をどうするか? 
10/29/2014 25

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